映画『ハンターキラー 潜航せよ』は荒唐無稽ともいえるストーリーながら、緊迫感のある演出と説得力のある演技で、娯楽作品として秀逸で面白かったのでまとめておこうと思います。
規則違反を厭わない叩き上げの新任艦長率いるアメリカの原潜が、海底に沈んだロシア潜水艦から艦長とクルーを救出する。そして、クーデターの起きたロシア基地からロシア大統領を救出したアメリカ特殊部隊とロシア大統領を確保するため、ロシア潜水艦艦長を案内人として危険な海域を進む。
アメリカとロシアが対立する中、規則違反を厭わない新任艦長率いるアメリカの原潜アーカンソーが、沈んだロシア潜水艦から艦長を含む数名(艦長とクルー)を救出。ロシアでクーデターがあり、そのことを知ったアメリカ軍部が議論の末、ロシア大統領救出のため特殊部隊とアーカンソーを送り、アーカンソーの艦長は救出したロシア艦長を案内人として危険な海域を進む話です。
荒唐無稽とも思える内容で、おそらく軍事的なリアリティは希薄でストーリー上のご都合主義的な展開もありますが、そこも含めてエンターテイメント(娯楽作品)としては楽しめます。
登場人物が多いと、メインのキャラクター以外は扱いが中途半端になりがちですが、本作ではもちろん主要キャラクターかそうでないかによって表現のされ方に違いはあるものの、それぞれのキャラクターがしっかり描かれており、しかもそれがきちんと本編のストーリーとつながっており、面白いです。
アメリカ側もロシア側も一枚岩ではなく、それぞれの状況と立場で対立と駆け引きがあります。
ロシアでクーデターが起き、海軍基地を訪れていたロシア大統領が軟禁状態になります。
正論・正攻法を主張する厳格なアメリカの海軍大将(統合参謀本部議長)に対し、待ったなしの生きるか死ぬかの状況で規則より自分の判断を優先するアメリカの艦長、その彼に救出され、ロシアのクーデターからロシア大統領を救出するためアメリカ原潜の手助けをする判断をするロシア潜水艦艦長、ロシア大統領を奪われアメリカ潜水艦を撃沈しようとするロシア駆逐艦の艦長など、艦長同士の戦いの側面もあります。
それぞれのリーダーと部下たちが比較して描かれています。
・正論・正攻法を主張する厳格なアメリカの海軍大将(統合参謀本部議長)と、現場に即した主張をして様々な手を使う軍人たち
・時に規則を破ってでも叩き上げならではの正義感と信念で判断する艦長と、最初はそれに反対するクルーたち
・特殊部隊の隊長と、最初は彼の文句を言う部下たち。隊長は、ロシアで危険なミッション中に負傷した新人を最後に助けに向かう
・ロシア大統領と、彼に反旗を翻(ひるがえ)してクーデターを起す国防相
・アメリカ潜水艦に救出されたロシア潜水艦艦長と、アメリカ潜水艦を攻撃するロシア駆逐艦に乗船する彼のかつての教え子乗組員たち
・ロシア国防相やロシア駆逐艦艦長に攻撃指示されたロシア駆逐艦乗組員たちが、攻撃対象のアメリカ潜水艦には自分たちのかつての艦長やロシア大統領が乗っていることを知り、指示を無視
・クーデターを起こしたロシア国防相と周囲の軍人たちは、最後にロシア駆逐艦からの攻撃で基地と共に爆殺される
キャリア初期にはキレた変人を演じて異彩を放っていたゲイリー・オールドマンが、正攻法を主張する厳格なアメリカの海軍大将(アメリカ国防のガチガチのお偉いさん)を演じているのが面白いです。
ゲイリー・オールドマンはかつてキレた変人ばかりオファーされることを嫌がっていたようで、その後『バットマンビギンズ』などをきっかけにまっとうで存在感のある人物役も演じるようになりました。
映画『ハンターキラー』の大将は、正論・正攻法を主張する厳格な軍人ですが、「キレた変人役」とも「まっとうで存在感のある役」とも言えず、この役はゲイリー・オールドマンでなくても良かったのではないか、少なくとも、彼の演技力を活かせていないとも思います。
