「タイムループ」や「空間のループ」など、ループものの映画のうち見たものをまとめました。
「タイムループ」の場合は自ずとタイムトラベルに関連したストーリーですが、「ループしてしまう」ストーリーだけでなく「タイムトラベルを繰り返す」ストーリーや、逆に「繰り返さない」ストーリーなどやや広めにピックアップします。
原因と結果がループするストーリー開発に参加したことがありますが、整合性を取ろうとしてもどこかに矛盾が生まれ、極めて難しかったです。
▶︎このプロジェクトについてはこちらの投稿をご覧ください。
「ループもの」の映画の多くが「ループしている」「ループしてしまう」ストーリーではなく「歴史(物事)が繰り返される」ストーリーや「タイムトラベルを繰り返す」ストーリーであるのは、原因と結果が「ループしている」「ループしてしまう」ストーリー作りが難しいためだと思います。
ストーリー(あらすじ)
2035年の囚人の男が、50億の人間が死滅したウイルスのルーツを探るため、12モンキーズというグループ名を手がかりに、大幅な減刑と引き換えに過去に送られるが、1996年に行くはずが1990年に飛ばされてしまった上に未来を語り分裂病として閉鎖病棟に入れられてしまう。
本来の目的を果たすために奮闘しようやく1996年に行くが、1990年の病院で会ったイカれた男がそこでは12モンキーズのリーダーとなり彼の父が細菌学者であることも知り、自分が彼に人類滅亡について話したことがウイルス拡散の原因になってしまったと思い彼を追う。
感想 解説
「タイムトラベルを繰り返す」ストーリーかつ、物事がループしている演出となっています。
空港で主人公が撃たれる様子を見ていた少年は子供時代の主人公で、大人の主人公はその場面の夢を頻繁に見て、後に実際にあった記憶だと思い出し、女性精神科医のライリーも「私はずっとあなたを知ってるような気が」と言い、ループをしている演出となっています。しかしこの少年は(少年時代は)直接的には物事の流れに関わっておらず、ループしているという設定を作るために使われ、物語のスパイスになっているといっていいかもしれません。
過去に飛ばされ奮闘する主人公コールをブルース・ウィリスが豊かに演じているほか、女性精神科医ライリーが、コールの話す未来の出来事について最初はあなたの妄想よと言うものの、様々なことに巻き込まれて真実を知るうちにすっかりコール側の立場の振る舞いになっていく様子も見どころです。
そして何といっても、イカれた男を演じるブラッド・ピットのキレた演技が印象的です。第53回ゴールデングローブ賞(1995年度)で助演男優賞を受賞しています。
▶︎『12モンキーズ』の感想と考察についてはこちらの投稿をご覧ください。
▶︎『12モンキーズ』を含む、クレイジーなキャラクターの怪演が光る映画についてはこちらの投稿をご覧ください。
ストーリー(あらすじ)
重大な出来事の記憶が欠落してしまう少年が青年になった時、過去にさかのぼって失われた記憶を体験しそれを変えることができることに気づき、悪い結果をもたらした事件が起こらないように関与するが別の悪い結果になってしまい、何度も過去に戻るがうまくいかない。
感想 解説
「タイムトラベルを繰り返す」ストーリーです。
ドラマチックな展開で、面白いストーリーだと思いますが、これを低く評価している批評もあります。そもそもここで描かれているのはバタフライエフェクトとは違う、という点と、悪い結果となったエピソードがどれもバイオレントで悪趣味であることが理由のようです。
▶︎この映画は「パラレルワールドを扱った映画・ドラマ リスト」でも紹介しています。
ストーリー(あらすじ)
シカゴ行きの電車で自分ではない誰かとして目覚めた軍人の男が、電車の爆発と同時に今度は暗いカプセルで目覚め、その後、軍の特殊任務で爆弾テロの犯人を探しあてるために、爆破で亡くなった乗客の脳の機能と8分間の記憶を一体化したプログラムに自分の意識が送り込まれていると知る。失敗する度に何度も同じ電車内に意識が送り込まれる中、自分もすでに戦争の負傷で植物状態となっていることを知り動揺するが、ひどいことを言って別れたままになっている父親への気持ちを抱えつつ犯人に迫っていく。
感想 解説
正確にはタイムトラベルではないものの、「何度も過去に戻る」ストーリーです。
物語の中で、このプログラムの考案者であり作戦の責任者である博士は、「これはタイムトラベルではない」「平行世界(英語のセリフでは「パラレルリアリティ」)へのアクセスを可能にする」と言っています。つまり、爆破で亡くなった乗客の脳の機能と8分間の記憶を一体化したプログラムによって一種の仮想世界を作り、そこに意識を送り込むと、過去に起きたことの追体験だけでなく自分の意思で行動を選択してあたかもその世界で生きているように感じることができるプログラムということのようです。
