1995年のタイムトラベル映画『12モンキーズ』感想と考察(ネタバレ)

1995年のタイムトラベル映画『12モンキーズ』は今見ても面白かった

別の投稿「時間・空間 ループもの映画リスト」のためにかなり久しぶりに『12モンキーズ』を見て、記憶していた以上に面白く、演技も素晴らしく、よくできた映画だと感じたので、感想や分析をこちらにまとめておこうと思います。

以下について書きます。


・ストーリー
・基本情報
・感想・分析
・魅力的なキャラクター
 ジェームズ・コール(ブルース・ウィリス)
 テリー・ギリアムも気に入っている、ジェームズがウイルス拡散前の世界を堪能するシーン
 ジェフリー・ゴインズ(ブラッド・ピット)
 キャサリン・ライリー(マデリーン・ストウ)
・ループする物語
・ジェームズがこのミッションに選ばれた理由
・主人公ジェームズのミッション
・過去から2035年への連絡方法
・ウイルスを持ち帰る方法
・ウイルス、細菌
・夢の内容が微妙に変化する理由
・空港でジェームズが撃たれたあと、少年ジェームズを見つけたライリーがうっすらほほえみを浮かべた理由
・ミスリードと真実
・”12モンキーズ”の正体と実際にやったこと
・ジェフリー・ゴインズはなぜ先鋭的動物愛護団体のリーダーになり、12モンキーズと名付けたか
・細菌学者の助手(真犯人)はなぜ細菌を盗んで拡散させようとしたか
・カサンドラ・コンプレックス
・ラストのジョーンズ博士に間する解釈
 制作当時、どのシーンで終わらせるかについて監督とプロデューサーで意見が異なったが、インタビューによってそのことについての発言内容がやや食い違う
 ジョーンズ博士のセリフに対する仮説
 ジョーンズ博士がなぜこのタイミング、この場所(機内)にいるのかについての仮説
・度々聞こえる声の正体
・テリー・ギリアムの世界観

 

▶︎時間・空間 ループもの映画リストについてはこちらの投稿をご覧ください。

ストーリー

2035年の囚人の男が、50億の人間が死滅したウイルスのルーツを探るため、12モンキーズというグループ名を手がかりに、大幅な減刑と引き換えに過去に送られるが、1996年に行くはずが1990年に飛ばされてしまった上に未来を語り分裂病として閉鎖病棟に入れられてしまう。

本来の目的を果たすために奮闘しようやく1996年に行くが、1990年の病院で会ったイカれた男がそこでは12モンキーズのリーダーとなり彼の父が細菌学者であることも知り、自分が彼に人類滅亡について話したことがウイルス拡散の原因になってしまったと思い彼を追う。

基本情報

監督: テリー・ギリアム(モンティ・パイソン、未来世紀ブラジルなど)
脚本: デビット・ピープルズ(ブレード・ランナーなど)、ジャネット・ピープルズ
出演: ブルース・ウィリス(ジェームズ・コール)、マデリーン・ストウ(キャサリン・ライリー)、ブラッド・ピット(ジェフリー・ゴインズ)他

感想・分析

以下、感想を交えながら、この映画のさまざまな側面、議論されている点について考察・分析していきます。

魅力的なキャラクター

主要キャラクターの演技がすばらしいです。

ジェームズ・コール(ブルース・ウィリス)

過去に飛ばされ奮闘する主人公ジェームズ・コールをブルース・ウィリスが豊かに演じています。

ジェームズは後述するように肉体的にも精神的にもタフなキャラクターですが、同時に人間味のある弱さ、感受性を持っています。

人類のほとんどが死滅し生き残った人々も地下での生活を余儀なくされている世界で囚人生活をしていた男が、ウイルスのルーツを探して様々なトラブルにまきこまれながら奮闘する様子や、ウイルス拡散前の世界に触れた時の様子を印象的に演じています。

