実社会の行く末を予見していた『攻殻機動隊S.A.C.シリーズ 』その先進性と中二病的世界観 ①「笑い男事件」を振り返る

実社会の行く末を予見していた『攻殻機動隊S.A.C.シリーズ 』その先進性と中二病的世界観 ①
「笑い男事件」を振り返る(ネタバレ)ストーリー世界で実際に起きたことの時系列解説

久しぶりにアニメ『攻殻機動隊STAND ALONE COMPLEX』(S.A.C.と略される)の各シリーズを見直しました。S.A.C.1、2、SSS、SAC_2045のシーズン1、2です。リリースされた当時見ていた時は、物語の背景として設定された社会状況を「近未来のSF的な設定」として見ていたように思いますが、改めて見直してみると、予言という程ではないもののかなり実社会の将来を予見していたことに驚きます。

例えば、医療業界や国家権力の利権、難民・移民問題、女性首相、などです。

S.A.C.①で単発のエピソードに挟まれながらシーズン全体で描かれた「笑い男事件」でも「電脳化時代の医療関連業界、警察上層部、政治家にまたがる汚職」が描かれており、凶悪犯罪専門の強制介入班もグルになり、全てではありませんがその後の実社会とリンクする部分を感じます。改めて「笑い男事件」を振り返ろうと思います。

一方、当時見ていた頃から時間がたち、というよりも自分が歳をとり、今の視点で見ると、いわゆる「中二病」的な印象もより感じましたので改めてまとめようと思います。

タイトルに①とつけ、今回は主に「S.A.C.1」について書きますが、「S.A.C.2」以降を②、③、と続けていくか未定です。書くとしてもかなり先になると思います。

基本情報

■攻殻機動隊の原作マンガ
・『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」(1989)士郎正宗
・『攻殻機動隊2  MANMACHINE INTERFACE』(2001)士郎正宗
・『攻殻機動隊1.5 HUMAN-ERROR PROCESSER』(2003)士郎正宗

■攻殻機動隊のアニメ(及び実写)
攻殻機動隊のアニメシリーズには以下のものがあります。(参考までにハリウッド版実写映画も入れてあります)

・『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』劇場用アニメ映画(1995)押井守監督
・『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』テレビアニメドラマ(2002~2003)神山健治監督 原作や劇場用アニメとは異なるオリジナルストーリー
・『攻殻機動隊 S.A.C. 2nd GIG』テレビアニメドラマ(2004~2005)
・『イノセンス』劇場用アニメ映画(2004)1995の劇場用アニメ映画の続編
・『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』(2006)OVA
・『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊2.0』劇場(2008)『GHOST IN THE SHELL / 攻殻機動隊』のCGリニューアル版
・『攻殻機動隊 S.A.C. SOLID STATE SOCIETY 3D』劇場用アニメ映画(2011)『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX Solid State Society』の3D立体視版
・『攻殻機動隊 ARISE』劇場用アニメ映画(2013~2014)
・『攻殻機動隊ARISE ALTERNATIVE ARCHITECTURE』(2015)『攻殻機動隊 ARISE』のテレビ用再編集版
・『攻殻機動隊 新劇場版』劇場用アニメ映画(2015)
・『ゴースト・イン・ザ・シェル』ハリウッド版実写劇場映画(2017)
・『攻殻機動隊 SAC 2045』アニメドラマ(シーズン1、2020)フル3DCGアニメーション
・『攻殻機動隊 SAC_2045 持続可能戦争』劇場(2021)及び配信(2022)『攻殻機動隊 SAC 2045』シーズン1の総集編
・『攻殻機動隊 SAC 2045』アニメドラマ(シーズン2、2022)フル3DCGアニメーション
・『攻殻機動隊 SAC_2045 最後の人間』劇場(2023)『攻殻機動隊 SAC 2045』シーズン2の総集編
・『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」(2026)

Stand Alone Complex

このサブタイトルかつテーマは原作や押井守監督のアニメ版にはなく、神山監督のシリーズで設定されたコンセプトだと思います。

Stand Alone Complexの意味
・単独で立つ集合体
・独立した存在の集合体

ここでの「コンプレックス」は、「容姿にコンプレックスがある」などの表現をするときの「コンプレックス」ではなく、「集合体」を表していると思います。例えば英語でApartment Complexと言うと賃貸住宅の建物の集合体を現します。

荒巻:そして模倣者たちもこの現象が引き寄せたスタンド・アローンの複合体であり、所詮はオリジナルのないコピーなのだと。(1-6話) 

アオイ:オリジナルの不在がオリジナルなきコピーを作り出してしまうなんてね。あなただったら、あの現象を何て名付けますか?
素子:Stand Alone Complex
アオイ:イエス。Stand Alone Complex。(1-26話)

シーズンの構成とも掛けている
一話完結の話を『a stand alone episode』、「笑い男事件」関連の話を『complex episodes』と分けているようです。(参考:ウィキペディア)

中二病

中二病とは
中二病という表現には比較的ゆらぎがあるというか、様々な意味・状態を含んでいるように思います。

・現実をややファンタジー的世界観で捉え、自分をその中の登場人物であるかのように、特別な力や秘密の使命があるようにふるまう様子。
・社会の欺瞞に対し鬱屈を投げかけ反抗的な態度をとる様子。

S.A.C.では後者の傾向が強いですが、各シリーズで公安9課が追う主要登場人物達は皆中二病的で、S.A.C.のアオイ青年もS.A.C.2のクゼもS.A.C._2045のタカシも、その振る舞いは中二病的です。S.A.C.の最後の方ではトグサも中二病的な行動をします。

シリーズを追うごとに(S.A.C.2~)物語の描き方も前者の傾向が強くなっていきます。

つまり、社会の欺瞞などに対してそれを正そうとし、しかしその方法が短絡的かつ直接的で、その行為自体が犯罪とみなされるものであってもその世界のヒーローであるかのように振る舞います。

現在の実社会の誹謗中傷や晒し行為と同一ではないとしても遠からずかもしれません。

社会の欺瞞に対し鬱屈を投げかけるのは中二病の一つの現れ方であると同時に、その小説が読み継がれ影響された作品が出るのは、あいも変わらず人間社会は欺瞞だらけだということであり、攻殻機動隊がリリースされてから20年以上たった今でも変わることがない現実です。

神谷監督はこの『攻殻機動隊SAC』で、『ライ麦畑でつかまえて』(J・D・サリンジャー)を題材にしており、また、サリンジャーの短編『笑い男』から「笑い男」という表現を引用しています。『ライ麦畑でつかまえて』からの引用をセリフに盛り込み、本そのものも小道具として出しています。

参考
神山健治 | 『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX The Laughing Man』トークショー ダイジェスト
https://youtu.be/wkfJNjHOA9s

監督が若い頃サリンジャーに傾倒していたというインタビュー記事を読んだ記憶がありますが、見つけられませんでした。

『ライ麦畑でつかまえて』(1951年7月16日出版)
社会の欺瞞に対し鬱屈を投げかける内容(出典:ウィキペディア ライ麦畑でつかまえてより)
『ライ麦畑でつかまえて』はアメリカ版中二病小説と見られることもあるようです。(出典:ウィキペディア「中二病」より)

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』 シーズン1

今回は『攻殻機動隊SAC  シーズン1』について書きます。

SACシーズン1では、複数話にまたがるメインのストーリーとして「笑い男事件」が描かれ、合間に一話完結の回が挟まれています。

この「笑い男事件」は複数の事柄が複雑に絡み、視聴者は9課の捜査を通して、というより9課と共に状況に翻弄されながら断片的に真相に近づいていきます。また、視聴者からはある程度想像できるものの、特にストーリー中過去の出来事についての真相はセリフやモノローグで語られることも多く登場人物の行動としては記憶に残らないため、あとから全体像を振り返ろうとする場合、断片は記憶していても物事のつながり・因果関係を思い起こすのが難しいと感じます。

以下解説します。

ストーリーの前提(ストーリー世界で過去に起きたことの時系列解説)完全ネタバレ

⚫︎MM(マイクロマシン)メーカーであるセラノゲノミクス社が、電脳硬化症に対し、理論上のアイデアに過ぎなかったMM療法を特許登録。

瀬良野社長:あの時点でのMM療法は理論上のアイデアに過ぎなかった。だが特許とはそういうものだ。確実に到達可能な技術を先に登録することは何ら違法じゃない。(1-23話)

⚫︎電脳硬化症に効果のある村井ワクチンが認可されず、効果のないセラノゲノミクスのMM療法が認可された。それは、審議会理事の今来栖が、嫉妬して村井ワクチンを潰すためであることが大きな理由。

今来栖:私だって生涯をかけて電脳硬化症を治療してみせるという自負はあったんだ。それを村井に…。
アオイ:先を越されてしまった。嫉妬ですか?あなたは村井ワクチン潰しのためにわざわざ不認可の印鑑まで作らせたそうですね。(1-21話)

⚫︎何者かが、「電脳硬化症に効果のある村井ワクチンが認可されず、効果のないセラノゲノミクスのMM療法が認可された」ことに気づき、セラノゲノミクス(と思われる)に対し理論武装した脅迫メールを送る。

天才的なハッキング能力を持つ青年アオイ(笑い男と呼ばれる)がネット上で偶然そのメールを見つけ、有効なワクチンが不当に認可されず効果のないマイクロマシンが認可されたことを知り憤りを覚え、セラノゲノミクスの社長を誘拐し真相を公表するよう脅迫するが失敗して逃亡。その際リアルタイムのハッキングによってテレビに写った自分の頭部を笑顔のアイコンに置き換え、そのキャッチーさも影響して大きな話題になる。

アオイ:でもまあ僕自身、電脳化の権化みたいな人間だから、(カツラを取ると後頭部に多数のハッチがある)少なからず電脳硬化症に対する恐怖みたいなものがあったのかもしれないけど。
あれは、僕がたまたまネット上で見つけた一片のメールがきっかけだったんです。おそらくセラノゲノミクスに宛てて送られたであろうその脅迫メールは、セラノ製MM(マイクロマシン)の無効性と村井ワクチンの効能とを比較検討した論文で武装されていた。
素子:それを書いた者が笑い男のオリジナル?
アオイ:強いて言えばですが。

アオイ:僕は、僕だけがたまたま知り得た情報の確認と伝播を自身の使命と錯覚して奔走した。(1-26話)

⚫︎その後類似した企業脅迫事件が連続して起き、世間には笑い男事件として認識されるがアオイ青年は自分を笑い男と表現したことはなく、世間で「笑い男事件」として認識されている一連の事件のほとんどは、模倣や便乗である。