何度も失敗しつつ最後に無事犯人を割り出し電車の爆破を阻止したあと、主人公はまたそのパラレルワールドに意識を送ってもらい、もともと電車に乗っていた男として連れの女性と幸せに暮らすエンディングとなっています。
よく練られたストーリーと的確な演技で全く飽きさせないです。毎回8分間の間に犯人を探さなければいけないという緊張感がスリリングです。主人公の意識が入ってしまったあとパラレルワールドでのその男の自我はどうなったのかなど疑問点はありますが、面白い映画です。
▶︎この映画は「パラレルワールドを扱った映画・ドラマ リスト」でも紹介しています。
ストーリー(あらすじ)
未来の犯罪組織が違法なタイムトラベルで送り込んでくる抹殺対象を殺す稼業の男の元へ未来の自分が送られて来て本来殺さねばならないが取り逃がす。取り仕切っている組織から追われながら、未来の自分を始末するために追う。
一方未来の自分は、妻も殺害した組織の犯罪王が「過去」である現在この地方に住んでいるのを見つけて殺そうとしており、現在の自分は彼から渡されたメモにあった場所の一つである畑の中の一軒家で幼い息子と暮らす女の家に身を潜めながら、未来の自分を待ち受ける。
感想 解説
「ルーパー」をタイトルとしていますが、「何度もループしてしまう」状態を描いたストーリーではなく、未来の犯罪組織がタイムトラベルで送り込んでくる人物を始末する殺し屋を「ルーパー」と呼び、その契約を解消する時は、30年後の自分がまだ生きていたらタイムトラベルで送られて来て自分自身で始末することとなっており、これを「ループが閉じる」と表現しています。
基本的にはこの「未来から送られてきた自分を殺すことによって、殺した自分は将来そこへ送られてきて自分に殺される」状態を「ループ」と表現していると思います。
色々疑問点はありますが、面白い映画です。
ストーリー(あらすじ)
タイムスリップして爆弾魔を追う稼業をしている男が、孤児院で育った捨て子で後に女から男になった人物に会い身の上話を聞き、ある目的のため、彼が女だった頃に唯一惹かれた男に出会う場面に連れて行く。
感想 解説
ある人物の、原因と結果が何重にも絡んだ数奇な人生を描いています。劇中に出てくるキーワード「自分の尾を食うヘビ」に関連するテーマです。
ストーリーは変わった構造をしています。冒頭の主人公紹介のくだりのあとは、彼が出会った人物の捨てられた赤ん坊だった時からの身の上話が映画の半分まで続きます。身の上話をさせるまでの会話の流れが自然です。
タイムトラベルの絡む数奇なストーリーとして話を作り過ぎているので、それを受け入れられるかどうかで、面白いと感じるかありえないと感じてしまうか分かれるかもしれません。個人的には、ありえない、作りすぎだと思いつつ、面白かったです。
ロケーション、役者、照明、音楽、衣装、小道具、エキストラなどが適切に選ばれ丁寧に作られた印象です。
ストーリー(あらすじ)
妻を殺した男が、非現実の世界に入り込みグループセラピーのような会で他の人たち同様自分の罪の告白を強要され、反発してそこから逃れようとするが、殺した日を繰り返し経験させられる中で妻に毒を盛られたことを知る一方、彼女や連れ子の気持ちも理解し、起きたことを変えようとする。
感想 解説
主人公がグループセラピーのような会に参加させられる非現実の世界
そこから妻を殺した日を繰り返し経験させられ最初は逃げようとしますが、そのループで妻の視点も経験する中、妻や連れ子の気持ちも理解し、起きたことを変えようとします。
特殊な印象の映画です。
ストーリー(あらすじ)
エイリアンの侵略を受けている未来の地球で、最前線に送られた兵士が、敵が引き起こしている時間のループの中で何度も戦死し同じ場面を繰り返す中で経験を積み戦術を磨いて強くなり、侵略者に立ち向かう。
感想 解説
何度も戦死して同じ戦闘場面を繰り返すストーリーです。
日本のライトノベルを原作とした映画で、舞台設定やキャラクター設定は変更されているとのことですが、面白い映画です。何度も戦死して同じ戦闘場面を繰り返す中で経験を積み戦術を磨いて強くなっていく様子が見どころです。
ストーリー
警官に追われる兄弟が非常階段に逃げ、兄は追ってきた警官に足を撃たれるが、1階の下が9階になりループしており、トビラも開かず、警官も兄弟もその空間に閉じ込められてしまう。
母と母の新しいパートナーと兄妹が一家で車で出かけるが、途中、そのパートナーの不注意で妹が喘息を起こし呼吸困難にり、来た道を車で戻るが通り過ぎた場所に戻ってしまい、閉じ込められてしまう。
感想 解説
ここでは空間のループが描かれていますが、人から人へ同様の状況が繰り返されるという意味での「ループ」も描かれています。不条理スリラーとも言うべきストーリーです。
前半は空間に閉じ込められてしまった人たちが険悪になったり絶望する様子が描かれ、後半はその後の様子が描かれ、最後、それぞれがつながっている(同様の状況が繰り返されるという意味では「ループ」している)ことがわかります。