アメリカペンタゴンの作戦司令室のハイテクなモニタ類と、ロシア基地の司令室のチューブで繋がれた簡素なモニタ構成の対比も面白いです。
この映画の邦題は、原題のカタカナ表記+日本語の補足パターンです。
英語の「Hunter Killer(ハンターキラー)」は、直訳すると「狩る者(Hunter)で殺す者(Killer)」を意味し、主に軍事用語として「敵を捜索し、攻撃・撃破する専門の兵器や部隊」を指すようです。
この映画では主に描かれる原子力潜水艦(アーカンソー)を表すために使われ、映画のタイトル(邦題:『ハンターキラー 潜航せよ』など)にも使われています。
厚い氷の浮かぶロシアのバレンツ海中で、アメリカの原潜タンパ・ベイがロシアの原潜コーニクを追跡中、コーニクで爆発があり、別の場所からタンパ・ベイに魚雷が近づき着弾爆発する。
米国防総省(ペンタゴン)国家軍事指揮センター。
フィスク少将、そしてドネガン大将(統合参謀本部議長)(ゲイリーオールドマン)に、タンパ・ベイが消息不明になったと報告が入る。
ドネガンは攻撃型潜水艦で至急向かうよう指示。少将は攻撃型原潜(ハンターキラー)を進言。
救命艇のある艦は艦長を失ったアーカンソーだけだが、新任を命じたと少将が説明し履歴書を見せる。ジョー・グラス。兵学校は出ていない。
スコットランドの雪山でトナカイ狩りをする男(ジョー・グラス)。トナカイに矢を向けるが子連れとわかり、やめる。
艦隊総軍から秘匿通信があり、ヘリが現れる。
スコットランドのファスレーン海軍基地に停泊する米海軍原潜アーカンソー。
コンクリート製の桟橋でその前に立つその男(グラス艦長)。
放り投げて握ったコインの刻印”誇りを深く秘め潜水艦隊”
副長のエドワーズが来て極秘命令書を渡す。
乗員は2日間の外出許可中だが、艦長は手わけしてこの町のパブ2軒に行き呼び戻すと言う。
桟橋から装備を積み込み潜水艦の中で準備。艦長命令で魚雷もたくさん積んでいる。
乗組員が艦長の噂をする。元機関兵で艦長は初めて。
グラス艦長、艦内を歩いて回ったあと発令所(はつれいしょ)に来てマイクで挨拶。
前艦長を個人的に知っていた。私は海軍兵学校は出ていない。いろいろやった。ソナー員、魚雷発射管の清掃、だから諸君のことは前艦長よりよく分かる。ずっと水の中にいた。略 これは訓練ではない。タンパ・ベイがロシア領海で恐らく沈んだ。略 必ず見つけ出す。だから命令に従え。私が責任を負う。
副長に引き継ぐ。
ペンタゴン。
NSA(アメリカ国家安全保障局)の女ジェーン・ノーキストがフィスク少将に近づき、大統領に報告するので情報を出して、と言う。
少将、コラ半島沖で2つの爆発を探知しタンパ・ベイはそこで消え、1つは恐らくロシア艦だが衝突の可能性は低いことを説明。
ジェーン、ロシアの軍拡以来大統領を監視してきたが、彼はドゥーロフ国防相と会うために爆発前にコラ半島へ向かっている、と指摘。
少将は潜水艦を向かわせた、と伝える。
ジェーン、周りに会話が聞こえない部屋に誘う合図をし移動し、ロシアに特殊部隊を送る必要性があると主張。
タジキスタン、ヴァフダート砂漠。
ヘリが着陸し特殊部隊の戦闘訓練。若い新人マルティネリが時間までに想定の場所へ行けなかった。
基地で荷物を降ろす。
ビーマン隊長への不満を言うメンバー達。
隊長のところへ司令書が届けられメンバーに指示する。偵察任務だ。武器と装備を積め。これは実戦だ。
メンバーが場所を聞くがビーマン答えない。(やばい場所だから)
アーカンソー艦内。
グラス艦長の元に副長補佐の黒人がくる。コインを渡そうとするが、君のは受け取れないと言う。艦長も持っている。そのコインは私のお守りだ。
アーカンソー、上に救命艇を載せ潜航していく。潜水艦の上(露天艦橋(ろてんかんきょう)に艦長ともう一名立ち、進行方向を見ている。
