キズナアイの魅力とバーチャルYoutuber文化に果たした役割の考察

キズナアイの魅力とバーチャルYoutuber文化に果たした役割の考察

ここではバーチャルYoutuberr(VTuber)キズナアイの魅力とバーチャルYoutuber文化に果たした役割について感じることを書こうと思います。

キズナアイYouTubeチャンネル(A.I.Channel)
https://www.youtube.com/c/AIChannel

バーチャルYoutuberのスタイルの基礎を作った先駆者キズナアイ

キズナアイの2016年のデビュー当時は少なくとも私の知る限りまだ他に同様の活動をする例がなかったため、目新しく、その面白さは新鮮でした。

バーチャルYoutuberのスタイル

「アニメキャラ風の見た目」✕「中の人のキャラクター(性格・特徴)」✕「小ネタ、おしゃべり、歌、ゲーム実況」という発明
バーチャルYoutuberの視聴者は、中の人がいることを知ったうえで、アニメ風キャラクターなどの見た目と表情、声や話す内容や動きなどとそこから感じられるキャラクター(性格・特徴)、そして小ネタやおしゃべり、歌、ゲーム実況などの組み合わせを楽しんでいると思います。これはアニメ文化をベースに持ちつつもある種の発明と言っていいのではないかと思います。

リアルタイムであること
絵コンテなどに基づいて作画されて動きがつけられた絵に声をあてるアニメと違い、バーチャルYoutuberは(投稿された動画が録画編集されたものであっても)リアルタイムに中の人の動きや声が反映され、このライブ感、アドリブ感は従来型のアニメにはなかった、またはできなかったことです。バーチャルYoutuberでは特に生配信であればチャット欄を通してリアルタイムに視聴者とやり取りができるため、ライブ感、アドリブ感は顕著です。

独立した人格(別人格)
もう一つ感じるのは、バーチャルYoutuberは一種の独立した人格(別人格)と言っていいのではないかということです。これは想像ですが、中の人が最初から生身の状態(姿)で同じ内容の動画投稿や生配信をしても、アニメ風キャラクターのバーチャルYoutuberとしてやった場合ほどの人気にはならないかもしれません。あくまで「アニメキャラ風の見た目」✕「中の人のキャラクター(性格・特徴)」✕「小ネタ、おしゃべり、歌、ゲーム実況」の組み合わせによって面白さが生まれていると感じます。

バーチャルYoutuberは、中の人のキャラクター(性格・特徴)が表現されるのは当然として、見た目もある程度中の人の特徴を意識したデザインになっていると思われるものもありますが、基本的には別人格としてやっていると思います。

逆に、(公式には明らかにしていないとしても)バーチャルYoutuberとしての経験や人気を利用して生身のYoutuber、配信者として活動する例さえ見られます。

バーチャルYoutuberとしての先駆者

生配信であれ録画編集した動画であれ、アニメ風キャラクターがリアルタイムに動きしゃべる面白さという点では、2011年に企画が発表され2012年にデビュー(ウィキペディアより)したウェザーロイド Airi(ポン子)の方が早いのですが、天気予報番組のキャラクターという枠組みがあり、いわゆるバーチャルYoutuberとしての活動ではありませんでした。Youtubeで活動を始めるのは2018年です。

他にもキズナアイより前に、アバターを使ったYoutuberはいたようで、どこまでがバーチャルYoutuberかという議論はあると思いますが、個人的には「バーチャルYoutuber」と「アバターを使ったYoutuber」は同一ではないように思います。

Youtube上で、前述のようにアニメ風キャラクターで独立した人格としてタレントやアイドル的な活動をするものはバーチャルYoutuberということだと思います。

一方、Youtube上で動画を投稿する場合にアニメ風キャラクター以外にも様々なキャラクターが使われており、また、動画の内容も本や何かの知識・情報を解説するものなど多様です。アニメ風キャラクター以外であっても独立した人格としてタレントやアイドル的な活動をするものは「バーチャルYoutuber」の範囲と言っていいと思いますが、顔出しをしないためにアバターを使って解説系の動画投稿などをするものは「アバターを使ったYoutuber」の範囲ではないかと思います。

そういった意味で「Youtube上で、アニメ風のキャラクターが、小ネタやおしゃべり、歌やゲーム実況などをする」というバーチャルYoutuberの基本フォーマットを作ったのはキズナアイということだと思います。

キズナアイの魅力
 
見た目がかわいい

バーチャルYoutuberは見た目のかわいさは重要だと思います。キズナアイのキャラクターは世界中の多くの人がかわいいと感じるデザインだと思います。ふた葉のカチューシャもアクセントになっています。

すでに長い間世界中で日本のアニメやコミックは人気があり、日本だけでなく海外からの視聴が多かったのもキズナアイの人気を牽引したと思います。デビュー当初から彼女は日本語で配信しているにも関わらず、コメント欄には英語のコメントが多かったです。

表情の豊かさ

キャラクターデザインがキレイ、かわいいだけでなく、ジト目などの面白表情ができるのも、その後のバーチャルYoutuberにも見られる重要な部分だと思います。キズナアイは、当初から変わらずジト目などの表情があり、面白さにつながっていると思います。

バーチャルYoutuberの中にはデザイン/モデルのアップデートで、よりキレイにかわいくなっていく反面「おもしろ要素」がなくなる場合があり、それだけが原因ではないかもしれませんがその後の人気が伸び悩む例が散見されます。中の人のキャラクターが立っている場合はキレイ・かわいいデザインへのアップデートが相乗効果になりうるのですが、スキのあるデザインから生まれる面白さが表現できなくなっていると感じることもあります。

