『バックルームズ』(2026)具現化してしまった精神世界をテーマとしたサイコロジカルホラー(ややネタバレ)

『バックルームズ』(2026)ストーリー内の現実から観測できる、具現化してしまった精神世界(内面が投影された世界)をテーマとしたサイコロジカルホラー(ややネタバレ)

映画『バックルームズ』を見て面白かったので、感想や『バックルームズ』について調べたことをまとめておこうと思います。この投稿タイトルからすでにネタバレなのですが、私なりの解釈を含みます。

あらすじ

建築家になりたかったがお客のいない広い家具店を経営し妻とも別れた男が、店の地下の壁をすり抜けた向こう側に黄色い壁紙の同じような部屋が続いているのを見つけ、店員2人に時間外労働を頼み探索する。彼のセラピストは彼から「戻らない」と連絡を受け様子を見に行くが、彼女もそこに囚われてしまう。

感想

登場人物が少なく(メインは5人)ストーリーはシンプルで、未消化な部分もありますがうまく演出されまとまっています。演技の確かさも説得力に結びついています。

現代的な面と王道の作り

ゲームなどで最近見られる「日常(日常的な風景)の中に、変異が現れる」系統のストーリーでプロダクションデザイン的にも目新しいですが、ストーリーの構造としては王道です。

映画のストーリーはたいてい「何かの問題を抱えている人物が、ある時これまでと違う状況に巻き込まれ、色々苦労した後、解決や変化をして先に進むか、日常に戻る」という構造になっています。巻き込まれるのではなく「自ら踏み出す」場合や、最後はまれに「解決できず終わる」場合もあります。

本作においては主人公は最後「行ったまま」になります。これも「解決できず終わる」例かもしれません。

ちなみにこの「何かの問題を抱えている人物が、ある時これまでと違う状況に巻き込まれ、色々苦労した後、解決や変化をして先に進むか、日常に戻る(又は解決できず終わる)」構造は、いわゆる3幕構成につながっています。

1幕、何かの問題を抱えている人物が、ある時これまでと違う状況に巻き込まれる
2幕、色々苦労する
3幕、解決や変化をして先に進むか、日常に戻る(又は解決できず終わる)

『バックルームズ』のストーリー

主人公の男は、建築家になりたかったものの、今は広い家具店のオーナー店長をしています。しかし店にはお客がおらず、自分の境遇を「妻を養うため」と考える他責思考の持ち主で、その妻とも別れ、時々セラピストのカウンセリングを受けています。

ある時店の地下の壁をすり抜けた向こう側に黄色い壁の同じような奇妙な部屋が続いているのを見つけ、そのことをそのセラピストに報告しますがまともに取り合われません。

証拠を集めるため店員2人に時間外労働を頼み探索しますが、何かに襲われます。

彼から「戻らない」と連絡を受けた彼のセラピストが様子を見に行き、彼と会いますが彼女もそこに囚われてしまいます。

観客から見て、その世界が何か、ファンタジー的というかSF的またはホラー的な意味としては明らかになります。少なくとも推測することができます。しかしその空間はストーリー中の現実からも観測でき、その空間を探索している団体の存在も示唆され、追加的な映像でその探索の様子が描かれます。それが何か、なぜできたのか、物理的に探ろうとしていますが、明らかにはなりません。

若い監督/ウェス・ボールとの共通点

監督のケイン・パーソンズは本作の撮影(クランクイン)時に19歳ということで、若くて能力のある監督だと感じます。インタビュー映像を見て内容を聞くと、考え方がしっかりしていて30歳くらいにも見えます。

若い監督というと、『メイズ・ランナー』の監督のウェス・ボールを若い監督だなと思ったのを思い出しますが、彼はメイズランナー撮影(クランクイン)時には32歳でした。SF大作の監督としては十分若いですが、ケイン・パーソンズの19歳というのはかなり若いです。

ウェス・ボールもケイン・パーソンズも、CGで作った動画が評価され抜擢につながったという共通点があります。

ネットミームから映画化へ
元画像→ネットユーザーによる設定・Level追加 → ケイン・パーソンズの独自解釈YouTube作品 →映画化

・2018年、4Chanの「呪われた画像」のスレッドに1枚の「黄色い部屋の写真」が匿名で投稿される

・2019年、4chanの匿名ユーザーが、超常現象を扱う板に「不穏な画像」の投稿を呼びかけるスレッドを立て、そこに「黄色い部屋の写真」を投稿。その後、別の匿名ユーザーが、「現実の境界をすり抜けてしまったら、あなたは『バックルームズ』に迷い込むことになる。(抜粋)」という文章を書き込む

・様々な人が物語・画像・動画を作る

・Level 0、Level 1……などの設定が増える

・ゲーム、YouTube動画、ファンアートなどに拡大

・2022年、ケイン・パーソンズは16歳の時に、『Backrooms』の雰囲気を元にBlenderで独自の『The Backrooms (Found Footage)』動画を制作。
https://youtu.be/H4dGpz6cnHo

・映画化

参考
https://knowyourmeme.com/memes/the-backrooms

空間のデザイン(間取り)はケイン・パーソンズ監督のYoutube動画が元

監督のケイン・パーソンズは『The Backrooms (Found Footage)』が注目されて映画『バックルームズ』の監督に抜擢され、本作のセットは、彼から提供されたBlenderファイルを元に設計されたとのことです。

『バックルームズ』は低予算映画か?

『バックルームズ』の制作費は約1,000万ドルのようです。

参考
https://www.imdb.com/title/tt26657236/
https://www.the-numbers.com/movie/Backrooms-(2026)

劇場用長編映画としては低予算ですが、インディーズの超低予算映画とは異なり、かなり大掛かりです。これだけ広大な空間をセットで作るのはかなり大きなスペースが必要だと思います。(後述のようにVFXもかなり使われています)

以下の動画で、セットの様子を見ることができます。
https://youtu.be/ofj2VwEwCpE

VFX

エンドロールを流し見した印象では、関わったスタッフの半分くらいはVFXのスタッフに見えました。映像を見た感じでは大作SFでもないどちらかと言うと低予算な印象の映画で、そんなにVFXが使われていたのかと驚きます。

以下の動画でVFXの様子がわかります。「壁抜け」の他、黄色い壁紙の部屋もかなりCGで広げられていることがわかります。
https://youtu.be/VNWv2d7INCw

エンドロール後の映像

エンドロールのあとの映像がかなり長く、しかも突然終わります。本編が主人公視点のストーリーで、冒頭とエンドロールのあとの映像は第三者視点(ストーリー中の奇怪な事象を第三者目線で見たもの)になっています。本編中に入れることもできたのではないかと思いますが、続編につながる構造にしたのかもしれません。

続編はあるか?

未消化な部分もある、と書きましたが、それは続編で解消できる可能性があるということでもあります。実際、正式な製作開始には至っていないものの続編の制作が示唆されているようです。

参考
https://deadline.com/2026/06/backrooms-sequel-kane-parsons-1236938378/