NYFA卒業後 日本 短編映画プロジェクト参加 「null」

短編映画プロジェクト参加 「null」

坂部敬史監督が2年ぶりにThe 48 Hour Film Projectに参加するということで、参加しました。

このコンペティション/映画祭は、各参加チームそれぞれが、48時間でストーリー作りから撮影、音楽制作、編集をして提出するだけでなく、制作する上でのお題として、キャラクター(登場人物のうち1名)の名前、職業、小道具やセリフを与えられ、それらを盛り込んだ内容にしなくてはなりません。また、チームごとに抽選でジャンルが割り当てられます。

坂部 敬史ツイッター

東京 – The 48 Hour Film Project
http://48hfp.fffproduction.com/index_tokyo.html

金曜日の夜にキックオフミーティングが開かれお題が出され、19:00から制作開始、日曜日の19:00までに完成させ、19:30が映画の提出締め切りとなります。

世界的なコンペで、日本では東京と大阪で開かれ、それぞれの最優秀作品は、2023年3月に米国Hollywoodで開催される48HFP主催の映画祭『Filmapalooza 2023』で世界中の各都市の優秀作品と競い合い、その中から選出される約10作品は2023年度『カンヌ映画祭 短編映画部門』で上映されます。

坂部監督は今年は、つんく♂さん主導の短編映画制作プロジェクトの監督の一人に選ばれて進めてきた「怪獣少女」を撮影(私も美術小道具制作やメイキング映像撮影で参加)し、その後、同じくつんく♂さんの主導する「青春映画祭」で上映され最優秀青春賞(観客賞)を受賞したほか、長編映画にも携わっています。「今年は攻める」とのことですが、余裕がない中での取り組みです。

▶︎「怪獣少女」についてはこちらの投稿をご覧ください。

私も前回に比べて割ける時間は限られていましたが、主要メンバーはこの映画祭を前回経験してやるべきことがわかっており、前準備も最低限となりました。

このコンペティション/映画祭は、キャスト、クルー全員のほか、音楽、ロケーションなどのリリース書類(権利放棄及び免責同意書、ロケーション譲渡許可書、楽曲著作権譲渡同意書)を提出する必要があります。

私は前回同様この書類の取りまとめを中心に、ロケーション探しや小道具調達、準備から提出までの進行に関するさまざまなことを担当しました。

 

お題は次の内容でした。


キャラクター:東城美佳(とうじょう みか)又はとうじょう みつる
職業/属性:ホステス or ホスト
小道具:懐中電灯
セリフ:「何か忘れてると思ったんだよね。」

 

我々が抽選で割り当てられたジャンルは


ジャンル1:ティアジャーカー(お涙頂戴もの)
ジャンル2:犯罪/ギャング


でした。どちらかを選ぶことができます。

短編でお涙は難しいだろうという判断で、犯罪/ギャングのジャンルにすることにしました。

他のチームがどう取り組んでいるかわかりませんが、坂部チームはキックオフミーティングのあとZoomミーティングを開き、ストーリーの打ち合わせをしました。彼のチームに参加している人は自由に参加してアイディアを出し、みんなで検討し、候補を絞り、膨らませていきます。

夜中のミーティングのため、みんな徐々に頭が回らなくなり、話している内容がだんだん本筋から離れたり雑談的になりがちで、それを軌道修正しながら進めます。

打ち合わせは深夜に及び、途中で抜けたい人は抜け、翌日の撮影に備えます。監督他最後まで打ち合わせに参加した人は、徹夜で翌日の撮影に臨むことになります。

朝までにはストーリーの骨子がかたまりましたが脚本担当者は引き続き脚本を書きます。キャスト、クルーはロケーションに集まります。 

私は、使える小道具を自宅の中から探し出し、購入する必要があるものもありましたがお店はまだ開店していないため、ひとまずロケーションに向かいました。

このロケーションはネット上で見つけた場所で、撮影やパーティーなどの用途で貸し出されているハウススタジオのようなところです。写真を確認して選んでいますが、実際の様子は行ってみないとわかりません。そもそもお題が出る前、ストーリーも作る前に確保しておきますので、撮影時に色々工夫することになります。

もう一箇所候補を出しましたがかなり遠いため、近い方になりました。

さほど広くないことは覚悟していましたが、やはり結構狭めで、機材置き場やメイク場所、脚本を書くテーブルを確保すると、もうほぼスペースがないような状態でした。

しかも、我々のストーリーとあまり関係がないような普通のマンションの一室ですので、部屋の隅に小道具や布を配置してそれらしくし、撮影しました。

夏の屋内の撮影では、準備中はエアコンをつけますが、実際にカメラを回している時には余計なノイズを避けるためオフにします。LEDの照明が一般的になってだいぶマシになりましたが、撮影は結構な人数が集まりますので暑くなります。

スタッフもそうですが、役者も汗をかくため、メイク担当は大忙しです。

編集担当者が途中からノートパソコンで編集をはじめました。

このロケーションの使用可能時間は最大9:00-20:00となっており、徹夜あけで機材を準備して運搬するクルーもいたり私も小道具を探してから向かったため、すぐに撮影開始とはいかず、また機材撤収したあと20:00までに完全に退出する必要があるため、かなりぎりぎりの条件での撮影となりました。

それでも必要なショットを撮り終え、無事撤収しました。

2日目の作業は監督と編集担当と音楽担当がメインとなります。

ある程度まとまったところで仮編集版がVimeoで参加メンバーに共有され、意見を出したい人は意見を出し、最後は監督の判断でまとめ、無事提出できました。

トレーラー(予告編)リンク

The 48 Hour Film Projectの特徴と感想

48時間でお題を盛り込みつつストーリー作りから撮影、音楽制作、編集、書類の取りまとめまで行って提出するこのコンペティション/映画祭は、かなりチャレンジングですが、映画制作上の役割によって拘束される時間に差があるものの基本的には週末だけで完結する映画制作であることが特徴的です。

世界各都市で行われ、その中で選ばれた約10作品がカンヌ映画祭で上映される、というのも映画制作者には魅力的だと思います。

一方、認識しておくべきこともあります。

まず、世界中の多くの映画祭では作品応募にあたって応募費用がかかるのと同様、このコンペティション/映画祭に参加するには登録料がかかります。

また、一般に映画祭は、プレミアステータス(その映画祭以前にどこでも発表していないこと)を求める場合も多く、様々な映画祭に応募して結果が出揃うまで1年程度はYoutubeなどで発表、公開できないジレンマがあります。

このThe 48 Hour Film Projectに応募する作品は、この映画祭用に制作し、一定期間はこの映画祭が優先的に利用することが条件となるため、少なくともしばらくは他で発表したりすることに制限があります。
http://48hfp.fffproduction.com/afterthe48.html

さらに、The 48 Hour Film Projectでは映画を提出したチームのすべての作品が10〜15作品ごとに数回に分けて上映され各賞が授与されますが、参加チームのクルーであってもその上映会のチケットは購入する必要があります。