映画学校に行く意味があるか

NYFA Stage production on a Sound Stage
映画学校に行く意味があるか

当ブログは、私の語学留学や映画留学について振り返りつつ、英語学習や映画制作、サンフランシスコやロサンゼルスの生活や観光について書いています。

ここでは映画学校に行く意味があるかどうかについて話したいと思います。結論としては、映画学校に行かなくても映画は作れるが映画学校に行くメリットはある、です。映画留学をしてよかったと思いますが、一方でマイナス面もありますので最後に書こうと思います。

映画学校に行かないと映画は作れないか?

アメリカの映画学校に行っておいて言うのもなんですが、映画学校に行かなくても映画は作れると思います。

映画学校には行かず、独学又は助監督などからキャリアを始めた監督はたくさんいます。例えばクリストファー・ノーラン監督は映画学校に入れず、大学では英文学を学び、独学で映画を作り続けたとのことです。

▶︎その他、独学で映画を学んだ映画監督についてはこちらの投稿もご覧ください。

作ることだけを考えた場合、やることは以下です。


・ストーリーを考えるか使えるストーリーを用意して脚本を書く
・機材を準備する
・ロケーションを確保し、必要な許可をとる
・役者を確保する
・クルーを確保する
・撮影する
・編集する

 

●ストーリー、脚本
3幕構成その他のストーリー作りや脚本制作の情報は書籍やネットで得られると思います。

●機材
機材は2021年現在、安価なビデオカメラや映像録画機能のある一眼レフやミラーレスカメラほか、たいていのスマホのカメラでも十分だと思います。実のところ、機材にこだわるのであれば、カメラの性能もさることながら照明と録音機材が重要です。暗い場所でノイズの少ない撮影をするなどの目的で何十万円もするカメラだけを買おうとしているのであれば、10〜20万円程度のカメラにして、残りの予算で照明器具や録音機材にお金をかけたほうが最終的な映画のクオリティが上がると思います。機材を持っていない場合は購入するかレンタルします。貸してくれる知り合いがいれば幸せです。三脚の他、スタンドや暗幕、テープなども必要になると思います。予算に余裕があれば、より自分の撮影内容に適したカメラや照明や録音機材を用意します。

▶︎スマホや一眼レフカメラで撮られた映画についてはこちらの投稿をご覧ください。

●ロケーション
ロケーションは、撮影スタジオを借りるか、予算を抑えたい場合は自分の家で撮影します。撮影スタジオの情報はネットで得られます。道路や公園を使いたい場合は申請して許可を取ります。映画学校の学生も、特に初期のプロジェクトでは自分のアパートを使う場合が多いです。

●アクター
アクターの確保は一番難しいかもしれませんが、これもネットで募集はできると思います。アクターとして活動している人が見つからなければ、友人に頼むか、自分で演じます。

日本は事務所の意向でインディペンデントな映画や学生映画にはなかなか出てもらえないと言われますが、少しずつ状況は変化しているようです。自分の意思でプロジェクトに関わっていこうと考えるアクターや、小規模なプロジェクトにも積極的に関わろうと考えている事務所もあるようです。

●クルー
小規模な撮影でも効率的に撮影するためにはクルーが必要ですが、これも役者と同様です。

●撮影
脚本、機材、ロケーション、アクター、クルーが確保できたら撮影します。

●編集
編集します。

これで映画が完成します。

映画は作って終わりではなく人に見てもらうと思いますが、これも今はYouTubeなどに載せて世界中の人に見てもらえるので簡単ですね。映画祭に応募するのもおすすめです。

▶︎映画祭の概要と応募についてはこちらの投稿をご覧ください。

映画学校に行くメリット

では映画学校に行くメリットは何かというと、色々とあります。

●ストーリー、脚本
ストーリーや脚本作りに関しては、脚本専門のインストラクターから様々な例に基づいて体系的に解説してもらえたり、学生は自分のストーリーや脚本を、インストラクターからの助言やクラスでのディスカッションを通じて開発していけます。

▶︎映画学校の脚本の授業についてはこちらの投稿を参考にしてください。

●授業
演出、演技のつけ方について基本的な考え方や手法を教わることができます。

また、カメラやレンズ、照明、スタンド、ドリーその他必要な機材や撮影の方法について、実際に使いながら教わることができます。

●機材
学校によって異なるかもしれませんが、New York Film Academyには機材の部門があり、授業で必要となる基本的な機材を借りることができます。ただし、借りる時は無料ですが授業料とともにEquipment Feeを払っています。

▶︎撮影機材についてはこちらの投稿も参考にしてください。アメリカでの例ですが、日本もさほど違わないです。

●ロケーション
ロケーションや許可申請に関する情報、手順を教えてもらえます。

▶︎日本とアメリカでは状況が異なりますが、アメリカのロケーションについてはこちらの投稿、ロサンゼルスエリアの撮影許可についてはこちらの投稿をご覧ください。

●アクター
映画学校のプロジェクトであれば、役者の確保が容易です。特にアメリカ、ロサンゼルス周辺はアクターが多く、自分のデモリールの素材を得るために、ノーギャラの学生映画でも多くの応募があります。