「模倣」「便乗」には薬島幹事長や警視総監も含まれる。というより規模的にはそれが主体。(観客には、ストーリーを追うごとに明らかになっていく)

今来栖:笑い男…お前は一体何者だ?そこまで正義感をむき出しにするお前が、なぜあれほどの企業テロを起こして大金をせしめた?
笑い男:僕は自分のことを”笑い男”なんて名乗ったことは一度もありません。それに、あの企業テロで金を奪った奴は他にいる。
今来栖:まさか…

⚫︎セラノゲノミクスには脅迫事件により公的資金が投入され、その後ある代議士(実際には薬島幹事長)の私設後援会会員を名乗る男が瀬良野社長に接触してきて、脅迫をやめさせる代わりに、公的資金と脅迫の要求金額を合わせた金額を、その代議士に献金するよう言ってくる。(笑い男のふりをして脅迫をすることでその要求金額と公的資金を自分のところへ回そうとする薬島の悪質なスキーム)

アオイは闇の深さに落胆し姿を消し6年経つが、笑い男事件の特別捜査本部は設置されたまま。

素子:今の今まですっかり忘れてたわ。特別捜査本部はまだ解散してなかったのね。
荒巻:脅迫を受けた会社の数だけで言えば戦後最大と言える規模の企業テロだからな。(1-4話)

⚫︎その間、警察上層部(警視総監)が自分のリタイア後の国外移住の便宜と引き換えに、特別捜査本部の警官達の目にセラノゲノミクスの盗視聴覚素子を本人の知らないうちに埋め込む便宜をはかる。(明確に描かれてはいないが、笑い男事件の捜査を建前としてそれに便乗し、警視総監が汚職をしたと思われる)

ここまでが、ストーリーの前提(ストーリー世界で過去に起きたこと)

『攻殻機動隊 STAND ALONE COMPLEX』「笑い男事件」の各話のあらすじメモ

「笑い男事件」に関しては4話から描かれます。

◾️(1-4話)
笑い男事件の特別捜査本部に席を置く元同僚の刑事から「本庁上層部に不審な動きがある」としてトグサに相談があるが、会う直前にその刑事は交通事故死する。不審に思ったトグサは公安9課長の荒巻に了解を得て独自に捜査を開始する。

亡くなった刑事の妻にその刑事からトグサ宛の封筒が届き、中に入っていた写真に写った人物たちの目に、その写真を写しているカメラが写り込んでいないことに気づく。

トグサ、特別捜査本部にいる深見と話す。セラノゲノミクスに恨みを持つ重要参考人が浮かび上がり、3ヵ月前に知覚傍受法の改正で導入されたインターセプター(視聴覚素子)を仕掛けようとしていると聞く。

トグサ、9課で、笑い男事件の特別捜査本部の捜査員達の目に、笑い男事件の被害者メーカーの盗視聴覚素子が人知れず仕込まれていることを報告する。

素子:でもインターセプターそのものには違法性はなく、書類さえ提出すれば、警察関係者なら誰でも使用することができるはずよ。
トグサ:ですが、書類の提出は確認できませんでした。当然、法律で義務づけられている第三者の立ち会いもありません。

イシカワ:事件の被害者であるメーカーの製品を警察が正式採用した。何か裏がありそうだな。
トグサ:しかもセラノ社長に張りついている深見の目にもこのインターセプターは仕掛けられていて、セラノサイドも刑事たちもそのことに全く気付いていません。

メモ
「インターセプター」=「視聴覚素子」は、1-5話冒頭で内務大臣は「盗視聴覚デバイス」と表現

素子、揺さぶりをかけるために情報屋からそのネタを記者にリークさせる。
早速記者が丹生(にぶ)刑事課長に自宅前でカメラを向け、警察内部での不正使用や特捜刑事たちの目にインターセプターが仕掛けられているうわさがあるとしてインタビューしようとする。

そして週刊誌記事やニュースになる。

それを受け、笑い男事件発生当時県警本部長だった現総監が記者会見を開く。丹生を懲戒免職処分。

大堂警視総監:同刑事課長は、笑い男事件の捜査に行き詰まっており、各捜査員の電脳にインターセプターを仕掛け、情報を収集しようとしたものと思われます。

このあいだの記者もいて、上層部とセラノとの癒着や総監は引退後はオランダに移住するようだがオランダにはセラノの親会社があることなどを指摘。総監の左右の警察関係者が訝しげに総監を見る。総監、うろたえて逆切れ。

と、刑事部長の電脳が笑い男にハッキングされる。

ハッキングされた竹川刑事部長:僕はね大堂さん、もはやあなたたちの世界に関わるべきではないと考えていたんですよ。略 だからあんたらの茶番劇にだってあれからずっと口出ししなかったでしょ。全部わかってたのに。

総監に本当のことを話せと要求、そうしないと消すと脅す。

◾️(1-5話)
荒巻、内務大臣から、先走った行動は自重するようクギを刺される。
荒巻は総監暗殺予告は警察の自作自演だと考える。
特別捜査本部が容疑者として逮捕予定だったナナオ=Aをバトーとトグサが監視する一方、経歴の裏をとる。

セラノ社員が、セラノ社で稼働しているMM(マイクロマシン)の設計ラインの基本システムはナナオが独りで組み上げたようなもので、それを会社は過去の経歴を理由に解雇し、全ての権利を独占したため、ナナオがセラノ社に恨みを抱いていただろう、と答える。

イシカワはリサーチ。

バトーは手っ取り早くナナオの口を割らせることを荒巻に提案するが、却下され、ナナオは1日中部屋からスパム系の短いメールを定期送信しているだけでウイルスなどのデータは認められないことを報告。

素子が別宅?友人同士の隠れ家?で外部記憶を確認する。
笑い男が天気予報番組のカメラの前で、真実を語ってくださいとセラノ社長を脅迫した時の映像。

引き続き素子の別宅? 夜
素子(モノローグ。笑い男事件について自分の確認であり、観客に向けた整理でもあると思う):2024年2月3日。2日前には既に発生していたにもかかわらず、報道管制により未発表だった瀬良野氏の誘拐。捜査当局が一片の手がかりすらもつかめずにいた難事件が、皮肉にもメディアに露出し急展開を見せ始めた。通称”笑い男事件”と呼ばれる劇場型犯罪の始まりでもあった。
当時の捜査資料によれば事件発生以前からアーネスト氏の身辺では電脳をハックされた人物の口を使った犯行予告がなされていたにもかかわらず、状況を甘く見ていたために起きた誘拐であったと言わざるをえない。瀬良野氏本人が電脳をハックされ自宅から誘拐された直後現金100億円、金塊100キロという莫大な身代金の要求がなされたものの、その後はふっつりと連絡が途絶え、彼らがテレビモニターの向こう側に姿を現すまで瀬良野氏の消息は一切つかめない状態が続いていた。
そして生中継のただ中で瀬良野氏を脅迫した笑い男は、カメラのAIはもちろんのこと近くに居合わせた通行人やテレビ局のスタッフの目にまでこのマークをリアルタイムで上書きしていたという。
(以上のモノローグの背景の映像では、セラノの脅迫後、笑い男が逃げる様子の映像)
事件発生後、急行した警察官から逃走する際にも、大勢の人間が目撃していたにもかかわらず、男の顔を見ることができたのは電脳化をしていなかった浮浪者2名のみ。事実、男の顔を見たと証言していたほとんどの人間がモンタージュ作成の際にこのマークを描いてしまったという報告はあまりにも有名で、衝撃的な事件とはアンバランスなそのポップなマークは、一部の若者やサブカル系評論家の間で人気を呼んだ。

やり口は警視総監の暗殺予告と酷似している。本当にそれを一人でやってのけたとしたら、超特A級のハッカーね。でもその腕に似つかわしくないアナクロな誘拐事件。

衝撃的な初登場後は、公(おおやけ)の場に姿を現すことを避け、MMの製造ラインに死に至るウイルスプログラムを混入するという手口でセラノ社を引き続き脅迫。主力商品である医療用MMの製造販売が滞り、セラノ株が暴落すると、そのこと自体が目的であったかのようにセラノへの脅迫はやみ、続いて他のMMメーカー6社を次々と同じ手口で脅迫していった笑い男。脅迫行為そのものが目的かのような新展開を見せ始めたこの事件は、その後3ヵ月ほど続き、本当の目的、犯人像、単独犯か複数犯なのか、人種は?年齢は?その犯行思想に何が隠されていたのかなど、数々の謎を残したまま政府による被害企業への公的資金の導入が決定したのを機に笑い男はネットの闇にこつ然と姿を消した。

素子、駐車場に車を停めた荒巻の所へ車を走らせて来て、ナナオの捜査からはずれ警視総監の警護につくと荒巻に言う。

荒巻、許可する。
荒巻:パズとサイトーは少佐(素子)の掩護に回す。

ナナオの様子を見張るトグサとバトー。
まだ何も動きがない。

ナナオへ電話の着信。
ナナオ:はい。お世話になっております。
えっ?あの件ですか?ええまあ…おっしゃるとおり予想以上の反響を賜りまして。(メモ:どの件?→警視総監への脅迫はナナオがやったと考えてかけてきた電話に、そのまま乗った?)

ナナオ独り言:あの犯行予告、俺がやったんじゃないんだけどな。まっ、あと少しで終わるんだし。

警察の式典(メモ:何の式典?)たくさんの記者たち。素子たちもいる。パトカーに挟まれて到着する車。総監が乗っている。

ナナオのいる部屋のとなりで監視している刑事たち、しびれを切らす。そこには深見もいる。

イシカワ、ナナオについてのリサーチについて電脳通信で荒巻などに報告。ナナオの犯行当時の行動は彼が笑い男である可能性を十分裏付けるが、当時のナナオを知る者たちの証言にいくつか不自然なところがあり、明らかに上書きされた記録で、巧妙な記録の改ざん。

荒巻、バトーにナナオ確保を指示するが、バトーとトグサが乗り込むと、椅子にはダッチワイフが座っている。

笑うナナオ。
ナナオ:俺は初めからそっちにはいねえんだよ。

バトー、モニターにダッチワイフと自分の映像が表示されているのを見て、そこにいる刑事の目にインターセプターが仕込まれていると気づく。

素子、定時連絡のノイズは断片化された遅効性ウイルスと(事前に)気づく。

バトー、発信先をトレースする。

ナナオ、スタートコマンドを走らせる。

◾️(1-6話)
バトーたちの様子を、その場にいる刑事の目のインターセプターの映像で見ているナナオ。何者かがその部屋のドアを開けて入ってくる。

式典会場。
警護官(SP)の電脳通信:電脳汚染の可能性が発生した。略 周囲の人間の行動に注意しろ。

会場にいる素子が電脳通信で課長に報告。分散型ウイルスを確認したが、発症対象者は定時連絡のノイズから考えてもSPの中の誰か。リモート電波の存在はなし。恐らく自走プログラム。

9課の人間やタチコマがスタンバっている。

バトーとトグサ、ナナオを居場所を割り出し、向かう。

ナナオ、送信完了する。
ナナオ、先程入ってきた人物に、あんたの言ったとおり、自宅からウイルスを送っていたら先走った刑事にウイルスがそろう前に捕まるところだったと言う。
ナナオ:でもあんたここに来るのがちょっと早すぎやしないか?予定じゃ部屋の端末に残した転送記録から刑事がここを割り出して逃走する俺を逮捕って筋書きじゃなかったっけ?

