主人公の不屈のドラマとSFアクションがコンパクトにまとまったストーリー
映画『ウォー・マシーン 未知なる侵略者』を見ました。
VFXも過不足なく効果的に使われコンパクトで気軽に楽しめるSFアクション映画ながら、主人公の不屈のドラマも描かれており、面白かったので書こうと思います。
第75レンジャー連隊やスクロールについても解説します。
『ウォー・マシーン 未知なる侵略者』
https://www.netflix.com/title/81768525
アフガニスタンでの戦争で目の前で弟を亡くした軍人の男が、弟と参加する約束だったレンジャー評価選抜プログラムに高齢をおして参加する。多くの者が失格していくなか驚異的な意思力で残り、最終実地試験(模擬任務)の山岳地帯にリーダーとして他の精鋭たちと向かう。彼らは大型の機械のような物を見つけ、任務で爆破する想定の航空機だと思い爆破しようとするが磁力異常で位置が違っており、正体不明の「マシン」(大型殺人ロボット)が起動し攻撃され、主人公は、逃げながら様々な困難に立ち向かうのを率いていく。
正体不明の大型殺人ロボットから逃げる、というシンプルな話が心地よいです。主人公は後半反撃します。たまには頭をカラにしてこういう映画をドキドキしながら見たくなります。
出尽くしたせいか予算の都合か、最近はSF映画が話題になることが少ないように思いますが、本作はコンパクトで気軽に楽しめるSF映画だと思います。VFXも過剰ではなく効果的に使われていると思います。
しかしSF設定でありながらも、目の前で弟を失い助けられなかった男が、弟との約束であったレンジャー選抜プログラムに参加し、地球上のものではない困難に立ち向かい、負傷者を担ぎゴールまでたどり着きレンジャーになるドラマが描かれています。
冒頭に伏線というかヒントが描かれていますが、「マシン」(大型殺人ロボット)の正体は何かとか異星人がUFOから都市を攻撃する、というような大きな視点は描かず、とにかく目の前の様々な状況(攻撃してくるロボットが何かわからない中、隔離された山の中で通信機が故障し、負傷者を運びながら崖を降り、流れの急な川を渡る必要があるなど)に対処しながら逃げるという等身大の困難を描いています。主人公は後半単身でその「マシン」に反撃します。
「マシン」が侵略のために来たなら山の中で活動しているのは不自然ですが、ストーリー中、彼らの要求も目的も不明のままです。たまたま山の中に降り立ったという設定なのかもしれませんし、映画制作上、都市での戦いにすると、崩れるビル、逃げ惑う人々などを描く必要があり、撮影もVFXも大掛かりになるため、予算の都合上山の中での戦いにしたのかもしれません。
一方、主人公が何が何でも諦めずに進んでいこうとする様子とその理由は描かれていますが、他の登場人物たちのキャラクターは、数人についてはある程度性格付けがされているもののほとんど深堀りされていません。「突き進む主人公(後にリーダー)とそれに反目するメンバー」も描かれますが、主人公についての自分の誤解を知ったそのメンバーは、後に協力的になり、融和します。
「大型殺人ロボット」と書きましたが、ヒト型ではなく、もう少し「兵器」を思わせるデザインです。しかし2足歩行です。「近未来」ではなく「現代」のリアルな世界観のストーリーですので、「兵器」風でありながら2足歩行であることや、動作に連動するライトの未来感などから、現代の人類のテクノロジーや現代から地続きのテクノロジーではない雰囲気が醸し出されています。
似た規模感やテイストのSFとしては『バトルシップ』 (Battleship, 2012)が近いように思います。
Netflixの手掛ける最近の映画だけあって映像がきれいです。
ただ、傷口や損傷した遺体なども描かれるので、そういったものを見たくない人は注意が必要です。
第75レンジャー連隊
主人公はレンジャー評価選抜プログラムに参加します。建物などに「75 RANGER RGT」と書かれています。「75 RANGER RGT」は「75th Ranger Regiment」(第75レンジャー連隊)の略で、「第75レンジャー連隊」は実在するアメリカ陸軍の精鋭特殊作戦部隊です。
75th Ranger Regimentウエブサイト
https://75thrangerregiment.org/
75th Ranger Regiment facebook
