ホロライブの再編と新人のキャスティングから見える、ホロライブの今後の戦略

ホロライブの再編と新人のキャスティングから見える、ホロライブの今後の戦略

カバー株式会社やその中のVTuber事務所「ホロライブプロダクション」ではここのところだいぶ変化がありましたが、最近、これまでのタレントの区分を一部取り払い、新しいタレントユニット「アソビ★まわり隊!」も加人しました。

それらの内容から、カバー株式会社やホロライブプロダクションの今後の戦略が垣間見えますので、考察しようと思います。公式な発表も参考にしていますが実際の中の事情はわかりませんのであくまで外部から見た想像です。

想像とは言ってもかなり明らかな印象のものがほとんどで、同じように感じている人は多いのではないかと思います。

カバー株式会社・ホロライブプロダクションの苦戦

カバー株式会社やその中のVTuber事務所「ホロライブプロダクション」では、ここ1〜2年ほど「卒業」が相次いだり、PC向けのメタバースプロジェクト「ホロアース」を終了したり、男性VTuber部門「ホロスターズ」のサポートを縮小したり、色々苦戦している印象がありました。

「卒業」は、体調によるものを除けば、時代に合わせた会社の方針の変化ややることの多さを受け入れられないタレントが離れたということだと思います。「配信活動終了」はまた異なる側面があるのかもしれません。

「ホロアース」終了については、様々な機能を入れようとしてリソースがかかり、タレント側は24時間可動できるわけではなく、現実的な範囲でうまく着地できなかったのだと思います。これはホロライブと密接に関係しつつもカバー株式会社の中で別の事業ですのでここでは一旦話題から外します。

「ホロスターズ」のサポート縮小については、「リソース配分の見直しを行うため」と発表されています。
https://cover-corp.com/news/detail/c2026040301

ホロライブプロダクションの苦戦は、一つには「グループ分けの失敗」ではないかと思います。いや、「失敗」は言い過ぎで、「グループ分けしたことでうまくいかない面があった、又は、うまくいかなくなってきていた」のではないかと思います。そしてそれはホロスターズの件や、EN(ホロライブEnglish)やID(ホロライブインドネシア)の活動や企画がJPほど広がりを持てないことにもつながります。

以前の(最近までの)ホロライブプロダクションは、以下のようなグループ分けになっていたと認識しています。HOLOSTARS(ホロスターズ)の細部のグループ分けについては理解していませんので省きます。

カバー株式会社
│
└─ ホロライブプロダクション
  │
  ├─ ホロライブ(女性VTuber部門)
  │   ├─ JP
  │   ├─ EN
  │   ├─ ID
  │   └─ DEV_IS
  │      ├─ ReGLOSS
  │      └─ FLOW GLOW
  │
  └─ ホロスターズ(男性VTuber部門)
      ├─ JP
      └─ EN

 

HOLOSTARS(ホロスターズ)

世間の印象では「ホロライブプロダクション」=「ホロライブ」だと思いますが、前述のとおり実際には部門の仕組みでは「ホロスターズ」と「ホロライブ」は並列の部門のため、「ホロスターズ」は「ホロライブ」ではないということになります。これはホロスターズの展開に大きく影響したと思います。

もう一つの大事務所「にじさんじ」では男女のタレントのコラボが多く見られることと比較すると、ホロライブ・ホロスターズでは男女のタレントのコラボは少ないです。

比較的初期のホロライブタレントに男性とコラボをしない方針の人がいたり、「アイドル事務所」として男女のコラボを好まないファンにも配慮し、分けようとしていたのかもしれません。社内でもホロライブタレントとホロスターズタレントが顔を合わせないような配慮(仕組み)になっていたというホロライブタレントの発言も見られます。

結果的に「にじさんじ」ではよく見られる男女コラボの面白さがほぼ見られず、ホロスターズの活動や認知が広がらなくなる結果になっていたと思います。もっとも、「男女コラボをしなくてもホロライブは人気なんだから、ホロスターズもできるはず(できたはず)」という意見はあると思います。

EN(ホロライブEnglish)、ID(ホロライブインドネシア)

また、ホロライブを海外へ広げていくためにENやIDの枠組みを作り、ENとIDが別れていたことによってそれぞれのアイデンティティに結びついていたと思いますが、一方、それぞれが頑張らなければいけない状況につながっていたように見えます。

IDのタレント、アーニャ・メルフィッサは、IDの露出(日本の視聴者がIDの配信に触れる機会の減少)への懸念を話していました。
https://www.youtube.com/live/6zUadiqxZw8

ENのタレント、森カリオペは、社内でのENの過小評価への不満を話していました。
https://www.youtube.com/live/3-2TkjzFzss
彼女はホロライブ全体のことを考えた発言や活動が多い印象のタレントです。