ナナオ、入ってきた人物に銃を向けられ、殺される。視聴者からは顔のシミから深見と分かる。

式典会場
総監が壇上に上がると、そばの警護官の一人が総監に襲いかかる。

素子と9課のメンバーが抑え込む。

素子、発症し倒れている警護官の端子に接続し、電脳をチェック。誰かがオンラインでウイルスをコピーしている。
攻性防壁にやられるが身代わり防壁を通していたため自分は影響なし。
素子モノローグ:誰なんだ?こいつの脳をのぞいていた奴は。

ナナオの部屋(770号室)に到着したバトーとトグサ。殺されているナナオを発見。
トグサ:どういうことなんだ。こいつを特捜に釣り上げさせて笑い男事件の幕を引く算段じゃなかったのかよ。
バトー:これもトカゲの尻尾切りかもな。

報告を聞いて悔しがる荒巻。

会場の素子が、ナナオの送り込んだと思われるウイルスのコピーを9課に送り、ワクチンを作ることを依頼。荒巻、メンバーに指示。

会場で騒ぎ。総監を襲おうとする者が続出。総監撃たれる。急所は外した。
素子、警護官に、地下駐車場に救急車を手配させ、総監を地下に連れて行く。

ボーマ、ワクチンを組み上げたが、今の状況を引き起こしてるのは、どうもこいつじゃなさそうだ、と言う。

素子モノローグ:じゃあ一体何なの?

駐車場周辺でも総監を襲おうとする者が次から次へと現れるが全て阻止。ようやく総監は救急車に乗せられて出る。

捕まった者たちの取り調べ。
自分が笑い男だと言う者、啓示を受けたと主張する者。

素子、刑事から報告を受ける。
洗脳を受けた形跡やウイルスなどの電脳汚染の可能性なども発見されなかった。

大堂警視総監の入院先に行こうとしている荒巻に、素子も合流。
荒巻、大堂警視総監は入院したまま任期を満了することなく退職し、事件は笑い男と目されていた”ナナオ=A”の組み上げたウイルスによる同時多発電脳汚染で、ナナオは犯行グループ内で何らかのトラブルにより殺されたと警察は発表し、特捜本部は引き続き捜査を続行していく方針、と言う見込みを説明。
素子:茶番劇とは思えないほど見事な幕引きね。

車で出る。

素子、式典会場周辺で不審な行動を取っていて逮捕された者を含めれば39名にも及ぶ笑い男の模倣者達がいったい何だったと思うか荒巻に聞く。

素子:確かに課長の言うとおり、”ナナオ=A”をおとり(デコイ)とした警察内部による隠蔽工作は存在したと思うわ。でも模倣者たちによる事件は全く別の要因によって引き起こされた気がしてならないの。

病室で誰かと電話する総監。

荒巻と素子、総監の面会謝絶の病室へ入る。
荒巻:略 ところでアムステルダムの夏はここより過ごしやすいと聞いていますが?
荒巻、何かのファイルをベッドに放り投げ、公安9課は今後、笑い男事件の真相を究明するべく独自の捜査を開始し、捜査が始まりしだい総監にはセラノとの金の流れなどでお伺いいたしたいことが多々あると伝える。

荒巻と素子が帰る途中、笑い男のマークを背中にあしらったジャンパーを着ている人がいる。両親に連れられた子供がかけているかばんに笑い男のマークがついている。

素子:全てが同じ色に染まっている。
荒巻:ああ…

荒巻:わしは元々笑い男事件には実態のある犯人は存在しないのではないかと考えている。略 そして模倣者たちもこの現象が引き寄せたスタンド・アローンの複合体であり、所詮はオリジナルのないコピーなのだと。
素子:笑い男のオリジナルは存在しないと?

素子、SPの脳に潜ったとき誰が覗いていたのかと考える。

メモ:笑い男とは関係ないエピソードが2つ入る)

◾️(1-9話)
(バーチャルチャットの回)
笑い男の6年ぶりの復活に驚き血が騒いだと話題にするネットマスターオンバと他の参加者たち。

素子のアバターのクロマも入ってくる。

クロマ、2つの事件(6年前の誘拐と今回の暗殺予告)だけが同一の才能を持った犯人によって引き起こされたと考えており、他のものは英雄の不在が作り出したコピーでしかない。ただそのきっかけを作った2つの事件の犯人も、オリジナルであるかどうかは疑わしい、と言う。

オンバ、クロマ(素子)を指差し:おねえさん、鋭い!

クロマ(素子)、図書館のような空間に強制転送される。
メモ:これはアオイが転送したと思われる)

オンバ:ああっ、なんで?今いいところなんだよ。もうちょっとつながっててもいいでしょ?ああん、ケチ。
オンバ、通路に引き入れられる。

解説メモ
総監暗殺予告とパーティでの事件に興奮したオンバ少年が授産施設(後述)からチャットルームに入り、そのことを話題にした。しかしある女(クロマ=素子のアバター)が参加してきて事件のことを説明したことに対してオンバが認めるような発言をしてしまったため、クロマもオンバも強制的に、チャットルームからアオイの職場(図書館)のバーチャル版である空間に強制転送され、オンバは引き戻された、ということだと思われる。

クロマの前にアオイと思われるフードを被った人物がたちはだかる。

車を運転中の素子。
素子独り言:チッ、トレースできなかったか。

(1-10関係ないエピソード)

◾️(1-11話)
法務省管轄の授産施設(このストーリーでは、重度の電脳閉殻症患者を一時的に隔離して社会に出るための訓練を促す施設)から先週厚生労働省のデータベースに大規模なハッキングが仕掛けられ、最高機密も漏れた。

そのため、トグサ、研修生として潜入捜査に入る。

施設に行くと誰もいない。見て回る。少年がデスクの下にいる。
オンバ(少年):つなぐんだ。今日は僕がつなぐんだ。

所長(女性)のマルタ現れトグサに自己紹介する。
マルタ、少年に、だめでしょう?今はみんなで作業する時間よ、と言う。
少年、バーチャルシティαに行くよ、僕がつなぐ日だよ、と言って泣く。
係員達が捕まえようとすると、電脳の防壁が小さく爆発し(少年がやったと思われる)少年が逃げるが、ごついサイボーグが少年を気絶させ抱える。

マルタ、トグサを案内する。職業訓練として防壁迷路をプログラムしたり解体したりする通路のような部屋。

車椅子?に座っているアオイ少年の担当になる。紹介される。

部屋に行くと、窓には金属の網がはられている。

オンバ少年が走ってくる。ねえねえ!また来るってよ、団長が。
黒羽少年(人物の表記なし):本当か?
オンバ(人物の表記なし):うん、さっき知らせがあったんだ。

トグサ:その団長ってのは誰だい?
オンバ少年、トグサを指差し:あ、おじさん鋭い。

解説メモ
ここのオンバ少年は、チャットルームのオンバと同一人物であることがわかります。相手の発言に対して相手を指差しながら、「鋭い」と言う癖が同じです。

解説メモ
団長とはアオイであり、そこにアオイはいます。時々現れる別人格として認識されていることがわかります。

外で青心工機の名前を印刷したトラックで待つ素子とバトー(とアシスタントアンドロイド)

トグサからようやく連絡。サーバー室と思われる部屋で、不正にネットにアクセスしている。

トグサ、この施設は閉殻症患者を使って防壁迷路をプログラムさせたり逆にそれを解体させたりしており、そうした技術を利用している者がいるとすれば厚生省へのハッキングの手際のよさも説明がつくのではないか。しかし犯人のメドは立っていない。やたらと重装備のサイボーグがいたりで妙な施設だと報告。

トグサ、線を抜くが、誰かがそこを不正に使用している痕跡を見つける。壁のメモを見つける。「僕は耳と目を閉じ口をつぐんだ人間になろうと考えた。が、ならざるべきか。」そのメモは油絵の具で書かれていた。

所長が福祉事業の懇談会に出かけたタイミングでトグサ、アオイの車椅子を廊下におき、所長の部屋のドアロックを外して入りデータを閲覧するが特に何もない。
戻って来た所長に見つかる。サイボーグとやり合う。トグサ、隠し持っていた拳銃で撃つが、後ろにいた所長に木の棒?で殴られ気絶する。所長、トグサの電脳に有線でアクセスし、公安9課とわかるが、何者かによって焼かれ、倒れる。アオイはその間、車椅子で見ていたが、立ち上がる。

外で待つ素子達のアンドロイドオペレーターが、施設内の端末が一斉にオンライン状態になったと報告する。
アンドロイド:こちらのアクセスコードを解凍しようとしてます。
バトー:内偵がバレた?
素子:分からん。すぐに回線を切れ。
アンドロイド、回線?を焼かれる
素子とバトー、塀を飛び越えて侵入する。

施設内の少年たち。
オンバ:やった!のぞき屋のAIを焼いてやったぞ!

