ロサンゼルスエリアでアクターのキャスティングをする方法

ロサンゼルスエリアでアクターのキャスティングをする

ロサンゼルスエリアはハリウッドのお膝元のため、映画制作者と同様アクターも多いです。有名アクターから、そこそこ仕事をしているアクター、アクターの卵、そして自称アクターまで、非常に多いのではないかと思います。そのため映画制作をする場合のアクター候補の選択肢はとりあえず多いです。

ここではアクター募集の方法とオーディションの仕方を解説します。

キャスティングのウエブサイト

キャスティングのためのウエブサイトがあり、様々な規模のプロジェクトで利用されているようです。オーディションをする側は募集の情報を掲載し、アクターは自分の写真や情報を登録しておき、興味のあるオーディションへ応募します。

CASTING NETWORKS
https://corp.castingnetworks.com/

CASTING NETWORKSのロサンゼルスのページ
https://corp.castingnetworks.com/la/
一般にL.A. Castingとして知られています。私もこのサイトを利用してアクターの募集をしてオーディションし、実際にショートフィルムに出てもらいました。

L.A. Castingのキャスティングのためのウエブサイト
https://login.lacasting.com/

Actors Access
https://www.actorsaccess.com/
私は利用したことがありませんが、ここもよく利用されるようです。

募集に当たってはプロジェクトを登録し、以下の情報を記載します。以下はL.A. Castingの例です。

General Information(一般情報)
Project Name(プロジェクト名:通常は映画タイトルにすると思います)
Project Type(プロジェクトの種類:コマーシャル、ドキュメンタリー、長編映画、ミュージックビデオ、短編映画、学生映画などから選択し登録します。)
Union Status(組合のステータス:映画俳優組合と契約したプロジェクトかどうか)
Project Rate(ギャラ)

Casting Information(キャスティング情報)
Casting Company(キャスティング会社:学生映画の場合は監督名でいいと思います。)
Director(キャスティングディレクターのことを指していると思いますが、学生映画の場合は監督名でいいと思います。)

Shoot/Performance Information(撮影、パフォーマンス情報)
Shoot Dates(撮影日)
Shoot Note(撮影備考)

Audition Information(オーディション情報)
Audition Dates(オーディション日)
Audition Note(オーディション備考)

Project Synopsis(プロジェクト概要/シノプシス:私はここにログラインを記載しました。)

Role Name(役名)
Details (詳細:ここには役柄の男女、主役か主要な役かそれ以外か、人種、年齢を登録します。)
Description(説明:役柄の簡単な説明を書きます。)
Rate(ギャラ)

アクターがノーギャラの映画に出る理由

募集に対してはたくさんの応募があり、応募者の写真やプロフィールを見ることができます。ビデオリールを登録しているアクターもいます。

学生映画の場合、無料で出てもらう条件で募集することが多いのですが、それでもたくさんの応募があります。いくつか理由があると思います。

●自分のデモリール用の素材を得るため
アクターは自分の演技している映像を集めたデモリールが必要ですが、そのためにスクリプトとロケーションと共演者と照明とカメラマンをアクターが自分で準備したり集めるのは容易ではないと思います。

学生映画ではアクターに無料で出てもらう代わりに、できた映像を提供する習わしになっています。学生にとっては予算のないプロジェクトに無料で出演してもらえるメリットがあり、アクター側にとっては学生映画に出ることで、それなりの環境の中で演じて自分のデモリール用の映像を入手することができます。その映画が映画祭で上映されれば、そちらも宣伝になります。

エキストラが必要になる場合がありますが、この場合はおそらくアクターにさほどメリットはなく、多少の出演料を払う場合があります。メインの役者はノーギャラで出てもらっているのにエキストラには出演料を払っていることになります。

●人脈を広げるため
撮影で映画制作者や他の役者やクルーと出会うことで、情報交換でき、先につながるかもしれません。出演した学生映画の監督が将来有名になれば声がかかるかもしれません。

●演技の感覚をなまらせないようにするため
アクターも特定のクライアントを持たないフリーランスと同じですので、売れっ子俳優、女優でなければ、オーディションを受け続けながら長期間アクターの仕事がない場合もあります。あいた時間も常に演技をする環境に身をおくことで演技をなまらせないようにしようとする場合もあると思います。

オーディションの内容

応募者の中からオーディションに来てもらうアクターを選び、連絡をします。

オーディションの場所
学生映画の場合、学校でオーディションをすることが多いのではないかと思います。学生にとっては場所の確保が容易で、アクターにとっても安心だと思います。

ヘッドショット(Headshot)とレジュメ
通常、アクターにはヘッドショットを用意してもらいます。ヘッドショットとはアクターのポートレイト写真で、横8インチ(約20cm)、縦10インチ(役25cm)でプリントします。裏にレジュメ(プロフィール)を留めます。

レジュメには名前、連絡先、身長、体重、これまでに出演した作品、演技のトレーニング実績などが記載されています。髪や目の色、(話すことのできる)訛り、スキルを書く場合もあります。スキルの欄に書かれていることは人それぞれですが、できるスポーツが書かれていることが多く、軍隊歴があることが書かれている場合もあります。

サイズ(sides)
オーディションではサイズと呼ばれる、オーディション用の脚本の抜粋を用意し、実際に演じてもらいます。オーディションによって違うかもしれませんが、私の場合はせいぜい1分程度です。予め添付して送っておくべきで、実際そうしてほしいと言われる場合は送りますが、何らかの事情で当日アクターがキャンセルしてくる場合もあり、一部とはいえこれから作る作品の脚本を会ったことのない他人に渡すのは不安もあります。ただし、サイズがごく一部の抜粋なのは、内容を盗まれるリスクを回避するためでもあります。

簡易撮影
演じてもらう様子を簡易的に撮影します。何人もオーディションをするうちに最初のほうに会ったアクターの印象が薄れて比較できなくなりがちですので、後で映像を見て検討できます。

場合によっては2つの役柄それぞれの候補者に時間を指定して同時に来てもらい、一緒に演じてもらう場合もあります。役者は個人個人の能力以外に共演者との相性もあるため、掛け合いを見るのは有効だと思います。場合によってはケミストリー、相性による化学反応が起きる場合があります。

特殊な内容の場合の確認
その他、募集の時に明記すべきですが、裸が必要な場合やキスシーンがある場合などは、OKかどうか聞いておく必要があります。服を着た状態であってもパートナー役の人と同じベッドに入るシーンがある場合も確認しておいた方がいいと思います。また、アクションが必要な場合も可能かどうか確認すべきだと思います。日常の活動を超えるアクションが必要な場合は、アクションコーディネーターを雇う必要が出てきます。

余談ですが、DP(撮影監督)、カメラマンも宗教上の理由でキスシーンは撮らない(撮れない)場合があるため、確認が必要です。

1度のオーディションで適したアクターがいなかった場合
1度のオーディションで適したアクターがいなかった場合、何度もオーディションをする場合があります。