新衣装、モデルアップデートなどをしていくバーチャルYoutuberも多い中、キズナアイは別衣装もありゲームチャンネルでは途中から衣装を変えましたが、それ以外は特別な場合を除きデザインを基本的に変えておらず、これは一つの判断だと思います。

声が魅力的

キズナアイは声の質がいわゆるアニメ声といっていい声質で、これも魅力となっています。アニメのキャラクターやバーチャルYoutuberにとって、声の質とキャラクター(デザイン)のマッチングはかなり重要だと思います。キズナアイは動画によってやや落ち着いた声だったり高めの声だったり変化がありますが、声の質とキャラクターが合っていて相乗効果を出していると思います。

ポンコツ

名前がAI(A.I.)となっているとおりキズナアイはAIを自称していますが、AIらしからぬポンコツ味、スキがあり、そこが魅力となっています。

ポンコツ属性はどちらかというと実写よりアニメやコミックで多く見られるキャラクター付けで、アニメ調の見た目を持つバーチャルYoutuberは、ポンコツ属性が活きる表現分野だと思います。

しかもこういった「ポンコツ味」や「スキ」などの特徴は、内容があらかじめ計画されて作られるアニメにおいては演出されて出来上がる場合が多いのではないかと思いますが、バーチャルYoutuberにおいては「アニメキャラ風の見た目」と「中の人のキャラクター(性格・特徴)」の掛け合わせ又は差分によって生まれていると思います。バーチャルYoutuberの表現がある種の発明だと感じる理由の一つであり、「中の人が最初から生身の状態(姿)で同じ内容の動画投稿や生配信をしても、アニメ風キャラクターのバーチャルYoutuberとしてやった場合ほどの人気にはならないかもしれない」と感じる理由でもあります。

ゲーム配信も目新しかった

私はそれまで生身の配信者のゲーム実況を見たことがなく、キズナアイの前にアバターを使ったゲーム配信者がいたかどうかもわかりませんが、ゲームの画面を映しながらアニメ風キャラクターのバーチャルYoutuberが画面のすみにいて遊びながらリアクションする様子を見る面白さは、新しい発見だったと思います。

キズナアイはゲームチャンネルが別れているのも運営上の意思が感じられます。

しかしわざわざゲームチャンネルを分けているにもかかわらずゲームが下手という特徴があり、ポンコツ属性が発揮されていて面白いです。あまりにもうまくいかない場合は、それが人気につながっているかというと微妙ですが、視聴者はイライラしたり暖かく見守ったり、様々だろうと思います。

通常、生身のYoutuberであれば、ゲームのうまさをウリにするのではないかと思いますが、バーチャルYoutuberにおいては下手な様子もコンテンツになる、というのも新しかったと思います。

暴言

そのゲームプレイ動画などで、しばしば暴言をはくのも人気となっています。アニメ調の見た目と可愛い声があるからこそ、その暴言もエンターテイメントになり得ると思います。

取り組みかたがプロフェッショナル

ポンコツ属性や暴言をはくキャラクターの裏で、最初から活動への取り組みかたが非常にプロフェッショナルだったと思います。

今となっては一般的になったバーチャルYoutuberの魅力、面白さ、エンターテインメント性を初期から自覚的にプロフェッショナルな覚悟を持って取り組んできたことは、バーチャルYoutuberのスタイルの基本を作り、その後のバーチャルYoutuber文化の広がりにいい影響を与えたと思います。

もし、キズナアイがもっと中途半端でいい加減な取り組み方だったとしたら、ファンもそれほど増えず、バーチャルYoutuber文化が広がるのはもう少し遅れたか、違う展開になったかもしれません。

様々な取り組み

先駆者であるキズナアイは、様々な取り組みをしています。

・ブラックアイ
いつもの陽(よう)のキズナアイだけでなく、ウイルスに感染して出てきたという設定のやる気のないブラックアイという陰(いん)の人格が出てくるのは面白いです。歌ってみた動画で楽曲に合わせて使い分けているようですね。

・分裂
ほぼ同じデザインの複数のキズナアイに分裂し、別の中の人が担当し一連の騒動の後、別キャラクターとなりましたが、取り組みとして面白いと思います。

・テレビ出演
芸人さんと互角に渡り合う様子から、慣れと実力を感じます。

・歌・楽曲
歌のうまさを売りにしたタレントではないと思いますが、歌ってみた動画のほか、オリジナル楽曲、コラボ楽曲を発表しており、プロデュース力を感じます。

・ライブ
様々な形のライブを行っており、インターネット時代のエンターテイメントを牽引していると思います。

まとめ

「アニメキャラ風の見た目」✕「中の人のキャラクター(性格・特徴)」✕「小ネタ、おしゃべり、歌、ゲーム実況」という掛け合わせがバーチャルYoutuberの魅力を作っており、キズナアイはその「Youtube上で、アニメ風のキャラクターが、小ネタやおしゃべり、歌やゲーム実況などをする」というバーチャルYoutuberの基本フォーマットを作り、その魅力、面白さ、エンターテインメント性を初期から自覚的にプロフェッショナルな覚悟を持って取り組んできたことが、その後のバーチャルYoutuber文化の広がりにいい影響を与えたと思います。

 
 

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