アオイ、他の少年に、外の人間に気づかれたからみんなの記憶を消して出ていくと言う。

黒羽:そうか…。ヴァーチャルシティαから君を応援することも二度とできないんだな。

解説メモ
ここではセリフの字幕に(アオイ)と記載されていますが、黒羽少年は「団長」と呼んでいます。アオイと団長は同一人物(周りの少年達は別人格と認識)であるとわかります。

素子とバトー、施設内に侵入している。
部屋の中で倒れているトグサを発見する。そばには銃で撃たれたごついアンドロイドが倒れている。トグサを起こそうとするが起きない。

シーンと時間変わる。9課

アオイという青年が実在した証拠は見つからず、少女が描いていたという似顔絵も発見できなかった。施設のコンピューターや職員たちの記憶が改ざんされた可能性はあるが不明。トグサ、報告書代わりに似顔絵を描いて持ってくるが、そのスケッチには笑い男のマーク。

1-12関係ない話題
1-13関係ない話題
1-14関係ない話題
1-15関係ない話題
1-16関係ない話題
1-17関係ない話題
1-18関係ない話題
1-19関係ない話題

◾️(1-20話)
大きな資料室(保管庫)。後のシーンから、ここは厚生労働省の資料室だと分かる。

清掃員と思われる女がケースから「村井ワクチン接種者リスト」というタイトルのファイルを出しゴミカーゴに入れて運びそのまま夜の公園に来てしまう。女、ファイルを手にとって、あらやだと言い、そのファイルをゴミ箱の上に置いて立ち去る。誰かの手がそのファイルに置かれる。

9課。笑い男事件と厚生労働省の関係を疑うトグサと、捜査には見返りが必要と言う荒牧。

トグサの家。付箋だらけの「ライ麦畑でつかまえて」の本が置かれている。

トグサ、湯気の着いた鏡に笑い男のマークを書き、施設で見たメモとサリンジャーの小説の一節を思い巡らせ何かに気づき、素子に相談。

トグサ、授産施設で会った青年が本物の笑い男のような気がしてならない、と素子に言う。そこで見た「ライ麦畑でつかまえて」からの引用「耳と目を閉じ口をつぐんだ人間になろうと考えたんだ」には、”or should I?”(だがならざるべきか?) と書き加えられていた。再び世に出ていくべきかという彼自身の自問自答だったのではないか、と話す。

トグサ、笑い男は特A級のハッキングテクニックがありながら瀬良野社長を直接誘拐したり銃を持ち出したり、アナクロな行動が目立った犯罪者で、書き換えが可能な電子情報に何ら価値を見出しておらず、紙媒体での資料を狙っていたのではないかと言う。

素子、了承し、課長には私から言っておく、と言う。

厚生労働省の資料室で調べるトグサ。
コーヒーを持ってくるフィービー(厚生労働省の職員で知り合い?)
村井ワクチン接種者リストだけがなくなっていることに気づく。

フィービー、村井ワクチンについて聞かれ、電脳硬化症に効果があり、発表された当時はマイクロマシン療法がまだ実用化されていなかったから話題になったがメカニズムがよく分からず医薬品としての認可は下りなかったことを説明する。

トグサ:で、そのワクチンの接種者リストが紛失している。

トグサ、そのファイルに価値を見出しそうな人の心当たりを尋ね、”ひまわりの会”を指摘される。

メモ
フィービーとトグサの妻はやや似ています。こういう感じの女性が好き又は信頼するのだと分かります。

トグサのモノローグで電脳硬化症の説明。
リサーチしている。ひまわりの会のマークは笑い男のマークに似ていることに気づく。

トグサ、ひまわりの会の事務所にフリーのジャーナリストとして訪れ、数カ月前に父が電脳硬化症で他界したと嘘を言う。
ひまわりの会の男、ファイルを手に入れたと言って、村井ワクチン接種者リストを鍵付きの書棚から出して中を見せる。

トグサ:村井ワクチンを不認可にした理事長本人がそのワクチンに頼ってるんですか。

電気が消えプロの殺し屋が来る。トグサ、先兵を倒し電脳を探る。
トグサ、連中は厚生省の関係者だと言いファイルをひまわりの会の男に渡しすぐに逃げてくださいと締め出し自分は殺し屋を迎えるがケガを負い逃げる。男は殺し屋たちに殺されファイルは奪われる。
しかし殺し屋、それがコピーだと気づく。発送元は今来栖。

新見が今来栖を問い詰める

トグサは倒れる。

◾️(1-21話)
素子と荒巻が病室に飛び込んでくる。トグサがベッドの上で横たわっている。
トグサ:俺の記憶見てください。やっぱり厚生省です。

医師の反対をおして、トグサの電脳からここ16時間分の記憶を抜き出し、素子がそのデータに潜る。

素子たちが状況を整理して語る。
トグサは授産施設からハッキングしていた者がペーパーメディアを狙っていたと推理し厚生省に通い詰め、膨大な資料の中から失われたリストの存在を見つけた。”村井ワクチン”の接種者リスト。リストを必要としていた”ひまわりの会”に足を運んだトグサはそこで襲撃に遭った。
トグサをやったのは麻取り(まとり)で、凶悪犯罪専門の強制介入班が民間人相手に虐殺をやったと怒りを露わにするバトー。
目的はファイルの強奪か抹消か?今来栖なる人物の名前の記載がこの顛末の原因。

9課、今来栖をリサーチする。
元中央薬事審議会理事長、今来栖尚。電脳硬化症の権威で日本医師会会長。審議会の理事を退いた今でも厚生省と太いパイプを持つと言われる。

素子は今来栖のところへ。
バトーとイシカワは引き続き記憶の解析。

荒巻は強制介入班が動いた経緯をあたり、新見(にいみ)のところへ。ひまわりの会掃討作戦は麻取りの所長を飛び越え新見から命令が出ていたことを追求。新見しらばっくれる。荒巻の退出後新見はゲイル(ひまわりの会を襲撃したサイボーグ)へ連絡。そのゲイルは今来栖宅に押し入っている最中。
ゲイル、以前からお願いしていた例のものが必要になる、と伝え、新見、望みどおりの物を手配する、と答える。

素子たちが今来栖宅に着いたときには家が完全にバラバラにされている。

素子:始まりののろしか。

今来栖は何らかの通信手段を使う可能性が高い。米帝の国家偵察局に依頼し、環衛生通信傍受網(ビッグブラザー)を使用。日本中の通信をリアルタイムで傍受できる。

オペレーターアンドロイドが多量にコントロールルームへ入り端末に向かう。

その今来栖のそばに笑い男(ボーイの電脳を乗っ取っている)がいる。
今来栖:ファイルを盗んだのはお前なのに…これじゃあ私が裏切ったと思われても仕方がない。

笑い男(字幕の記述は「笑い男」になっているが、ボーイの電脳を乗っ取ったアオイ):僕は、MM(マイクロマシン)医療の裏側で何が起きていたのかを暴くまでは、もう諦めないと決めたんです。
今来栖:青いなお前は。(メモ 観客に対して、彼がアオイであることとかけている?)

今来栖はワクチンを認可しなかったことの正当性を語るが、当時今来栖が理事を務めていたMM(マイクロマシン)インダストリー社も、セラノ同様、書類の提出から1ヵ月で認可が下り、電脳硬化症に対して何の効果もないタンパク質の粒で年間1兆円もの利益を上げた。これは明らかに国家主導で行われた詐欺行為だと指摘。

MM(マイクロマシン)も今はある程度の効果を上げていると語る今来栖に、なら、なぜあなたはMM(マイクロマシン)で自分を治療しないんですか?と指摘し、言葉に詰まる今来栖。

今来栖:私だって生涯をかけて電脳硬化症を治療してみせるという自負はあったんだ。それを村井に…。
笑い男:先を越されてしまった。嫉妬ですか?あなたは村井ワクチン潰しのためにわざわざ不認可の印鑑まで作らせたそうですね。そのクソ小さなプライドを利用して、彼らは今の地位にのさばっている。 

今来栖の電脳に侵入するのでは意味がなく、自らの意思で事実を公表してください、と言うアオイ。

今来栖:そこまで正義感をむき出しにするお前が、なぜあれほどの企業テロを起こして大金をせしめた?
笑い男:僕は自分のことを”笑い男”なんて名乗ったことは一度もありません。それに、あの企業テロで金を奪った奴は他にいる。
今来栖:まさか…
笑い男:お察しのとおりです。いいですか、彼らを法の下で裁くためには、あなたの証言の他にもう1つ手札がいる。

笑い男、電脳を乗っ取ったボーイからログアウトする。ボーイ、意識を取り戻す。今来栖、ボーイに、近くの公衆端末はあるか聞く。

入院中でベッドで寝ているトグサと、それを窓の外から見る妻。

今来栖、外の公衆端末から電話する。
ビッグブラザー(環衛生通信傍受網)が、「今来栖」というワードを検知。場所は港北カントリークラブを突き止め、本人と特定。バトーがヘリで向かう。

新見から連絡を受けたゲイルも、部下達と自分はパワードアーマー(作中ではアームスーツと表現)に乗り込みながら今来栖のところへ向かう。

同時に現場に着くが、バトーはヘリから今来栖の部屋のガラスを破って入る。

素子も到着、しかしゲイルの乗り込んだパワードアーマーがいる。

素子、パワードアーマーは自分がひきうけ、バトーに今来栖を連れ出させる。

パズ、もう少しで到着。その車の横を笑い男(実物のアオイ本人)が走って来ている。
素子、パワードアーマーに捕まり踏まれ地面にめり込むが、パズの巨大ライフル?による射撃でパワードアーマーが怯んだスキに、そのライフルを受け取り、ゲイルの入っているパワードアーマーの装甲がめり込むまで何度も撃つ。

バトーがヘリに今来栖を乗せる直前、笑い男が到着し、引き寄せられるように今来栖はそちらへ行く。笑い男と今来栖のところへバトーが近づく時、そばの車から今来栖撃たれる。車走り去る。

今来栖が笑い男、と呼んだことで、バトー、初めてその青年と出会う。アオイ、村井ワクチン接種者リストをバトーに渡し、バトーの目を盗み自分を見えなくし、去る。

◾️(1-22話)
新見のところへ荒巻が来る。
荒巻:新見局長、”ひまわりの会”一斉捜査時における殺人並びに今来栖尚殺害教唆の容疑で逮捕状が出ております。ご同行願えますかな。

連行する。

荒巻:わしは一旦本部に戻る。ボーマは新見の取り調べに同行しろ。パズは麻薬取締局の人事課に行き、介入班の残党を洗い出せ。

エレベーターに乗った荒巻のところへ神崎議員が乗り込んでくる。
神崎:娘の件では世話になったな。(メモ:別のエピソード19話)略 これを機に一気に事件の真相へ攻め込むつもりのようだが、君は新見の上を誰だと考えている?
荒巻:それはお答えできません。
神崎:略 薬島幹事長か?
荒巻答えない。
神崎:図星か。気をつけろよ。あの人はいざとなったら怖い後ろ盾を持っているからな。あまり知られてはおらんが海軍にめっぽう顔の利く人だ。
荒巻:ご忠告感謝します。
神崎降りていく。

