小学生から英語を勉強することについて

小学生から英語を勉強することについて

2020年度から、新学習指導要領にもとづいて小学校での英語教育が実施されています。

語学留学と映画留学をした私の経験から、小学生から英語を勉強することについて思うことを書こうと思います。

新学習指導要領での小学生の英語学習

2011年度から小学5・6年生で行われていた「外国語活動」が前倒され、小学3・4年生からになりました。

これはまだ「教科」とは位置付けず、外国語による「聞くこと」「話すこと」の言語活動を通して,コミュニケーションを図る素地となる資質・能力を育成することを目指し、週1コマとのことです。クイズ、ゲーム、歌、ダンスなどを通じて英語に触れ、コミュニケーション力をアップさせる内容のようです。
 
小学5・6年生からは英語が「教科」となり、「外国語」として時間割に組まれます。小学3・4年生からの「聞くこと」「話すこと」に加え「読むこと」「書くこと」の言語活動を通して,コミュニケーションを図る基礎となる資質・能力を育成することを目指し、週2コマとのことです。

文部科学省ウエブサイトの外国語教育についてのページ
https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/index.htm

学習指導要領の改訂についての資料
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chousa/shotou/134/shiryo/__icsFiles/afieldfile/2017/09/13/1395611_3.pdf

文部科学省ウエブサイトの、文部科学省のYouTubeチャンネルへのリンクやその動画内で使用されている資料を掲載したページ
https://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/1387503_00002.htm

文部科学省のYouTubeチャンネルでは、いくつかの動画で実際の授業の様子が紹介されています。


小学校の外国語教育はこう変わる!⑤~題材の導入の仕方~
https://youtu.be/9oE8ol0Dzfw
ここでは第4学年の外国語活動の授業の様子が紹介されています。

おそらく一定の効果はある

●コミュニケーションを念頭においた英語教育
文部科学省の資料などを見ると、「言語活動」というキーワードが使われています。

学習指導要領の外国語活動や外国語科においては,言語活動は,「実際に英語を使用して互いの考えや気持ちを伝え合う」活動を意味する。

文部科学省の「言語活動」についての資料より
https://www.mext.go.jp/content/20200721-mxt_kyoiku01-000008881_1.pdf

要するにコミュニケーションをするということで、ようやく日本の英語教育もコミュニケーションを念頭においた内容にしようということだと思います。

●早い時期(子供のうち)から英語に親しむ
子供のうちは言語の学習に適しているとも言われます。

また、「学校」環境では語学以外の教科の勉強も忙しく英語だけに専念できるわけではないため、中学生からではなく前倒しをして小学生から始めるのは一定の効果があると思います。

●活動の中で自然に英語に親しむ
中学高校で6年間(大学で4年間勉強するなら合計10年間)勉強しても英語が話せるようにならないと言われてきたこれまでの英語学習の根本的な問題は単純で、授業は会話の訓練よりも文法や単語の勉強に偏重し、日常生活でも英語を話す機会がないため「実際の会話(の訓練)」をしていないことにつきると思います。

外国語は、文法や単語の「勉強」と、実際に継続的に使う「訓練」の両輪があって初めて上達します。いくら理論だけ勉強してもできるようにならないのはスポーツなどと同じです。

小学校でクイズ、ゲーム、歌、ダンスなどの外国語活動やsmall Talkをしながら英語に親しむのは有効だと思います。

文部科学省のその他の資料
小学校英語の現状・成果・課題について(2015年資料)
https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/053/siryo/__icsFiles/afieldfile/2015/05/25/1358061_03_04.pdf

小学校における外国語教育の指導体制について(2017年資料)
https://www.mext.go.jp/component/b_menu/shingi/toushin/__icsFiles/afieldfile/2017/12/12/1396780_04.pdf

歌から入るのは有効

英語の発音(音)が日本語の発音(音)と違うということを理解せずに、文法と単語だけ意識して日本語の五十音の組み合わせで発音しようとして、なかなか実際の英語の発音(音)に近づけられないということもあると思います。

意味を理解せず内容を無視して話すことは困難ですので、英語を話す時は自ずと話す内容に意識が向きます。一方、英語の歌を歌う場合は、意味はわからなくても音をメロディーに乗せれば成立し、リズムに乗せるために個々の単語より音に意識を向けることになりますので、そのままの発音を覚えやすいと思います。