テリー・ギリアムも気に入っている、ジェームズがウイルス拡散前の世界を堪能するシーン

ジェームズがウイルス拡散前の世界の音楽や新鮮な空気を堪能し、喜ぶ様子が印象的です。

1996年で女性精神科医ライリーを待ち伏せして車を運転させて移動中、ラジオから流れる音楽を聴く様子はうっとりと、しかし泣きそうな表情で、また、空気がうまいと言って窓から顔を出し、喜びを抑えきれない子供のように叫びます。

映画のオーディオコメンタリーのテリー・ギリアムのコメントによると、ここは最も好きな2つのシーンのうちの1つだとのことです。

この車中のシーンはスタジオでブルー・スクリーンを背景に映して録り、別撮りの外の景色と合成したものの、合成が思った以上に大変だったこと、しかしスタジオで安定した環境で撮影したことで、演技にプラスに作用したことを述懐しています。

ジェフリー・ゴインズ(ブラッド・ピット)

そして何といっても、イカれた男ジェフリー・ゴインズを演じるブラッド・ピットのキレた演技が強烈です。精神病院に収容されてきたジェームズにその場所の案内をしますが、指を噛み、頭を病的に振り、目つきもイッており、ニコニコしながら自分の話に夢中になりすぎ興奮して止まらなくなります。夜中にジェームズと話した時も興奮し始め、周りの人が寝ている中かまわずベッドからベッドへと飛び移り、尻を出し、その後もストーリーを通してキレた演技は続きます。 

『12モンキーズ』は、私にとってブラッド・ピットがすごいと認識した映画です。

彼はこの映画で、第53回ゴールデングローブ賞(1995年度)の助演男優賞を受賞しています。

キャサリン・ライリー(マデリーン・ストウ)

一方、女性精神科医ライリーの態度の変化もうまく表現されています。

ジェームズの話す未来の出来事について最初はあなたの妄想よと言うものの、様々なことに巻き込まれて真実を知るうちにすっかりジェームズ側の立場の振る舞いになっていく様子も見どころです。

ループする物語

主人公ジェームズは、空港で誰かが撃たれるところを少年の目線で目撃する夢を頻繁に見て、後にその時に叫んでいた女性が今一緒にいる女性精神科医ライリーだとわかり、それが実際にあった記憶だと思い出します。ライリーもジェームズに会った最初の頃から「私はずっとあなたを知ってるような気が」と言います。

ただし、ジェームズは、少なくとも最初は「撃たれた誰か」が自分だとは認識していないように見えます。

後述しますが、夢の内容もゆらぎます。ストーリー中の事実としては、


1、主人公ジェームズは少年の頃に空港で、大人の自分が撃たれるところを目撃(もちろん、撃たれたのが将来の自分だとは思っていない)

2、その後大人になり、1996年にタイムスリップした彼は空港で撃たれ、その様子も少年ジェームズが目撃

となっています。

その少年ジェームズが大人になった時にも同じ行動のはてに撃たれてしまうと思われ、ループをしている演出となっています。

しかし、ストーリーを作る上でこの少年は(少年時代は)直接的には物事の流れに関わっておらず、「ループ」しているという設定を作るために使われ、物語のスパイスになっているといっていいかもしれません。

ジェームズがこのミッションに選ばれた理由

彼は肉体的にも精神的にもタフです。
1990年では、1人で5人の警官を手玉に取り警官が2人入院したと、警察の男がライリーに説明しています。「馬を殺すほどの鎮静剤」を打たれて鎖で繋がれ、よだれを垂らしながらうずくまって体を揺らしています。

このミッションに選ばれた理由を2035年の女性科学者は「強靭な精神を持った人間が必要なの。人選を間違えて何度か失敗を」と言っています。

本人も以下のように説明しています。
ライリーに「ジェームズ、なぜここにいるの?」と聞かれた時の答え
・「観察眼があり精神が強靭だから」

記憶力もいいようです。1990年の病院で医師達やライリーの前で、自分の時代の科学者にメッセージを送るために電話をし、関係ない人物が出て、ライリーに「番号違いよ」と言われた時の返し
・「おれは記憶がいい。だから選ばれた」