荒巻、電脳通信でバトーに、ファイルを持っていた男は消された薬と笑い男事件のつながりを知ると思われる重要参考人だから早急に目星をつけろ、と言う。

もうひとつ、強化外骨格の出どころの件だが気になる情報がある。本部で詳細を話す。

そのバトーはトグサの病室にいる。去り際にトグサに、村井ワクチン接種者リストを渡す。

パズは麻薬取締局の人事課で強制介入班の構成員名簿を受け取る。

車で駐車場に来た荒巻のところへ記者が来て、荒巻の兄が麻薬密売の容疑で逮捕され自身も重度の麻薬中毒症で、警察病院収容されていると言って写真を見せつつ質問してくる。
荒巻、戦時中に行方不明になってからは一度も会っていないと言い、写真を奪い、車で走り去る。

パワードアーマーとやりあったため義体施設?メーカー?で義体交換しようと準備している素子。

荒巻、どこかの建物に到着し、兄に面会したいと掛け合うが、規則で面会させるわけにはいかないと言われる。荒巻去る。

義体の担当医サノーが来る。(妙にケバい女)

9課で荒巻を待つバトーとイシカワ。遅い。イシカワがリサーチし、荒巻は一旦戻って来ているが、駐車場から新聞記者の身分照合をかけたあと、自閉モードにし、車は招慰難民居住区にあることを知る。バトー、様子見てくると行って出かける。

招慰難民居住区で、荒巻を兄と似ているためすぐ分かったと言って男たちが話しかけてくる。しかし兄洋輔は、昨日警察に連れていかれたと言う。
荒巻:何があったのか聞かせてもらえないか。
男たち、無言で案内する。

バトー、荒巻の車を見つける。
現場の様子の監視カメラ映像のノイズをイシカワが外す。同時に、パズから介入班の残党3名の現在の顔が割れ、データ一式送られてくる。

男たちに兄の様子を聞き兄が連れて行かれた時の録画を見たあと荒巻が帰ろうとした時、その男たちにおそわれ、首に何か打たれ倒れる。

荒巻といる男たちと介入班の顔データが同じことに気づくイシカワと現場にいるバトー。
イシカワ:課長の奴完全にハメられたぞ。
バトーが荒巻の電脳に潜ると、麻薬を打たれたらしい。しかも所轄が麻薬密売の現行犯逮捕のために難民居住区に急行中。
バトー、慌てて向かう。

一方、介入班のもう一人の女(サノー)は、今まさに素子の義体交換の場所に医師としている。
素子の脳にハリを刺し、言語野を絞る。声を出せず、そもそも大声を出しても誰も助けに来てくれない状況。付き添っている素子の友人は寝ている。おそらくコーヒーに睡眠薬を入れられた。サノー、ハリで素子の視覚もオフにする。
しかしその後ろをアオイ(笑い男)が歩いてくる。

荒巻が倒れている場所に所轄が着く。
しかし、バトーが男2を気絶させ荒巻を連れて車で運びさる。

素子にアオイが話しかける。
アオイ、素子に自分の目を使わせその場の様子を見せるが、そのやりとりは介入班の女からはわからず見えない。
素子:あなた、笑い男ね?
アオイ、素子と話す。
アオイ(字幕は「笑い男」):あなたに笑い男事件の真相をすべて伝えます。
素子の電脳に自分の記憶を有線でコピーする。
介入班の女、素子の義体からハリが抜けているのに気づくが、新しい義体の素子が起動し蹴り飛ばされる。新しい素子が機械を捜査すると、新しい素子は倒れ、古い素子が起き上がる。

新見局長が電脳自殺を図った。

素子が荒巻を見舞う。
新見の電脳自殺の件と、荒巻の兄の件はすべて強制介入班の残党がでっち上げた偽装工作だったことを報告する。

◾️(1-23話)
大きな建物の周囲を偽装パトカーがまわる。
その建物へ笑い男(アオイ)が来る。

9課で話すメンバー。
素子、今後は課長の指示に従い現連合与党幹事長、薬島薫議員を攻めると言う。今や党内ナンバーワンの実力者で、笑い男事件発生当時の厚生大臣。電脳技術の管轄を通産省から厚生省へ移し、今の地位を築いた。しかも彼と海自との間にも黒いつながりがある。
アームスーツの出所(でどころ)はその辺りと課長はにらんでいる。

海上幕僚長だった薬島はかなりの額の支度金を持って政界入りしたが、その支度金の出所を巡って海自の経理担当官が機密費横領で薬島を告発。しかし担当検事が線路脇でれきしたいとなって発見され、捜査はストップ。疑惑は解明されないまま薬島は不起訴処分になっている。

荒巻、ドアを開け入ってきながら言い加える。引退した大堂警視総監は薬島と同じ防衛大の後輩であり、殺された今来栖は、軍医時代から薬島とは最も親密なゴルフ仲間だったそうだ。

今のところ証拠は一切ないが、一連の事件に関して薬島が裏で糸を引けば、すべてをやれるだけの後ろ盾は持ち合わせている。

素子:で、現役の幹事長をどうやって攻めるつもり?

荒巻、村井ワクチンの黙殺と、時を同じくして認可されたセラノのMM(マイクロマシン)療法の双方に深く関与していると思われるアーネスト瀬良野氏を勾引(こういん)し、直ちに事情聴取を行う。手段を選ぶな。今度こそ確実に保護しろ、と言う。

瀬良野邸
出社前?の瀬良野。車が到着したと連絡がある。
ノックが聞こえ、開いてるよ、と言うとアオイが入ってくる。
アオイ(字幕では笑い男となっている):6年前の約束を果たしてもらいに来ました。一緒に来ていただけますか。

監視する刑事にも監視カメラにも映らずアオイは瀬良野を伴い部屋から移動し車に乗り込む。後をつける覆面パトカーを巻く。

瀬良野邸に荒巻やバトーが着く。
警察官達に、奴に目を盗まれていたことを伝える。監視カメラの映像を確認し、監視カメラのAIはハッキングされてると言うバトー。警官のインターセプターの映像を確認するとアオイが写っている。

バトー:お前らの脳には瀬良野1人が通ったと記録されてるだろうがな、インターセプターにはしっかり奴の姿が映ってる。これが6年前の誘拐の真相だ。
荒巻、電脳通信で素子に瀬良野邸から半径3キロのIRシステムに潜って瀬良野氏の公用車を探させる。

車で移動している瀬良野とアオイ。
車を降り、道路沿いの商業ビルの2階のカフェで話す。
瀬良野:過酷な6年だった。君の脅迫から私を保護するというのが表向きの名目だが、実際には事件の真相について私が余計なことをしゃべらないように見張るのが目的だ。事実上軟禁だな。

6年前の回想。同じ場所(6年前瀬良野に銃を向けた様子がテレビに映った場所のそば)

アオイと瀬良野
私はMM(マイクロマシン)の開発者で薬事審議会の委員じゃない。村井ワクチン不認可には関係ない、と言う瀬良野。
アオイ、薬事審議会はいずれ挑戦していかなくてはいけないが、まずはあなたに御社のMMが硬化症に対してほとんど効果がないというデータを公表してほしい、と言う。

瀬良野、それはできない。3年前の脅迫メールに書かれていたとおり、あの時点でのMM療法は理論上のアイデアに過ぎなかった。だが特許とはそういうものだ。確実に到達可能な技術を先に登録することは何ら違法じゃない、と言う。

アオイ(字幕は笑い男となっている)、せめて確実な効果がMM療法に認められるまで村井ワクチンに可能性を譲ることはできないのか問うが、瀬良野、言えることは何もないと言う。自分が電脳硬化症になっても自分の子供が電脳硬化症になってもMM療法を選ぶ、と言う。

アオイ:本来、厚生省の窓口を通った新薬に認可の判を押すためだけにあったくそ審議会。その理事に就任した今来栖は村井ワクチンを潰すためにわざわざ不認可の判まで作った。そんな醜い足の引き合いにあなたのMMも利用されたんですよ。

アオイ、電脳通信でなく言葉で大声を上げ、まわりの人がこちらを見る。
瀬良野、観念したように、一旦拘束を解いて私を自由の身にしてくれ。その後準備が出来次第、マスコミを集めてMM療法の現状を発表する、と言う。 

現在の瀬良野:あの時君の脳潜入に疲れ切っていた私はその場を逃れたい一心でそう約束した。そして聴衆の目があるTVカメラの前まで行けば君もこれ以上の無茶はしまいと考えていた。
現在のアオイ:でも運悪く僕のポケットにはS&Wのチーフ(メモ:拳銃)が入っていた。

過去の瀬良野、脳潜入を解いてくれないかと言い、解かれた途端、企業を守る者として約束を守ることはできないかもしれん。今はここで別れようと言って去ろうとする。
笑い男、銃をとりだし、銃口を瀬良野に向ける。
笑い男:そいつはずるいな!(メモ、ここから、録画されているTV映像の場面)
そばの女性、悲鳴を上げる。
笑い男、銃口を向けながら瀬良野を掴み、テレビカメラに向かう。
笑い男:だったら今、あのカメラの前で真実を語ってください。
瀬良野:やめろ、君には撃てんよ。
笑い男:どうかな。
笑い男、瀬良野を小突き倒す。
カメラが笑い男の顔にズームインすると、それに気づいた笑い男、ハッキングし、自分の顔に笑い男のマークを乗せる。

回想から戻る(映像は当時のまま)
瀬良野、あのあと警察に保護され、君との2日間が、世間を騒がす重大な誘拐事件に発展していたことを面会に来た専務から聞かされて知った、と説明。
(映像では笑い男逃げる)

(映像も回想から戻る)
瀬良野、説明する。最初に君と家を出た直後にはすでに社のほうへ膨大な身代金要求がされていたことも知ったが君がそんな要求をしたとは到底信じられなかった。
警察は君を身代金目的の誘拐犯と断定し、私に何か心当たりはないかと尋問を繰り返したが、自分と専務は一切思い当たる節がないと言い張ることに決めた。自社のMMの不備が追求されるような事態を招いてはならないと。

アオイ:そして、そののちのMMへの殺人ウイルス混入事件ですね。
瀬良野:そうだ。私はMM療法を認可されてその気になっていた自分に怒りを覚えるとともに、君を心底呪った。だがあれは君じやなかったんだろ?世の中に潜む悪は我々が想像しているようなレベルをはるかに超えてそこにいる。