https://www.facebook.com/75thRangerRegiment1942
建物前の広場にも「75 RANGER RGT」と書かれ、そこが訓練のゴールとなっています。しかし、ストーリー中で主人公たちが選抜プログラムに参加するのは「コロラドのレンジャー訓練基地」ですが、これは映画オリジナルの設定のようです。
スクロール
また、ストーリー中「ゴールラインに着けば1人1人に私からスクロールを渡そう」という教官のセリフがあります。「スクロール」とはアメリカ陸軍において第75レンジャー連隊に所属することを示す部隊章とのことです。以下のWikipedhiaのページの真ん中へんで、スクロールが確認できます。
参照:Wikipedia/75th Ranger Regiment
https://en.wikipedia.org/wiki/75th_Ranger_Regiment
ネタバレですが、主人公は最後、負傷者を担ぎながら広場の「75 RANGER RGT」に辿り着き、教官(上官)から「スクロール」を腕につけられます。
ストーリー中、レンジャー評価選抜プログラムの参加者たちは、入隊式場で、渡されたジップロックに名前や階級を示すものを入れ、私物は全て提出。「お前らは名を失った。今後は番号だ」と言われ各々の番号を渡されます。
その後もお互いを番号で呼び合い、最後も、レンジャーとなって出発する主人公の名前を誰も知らない、という様子が描かれます。
アメリカの実際のレンジャー評価選抜プログラムでは候補者は“Ranger Student”として扱われ、名簿番号などで管理されるようですが、日常的に番号で呼び合うことの根拠となるサイトなどは見つかりませんでした。
そのため、「お互いを番号で呼び合い、最後にレンジャーとなってからも主人公の名前を誰も知らない」というのは、映画の演出かもしれません。
アフガニスタン、カンダハール。
危険地帯。
第10山岳師団の護送車列が車両トラブルで立ち往生し、薄暗がりの荒野を軍の故障対応の車が走り、到着。
それぞれのリーダーは兄弟。
漏れ止め剤で出口が塞がれ故障した。
レンジャー評価選抜プログラムへの参加を誘う弟。兄(主人公)は年齢を理由に乗り気ではないが、弟の説得でやることにする。
そこへ攻撃。主人公以外、主人公の弟も犠牲になる。
2年後、レンジャー評価選抜プログラムへ参加するため基地へ向かう車でその夢から覚める主人公。
コロラドのレンジャー訓練基地。入隊式場で、渡されたジップロックに名前や階級を示すものを入れ私物は全て提出。各々の番号を渡される。
女性、44番。
黒人、「お前はニ等軍曹だからチームリーダーだ」と言われる。7番。
前回ミスをしてまた来た男、15番。
主人公、「ニ等軍曹だからチームリーダーだ」と言われるが拒否する。81番。
皆、番号で呼び合う。多くの志願者達が失格になっていく中、主人公は残っていく。しかし弟を失った場面を夢に見て目覚めてしまい、ゴールすることに執着する。15番候補生が何かとつっかかってくる。
主人公が面談を待つ間テレビを眺める。小惑星の破砕の予兆について報道されている。
主人公の危険なほどストイックな姿勢に上官たちから棄権を勧められるが断り、最後のミッションに残りリーダーになる。
教官が模型を前にして模擬任務の説明をする。
機密航空機が敵地で撃墜され、任務は偵察と救出。2機のブラックホークが彼らを敵地へ運ぶ。撃墜された機体を目指し敵の手に渡らないよう航空機を爆薬で破壊。次に反乱軍の拠点村を探し、捕虜になっている操縦士を救出。360度防衛されていて周囲は監視されている。補助具が付いていて空包しか撃てない。常に教官に不意打ちされうる。隊に無線機が1台だけ渡され24時間報告を続ける。それ以外の通信は禁止。
「リーダーの7、副官になれ。新しいリーダーは81だ」と言われ、15番候補生、不満そうにする。
教官「操縦士を連れて19時までにゴールに着け。教官の奇襲が成功した場合、任務失敗で全員不合格だ」別の教官「ゴールラインに着けば1人1人に私からスクロールを渡そう」
ヘリで現場へ運ばれる。
主人公は時計を見る。数字がカウントダウンしている。
主人公「23時間59分30秒以内にゴールへ行く」
荷物を背負って山を登る。
夜中、20分の休憩をする。主人公が見張りを買って出る。
7番候補生「なあ81、話がしたかった」
主人公「任務のことか?」