艦長、降りて来て甲板士官に潜航を指示。
潜航していくと、艦が傾くため、艦長以下、立ったまま後ろに反っていく。
カメラ、それを回り込んで見せる。
場面変わり、ロシアのポリャルヌイ海軍基地。ヘリコプターが薄汚れた港へ飛んでくる。
埠頭では大勢の軍人と思われる人々が敬礼している。
中にいたネクタイをした男が降り、緑の軍服を着た年配の男(ディミトリ)の前にくる。ディミトリ、ようこそ大統領、と言って敬礼する。
大統領、車(ベンツ)に乗り込む。
場面変わり
雲の上を飛ぶ軍用機の中で特殊部隊が準備。
極秘任務。捕まっても俺たちは存在しない、と隊長が言う。
みんな箱の中に身の回り品を入れる。新人のマルティネリ、認識票と所持品と共にガールフレンドの写真も取り上げられる。
場面変わりロシア領海コラ半島。
米潜水艦アーカンソーが航行し、タンパ・ベイの真上に来る。
シースキャン(サーチライトとカメラがついたミサイルのような探査ロケット)を出す。
破壊されたタンパ・ベイと思われる残骸の上に、死体が漂っている。
シースキャンをタンパ・ベイの艦首方向に動かすと魚雷による穴があるのが見える。
艦長、戦闘配置と次の通信での報告を指示。”タンパ・ベイは敵襲で沈没”
ソナー担当者が何かの音に気付く。
皆で聞く。金属を叩く音が伝わってきているような音。タンパ・ベイではない。
艦長、副長にシースキャン回収を指示。
頭上に新たな音を探知。氷の下にロシアの潜水艦が潜んでいて魚雷を発射される。
こちらも発射するが氷が邪魔をして発見できず通過してしまう。探査深度を変えてロシア潜水艦を発見、爆破する。しかし敵の魚雷は活動したママ。
艦長、タンパ・ベイの方に向かわせる。撃墜される直前に面舵いっぱい。被弾を免れる。
例の金属音がまだ聞こえる。
場面変わり、ロシアのポリャルヌイ司令部。ヴォルコフが撃沈されたと大統領に連絡あり。
ロシアの主権を守るため、ヤヴチェンコ(ストーリー中の架空のロシア海軍駆逐艦)の出動を進言するディミトリに対し、米大統領と話したいと言うロシア大統領。
場面変わりペンタゴン。
フィスク少将、アーカンソーからの連絡を見て出かける。
外は夜。雨。
車で到着した大将に、交戦でロシア艦2隻と米艦1隻が沈没したことを報告。ロシアに反応はないが、ザカリン大統領はすでに現地へ行っている。
大将、直近の空母戦闘群を向かわせろ、と言う。
少将、真意を探るべく特殊部隊を送ったと伝える。
大将、攻撃の真意は明白だと言って窓を閉める。
場面かわり、
飛ぶ飛行機の後方ハッチから降下する特殊部隊。雷が光っている。
一人(おそらく新人のマルティネリ)がコントロールを失い、もう一人(おそらくビーマン隊長)が近づき抱きかかえ、パラシュートを開く。
なんとか着地。新人、ケガをしたようだが無事。
先に落とした箱から武器を出し、移動する。
場面変わり海中。シースキャンが航行。
オペレーター、沈んでいるロシア潜水艦の艦首の損傷を報告。海底に衝突したと思われる。
タンパ・ベイ(アメリカの原潜)の襲撃かと考える乗組員に対し艦長は否定。発射管が閉じていたから。
側面に穴がある。
艦長、破損状況を見て(外向きにめくれている)、あれは魚雷の穴じゃない、爆発は艦内で起きた、と言う。
ハッチで金属を叩く音がする。
救出可能か、と問う艦長と、反対する乗組員たち。
艦長、地上の動きは俺たちには分からない。唯一の手がかりは海底のあの連中だ。連中は何かを知っている。そして置き去りにされた、と言う。
これは命令違反だとという反論を抑え、救急艇での救出を指示。
副長?第6艦隊に連絡だけでも。
艦長、艦隊に連絡しろ。だが返答は待たない、と言う。
激流の中、救急艇がハッチにドッキングし、救出する。
皆が見守る中、アーカンソー艦内に救出された3人が入ってくる。
艦長、年配の男に話しかける:アーカンソー艦長のグラスだ。
ロシア語?