瀬良野、続けて説明。殺人ウイルス混入事件で破綻寸前まで追い込まれた我々脅迫企業に対し、公的資金が導入されたその後の顛末。

暴落していた株価が徐々に戻り始めたのと時を同じくしてある代議士の私設後援会会員を名乗る男が我々の元を訪れ、企業脅迫をやめさせることができる人物を知っているのでもし無事に犯行終結宣言が出された暁にはその代議士に献金してくれないかと言ってきた。提示されたのは公的資金と脅迫された要求金額を合わせた額だった。
(映像では、その男がと話す瀬良野と専務。受け取った名刺を専務がしまおうとすると、男はそれを制し、また取り戻す)

彼らは君が引き起こした事件を模倣し続けることで、”笑い男”という虚像を作り出し実在しない犯人の影をちらつかせて株価を操り、うち以外の企業からも金を奪った。それ以前に株の空売りだけでも相当の額を手にしているはずだがね。

アオイ:その代議士とは薬島幹事長ですか。
瀬良野:知っていたのか。

アオイ:ねえ瀬良野さん、彼らがそうするなら僕がオリジナルの笑い男になって薬島のインチキを白日の下にさらさなきゃ。
瀬良野:私も君が姿を見せたことで決心がついたよ。彼を告発するために必要な証拠は少ないが私も君の模倣者になって戦おう。

武装した警官部隊が配置につく。
荒牧、突入を指示。
部隊、カフェに突入する。瀬良野しかいないがを確保する。
裏道を歩く笑い男。
バトーに、大した演技だな、と話しかけられ、アオイ(笑い男)がフードを取ると素子。(メモ:と言うことは、今回瀬良野邸に入り込み誘拐したのは素子ということ?。1-23前半で、荒牧が瀬良野保護を指示し、手段を選ぶな、と言っている。しかし、瀬良野が連れ去られたあと、荒牧とバトーが瀬良野邸に来て、素子に瀬良野氏の公用車を探せと指示をしている。)

バトー:薬島と瀬良野のつながりとやらはつかめたんだろうな。
素子:ええ。笑い男から聞かされたことも本当だったわ。これで瀬良野氏も決心をしたはずよ。いけるわ。

◾️(1-24話)
9課。トグサが荒巻に呼ばれた。お前はわしとともに首相官邸に行ってもらう。

トグサと荒牧が車に乗り込むと、内務大臣から緊急通信。チャンネル33をすぐに見たまえ、と言う。
見ると、9課のメンバーが瀬良野氏の誘拐未遂に関与か、というニュースをやっている。
アナウンサー:公安9課は内務省に編成された国際救助隊として認知されている組織ですが、かねてより、独自の権限による過度の情報収集や武力行使が懸念されていました。今回の事件から公安9課は、2024年に起きた一連の笑い男事件についても、関与していた可能性が高く、、、

内務大臣:私は臨時閣議に呼ばれている。とんだとばっちりだよ。君もすぐに来たまえ。

トグサ:情報が事前に漏れていたってことですか?
荒巻:慌てるな。作戦が動き始めたまでだ。わしらは予定どおり首相官邸に向かう。
トグサがエンジンをかける。荒巻、電脳通信で素子に、どこから作戦が漏れたか調査を指示。

官邸では、官房長官、総理大臣、内務大臣、防衛大臣、外務大臣で、公安課の必要性について話し合われている。

そこへドアがノックされ、総理大臣が耳打ちされ、席を離れる。

総理大臣が行くと、荒巻が待っている。荒巻、薬島幹事長に関わる重大な極秘文書だと言ってファイルを渡す。
ファイルを見る総理。
総理:この金の流れについて事態を把握している者は君以外では誰かね?
荒巻:それをお読みになった総理と、幹事長告発を決意した瀬良野氏、あとは私の部下だけです。
総理大臣…薬島さんに対してはしかるべきタイミングで処置を取るが今回は国民とマスコミに花を持たせたい。薬島さんほどの人を切るとなるとこちらにもそれなりの犠牲が出るのはやむをえん、と言う。
総理大臣:特殊部隊(規制)法案の施行だよ。
荒巻:それは9課を捨てろと?
総理大臣:そうは言っておらん。略 手はずは私が整える。君は部下を招集しておきたまえ。

外の車で待つトグサ。荒巻が来て乗り込む。車を法務省へ向けろ。
トグサがエンジンをかける。
荒巻電脳通信で素子に、メンバーを全員9課に集合させろ。
素子:他に命令は?
荒巻:死ぬな。必ず生き延びろ。

航空母艦から攻撃ヘリコプターが飛び立つ。アームスーツも格納される。
大佐:敵は思考戦車9機を所有している。3班4班は上空から降下しヘリポートからハンガーに潜入。最優先で戦車を撃破しろ。5班6班は迅速に7名の主要メンバーを捕獲。施設全体を制圧する。各員突入後は自閉しろ。敵は情報戦に長けている。力でねじ伏せるぞ。

戦闘ヘリ飛び立つ。

トグサの運転する車、尾行されている。まこうとするが捕まる。銃口を向けられる。

男(荒巻に):お迎えに上がりました。あなたにはまだやっていただくことが残っています。
荒巻:この短時間ですべての手はずを整えるとは、総理の手腕はさすがですな。
男:今ごろは9課も制圧されていることでしょう。
トグサ:何だって?
トグサ、車に叩きつけられる。
荒巻、どういうことか問うトグサには答えず、連行される。

バトーが車で9課のあるピルの駐車場に着くが、いつもと様子が違うことに気づく。
バトー:それにこの招集…何だか妙だな。
素子:略 至急簡易義体を6体用意して司令室に運べ。

一体これはどういうことなんだと問うイシカワとパズに、素子、この種を渡しておく。ここを出たら中の情報をメディアに流して芽吹かせろ。幹事長更迭には世論の後押しが必要だ。
と言って小さいチップのようなものを渡す。

9課のあるビルに、戦闘ヘリが近づく。アームスーツと特殊部隊が降り立つ。

バトーとボーマが司令室に簡易義体を運び込む。
素子:さっき課長から暗号通信を受けた。もうじきここを軍の特殊部隊が制圧しに来るだろう。
バトー:やっぱり特殊部隊規制法案が施行されたか。

爆発音。

素子:できるだけ時間稼ぎをしたらここを閉めるぞ。

防護シャッターを爆破して侵入してくる。バトー達、武器で迎え撃つ。

大佐:2班援護に回れ。強化外骨格でいっきに畳み込む。
素子:後退するぞ。あの装甲じゃいくら撃っても足止めにならない。
イシカワ:どこの部隊だ?かなりの手練だな。
バトー:あれは”海坊主”だ。略 根室奪還作戦に参加してな。裏の世界じゃ有名よ。存在しないことになってるから正式な名称はねえがな。

素子、自爆装置?をセットし、皆脱出。

特殊部隊が切断トーチを使って分厚い扉を開けると、ちょうど爆発する。

大佐:状況を確認しろ。負傷者の収容を急げ。

部屋の中に焼けてボロボロになった義体が転がっている。
兵士4:9課の人間が自爆を試みたようです。
大佐:自決と見せかける偽装の可能性を考慮しろ。

老人ホームで老人たちの世話をするタチコマ。
職員1:頑張ってますねタチコマちゃん。働き者だし、おじいちゃんたちともすぐ仲良くなってくれたし。
職員たちは元々何をするロボットだったか知らない。
テレビのニュースで、軍の特殊部隊が9課の施設へ突入した様子を報道している。
タチコマ:これって、9課じゃないか

ポールで降りて集まる9課のメンバー。
素子:課長は私に”死なずに生き延びろ”と言った。私も同意見よ。ここからは3方向に分かれ追っ手を分散させる。その後は各自ばらばらに散って街に潜伏しろ。公安9課は本日をもって解散する。以上だ。

特殊部隊。
兵士1:損傷が激しいですが、恐らく6名の死体と思われます。電脳の使用痕跡も解析中です。
大佐:偽装工作を想定し、エレベーターシャフト、排気口下水など、考えられるすべての通路を封鎖しろ。

素子とバトー、地下の通路を歩く。少し感傷的になるバトーと、平然としている素子。外の裏道に出る。
素子:ここを抜けたら二度と連絡は取れない。再び出会ったとしても今の私ではないかもしれない。バトーも自分が生き延びることを第一に考えなさい。
素子、走り去る。

警察署に捕まり取り調べを受けているトグサ。9課が笑い男事件と関わりがある前提の取り調べと否定するトグサの話は噛み合わない。

パズとボーマ、分かれるが、ボーマを追う光学迷彩をした人物たち。銃声がする。

パズ、以前素子が来た情報屋のバーに入るが、捜査官に捕まり連行される。
バーの男(オーナー兼バーテン)、パズの吸い残しのタバコを消し、中からチップを取り出す。

施設で働いているタチコマ。ポッドで寝るお年寄りたちを点検する。箱を見つける。

ヘリコプター脇で電話?している大佐
大佐:どういうことです?アームスーツ隊を撤収させろとは。万全を期さずに倒せる相手ではありません。
男性(電話相手):制圧は確認した。現時点でこれ以上目立つ動きをすることは得策ではない。
大佐:分かりました。
電話切る。
メモ:表向き制圧した印象になりさえすればいいという上の指示?)