実際、細菌がばら撒かれた都市を科学者達と確認する時、ジェームズは複数の都市名をスラスラと言い、女性科学者に「すばらしいわ、コール」と言われています。

主人公ジェームズのミッション

彼のミッションは「過去にタイムトラベルしてウイルスの拡散を阻止し人類を救うこと」ではなく、「ウイルスのルーツを突き止め奪い、科学者達に報告をすること」です。

ストーリー中、ジェームズは次のように発言しています。
「もう起こったことだ。防げるわけがない。俺は現在生きてる人間を救うためにウイルスのルーツを探っている」

ここで言う「現在生きてる人間」とは、タイムトラベル先の(ウイルス拡散前の)人々のことではなく、大幅に死滅したあとに生き残り地下での生活を余儀なくされている2035年時点の人々のことです。

車の中でライリーに計画を説明しています。
「俺の任務は、純粋ウイルスのありかを探し、科学者に報告してそれを奪う。科学者はそれを”現在” に持ち帰り、治療法を探す。」

しかしジェームズは経過報告で、”12モンキーズ”と細菌学者の息子の関係性について科学者達に伝え誉められましたが、結果的にミッションを完遂はしていません。

空港から科学者達に次のようにメッセージを入れています。
「”12モンキーズ”は忘れてくれ。犯人は奴らじやない。”12モンキーズ”は若者の悪ふざけだ。とにかくおれは任務を果たした。そっちにはもう戻らない」

「”12モンキーズ”は若者の悪ふざけだからウイルスとは無関係」と報告したわけですが、科学者からすれば、本当に”12モンキーズ”が無関係だとしてもウイルスのルーツは見つけられておらず、中途半端で投げやりな報告と受け取ったと思います。

過去から2035年への連絡方法

ジェームズが最初に1990年に飛ばされた時、電話をかけさせてくれと執拗に訴えています。

科学者達への連絡は、表向きカーペットの清掃会社となっている電話番号にかけることです。おそらく、留守電に残したメッセージが、2035年でも確認できるということだと思います。

実際、物語の後半でライリーが電話した内容を、ジェームズは以前(時間的には2035年に)聞いていました。

ウイルスを持ち帰る方法

前述のとおり、ジェームズがウイルスのルーツを突き止め「純粋ウイルス」を奪ったあと科学者が持ち帰る予定になっていました。

ジェームズは「純粋ウイルス」を奪う具体的な方法は分かっていなかったかもしれませんが、細菌学者の助手が細菌を容器に入れて持ち運んでいますので観客目線では持ち運び可能だとわかります。

物語の最後で、1996年で飛行機に乗り込んだ真犯人の隣の席に2035年の女性科学者ジョーンズがいます。2035年と姿が同じですので、タイムトラベルしてきているとわかります。このジョーンズ博士については諸説あり後述しますが、もともとジェームズがウイルスのルーツを突き止め奪ったあと、彼女が回収に来る予定だったのかもしれません。

ウイルス、細菌

ストーリー中、50億の人間が死んだ原因は「ウイルス」と表現されており、ジェームズも、「ウイルスのルーツを探っている」と言っています。

一方、ゴインズは父親が細菌学者のため「細菌」という表現を使います。犯人が持ち出したものも細菌のはずですが、実際に撒かれたのはウイルスです。

ウイルスと細菌は異なるものですがこのストーリー中では混同して使われているように思います。

ジェームズやライリーも、細菌と表現することがあります。

ライリーは自分の講演では「pure germ」と言っています。直訳すると「純粋な細菌」です。ただしこれはジェームズの「ウイルス」探しに巻き込まれる前です。

夢の内容が微妙に変化する理由

ストーリー中空港で実際にあったことは、「ウイルスの容器の入ったブリーフケースを持って逃げる助手を、拳銃を持ったジェームズが追う。ジェームズが警官に撃たれ、倒れたジェームズにライリーが駆け寄る。少年ジェームズがそれを目撃する」ですが、夢の内容は変化しています。

以下が夢の内容です

 