過度な期待は禁物

●時間が少ない
「子供の頃から英語でのコミュニケーションに親しむ」のが目的で、週1コマは現実的で妥当ではないかと思いますが、ネイティブの子供は当然寝ている時間以外英語で生活しており、いきなりそのネイティブ並に英語を使えるようになるわけではないと認識しておくべきだと思います。

●英語教育は多くの場合学級担任が担当(英語を主に教える教員が少ない)
文部科学省の2019年度の資料によると、小学校における英語教育担当者は89,880人中59,197人が学級担任が担当し、専科教師(外国語教育のみを担当する教師及び学級担任となっていない教師で外国語教育を担当する教師)が14,361人となっています。

また、小学校教師のうち中・高等学校英語免許状を所有している割合は6.3%とのことです。

令和元年度「英語教育実施状況調査」概要
https://www.mext.go.jp/content/20200715-mxt_kyoiku01-000008761_2.pdf

ALTの存在は不可欠だと思います。ALTとはAssistant Language Teacher(日本人教師を補助する外国人の先生)のことです。文部科学省の資料では「外国語指導助手」と表現されています。

日本人教師、特に語学の教育を専門にしているわけではない教員だと、発音や英語の会話が得意ではない場合が多いと思いますので、実際の会話のやり取りはネイティブの先生の方が圧倒的にいいです。子供の頃から実際の会話を通してネイティブの発音に慣れておくことのメリットは非常に大きいと思います。

興味や必要性が不可欠

人は知りたい時に学ぶのが一番身につきますが、毎日決まった時間に教室に集まって、特に興味もなくさしあたりの必要性もない状態で無理やり勉強しても身につかないのは当然です。これまでの一般的な学校システムの欠点です。

楽しく学べ、訓練の機会もあるような効果のあるカリキュラムにできるかどうかは、文部科学省や教員のウデにかかっていると思います。

家庭でも子供の好奇心を刺激したり一緒に勉強するサポートが必要かもしれません。英語に限りませんが、親が仕事や家事が忙しいと言い訳をして自分は英語の勉強をせず、子供には英語の勉強をやらせる状態になると、子供のモチベーションは下がるかもしれませんね。

理想的な英語学習環境(理想論)

私のイメージする理想的な英語学習環境は次のようなものです。

●最初は歌を取り入れつつ楽しく英語に触れることを優先

●勉強の初期段階では、文法は日本人教師から日本語で学び、会話はネイティブから学ぶダブルティーチャー制

●英語ネイティブと日本人の、同じくらいの年齢の生徒が一緒に学んだり遊んだりする時間を設ける

●英語圏での生活が理想

語学留学中に私が感じたのは、英語で英語の文法を教わるのは効率が悪いということです。効率が悪くてもそれさえも英語の訓練とも言えますが、仮に日本語が100%理解できる状態で(多くの日本人はそのはずですが)日本語で英語を学んでも100%理解して覚えられるわけではないのに、授業で使われる言語をそもそも100%理解できない状態であれば、なおさら理解度が下がることになります。

自分も苦労や工夫をして言語を学んだ日本人教師のほうが、どこにつまずきやすく、どう学べばいいかを知っているので、特に語学学習初期には日本人教師から学ぶのがいいのではないかと思います。

また、留学をしている場合でも、授業以外の日常生活でも積極的に英語を話していると上達が早いです。日常生活で英語を使えるチャンスが多いことは留学の大きなメリットです。日本で学習する場合でも、授業以外でも英語ネイティブと交流できる機会があると上達は早いと思います。

英語の上達が早い人の特徴はこちらの投稿もご覧ください。

前述の文部科学省のYouTube動画で小学生の授業の様子を見ると、私のイメージの最初の2つに近い状態は実現できているように見えます。

文部科学省のYouTubeチャンネルに載せるくらいですから、モデルケースとなる教員の授業を紹介していると思いますが、かなり効果的で楽しそうな授業になってるように見えます。ALTの役割も見て取れます。

英語力、語学の習熟の段階についてはこちらの投稿もご覧ください。