大佐指示:アームスーツを2機残してあとは撤収させろ。
兵士:了解。しかし…
大佐:全機戻せとは言われていない。

バトー、高速道路下の仮設住居に行く。武器を取り出し、立ち去る。

◾️(1-25話)
バトー、山の斜面のコンクリート造りの家のベランダにひそみ、スコープで周りを伺う。

荒巻、何かを待つ。車が止まる。
法務大臣:貴様が法務省の存在を覚えていたとは光栄だな。
荒巻、無言で乗り込み車出る。
法務大臣:しかし今回は災難だったな。心中察するよ。
荒巻:表向き9課は壊滅させたが部下たちは依然逃亡中だ。守りたいのは彼ら自身であって9課の看板ではない。これで委員会を説得できるか?
荒巻、ファイルを渡す。法務大臣、中を見る。
法務大臣:委員会を説得できても総理を懐柔させるのは無理だろう。衆院選が一段落しないことにはな。今は薬島をかばい再選後幹事長を更迭。メディアにはスクープを、国民には幻想的社会正義をそれぞれ与える。総理の描くシナリオはそんなところだな。
荒巻:彼らと引き換えにか?
法務大臣:お前さえ残れば組織は蘇る。このまま9課と心中することはない。
荒巻:今を逃せば二度とあれほどのメンバーをそろえることはできまい。彼らなくして9課の再建はありえんよ。止めてくれ。
荒巻降りる
法務大臣:薬島の力は大きい。検察とて薬島立件は悲願だろうが、所詮は国家あっての検察だ。

荒巻、ファイルを置いていく。
ドアが閉まり、車出る。

施設の屋上ででシーツを干しているタチコマ。
タチコマ1:9課のニュースが気になるなぁ。
男性(老人):戦況は悪化しておる。
昨日爆発した建物で暮らしていたことを話すタチコマに、老人、筒状のもの(榴弾)を渡す。タチコマ、お礼を言って、僕行くよ、と言って柵を超える。

マンホールのフタを開けて出てくるスナイパーサイトー。その手や体に狙撃の赤いポイントが当たる。囲まれ、両手を上げる。

パチンコISHIKAWA(メモ:イシカワ経営?)でパチンコするイシカワ。ヘッドマウントディスプレイ式のパチンコ屋。ネットにアクセスするが、特殊部隊が入ってくる。
客たち外に出される。
大佐:証拠品の押収にかかれ。隊員達入っていく。
イシカワ、何かの作業終わる。
パチンコ屋が爆発する。
イシカワ独り言:借りは返したぞ
イシカワ、混乱に乗じて他の客たちにまぎれて立ち去ろうとするが、大佐に止められる。

手錠をかけられ、殴り倒されるイシカワ。

大佐に電脳通信兵士3:セーフハウスに張っていた網に獲物がかかったようです。義眼の大男の方です。アームスーツを向かわせる。

廃墟にいるタチコマ。天然オイルがおいてある。別のタチコマ達も来る。

素子の?セーフハウスにバトー潜り込み、天井上に上がる。天井のガラスに何か見つける。
バトー:さすが少佐、ぬかりはねえな。
入り込むバトーをスコープで見ている特殊部隊。
バトー、素子の腕時計を見つけポケットに入れる。

部隊がセーフハウスを囲み、アームスーツも到着する。
入ってこようとする部隊は、窓の電撃にあたりひるんでいる時にバトーに撃たれる。しかしアームスーツがバトーを攻撃する。
が、素子が引き出しの裏に隠した武器を使い応戦し、アームスーツの操縦者の目を盗み、殺す。

バトー、駐車場に行くが別のアームスーツに襲われる。そこへタチコマが現れアームスーツを崖から落とす。

そのアームスーツに攻撃され、タチコマ2、破壊される。

タチコマ1、倒れているバトー(意識があるか不明)に:バトーさん、遅くなってごめんね。必ずあいつをやっつけて戻ってくるからここで待っててね。

タチコマ2機アームスーツへ向かう。

やりとりの後、タチコマ2が粘着噴出ゲル?でアームスーツを固定し、そのスキにタチコマ1がタマを撃とうとするが、不発。無力を感じるタチコマに、どこからともなく素子の声。
タチコマ、アームスーツへ体当たりし、爆発。

特殊部隊のヘリの操縦者:(アームスーツの)2機目の反応も消えました。
現場に急ぐ。

破壊されたタチコマを見るバトー。

バトー:どうしてこいつらが?
若い義体になった素子が現れる:あなたを助けたい一心でラボから抜け出してきたのよ。
バトー:あっ少佐…か?
素子、タチコマが個性やゴースト(メモ:作中で言う自我・魂のような概念)を獲得したのかについて話す。
ヘリの音を聞いて逃げる。

9課のあった建物を見下ろせる場所の素子の家?にいるバトー。
素子現れる。先程の若い姿は、リモート人形だった。
歩み寄り向き合うバトーと素子。
ヘリコプターが捜索するようにライトを照らして窓の外を飛ぶ。
素子に抱きつくように壁の陰に移動するバトー。
セーフハウスから持って来た腕時計を素子に渡し、自分という個を特定するものとしての腕時計について話すバトー。

素子:恐らく、9課のメンバーで捕らえられていないのは私たちだけだ。2人で生き延びて私たちがやろうとしてきたことの記録を残しましょう。

夕日の入るガランとしたラウンジ?のソファに座るバトーと素子。外に攻撃ヘリコプターが現れる。
大佐:第一狙撃目標草薙素子。彼女には委員会より射殺命令が出されている。チャンスは一度だ。乗り込む瞬間を狙え。
歩く素子とバトーをライフルが狙う。
飛行機のタラップを上がる素子の首筋にレーザーポインタ。
素子、狙撃されるが直前何かを言う。
バトーも捕まる。
兵士:生体反応なし。目標の破壊を確認。
バトー:素子!

◾️(1-26話)
ネットの中。
アオイ(字幕は笑い男となっている):肉体を喪失しても思考はネットを巡り個を特定したままその存在を維持し続けられると?
素子:さあどうかしら。殻を捨てた意志がネットの海で個を維持できるとは考えにくい。
円形図書館の3Dが近づき、図書館内を移動すらカメラ。

笑い男:とりあえずお礼は言っときます。ありがとう。あの約束の守り方、最高にチャーミングだったな。

(トグサの家と思われる)
トグサ、我々の間にチームプレーなどと言う都合のいい言い訳は存在しない” “必要なのはスタンドプレーの結果として生じるチームワークだけだ”と言う荒巻からの訓戒を思い起こす。
畳んだ新聞の上に、妻からと思われるメモ:おはよう!保育園によってから帰るので、戻るのは夕方になります。
トグサ、荒巻の真意を押しはかりつつ、自分に起きたことを振り返る。仲間との連絡も取れず、外部の情報を得ることもできないまま不毛な取り調べを受け続け15日後の突然の釈放。
(身の回り品を出されるが、拳銃に手を伸ばすと、静止される。)
そこで渡された辞令には、公安9課が解散しているという事実とともに、表向きトグサが勤めていることになっていた警備会社からの無期限の自宅待機命令が記されていた。
(警察?の受付で身分証を見せるが首を振られる)

トグサ回想、拘留されていた間に起きた出来事を把握しようと走り回った。破壊され立入禁止となった9課と思われる場所などに行く。ネットカフェで「Section9」で検索すると、国家反逆罪を伝えるニュース記事。

一部の急進的公安メンバーらによる武装蜂起計画の発覚。それが世間一般に報じられた事件の全容だった。
国家反逆罪に問われた9課のメンバーは、軍により拘束、逮捕送検。略式裁判による迅速な結審。しかしその後の行方は機密事項に抵触するとして報道規制が敷かれ、わからない。

釈然としない思いが2つ残った。
1つは9課の中心人物である課長の名前は報道記事には存在せず、死亡者リストにもその姿をさらしてはいない。やはり課長は俺たちを捨てたのか。
そしてもう1つ、メンバーの中で唯一その後の状況が明確に告知されている少佐の行方。(リストに死亡とある)
少佐は本当に死んでしまったのだろうか。

あれから3ヶ月。流れる時間の中でなぜ俺だけが何事もなかったかのようにこうしていられるのか。家族から見れば単なる無職の夫を演じ続ける日々は何事にも代えがたい苦痛を伴って俺の精神を圧迫した。

トグサ、そろそろ転職先を探す時期かな、と独り言を言いつつ新聞(薬島幹事長離党勧告拒否という大見出し)をテーブルに置きテレビをつける。

アナウンサー:衆院選前に一部週刊誌等で流れた(メモ:おそらく素子が数名に渡したチップが情報屋から流れた)セラノ・ゲノミクス社を巡る厚生労働疑獄事件は、薬島幹事長を巻き込み内閣発足から1週間、ついに検察による一斉捜査にまで発展しました。

検事が車で到着する。記者たちが取り囲む。
リポーター2:ついに一斉捜査ですが、本日中の薬島逮捕はありますか?
アナウンサー:党本部内にうわさされているセラノ株が置かれていると?

(ここからテレビの画面)
検察官:確かな情報をつかんでいる。幹事長には任意同行をお願いすることになるだろう。
リポーター3:瀬良野氏が証言した通し番号を控えた現金がこちらに保管されている可能性は?
検察官:それもこれからすべて明らかになる。我々は今日まで薬島幹事長逮捕に向けコツコツと操作を…

(それを見ているトグサ)
トグサ、自分たちが暴いた情報、金の流れを、検察が自分たちの手柄として振る舞っていることに憤る。
検察の手柄で厚生疑獄が暴かれたとしても、薬島は議員辞職すらしないかもしれない。それで世の中の何が変わるってんだ?

トグサ、クローゼットの上の棚から、銃を取り出す。テーブルの上には「ライ麦畑でつかまえて」の本。何ヶ所か付箋がしてある。ジャンパーを着て、銃と本を持って出かける。

9課があったと思われるビルの、破壊された上層階が工事中になっている。(工事はしていない)そこに立つトグサ。
トグサ(モノローグ):笑い男…もしかしたらお前も今俺と同じ気持ちでいるのか?いや違う。お前はそんなことに拘泥するような奴じゃない。そうだろ?
(トグサ、「ライ麦畑でつかまえて」の本を投げる)(メモ:イメージのためのシーン。中二病的。実際には高層ビルの上階から物を投げるのは、たとえ本といえど極めて危険と思われる。)
その本の落ちる先。ビルの前にトグサいる。険しい表情。フードをかぶる。(メモ:ここでトグサも、自主的な笑い男の模倣者になっている)
トグサ、歩道を歩く。その歩道は現実よりかなり大きい。ポケットの銃に手を置く。
その背中に銃があてられ、トグサ、はっとする。
男性:動くな!ゆっくりと手を出してこっちを向け。
トグサがポケットから手を出して振り返ると、バトーがにやりと笑っている。
バトー:お前の腕じゃ薬島に接敵する前に捕まるな。
バトー、銃をトグサに渡し:バカだねお前は。ついてこい。
バトー、停めてある黄色い車へ向かう。

9課のあったビル。
電子錠が外れ、バトーとトグサが入る。9課のメンバーがいる。

イシカワ:で、どこまでつけた?
バトー:予想どおり党本部まで行きやがった。
イシカワ:ホントか?
一同笑う。
バトー:ん?何だお前、どうした?泣いてんのか?
トグサ:そんなわけないだろう。

リサーチしているイシカワ:幹事長も観念したようだ。取り調べには潔く応じるらしい。これで検察の奴らしばらくは英雄扱いだな。

薬島を追い詰めたのは自分達だと言いたげなトグサに対しバトー、これは荒巻の作戦だと言う。
バトー:サルおやじの奴は総理が衆院選を前にして幹事長更迭を見送ることを悟った。であえて9課を悪者にする道を選んだんだ。少佐が笑い男に化けて瀬良野から事件の真相を聞き出した段階で9課の存在がマスコミに漏れて以前のように秘密裏に事を運べなくなった。そこで課長は総理と取引し、表向き9課を犠牲にすることで検察を動かしたって寸法さ。