艦長のアンドロポフだ。英語は話せない。
艦長、副長に、医官に低体温症の治療をさせろ、と言い、副長補佐(黒人)に、艦長を隔離し部下と接触させないように指示。
場面変わり、岩場を歩く特殊部隊。
ロシアのポリャルヌイ海軍基地の対岸につき、何人かは監視塔に行き、何人かはラジコン?潜水艇を発進。別の何人かは鉄骨の塔の上で準備。
駆逐艦に大型兵器を積み込んでいるのが見える。
ラジコンに設置したカメラの映像を確認しながらラジコンを操縦。
本部(ペンタゴン)も映像を見ているが、映像が乱れる。ジェーン、妨害電波よ、と言いパソコンを操作する。
ロシアの基地内。
大統領が電話しようとしているがつながらない。護衛?も携帯が通じませんと言う。
大統領:ワシントン、モスクワも。どうなってる?
ペンタゴン。ジェーンが2282.5MHzで試すよう伝える。NSA独自の衛星バンド。映像が出る。
ロシアの基地に軍艦が接岸し、大きなトラックがミサイルのようなものを運んでいる。ベンツが走ってきて、緑の軍服を着た年配の男(ディミトリ)が降りる。
ペンタゴン。ラジコン監視艇の映像をズームインすると、ロシア国防省ディミトリ・ドゥーロフが見える。
建物のベランダに出たロシア大統領も見える。
ロシア大統領、出港していく艦を訝しげに見て中の人に話しかける。なぜ駆逐艦が?
ディミトリと兵士達が入ってくる。
どういうことだ?すぐに繋ぎたまえ、と言う大統領に対し、ディミトリ、緊急攻撃の脅威下にあり、基地を封鎖してすべての通信を遮断した、と伝える。
大統領は、君に権限はない。直ちに全閣僚議会軍部に知らせる、と言うが、ディミトリ、あなたは病気で私が代行すると伝えたと言う。
大統領が話にならんと言って去ろうとすると、兵士達に銃を向けられる。歩み寄ろうとした護衛?が撃たれる。
今後全ての命令は私が下す、と言うディミトリ。私の命令はあなたの命令ですからね。あなたの国防相だ。私がロシアの国益と領土を守る。弱いリーダーが招く脅威からも。
大統領、ディミトリを殴ろうとするが取り押さえられる。
ディミトリ、ことが明るみに出る前に戦争が起き国民は勝利だけを考える。他は全て忘れる、と言い部屋から去る。
アメリカの特殊部隊。屋上の一人が双眼鏡を向けると、ロシア大統領が兵士達に捕まり岸壁を歩く様子が見える。
護衛が撃たれ岸壁から落とされる。
ペンタゴン。
海軍大将などがその映像を見ている。
ジェーン:何てこと。
ロシアの大統領だけが連れ戻される様子が見える。クーデターだとわかる。
大将、大統領に知らせる、と言う。
ジェーン、戦争より特殊部隊が頼りだと言う。
女性大統領と海軍大将、少将その他が集まり議論。軍部と直に接触したら?と問う大統領に、ドゥーロフは”侵略”だと非難してくる、と反論がある。
空母戦闘群を派遣し直ちに応戦を、と言う大将に、ジェーン、それではドゥーロフの思う壺で戦争が彼の狙いだ、と反論。これは1人の大臣の謀略で、爆撃を避けるためにザカリン大統領を人質にしているとの読みを話す。
即応戦を主張する大将と、反対するジェーン。
少将、ロシア大統領救出を進言。すでに現地に特殊部隊、沖には潜水艦もいる。無事救出できれば事態は収まる。
女大統領、大将にデフコン2(アメリカ軍の防衛準備態勢における5段階のうち、最高度(デフコン1)に次いで2番目に緊迫した状態)発令と空母戦闘群を派遣を指示。しかし事態回避のため救出作戦も許可。
アーカンソー艦内。
艦長、ロシアでクーデターが起きたので、ポリャルヌイ基地へ向かい特殊部隊4人とロシア大統領を救出する、と言う。
駆逐艦だらけで機雷軍とソナー網があり気づかれずに近づくのは不可能だと反論される。