7番候補生「いや、個人的なことで…」
主人公「なら断る」
7番候補生「そうか。分かった」
休憩中に、砲撃と思われるものがある。移動する。
翌日。
川辺に何かの大きな機械のようなものが半ば埋まっている。
しかし指定された座標から数百メートルズレている。コンパスの故障かもしれない。上官への通信もつながらない。
降りていく。機械のそばに来る。
主人公は林ごしに何か光るものを見つけ、一人援護につけ見に行く。その間、別のメンバーは、謎の機械に爆薬を仕掛ける。主人公、墜落した飛行機を見つける(おそらくミッションで本来破壊すべき機体)。
他のメンバーは機械を爆破する。主人公は違和感を感じて謎の機械の場所へ戻る。機械は全く損傷せず、起動してレーザーのようなもので周囲をサーチし攻撃してくる。
メンバー達は逃げるが崖の上の縁に来てしまう。小型の球体が飛んできて爆発し、皆、崖を転がり落ち、岩にぶつかったり、突き出している金属棒に刺さったりする。
崖の途中の平地に皆落ちる。
主人公、起き上がり、金属棒が刺さっている者を他の者と棒から抜く。7番候補生も負傷。
主人公が上に見に行く。みんなやられている。通信担当も通信機もやられている。這っている者もいたが、例の機械が2足歩行してレーザーで補足し、銃で殺す。
金属棒が刺さっていた者死ぬ。主人公、下に戻り、上の様子を伝える。逃げる必要がある。
武器を捨て、さらに崖からロープで降りる。負傷した7番候補生を下ろしている時に、上で支えていた者が「マシン」(例の2足歩行の機械)に撃たれ、7番候補生は落下しさらに足を骨折する。
崖上に「マシン」が現れレーザーサーチされ、うまく死角に隠れるが、骨折した7番候補生の足にレーザーがあたり、見つかってしまい逃げる。
丘の上に出て休憩し、負傷者(7番候補生)を担架で運びながら急な川を渡ることにする。
「マシン」が近づくと磁場が狂い、方位磁石が回転する。一人がそれの見張りをする。
主人公がロープの片方の先端を持って急な川を渡り、ロープを張り、15番候補生が負傷者を渡す。が、担架を吊るすカタビラがロープの結び目に突っかかり、落ちそうになる。主人公と44番候補生がロープを伝って助けに向かい、見張りもロープを抑える。
そこへ「マシン」が現れ、撃たれ、みんな川に落ちる。「マシン」も川に入り、攻撃してくる。川に落ちた主人公、攻撃されるが水中に隠れながら何とか逃れる。流されている負傷者見つける。
みんな滝から落ちる。
岸に上がる。
23のヘルメットが流れている。みんな教官がいるはずの村に向けて出発する。ヘルメット、岸に流れ着く。
村に着くが、襲撃され、やられている。
「マシン」が移動したらしい。遠くの山の向こうに煙が上がっている。
小惑星のニュースを話題にする。この星のものではない。
瓦礫の下の教官がまだ息があったが、何も言わず息絶える。
時間をくれ、弟を連れて帰って勲章をもらったあんたと違って俺たちは人間なんだ、という15番候補生に、主人公、連れて帰れなかった。あと100mのところで自分は倒れ弟は死んだ。弟が死んだのは、俺がゴールしなかったから、と言う。装甲警備車で7(負傷者)を基地に連れ帰って、アレのことを報告しよう。
瓦礫にのりあげている装甲警備車にロープをかけ、最初は動かなかったが、時間をくれと言っていた整備士出身である15番候補生が直し、動き、瓦礫から外れる。主人公から15番候補生へフィスト・バンプ(グータッチ)をする。
と、「マシン」の発車した爆弾が向こうの空に見える。皆、装甲警備車で出発する準備をするが弾薬がない。15番候補生が取りに行く。そこへ「マシン」が来る。15番候補生は撃たれるが弾薬を投げ、車の中の主人公が受け取る。15番候補生はやられた。発車する。44番候補生が運転。応戦しながら逃げる。
木をなぎ倒しながら急な下り坂を落ち変速機が壊れるが、何とか谷間の平地へ出る。撒いたと思ったが崖の上で待ち伏せしている。しかも今までのような弾薬や爆弾ではなく、レーザー砲を撃ってくる。
反撃するが、ある者は腕を失い、担架の負傷者も落ちてしまう。主人公がロープを掴むが、切れる。
主人公、小型砲で山を崩し「マシン」は埋まる。車を運転していた44番候補生もやられており、車は走ったまま前転してしまう。
倒れている主人公と弟(夢)
“絶対に諦めるな”
主人公、目覚める。みんなやられている。