この3ヶ月間俺がどんな思いで過ごしてきたか、と言うトグサ。
パズ:俺たちにしたって事前にその作戦を知らされてたわけじゃない。
ボーマ:おやじは俺たち全員が生き延びてもう一度再結集すると信じ、断腸の思いで作戦を決行した。
イシカワ:お前を最初に逮捕監禁しておいたのも、9課掃討作戦から生き延びさせたいがための課長の策ってことだ。何せお前は生身の上に病み上がり。それに妻帯者ゆえの情報操作の難しさもあって、準備が整うまで9課から遠ざけておく必要があった。
バトー:名を捨てて実を取る。これで俺たちは晴れて世間には存在しない攻性の組織に戻ったってわけだ。
トグサ:そうだったのか。でも、じゃあ少佐は?
バトー:さあな、あんな奴のことは知らねえ。
一同笑い、空港で素子が狙撃された時のことを話題にしてバトーをからかう。(視聴者は素子が生きていると分かる)

検察の捜査に同行している荒巻。
法務大臣が入ってくる。
法務大臣:終わったようだな。
荒巻:あとはすべて司法の手に委ねられる。わしの仕事はこれで終わりだ。
歩きながら、法務大臣:これからどうする?うちに来ないか?と言う。
二人、階段を降りる。
荒巻:それはどうかな。これしきのことで終わる9課ではないよ。わしはこれから9課再建に向け新人のスカウトに向かうつもりだ。(メモ:アオイのこと)

階段の下に検察たちが歩いている。薬島幹事長?が見上げる。特に表情はない。
その後ろの検察のメンバー?荒巻に敬礼する。

博物館。ロビーに誰もいない。
カウンターの椅子にジャンパーがかかっていて、カウンターの上には帽子。アオイの物と思われる。それを掴んで持ち上げる素子。裏にAoiと書いてある
素子:なるほど。確かに”笑い男”ではないわね。
同心円の迷路のような図書館。
階段を降りると、ロボットが移動して本の整理をしている。
アオイ(メモ:テロップはアオイでなく笑い男になっている):いらっしゃい。思っていたより遅かったですね。
素子:まあ、あなたの処遇をどうするべきか考えあぐねてたってのもあるんだけど。
アオイ:僕はまた、あなたがあのまま死んじゃうつもりなのかなって、ちょっと心配しちゃいましたよ。
素子:完全リモート状態の義体電脳が破壊された時の衝撃で、十分臨死体験はできたけど。


アオイ:実は僕の中ではあなたと記憶を共有した時点ですべてが終わってしまったのかもしれません。あとは、あなたがうまくやってくれるだろうって。

素子:それにしても、これだけの事件を引き起こした最初の動機は何だったの?
アオイ:僕自身、電脳化の権化みたいな人間だから、(カツラを取ると後頭部に多数のハッチがある)少なからず電脳硬化症に対する恐怖みたいなものがあったのかもしれないけど。
あれは、僕がたまたまネット上で見つけた一片のメールがきっかけだったんです。おそらくセラノゲノミクスに宛てて送られたであろうその脅迫メールは、セラノ製MM(マイクロマシン)の無効性と村井ワクチンの効能とを比較検討した論文で武装されていた。
素子: それを書いた者が笑い男のオリジナル?
アオイ:強いて言えばですが。

アオイ:僕は、僕だけがたまたま知り得た情報の確認と伝播を自身の使命と錯覚して奔走した。
素子:で、見事に玉砕。無垢な媒介者は社会システムの醜悪さに落胆し口をつぐんだ。
アオイ:イエス。略 オリジナルの不在がオリジナルなきコピーを作り出してしまうなんてね。あなただったら、あの現象を何て名付けますか?
素子:Stand Alone Complex
アオイ:イエス。Stand Alone Complex。

素子:私は情報の並列化の果てに個を取り戻すための1つの可能性を見つけたわ。
アオイ:ちなみにその答えは?
素子:好奇心、多分ね。
アオイ:なるほど。それは僕にも気づかなかったな。

アオイ:これから僕はどうなるんですか?誘拐罪で逮捕?それとも同時多発テロ教唆の罪かな?
素子、その件に関しては彼に一任してある、と言う。
荒巻が階段から降りてくる。素子、笑い男に荒巻を紹介する。
荒巻:もはや慣例として行われているにすぎない出版物の保存という仕事をこれからも続けていくつもりかね。
笑い男:もし許されるのであれば。
荒巻:今回の件で笑い男のオリジナルは法的に存在しなかったと結論づけられるだろう。
荒巻、アオイにら9課の9人目のレギュラーにならないかと問う。
(素子、少し驚いた様子)
アオイ:いささか楽しそうではあるけど、でもやっぱりやめときます。

瀬良野と秘書が歩いている。
秘書:社長、いよいよですね。初公判。
瀬良野:これでやっと彼との約束が果たせるよ。
瀬良野:車のドアハンドル(ドアノブ)に手をかけると、カチッと音がし、瀬良野、驚く(その後のことは描かれない)

さっきすれ違った深見:曲がらねば世は渡れず。正しき者に安らかな眠りを。
メモ考察:黒幕であった薬島幹事長の他、警視総監、新見は荒巻に目をつけられていたが、深見が実行犯であることは気づかれていない)
ビルの上に立つ素子へ荒巻から電脳通信で全員へ招集の指示。
バトー、軍用ヘリコプターで現れる。
バトー:迎えに来たぜ。
車を運転しているトグサも向かっている。
2プロペラ飛行機で向かっているサイトー:別ルートで合流する。
検索中のイシカワ:準備はできている。
走るパズとボーマ
素子、バトーに合図するとバトーのヘリ去っていく。
素子、ビルの合間にダイブする。

実社会を予見

医療ビジネス・ワクチンをめぐる利権と汚職

ストーリーでは、裏の利権により有効なワクチンが認可されず、そのことに気付いた一般人が正義感から誘拐脅迫事件を起こし、そこに政治家や警察がその犯人のフリをしたり便乗して汚職を働く様子が描かれています。

実社会ではその後、ワクチンの恣意的で性急な推進が行われました。単に緊急事態かつ前例がないためというだけでなく、利権が透けて見えます。今なお肯定、否定、静観など様々な意見があり、真実がわかりづらくなっています。

医療ビジネスが一部の利権の利益優先になりやすいのは今に始まったことではないですが、今の時代でもそれらが起こりうることを示唆していたと思います。

スタンドアロンコンプレックスということ自体、起こりうると思います。つまり、何かきっかけがあるとしても、申し合わせたわけではない複数(大勢)の人が、同じ方向を向き、同じ行動を起こし始める、という現象です。それは「笑い男事件」のようなものではなくても、既に様々な部分で起きているかもしれません。例えば、長年既得権益にあぐらをかき、不当に利益を上げてきた組織に、みんなが申し合わせたように解体の圧力をかけ始める、といった。

さらに言えば、まだ起きていないこともそのうち現実になるだろうと思います。電脳化が一般化すれば当然電脳通信は行われるでしょうし、ハッキングも行われると思います。

結局、笑い男事件とは?

自分が被害者ではないアオイ青年が、電脳硬化症の治療に対し有効なワクチンが認可されずあまり効果のないマイクロマシン療法が認可されたことを偶然知り憤りを覚え、マイクロマシンメーカーの社長を誘拐し本当のことを言えと脅迫し、さらに、そこに政治家や警察上層部がその犯人のフリをしたり便乗して汚職を働いた事件。

広い意味では、それから6年たち、公安9課が関わり始めた後の警視総監暗殺予告や模倣犯発生、政治家や警察上層部が悪事を隠すためひまわりの会を襲撃したり公安9課を壊滅させようとした事件。

明確に描かれていない点

⚫︎なぜ、警察上層部は、笑い男事件の被害者であるマイクロマシンメーカー(セラノゲノミクス)の盗視聴覚素子を秘密裏に採用し、警察官の目に仕掛けたのか?

警視総監がセラノゲノミクスから引退後の移住先の便宜を図ってもらっている様子が断片的に描かれます。経済的癒着、賄賂を受け取る見返りにインターセプター(盗視聴覚素子)を導入したことはわかります。

導入する製品がインターセプターだったのは、笑い男事件の捜査で情報を得ることを建前としてそれに便乗し、警視総監が汚職をしたと思われます。

しかし、「なぜ笑い男事件の被害者であるメーカーの製品を導入したのか?」
「なぜ、秘密裏に警察官の目に仕掛けたのか」が明確には描かれていません。

攻殻機動隊の中二病的側面

前述のとおり、神山監督はこの『攻殻機動隊S.A.C.』で、傾倒していた『ライ麦畑でつかまえて』(J・D・サリンジャー)を題材にしており、また、サリンジャーの短編『笑い男』から「笑い男」という表現を引用しています。『ライ麦畑でつかまえて』からの引用をセリフに盛り込み、本そのものも小道具として出しています。

『ライ麦畑でつかまえて』はアメリカ版中二病小説と見られることもあるようです。

主要登場人物のアオイ青年の行動は中二病的で、トグサも同様の行動をしかけます。

⚫︎アオイ
図書館のシーンでは素子とアオイ(字幕では「笑い男と表現」)で総括しており、観客にとっても総括となっています。

そこでもJ・D・サリンジャーの著書からの引用をセリフとして喋らせています。

素子::こんな所から世界を変えようなんて本気で考えてたの?
アオイ::まあ、初めは幾分。

素子::それにしても、これだけの事件を引き起こした最初の動機は何だったの?
アオイ: “あなたは世界中で起こる何もかもがインチキに見えてるんでしょうね”
素子::J・D・サリンジャー?
アオイ:イエス。略 僕がたまたまネット上で見つけた一片のメールがきっかけだったんです。おそらくセラノゲノミクスに宛てて送られたであろうその脅迫メールは、セラノ製MM(マイクロマシン)の無効性と村井ワクチンの効能とを比較検討した論文で武装されていた。
素子:それを書いた者が笑い男のオリジナル?
アオイ:強いて言えばですが。

アオイ:僕は、僕だけがたまたま知り得た情報の確認と伝播を自身の使命と錯覚して奔走した。

トグサ
1-26話で、公安9課が国家反逆罪として拘束されたことになっている中、自分たちが暴いてきた汚職を検察が捜査に入る時に誇らしげにインタビューに応じていることに憤りを感じたトグサが、隠していた拳銃と、ライ麦畑でつかまえての小説を持って出かけ、ビルの上から投げ捨てます。その後、拳銃をポケットに忍ばせ薬島幹事長逮捕の現場に向かいます。