艦長、だから案内人が要る、と言って救護室?で処置されているロシア艦長のところへ行く。
スタッフ部屋から出る。
アーカンソー艦長:資料には”英語を話す”と。
ロシア艦長:知るか
艦長:よし これで話せる。
アーカンソー艦長、我々は襲撃していない、と言ってロシア艦の穴の写真を見せる。
艦長:爆発は艦内で起きた。破壊工作だ。裏切り者は貴艦を爆発した者。若い乗員の命を奪ったドゥーロフ国防相だ。大統領を監禁している。我々が救出命令を受けた。あなたの協力が必要だ。
ロシア艦長:基地に昔の部下たちが。殺す手伝いなど。
艦長、殺すつもりはない。大統領を救出し、クーデターを阻止したい。あなたと私は同じだ。人生の大半を水の中で過ごしてきた。あなたたちを助けたことで部下と艦を危険にさらした。軍法会議ものだ。だが後悔はない、と言う。
部屋を出ながら:敵見方は関係ない我々の未来の問題だ、と言う。
ロシア艦長、内側からの爆発で開いた穴の写真を見る。
ロシア基地。ドゥーロフが歩く。不正な通信を探知したと報告がある。2282.5MHz。基地周辺。
ドゥーロフ、見つけ出すよう指示。
月に雲がかかる夜。鉄塔を移動するアメリカの特殊部隊。
双眼鏡を見ていた男が10時方向の接近者を報告。
車のヘッドライトが彼らのいる塔に近づいて来て塔のそばで止まる。塔の上の特殊部隊は息を潜める。塔の下から一人が銃を撃つ。新入りが被弾するが声を我慢する。
ロシア側が帰っていく。
塔の上では負傷した新入りを手当する。
隊長:いい知らせと悪い知らせがある。米海軍が原潜を寄こしてくれる。だが条件がある。ロシア大統領の救出だ。
負傷した新入りは別行動。
潜水艦アーカンソー。
船員2人が船室の艦長のところへ来て、皆が指示を待っていると伝える。
艦長、最終準備を指示し、乗員の様子を聞くと、副長補佐(黒人)、口には出さないが怯えている、艦長は毅然としていてください、と言う。
艦長、分かった。準備にかかれ、と言う。
艦長、発令所に来てマイクで話す。フィヨルドに入る。原子炉と艦のノイズを徹底的に消せ。アーカンソー万歳。
乗員たち:万歳!
艦長、副長にゆっくり進入しろ、と指示。
副長、進路とスピードを指示する。
コラ半島のムルマンスクフィヨルド。
暗闇。照明が回転し海面を照らす。
アーカンソー艦内。
発令所へロシア艦長が入ってくる。
機関停止させ、みな、振り返る。
艦長、コーニクのアンドロポフ艦長。我々の客人だ、と紹介する。
緊張が走る。
艦長、副長に案内を指示するが、副長、このシステムは極秘でこんな暴挙は初めてで、帰投まで監禁するべきと主張する。
艦長、我々は未踏の海域に入れとの命令を受けた。彼を見ろ。我々と同じ1人の船乗りだ。我々は彼を助けた。彼が我々を助けるかは五分五分だ、と言う。
副長、艦長に:無謀です。発令所に入れるなど軍法会議ですよ。
艦長:証人の君を死なせられんな。
艦長、ロシア艦長を促す。
ロシア艦長、何も言わずテーブル型モニターに表示された海図上を手で示す。
艦長:前進。速力1/3。進路1-6-0。
海中に機雷の浮かぶ海域を進む。壁ぎりぎりに進んだり、ロシア艦長の手振りを得て海底に沿って進んだりする。
ロシア艦長が海図上のある場所を指し、口元に指を立てる。
船員(副長補佐?):音響センサーです。
艦長:息を殺せ。
機関室?ボルトの緩みで音が出てる。一人がナットで締める。ナットを落とすが、別の人が床すれすれで掴む。
ロシア艦長:機雷原がある。
艦長:音響機雷だ。
パク:どう通れば?
ロシア艦長:別ルートがある。ここだ。
ロシア艦長、海図を手で指し示し、この海図は誤りだ。抜けられる、と言う。
艦長:どこを?