・冒頭、2035年の地下収容所で見た夢

騒がしい声と銃声。
少年の目のクローズアップ。
ノー!と言う女の声。
空港で倒れるオレンジ系の柄シャツの男(拳銃を持っている。サングラスをした顔ははっきりとは見えない)と駆け寄る女。
男の太い手が女の横顔に伸びる。
それを見ている少年。

→実際に起きた(または起きる)ことと同じ。

 


・1990年で病院に入れられゴインズに会い、医師達の面談を受けたあとの夢

空港の少年。
黄色いジャンパーの男(腰から下しか見えない)がシールの貼られたシルバーのブリーフケースを持って走り、女がノーと言っている。
誰か(ここでは拳銃を構えた柄シャツの半袖の腕だけが見える)が発泡するが、黄色いジャンパーの男(顔は見えない)は倒れず走り続ける。

→最後の方の実際の空港のシーンでは(少なくとも映像上は)ジェームズは発砲していない。ここではウイルスのルーツ探しに苦労していることが夢の内容に影響しているとも思われる

 


・ジェームズが1990年の独房から消え、2035年で目覚める前の夢

少年が見ている。
警官たちが拳銃を構える。
シールの貼られたシルバーのブリーフケースを持って走るゴインズ(ゴインズの顔が見える)
ゴインズ(こちら=少年を見て): どけ

→逃げる男がゴインズになっている。ここではゴインズと関わったことが夢の内容に影響していると思われる

 


・ジェームズが1996年でライリーをさらい、モーテルでうなされながら見た夢

拳銃を持った柄シャツのサングラスの男(後ろ姿)が撃たれ、倒れ、女性が駆け寄る。少年が見ている。

→実際に起きた(または起きる)ことと同じ。
(このあとのライリーとの会話で、ジェームズは少年が自分で、女性がライリーだと認識していることがわかる)

 

その後ジェームズ達は空港に来て、そこが夢で見た場所だとわかる。


実際の空港でのシーン

ライリー、助手を見つけて、そいつよ!死のウイルスを!お願い、その男を止めて!
助手、立ち去る
ジェームズ(オレンジ色系の半袖柄シャツ 白のズボン サングラスをしている)の前に警察。ジェームズ、彼を殴ってゲートをくぐる。空港係員を突き飛ばし走る。拳銃を持っている。ライリーも続く。
ジェームズ少年驚いて見てる。
ブリーフケースを持った助手が走る。ジェームズが走りながら拳銃を構える。
助手、ジェームズ少年にどけ、と言う。
ジェームズ、拳銃で狙う。(発泡していない)
ライリー、ノーと叫ぶ。ジェームズ、警官に撃たれ、倒れる。ライリー駆け寄る。あふれる血を押さえようとする。警官、銃を構えて近づく。
ジェームズ、ライリーの頬に手をあてる。
ジェームズ少年見てる
ジェームズ、息絶える。
少年見てる。
ライリー、少年を探し、見つける。うっすらほほえみとも取れないほほえみ。

 

私の想像ですが、夢の内容にはゆらぎがあり、その直前に実際に経験したことの記憶が影響しているように見えます。

ジェームズの行動によって歴史が変化し、助手ではなくゴインズがウイルスをまく世界線に行きかけた、という見方もありますが、理由としてやや弱いものの以下の理由でその可能性は低いのではないかと思います。

・4回出てくる夢のシーンのうち3回目で、逃げる男が助手ではなくゴインズになっていたが、4回目ではまた実際に起きる(起こった)内容に戻る

・ゴインズが先鋭的動物愛護団体のリーダーとして実際に行ったことは、後述のとおり「父親であり動物実験も行っていた細菌学者を誘拐し、動物園の動物を檻から放し、父親を檻に監禁」だが、ジェームズなどの行動によってゴインズが計画を変える可能性や兆候は見られない

・むしろ夢の前のジェームズの経験の方がダイレクトに夢に対する影響があると考えられる

 