▶︎ロサンゼルスエリアでのキャスティングについてはこちらの投稿をご覧ください。

●クルー
クルーも、クラスメートに頼める他、外部のクルーの情報もクラスメート内で共有されるため確保が容易です。

●撮影
全ての撮影にインストラクターが立ち会うわけではありませんが、演出、演技のつけ方、撮影全般について助言を受けることができます。

●編集
編集は、編集ソフトのタイムラインに素材を並べていくという面では誰でもできる作業ですが、異なるアングルの素材を選んで効果的に並べたり、必要に応じてシーンの順番を変えたりカットしたり、テンポ感を作ったり、感覚や経験が必要となります。インストラクターからの助言やクラスメートからのフィードバックを元に編集していけるのは映画学校で学ぶメリットです。

●クラスメートの作品にも何度も間接的・直接的に参加するため勉強になる
自分の映画制作に直接的にメリットがあるだけでなく、同じように学びながら制作しているクラスメートの作品に関して、脚本開発の段階からいい面改善すべき点を考えつつインストラクターの意見を聞いたりディスカッションするのは勉強になります。

また、クラスメートがお互いに助け合って撮影をする仕組みのため、自分の作品だけでなくクラスメート達の撮影にもクルーとして参加します。練習プロジェクトと主要プロジェクトを合わせると非常に多くの撮影に参加することになり、このメリットは大きいと思います。

▶︎ニューヨークフィルムアカデミーの2年間のMFA Filmmakingのコースの1年目で参加した撮影のリストは、こちらの投稿の後半を参考にしてください。

入学してしまえば否応なく映画が出来上がる
映画学校は入学のハードルはありますが、入学してしまえば自動的というか否応なく映画が出来上がります。

「映画学校に行かなくても映画は作れる」というのと反しますが、個人的には、留学前の仕事をあのまま続けていたら、自分の努力だけではショートフィルム(短編映画)を作れるようにはならなかったのではないかと思います。

▶︎私の留学前の経歴はこちらの投稿をご覧ください。

特に映画制作未経験で「世界中から来た人たちやロサンゼルス周辺のアクターやクルーと一緒に、映画を作る」というのは、ロサンゼルスでの映画留学をしなければできない経験だと思います。

卒業後OPTの期間に元クラスメート経由で仕事が入って来る場合がある。
OPT(Optional Practical Training)というのは所定の留学終了後の外国人に与えられる労働許可です。申請して認可を受ける必要があり、就ける仕事は留学で専攻した分野に関連した職種に限られますが、OPTの期間は長期のフルタイムの仕事だけでなくフリーランスとしての仕事も可能です。

しかし外国で学校を出たばかりの状態でいきなりフリーランスの仕事を得ていくのはよほどスキルがずば抜けていない限り難しいと思いますが、アメリカ人を含むクラスメートから小規模な仕事が入ってくる場合があり、これは学校に行くメリットだと思います。

映画学校に行くマイナス面(デメリット)

物事にはいい面と悪い面があるのは世の常ですが、映画学校に行くマイナス面もあります。

●学費がかかる
映画学校は安くはない学費がかかります。

特に映画留学をするにはかなりのお金がかかります。日本にいても海外にいても生活費はかかるのでその分は同じですが、渡航費や荷物の運搬費用は余計にかかります。私は留学にあたって日本で使っていた冷蔵庫や洗濯機などの大型の家電は処分し、現地で家具・家電を買い、帰国時に処分して日本でまた買いました。無駄が多いです。

▶︎留学にかかった費用についてはこちらの投稿をご覧ください。

▶︎ニューヨークフィルムアカデミーの授業料についてはこちらの投稿をご覧ください。

どの分野でも学校で学んですぐに仕事が得られるわけではないと思いますが、アート、エンターテイメントの分野はそれが顕著で、映画学校に行ったからといってすぐにフリーの映画監督としてのオファーがあるわけではなく、映画を業務としておこなっている会社は多くはなく、社員として映画監督を雇う会社はさらに少ないと思います。

それでも作る意思のある人は自主制作で作り続け、人に見てもらう方法を考えると思いますが、サラリーマンとして仕事をしながらそこで稼いだお金で休日に地道に制作を続けるにせよ、仕事は最低限にして制作にウエイトをおくにせよ、生活と制作のせめぎあいになる可能性は認識しておく必要があると思います。

たまに話題にするのは、映画学校に行くお金があったらそのお金で映画を作れる、ということです。

映画制作にはお金がかかります。やりようによっては限りなく低予算で制作できますが、自ずとできることに制限が出てきます。そのため資金は多い方がいいのですが、映画学校に行くとその分映画制作に使えるお金が減ります。

極端な話、映画学校に行っておらず全く映画制作の経験がない状態でもなんとか頑張って面白い脚本ができて映画を完成させる意思があれば、自分に経験がなくてもそれなりに経験があって協力的なクルーとスタッフを見つけて雇って、完成させることができるかもしれません。

映画学校に行くか、行かずにその分のお金で映画制作をするかは考えるべき点だと思います。

低予算での映画制作については以下の書籍が参考になります。

▶︎この本に関してはこちらの投稿で紹介・レビューしています。