ロシア艦長、壁のモニタの方へ行く。
ロシア艦長:左へ。0-7-0。今だ
艦長、取り舵一杯0-7-0
海面を擦る。行き止まりかと思われたが隙間がある。進んでいくと前方が開けている。
艦長、ロシア艦長を見る。ロシア艦長うなずく。艦長、ニヤリとする。
艦長:副長、どちらが大切だ?規則か生きることか。
副長:艦長、ご命令を。
艦長、副長に変わり、その場を離れる。
ロシア基地そばの鉄塔の上。夜。
隊長、基地に入り、大統領をかっさらい、パっとひと泳ぎし、潜水艦と合流する。簡単だ、と言う。
もう一人、散歩っすね、とかえす。
マルティネリ(負傷した新人)は隊長が作戦後生きてたら助けに戻る、と言う。
潜水具をつけて水に飛び込み、上陸し、潜水具を草むらに投げ入れ、銃を構え移動する。
ロシアの男(おそらく大統領の護衛)に出くわす。お互いに銃を向ける。
隊長:救出に来た。案内してくれたら大統領を救える。だが時間がない。
ロシアの男、案内する。
ロシア基地の見張り。突然背後から刺され隠される。
基地内をディミトリが歩く。窓際の部屋。ベランダの外の壁をアメリカの特殊部隊が登ってくる。
中では3人が飲み物の用意をしているが、3人とも撃たれ、アメリカの特殊部隊と案内のロシア人が入ってくる。
ロシア人、ロシア大統領のいる部屋を知らせる。
テーブルを横にして盾にする。
ロシア大統領のいる部屋のドアを爆破する。救出する一方、銃撃戦になる。
ロシア大統領:米国人か?
特殊部隊:救出に。嫌々ですよ。
壁伝いにロシア大統領を下ろし、双方に犠牲が出るが隊長ともう一人とロシア大統領、海に飛び込む。
アーカンソーでは乗員たちが救命艇に乗り込み発進する。
特殊部隊とロシア大統領、対岸に着き逃げる。ロシア側車で追う。先回りされ撃たれ、ロシア大統領負傷。身を隠すが容赦ない銃撃。そこへ森の中から新入りが銃撃。ロシア兵たちが1人また1人と撃たれる。
向かう救助艇。
特殊部隊は負傷したロシア大統領を連れ桟橋に着き、救助艇が現れるが、ロシアの追っても迫る。
皆飛び込み、海中を泳ぐが、最後に飛び込んだジョンストン、撃たれる。
隊長、ロシア大統領を救助艇に入れるが、自分は戻る。
ロシア基地。ディミトリはロシア大統領がアメリカの潜水艦に救助された報告を受け、フィヨルドを封鎖し、アメリカ潜水艦撃沈を指示。
待つアーカンソー。スクリュー音を確認。
艦長、音を聞く:戦闘艦だ。
ロシア艦長:駆逐艦ヤヴチェンコだ。私が乗員を鍛えた。失敗しない。
一方、救助艇、さっきの被弾で水が入ってくる。
潜れば更に浸水してしまう。アーカンソーのビーコンを探知するが微弱。
ロシア艦
船員:湾岸管制より。”磁気センサーに反応あり”
船長?:それだ、ロケット弾を発射。
発射する。
救助艇がアーカンソーにドッキングし、ロシア大統領をアーカンソーへ移すが、ロケット弾が海中へ来る。切り離した救助艇やアーカンソーの周囲で爆発する。激しく揺れ、浸水する。
航海士パーク、起こされるがケガをしている。
艦隊の位置は爆発の衝撃で探知不能。
こちらは主配電盤の火災、魚雷発射管室に浸水。
ロシア軍艦がアーカンソーを探知。艦長、撃沈を指示。
アーカンソー。
ヤヴチェンコの近づく音が聞こえる。
艦長、急速潜航準備を指示。
ロシア軍艦から魚雷が発射される。
アーカンソーは潜航し囮を出す。
ロシア艦長が海底深度を教え、艦長、礼を言う。
駆逐艦ヤヴチェンコが急接近。
艦長、発射用意を指示するが、ロシア軍艦にはロシア艦長の教え子たちが乗っていることに思い至る。ロシア艦長、何も言わない。
艦長:待て。
囮が被弾するが、別の魚雷が来る。海底も近づく。
船員:左舷エンジン加熱!
黒人:応戦は?