空港でジェームズが撃たれたあと、少年ジェームズを見つけたライリーがうっすらほほえみを浮かべた理由

空港でジェームズが撃たれ死んだあと、少年ジェームズを見つけたライリーは、うっすらほほえみとも取れないほほえみを浮かべます。

ライリーはこのシーンより前にジェームズから「子供の時ここへ来た。君もここにいた」と聞いています。

「ジェームズは撃たれて死んでしまったが、それを見ているあの子もジェームズで、また将来同じ運命をたどるのね」という、まだ生きて存在しているジェームズ少年に対する気持ちと悲しみの合わさった言葉にできない感情を、非常に微妙な表情で表現していると思います。

ミスリードと真実

ストーリーの大半は、主人公がウイルスのルーツを探るために1990年や1996年に飛ばされ、精神科医の女性ライリーを巻き込み奮闘し、1990年の精神病院で出会ったイカれた男に人間が絶滅する話をしたことから後にその男が細菌テロを起こすらしいと思い、追う内容となっています。

しかしウイルス拡散の真犯人は細菌学者の助手でした。

「12モンキーズ」というグループ名が映画のタイトルになっていますが、直接的にはウイルス拡散とは無関係です。壮大なミスリードですね。このミスリードを楽しむ映画と言っていいと思います。

“12モンキーズ”の正体と実際にやったこと

ストーリー中の実際の「12モンキーズ」は、イカれた男ジェフリー・ゴインズをリーダーに据えた先鋭的動物愛護団体であり、彼らは、リーダーの父親であり動物実験も行っていた細菌学者を誘拐し、動物園の動物を檻から放し、父親を檻に監禁し、ゴインズは逮捕されました。

直接的にはウイルス拡散とは無関係ですが、映画の冒頭、雪に覆われる2035年の地表の都市の廃墟に動物が闊歩しているのは、1996年に彼らが放した動物のなごりかもしれません。

タイミングとしては、ゴインズ達が動物を放した後おそらく半日以内には空港で助手によってウイルスが撒かれ、ストーリー中の科学者達の会話からわかるように、最初のウイルスが撒かれてから2週間程度で兆候が現れ、その後地球上のほとんどの人間が死滅する大災害になります。

この「兆候」がどの程度のことを表現しているのかで変わってきますが、「最初のウイルスが撒かれてから2週間程度で地球上のほとんどの人間が死滅していく兆候が現れた」のであれば、動物が放されてから程なく、動物捕獲どころではなくなっている可能性があるためです。

ジェフリー・ゴインズはなぜ先鋭的動物愛護団体のリーダーになり、12モンキーズと名付けたか

ジェームズは1996年で、12モンキーズに関係すると思われる店(科学者達に見せられた写真の一つ、ブタの顔の立体サインがある店)にいた若者たちに12モンキーズのことを聞き、しらばっくれられ、銃で脅します。

一人が以下のように話します。
「ジェフリーはマスコミの寵児になった。細菌学者でノーベル賞受賞の父親に抗議デモ」「奴は俺達の穏健な抗議運動にあきてきた。” ビラ配りなんか効果ない””過激なゲリラ戦略で大衆を啓蒙すべきだ”と」「奴は11人の仲間と地下軍団を組織した」
その後ジェフリーは裏切って父親養護になったと言っています。

しかしその後で、病院から出たあと父親の元でまっとうなふりをしているジェフリーは、訪れたジェームズに次のように発言しています。
「12モンキーズの正体を?環境保護に血道を上げてるアホ野郎どもだ。おれは奴らに利用された金持ちの息子。おやじはDNAや細菌研究の危険性を警告した。”12モンキーズ”の奴らは何を勘違いしたか、警告をねじ曲げ危険な革命組織に変身。」

若者の発言とニュアンスが違いますが、これは他人のせいにするために、嘘を言っているか無自覚に表現が変わっているように思います。実際、その後リーダーとして、動物園の動物を檻から出し、父親を檻に入れる活動をします。

12モンキーズという名前に関しては、いくつかヒントがあります。

さかのぼって1990年の病院に収容されていた時、ゴインズは、父親が病院から出してくれるとジェームズに喋り興奮して騒ぎ出し、職員に捕まりました。その後目の下にアザができてやつれた状態で戻ってきて、猿やウサギへの動物実験のニュースを流すテレビの映像を見つつジェームズと以下のやり取りをします。