前半は慌てていて要領を得ない弟の様子(の演技)が鼻につき、父娘が同じ言葉を繰り返す様子が異常だったり、魅力を感じなかったのですが、後半のその後の様子、そして最後に向かって圧倒的に映画感が増します。探せば似た構造の映画はあるのかもしれませんが、他にはない独自のストーリーだと感じます。
私と同じように前半でつまらないと感じたら、とりあえず後半も見ることをおすすめします。
この映画を一つのビジュアルで表現するのはチャレンジングだと感じます。女性が嘆き苦しんでいるように見えるスプラッターホラーテイストのこの映画のポスターはどうしようもない絶望を表しているのだと思いますが、このビジュアルの印象で損をしているように思います。
ストーリー(あらすじ)
妊娠したガールフレンドと気持ちがすれ違うドラッグディーラーの男が、元締めを裏切り逃走しようとする中でループする時間に囚われ、彼女が死んでしまう事故を避け、追ってをかわしつつそのループから抜け出すために色々行動を変えていく。
感想 解説
いわゆる時間ループものですが、単にループするのではなく時間が迷路のようになっていきます。
過去の主人公を見る主人公、そしてそれを見る主人公、というように事象が層をなし、面白い反面、理屈を考えようとすると鑑賞側は少なからず混乱すると思います。
繰り返してしまう中でそれを回避しようとする様子を主体に描いているため、プロットドリブン寄りだと思います。
最後は追っ手も自滅し彼女を大事にして平穏が訪れたと思ったら、まだループから抜けていなかったことを示唆する終わり方をします。
ストーリー(あらすじ)
エネルギー問題で緊張する世界で、無限のエネルギーを生みだす機械を開発した男がそのパートナーの女と寝ている時、覆面の3人組に襲われ殺されるたびに同じ場面を繰り返し体験しその機械がタイムループを引き起こしているとわかるが、機械を停止しタイムループを止めると殺されたら終わってしまうため、少しずつ行動を変えながらその状況を脱しようとする。
感想 解説
何度も死んで同じ場面を繰り返す中で、少しずつ明らかになる事柄で行動や判断を変えつつ、その状況から脱しようとするストーリーです。
限られたロケーションですが、緊張感のある展開で、逆に言うと、限られたロケーションでほぼ同じ場面を繰り返し、大きな場面展開がない中で緊張感が続くので、途中は飽きてきます。それでも銃を持つ3人組との対峙、相手に気づかれないように物陰に隠れながらの行動、タイムループを引き起こしている機械をどうするかの意見の対立、アクションなど、面白く見ることができました。
ストーリー(あらすじ)
平行世界と接触する実験をしている学生グループのリーダー格の女子学生が自分達の起こした車接触事故の相手の車を確認しようとして巻き込まれ死亡するが、5ヶ月後のある日今まで通り学校に現れ、事故の後も彼らと毎日会っていたと言う。その後別世界の他のメンバー達も現れ、お互いに混乱しつつも1つの世界に2人同時には生きられないことに気づき、それぞれの方法で解決しようとする。
感想 解説
平行世界と接触する実験をしている学生グループが湖のそばで車を走らせながら実験中車接触事故を起こし、リーダー格の女子学生が相手の車を確認しようとして巻き込まれ死亡しますが、5ヶ月後のある日今まで通り学校に現れ、事故の後も彼らと毎日会っていたと言います。
平行世界と接触する実験に平行世界側が成功して「もう一人の自分」達がこちらの世界に来ますが戻る方法がなく、1つの世界に2人同時には生きられないことに気づくストーリーです。
それぞれの役者が、性格の違う一人二役をする様子も見どころです。
パラレルワールドがストーリーの中心ですが、最後、理屈は説明されておらず演出上曖昧にしているものの、時間もずれてループする様子が描かれ、不条理バッドエンドとなっています。
▶︎この映画は「パラレルワールドを扱った映画・ドラマ リスト」でも紹介しています。
ストーリー(あらすじ)
父親のタイムマシン開発の研究を手伝っている若い男が、起動テストは失敗したように見えたがその後意図せずタイムトラベルしてしまい、父親に借りて使った後盗まれたバイクの行方や身の回りの物事について調べ立ち回るうちに、物事を混乱させてしまう。
感想 解説
退屈な映画でした。元のアイディアなりプロットは悪くないのだと思いますが、演技が素人のようで、演出も学生映画っぽいです。役者は英語で話しますがネイティブでないと思われ、そのくせ会話が多く、なおさら演技が下手に見えます。登場人物は主人公と父親が主で、息子がタイムトラベルをしますがロケーションは少なく、ストーリーは父親と話したり小屋とカフェを行ったり来たりする繰り返しで、現在の状況がわかりづらいです。
時々挿入される空撮だけは旅情をかきたてられ無駄に美しいです。