「マシン」が埋まっているところへ行く。大きな岩をどけるが一部しかない。やや離れた開けた場所で「マシン」が空に向けて光で何か通信している。主人公、負傷者を見つける。
装甲車の弾薬が爆発し、マシンがそれに気づき近づいてくる。主人公、担架を引き、その場を離れる。雨の中引いて歩く。泥の坂で何度も担架が滑り落ちてしまう。主人公の腕時計が00:00:00となり、アラームが鳴る。本来の任務のタイムアップ。
担架の隣で疲れ果て横たわっていると、負傷者(7番候補生)が気づき、話す。彼は主人公の弟を知っている。「兄とレンジャーになると言ってた。休暇中に彼の訃報を聞いた」
主人公になぜ黙ってた?と聞かれ、遮られたと答える。(休憩時に話そうとしたが断られた)
主人公「俺はただ、今度こそゴールにたどり着けば眠れる気がして」
7番候補生「悔いることはない。まさにレンジャーだ」
そこへレーザーが見える。「マシン」がサーチしている。
主人公「アレも諦めが悪い。どうやったら止まる?」
弟の軍用車が漏れ止め剤で出口が塞がれ故障したことを思い出す。
遠くにクレーンのような物が見える。
主人公、「マシン」が排出(排気)していることに気づく。
負傷している7番候補生を待たせ、歩き、何かの倉庫を見つける。扉を開け電気をつけると、ショベルカーがある。ダイナマイトもある。別の部屋には爆破のためのスイッチがある。(石の採掘場らしい)石を運ぶベルトコンベアも動いた。
主人公「熱力学を食らえ」
7番候補生の近くに「マシン」が来る。レーザーでスキャンし、主人公の足跡を見つける。
7番候補生は木の裏側に隠れている。「マシン」去っていく。
「マシン」、崖の上から採掘所を見つけスキャンする。
足元の爆薬が爆発し、「マシン」落ちる。
主人公が、ショベルカーで出てくる。「マシン」を崖に押し付け、石のベルトコンベアのスイッチを入れ、マシンの排気口に小石をどんどん落とす。マシンが火を吹き始める。
ショベルカーも限界が近い。主人公「耐えてくれ!」
「マシン」、クレーンを撃ち、ショベルカーの方に倒れてくるが、主人公逃げる。「マシン」、爆発し静止するが、球形の爆弾が転げ出し起動する。
主人公、崖を上がって逃げる。爆弾がその場で爆発する。
晴れた高原。遠くに山。負傷者を担いで歩く主人公。
盆地の建物たち(レンジャー訓練基地)に煙があがっている。ヘリが飛んでいる。
寄りのショット。煙を上げる建物。その前の広場に多数のテント。
銃を載せた車が走り、軍人たちが足早に移動し、担架や死体袋と思われる物を運んでいる者もいる。
教官たちがいる。負傷者を運ぶ主人公を見つける。地面の75レンジャーのペイントに達する(ゴールする)。負傷者(7番候補生)を下ろす。お互いに手を取り、最後まで来たことを噛みしめる。
誰かが遠くで叫ぶ「負傷者がいるぞ。行くぞ!」担架が持ってこられ、7番候補生、運ばれる。
ヘリが、破損した「マシン」を運んでくる。
教官「志願者よ、お前たちだけか?」
主人公、無言でうなずく。
教官「遅くなってすまなかった。基地しか守れなかった。大隊の半数が戦死した」
主人公「敵の数は?」
教官「無数にいる。第一波は撃退できた。だが世界的な侵略に備えねば」
緊急放送ニュースアンカー「小惑星だと思われた物体は、36時間前無数のポッドに分裂。世界各地に落下し殺戮マシンへと変形を…」
各地の様子の映像。
主人公、検査を受ける。
ニュース「街や民間人や防衛網を攻撃中。各国の軍が脅威を抑え込む一方で、更なる恐怖を観測。数万のポッドが進行中です。世界的な協力体制が築かれます。陸海空で連合軍が始動。(軍用機、戦車、軍艦の映像)敵の要求も目的も不明です」
武器もなくどうやって倒したか聞かれ、主人公、排気口のことを話す。
教官「今の情報が大勢を救う」
主人公、確かに俺には資質がなかった、と言うが、教官、主人公の腕にスクロールをつける。
教官「今はある。連隊へ歓迎する」
握手する。
教官「弟さんも報われる。お前の戦果を皆が称賛してる。できればみんなを激励してやってくれ」
主人公、出発する大勢のレンジャーの前で激励とリーダーシップのスピーチをする。
主人公「俺らは逃げない。決して折れない、そして絶対に諦めない」
皆「そうだ!」
主人公「レンジャーが導く!」
皆「最後まで!」
皆、ヘリへ走る。それを見送る教官たち。
主人公も、弟との約束を思い出しながら、ヘリに乗り込む。ヘリの操縦士、レンジャーの名前を呼ぶが、誰も主人公の名前を知らない。
タイトル「WAR MACHINE」
終わり