VTuberがうる・ぐら(Gawr Gura)のオリジナル曲「REFLECT」の感想と考察

VTuberがうる・ぐら(Gawr Gura)のオリジナル曲「REFLECT」の感想と考察

バーチャルYoutuber(VTuber)がうる・ぐらの、2021年6月21日に投稿されたオリジナル曲「REFLECT」の感想と考察を書こうと思います。

2021年6月21日にジャケットの静止画だけがついた曲が動画として投稿され、2022年10月1日現在14,979,282 回再生されており、2022年3月23日にはアニメーションMVも投稿され、同じく6,167,485 回再生となっています。

がうる・ぐら

がうる・ぐらは、バーチャルYouTuberグループであるホロライブEN(イングリッシュ)の一期生(正確には「期生」というくくりではない)のメンバーの一人で、サメをモチーフに擬人化(?)したデザインで通称サメちゃんと呼ばれて親しまれています。

2020年9月13日にデビュー配信、2022年6月16日にチャンネル登録者数が400万人を突破した、人気の高いVTuberです。

がうる・ぐらYouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/channel/UCoSrY_IQQVpmIRZ9Xf-y93g

ホロライブENはホロライブの中でも英語を主体とするメンバーによるグループですが、メンバーによってカタコト〜流暢まで差はあるものの、日本語も多少話せます。

がうる・ぐらは日本語の歌を多数歌っており、気に入った曲を丸暗記して歌っているのだと思いますが、話すのはカタコトというか断片的ですね。ただ、日本語学習ソフトに取り組む様子も配信しており、だいぶ上達してきているようです。

▶︎がうる・ぐらの人気の理由の考察についてはこちらの投稿をご覧ください。

「REFLECT」の特徴
 
初のオリジナル曲

がうる・ぐらは、初配信で山下達郎の『RIDE ON TIME』を歌ったほか、アニソンからジャズまで様々なカバー曲を歌っていますが、「REFLECT」は彼女の初のオリジナル曲です。

初のオリジナル曲であることと、自分のイメージを元に様々な人たちとのコラボレーションにずっと力を入れて取り組んでいたこと、そして後述のように自己の内面を表現した歌のためもあると思いますが、リリース前後の彼女の動画から、この曲への思い入れの強さが見て取れます。

リリース直前の2021年6月21日の誕生日配信内で「June 22, 0:00」リリースと告知もしたのですが、どうやら疲れと緊張でどの地域の「June 22, 0:00」かを認識しないまま告知し、誕生日配信後に極度の疲れで寝たものの冷や汗と共に目覚めてしまい、混乱の中、「It’s June 22nd somewhere ain’t it(どこかはJune 22だよね?)」とツイートをして、しかし実際は勇み足でリリースしたようです。

楽曲の特徴

全体的にクールめで聞きやすいJ-ポップ、エレクトロポップ系の楽曲です。アニメソング風とも言えるかもしれません。しかし途中印象が変わり、強調されたビートでラップ調になるのがユニークです。

曲の出だしは、ややミステリアスかつエキゾチックな印象ですが、スティーブン・スピルバーグ監督のサメを主題にしたパニック映画「ジョーズ」のテーマ音楽へのオマージュとなっているようです。

誕生日配信と同じ2021年6月21日に、映画「ジョーズ」の同時視聴配信も行っています。

日本語が主体

英語を主体として動画を投稿している彼女には、初のオリジナル曲ということで英語の歌にする選択肢もあったと思いますが、日本語が主体の歌となっています。

日本のアニメが好きな彼女の嗜好と、ホロライブに所属し日本語も積極的に使っていこうとしている彼女のある種のバランス感覚が感じられます。

歌詞は日本語が主体ですが時々英語になり、日本語の部分にも英語で合いの手のフレーズが入っています。

日本の歌手の日本語の歌に英語が挿入されたり散りばめられているのはよく見かけますが、それを英語が第一言語であるがうる・ぐらがやっているのが面白いです。

歌詞の内容
 
出だしのギリシャ語

出だしのフレーズはギリシャ語とのことで、がうる・ぐらがアトランティスの末裔であるという設定にちなんでいるようです。

あえて他の言語で挿入していることもあり、この曲のテーマ、メッセージが込められているはずです。

MVのこの部分の日本語字幕は「泣きっ面に蜂。」と出ますが、英語字幕では「One word brings another.」となっています。

元のギリシャ語のフレーズを翻訳すると、Google翻訳では「言葉から別の言葉が生まれる」、DeepLでは「理性から別の理性が作られる」となっています。

歌詞の内容からすると、「理性から別の理性が作られる」あたりのほうがしっくりきます。そこで言う「理性」は、理性的な状態というよりも「理念」「アイデンティティ」などのニュアンスに近いのではないかと思います。

歌詞の考察

歌詞の解釈は難しいですが、「(過去の)裏の自分との葛藤と旅立ち」がテーマになっているように感じます。

ジャケットのイラストは、がうる・ぐらのバストアップのイラストが描かれ、左右で表現が異なっています。

右は青い目の「爽やかな」印象のがうる・ぐら、左は赤い目の「悪そうな」印象のがうる・ぐらとなっていることからも彼女の中の二面性が表現されているのだと見て取れます。

それは単に「かわいいだけが私じゃないのよ」と言って悪ぶって見せているというより、がうる・ぐら、ひいては中の人の自分自身に対する思いが表現されているようにも見えます。

がうる・ぐらはこの曲の発表と同時期に、いつもの青いがうるぐらでなく、服や目が赤いダークぐらもしばしば登場させていました。

成功したアイドルが、自分に対する世間の作り上げるイメージと、自分の奥底にある本当の自分のイメージとのギャップに苦しむ、といったことにも繋がるのかもしれません。

歌詞では、表ぐらと裏(ダーク)ぐらがそれぞれ自分の思いを述べているように見えます。

しかし最後には、ダークな自分のことは忘れないけれど、今の自分を肯定して自分らしく生きていこう、ありがとう過去の自分、というような内容になっています。

葛藤に苦しんで壊れてしまうタイプのアイドルとは違うように見え、そのことは彼女の人気の高さと無縁ではないように思います。

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