艦長:待て。
艦長、ロシア艦長へ、海底は柔らかいか聞く。
ロシア艦長、泥土だと答える。
艦長:よし急いで着底しろ。
アーカンソー、下がる。
艦長:ナマズのようにじっとする、と言う。
下がっていく。
ベンタゴン。ポリャルヌイ基地間近で爆発を感知したと報告がある。やられたのか沈んだのか不明。
フィスク少将のせいだと叫ぶドネガン大将。君は戦争を始めただけではない。敗北をも招いた。
アメリカ空母から軍用機が発射する。
米国北大西洋艦隊。たくさんの軍艦。
ロシア基地ではドゥーロフが、まもなく米艦と対峙すると報告を受け、交戦命令を出すよう指示。
ロシア連邦海軍北方艦隊。たくさんの軍艦。
それをペンタゴンでも確認する。
ロシア山中。銃弾から逃げる特殊部隊の新人の男。囲まれる。
ロシア無線:米兵を捕らえた。指示を。
無線:始末しろ。
そこへ銃弾。特殊部隊の隊長がロシア兵を倒す。
新人の男:戻って来た?
隊長:腹ごなしにな。
隊長:新入り、頑張ったな。さっさと逃げるぞ。隊長、新入りをおぶる。
海底に潜むアーカンソー。
側面が水圧で凹む。内部は浸水。別の場所は火災。消火作業中。駆逐艦が離れるとの報告。
艦長、持ち場の点検を指示し、副長に指揮を代わり、ロシア艦長とロシア大統領のいる部屋へ行く。ロシア艦長がロシア大統領に何か言う。
ロシア大統領:君は信頼できるそうだ。軍部と話したい。真実を知れば阻止できる。
艦長:ごもっともです。ですが通信深度まで浮上するのは危険です。
ロシア大統領、ロシア艦長の方を見る。ロシア艦長うなずく。
アーカンソーの外側はバキバキ音がしている。内部は浸水が続いており発射管室の状況も悪い。
乗員、艦長に指示され見に行く。浸水が進み床に水がたまり、状況はよくない。
発射管室から報告。甲板上60cm浸水。1番に損害。
艦長、2番を準備を指示し、船員が準備をするが、揺れで魚雷が落ち一人水中に下敷きになる。助けようとする。
ロシア艦、その音を聞きつけた。
アーカンソー艦内。駆逐艦が急接近で戻って来る報告。距離460m。
ロシア艦、海上で旋回している。
アーカンソー内。
下敷きになった船員を助けだす。
艦長へ報告、2番も損害。使える管はない。全て使用不能。
補足されたとの報告。絶対絶命。
艦長、ロシア艦長に:直々に鍛えたと。
ロシア艦長:そうだ。乗員を1人残らず。
艦長:よく知っている?
ロシア艦長:とても。
艦長:忠実な部下か?
ロシア艦長:もちろんだ。
艦長、赤い受話器を取り、ロシア艦長に手渡し:見せてくれ。
ロシア艦長、船員の名前を言う。
ロシア艦でも聞こえる。スピーカーをオンにすると、皆の名前を言っている。皆それを聞く。
アンドロポフ艦長だ。米潜水艦アーカンソーに乗っている。自らの意思だ。攻撃するな。
アーカンソー、浮上する。ロシア駆逐艦へ向かう。それをロシア駆逐艦艦長、双眼鏡でみる。
ペンタゴンでは少将と女が大将へ報告。アーカンソーです。敵艦の鼻先に浮上。
大将:艦長は正気か?
ロシア駆逐艦では艦長がミサイル発射を指示するが誰も動かない。
艦長が下に降りて一人に銃を向けるが動かない。
ペンタゴンでスタッフが大将に報告。敵艦に通信しています。
その音声:(ロシア)大統領だ。全権限を持って話している。
ロシア駆逐艦にも聞こえる。「米艦へのいかなる敵対行為も反逆とみなす」
駆逐艦艦長、銃をおろす。
ペンタゴン。
大将:生きてたか。
少将:ジェーン、ロシア軍部に。
ジェーン:音声ファイルが要る。
ロシア駆逐艦では艦長が電話する。大臣、乗員が攻撃命令に従いません。
ロシアの国防相(緑の軍服)ディミトリ:よし私が攻撃する。
国防相がミサイルの指示をし、ミサイルを積んだトラックが複数出る。
それを衛生映像で見ているペンタゴン。
スタッフ:KH35発射車両の移動を衛生が探知。
大将:目標は米艦隊か?