逆にJPには英語が話せるタレントが少なく、コラボレーションも、ENやID内の日本語が堪能なタレントの存在に依存していました。

その後EN内で日本語が堪能ではなかったタレントが「配信活動終了」「卒業」したりすることにもつながっていたと思います。

逆の成功例もある

逆に、元々歌が主体だったタレントがイノナカミュージック(INNK MUSIC)というくくりからホロライブに移籍し、新しい展開をして成功しています。

イノナカミュージックとはカバー株式会社内にかつて存在した、音楽活動特化型の独立レーベルです。

星街すいせいはホロライブ移籍で音楽も含め活動の幅が広がり認知も広がり、AZKiも活動の幅が広がり認知も広がり、音楽以外でもジオゲッサー、オセロの魔王、お姉さん(罵倒?)キャラで様々に魅力を発揮しています。これは明らかに、歌だけの活動では達成できない広がりです。

歌やダンスをするグループ

一方ホロライブ内で「歌やダンスをするグループ」としてhololiveDEV_ISという部門を作り、ReGLOSS(リグロス)やFLOW GLOW(フロウ・グロウ)を作ったのも、成功しているのではないかと思います。

星街すいせいやAZKiが歌だけでなくゲーム、コラボ、雑談などもすることで活動の幅と認知が広がったのと同様、ReGLOSSやFLOW GLOWも、「歌やダンス」を主要な部分としながらも、ゲーム、コラボ、雑談なども普通にするとこで活動の幅の認知が広がっています。

ホロライブ新人のキャスティングから見える、ホロライブの今後の戦略

「グループ分けしたことでうまくいかない面があった、又は、うまくいかなくなってきていた」ことへの反省からか、これまでのタレントの区分を一部取り払い、その中で新しいタレントも加人しました。

タレントの区分を一部取り払った
 
これからは、地域やグループの垣根を越えて、すべてをひとつの「ホロライブ」として展開していきます。
https://cover-corp.com/news/detail/20260907-01

とのことです。

グループ分けを完全になくしたわけではなく、ReGLOSS、FLOW GLOWというグループ分けは残すようです。

普段はあまり表に出ませんが、例えば旧ENにも同時デビューのグループとしてMythやCouncilがあり、それらのグループ分けも残すようです。

ReGLOSS、FLOW GLOWの区分けを残したのはおそらく正解ではないかと思います。彼女達は一面では音楽アーティストVTuberグループ(歌やダンスも行うユニット)として活動してきて、本人たちもそれを大切にしてきたでしょうし、雑談やゲームのスキルとは別のスキルが必要で、そこはアイデンティティとして残すべきです。

それまでの「期生」によるグループは個々の特徴を持つタレントの「同期」であり、個別にライブをやることや期生としての活動をすることはあっても「歌やダンスも行うユニット」ではありません。

DEV_ISとしての区分けはなくしてより垣根を超えた交流を促しながらも、雑談やゲームメインの演者と、歌やダンスもする演者を置くことで、可能性や裾野を広げる、ということだと思います。

新しいタレントユニット「アソビ★まわり隊!」加人

一方、新しいタレント達はそれぞれのポテンシャルを持っているように見えます。

・英語が流暢なタレントが複数いる
・ジオゲッサーが好きなタレントがいる
・その他ゲームが得意なタレントがいる
・アネゴ肌のタレントもいますが、全体的に若め

私の想像ですが、具体的にはこれまで紹介してきた事柄について、以下のように対処しようとしているのではないかと思います。

グループ分けを一部取り払い、英語やゲームの得意なタレントを入れることで、ホロライブ内の交流の活性化を促す
・英語ができる日本人タレントを複数入れ、これまでは限定的、又はENやIDのタレントが日本語を話すことで成立してきたコラボレーションをもっと活発にする。
・ゲームが好きな又は得意なタレントを入れ、内外のコラボレーションを活性化させる
・ジオゲッサーが好きなタレントを入れ、やり尽くした感が出る前にAZKiとのコラボで再び面白さを生み出していく

・博士号を持つタレントを入れ、雑談などの中に科学的視点を取り入れる

「英語ができる日本人タレント」は、今後の布石かもしれません。今後「英語が堪能な日本人タレントグループ」も生まれるかもしれません。

新しい視聴者層を取り込む
・これまでの、「雑談」「ゲーム」「歌」「ダンス」に加え、グループ名に表しているようにもっと広く「遊び」を取り入れ、若年層を中心に新しい視聴者を取り込む
 

アネゴ肌のタレントもいますが、全体的に見た目が若めになっています。実際に中の人も若いのではないかと思います。

既存タレントの視聴者・ファンの年齢層の幅は広いと思いますが、新たな若年層がファンになってくれるように、若いタレントを定期的に入れていく必要はあると思います。

これらを最初から狙って採用活動にあたったのか、たまたまそういう能力・特徴を持った人物がいたから総合的に判断して採用することにしたのかは不明ですが、配信を見る限りおそらく後者ではないかと思います。

懸念点があるとすれば、それぞれズバ抜けた特徴を持つ若い人たちを集めただけだと、「ピン(個人)だとすごいし面白いがコラボレーションだとそれが相乗効果にならない」可能性がなくもないと感じています。まあ、そのへんは手練の先輩たちが面白くしてくれるだろうとは思います。