ロシア基地、トラックがミサイル発射準備
ペンタゴン。
少将:目標はアーカンソーです。
大将、敵が先に仕掛けたから艦長に攻撃を許可しろ、と言う。
ジェーン:ロシア領内を攻撃すればセンサーが作動し核報復を招きます。
大将:大統領ごと沈んだら同じことが起きる。
アーカンソーにワシントンから連絡が入る。艦長、赤い受話器を取る。
少将:フィスク少将だ。艦と乗員を守る措置を取れ。
艦長:すでに戦争状態ですか?
ロシアは攻撃態勢。
大将受話器取る(ペンタゴン)
艦長:我々が先制すれば世界中が目撃者に。
大将:艦長、統合参謀本部議長のチャールズ・ドネガンだ。相手は常軌を逸した男だ。攻撃を許可したはずだ!
副長:まだトマホークがあります。
艦長:副長補佐、戦闘配置。
みんな配置につく。
ロシア基地。ディミトリが発射準備開始を指示。発射まで30秒。
護岸のトラックが砲塔を上げる。
アーカンソーでは艦長がミサイル1〜2の用意を指示。
アーカンソーのミサイル発射管が開く。
それを双眼鏡で見ていたロシア駆逐艦の船員が報告。皆、アーカンソーを見る。
ペンタゴンも緊張が走る。
アーカンソーでは発射準備完了。
ロシア大統領とロシア艦長もそれを見守っている。
艦長、ロシア艦長へ:こんな決断の経験は?
ロシア艦長:ない
ロシア大統領:艦長、ドゥーロフは君たちを攻撃する。
艦長:いいえ、標的はあなただ。
ロシア基地ではミサイルの燃料充填完了が報告され、ドゥーロフが発射を指示。ミサイルが発射される。
ペンタゴン。
スタッフ:敵のミサイルです。
大将:何をしている?
発射を見ているドゥーロフ。
アーカンソー。
船員:ワシントンから報告。着弾まで15秒。
乗員:ミサイルを補足。
乗員:反撃用意よし。
艦長:安全装置解除。
乗員:解除しました。
しかし艦長、指示しない。
乗員:あと5秒。
副長:今すぐ発射を!
乗員:艦長!
艦長、まて、というジェスチャー。
乗員:3秒
乗員:手遅れです。
着弾!
皆かがむ。
ミサイルが撃ち落とされる。アーカンソー無事。
副長:いったい何が?
ロシア軍艦からミサイルが発射され、ロシア基地を爆破する。
ペンタゴン、命中を確認。
大将:誰が撃った?
少将:何者かが。
ロシア駆逐艦から基地の煙を見ている船員たち。
アーカンソーでは乗員が報告。ポリャルヌイ司令部が壊滅。ヤヴチェンコの攻撃で。
艦長、副長と握手。ホッとする乗員たち。
艦長、ロシア大統領とロシア艦長のところへ行き:感謝します。
ロシア大統領:なぜ分かった?
艦長:いいえ、願っていました。
ペンタゴン。
ロシア艦隊が引き上げていくのを確認。
女:アーカンソーのザカリン大統領の命令です。空軍に制圧を命じました。
皆拍手する。
大将、少将に握手を求める。握手する。
海上のアーカンソーの上からロシア大統領などを(おそらくロシアの)救命ボートに乗移らせている。
ロシア艦長、艦長の方へ行く。
ロシア艦長:仕事に戻らねば。
笑顔を浮かべる。艦長も笑顔を浮かべ:私も。
ロシア艦長:私は他に知らない。君のような豪胆な艦長を。
艦長:いえ、私の目の前にいる。
握手をしながら、艦長、ロシア艦長にメダルを渡す。
ロシア艦長、そのメダルを見て軽く空中に飛ばして握り直す。
お互いに笑顔。
ロシア艦長もロシア救命艇に乗り去っていく。
アーカンソー、ロシア基地へ行き特殊部隊を収容する。
艦長、隊長に挨拶。
艦長:ロシア大統領を救った愚か者か。
隊長:機雷軍に突っ込んだ無謀な艦長。
少し話したあとアーカンソーに乗り込む。
航行するアーカンソーといくつかの軍艦。
終了
テロップ
ジョン・トンプソンとミカエル・ニクヴイストに捧ぐ
スタッフロールと共に海上を航行する潜水艦の映像。
スタッフロール。