ゴインズ: 拷問、実験、我々は実験用の猿だ。
ジェームズ: 拷問を?
ゴインズ: あのウサギほどじゃない
ジェームズ: 見ろよ。人間はひどい。絶滅するのも当然だ
ゴインズ: 絶滅?名案だ。最高! とりあえず例の目先の話だが、口は割ってないぜ。
ジェームズ: 例の話って?
ゴインズ: 自由を目指す話さ。

 

動物愛護団体のリーダーとなり、虐げられた実験用の猿達という存在に自分の病院での扱われ方を重ね、グループ名として「猿」を使ったと想像ができます。

また、1990年の病院のテレビでコマーシャルのあと映画「Monkey Business」へつながる様子が流れ、ゴインズはそれを見つつジェームズに鍵を渡し、「モンキー・ビジネス」という表現を使っています。その後「モンキー・ビジネスは忘れて株を買い占めろ!」と叫んで騒ぎ始めます。モンキー・ビジネスとは、インチキ、いたずら、という意味です。

細菌学者の助手(真犯人)はなぜ細菌を盗んで拡散させようとしたか

細菌学者の助手は、ライリーが未来の災害を予言する症候群についての講演「Madness and Apocalyptic Visions(会場の看板にはられたチラシより)」をした時に聴講しており、講演後のサイン会へも顔を出しています。

ライリーはヨハネの黙示録を引用しつつ、疫病や細菌による人類滅亡の予言の例を上げ、少なくともそのうちの一つはこの映画上のフィクションで第一次世界大戦のさなかに飛ばされたホセやジェームズが記録されている内容ですが、未来の災害を予言する症候群を紹介しつつも精神科医としての立場であくまでこれを異常心理として話しています。

そのことに対して助手は、ライリーのサイン会で穏やかにほほえみながらも食いついてきます。

助手: あなたは未来への警告を軽視している。人類は今のままでは地球を滅ぼすことになる。
ライリー: 同感よ
男: 核兵器、計画性のない人口の増加。陸、海、空気に対する環境汚染。なのに人類はそれらの警告を真剣に受け止めようとせず、目先の暮らしに浮かれている。

他の人が割り込んできて助手とライリーの会話はここで分断されました。

また、細菌学者(ゴインズの父親)の研究所で細菌学者にライリーが電話をかけてきたあと、助手である彼は学者と以下のやり取りをしています。

助手: 一度、彼女の講演を。破滅論者のようです。
父親: バカげとる。私の息子のことで途方もない言いがかりを。
助手: 多分彼女自身が”カサンドラ異常心理”なんですよ。
父親: 念のため警備体制を見直そう。細菌の管理体制を厳しくしてくれ。

ライリーのことを「破滅論者」「彼女自身が”カサンドラ異常心理”」と発言していますが、これは実際には彼自身のことだと思われます。

「カサンドラ異常心理(脚本及び映画中のセリフでは”Cassandra Complex”)」については後述します。

また、この助手は、細菌の管理体制を扱える立場にあったことがわかります。

実のところ、ウイルス拡散のルーツであるフィラデルフィアの空港で助手がウイルスの容器を開けたのは、計画に基づいて開けたわけではなく、手荷物検査でスタッフに見咎められ容器を開けてくださいと言われたためです。しかしここで助手は全く躊躇することなく応じています。

これは、自分も死ぬつもりでウイルスを撒く計画だが、ここで撒いても直ぐに死ぬわけではないのでその後の計画を遂行できるとわかっているためだと思います。

2035年の科学者達とジェームズがウイルス拡散について以下のように確認しています。

科学者: もう一度情報の整理を。最初の兆候が現れたのは1996年の12月27日フィラデルフィア。
ジェームズ: 細菌がばら撒かれたのは12月13日前後。
科学者: その後順次に各地で。
ジェームズ: サンフランシスコ、ニューオーリンズ、リオ・デ・ジャネイロ、ローマ、キンシャサ、カラチ、バンコク、北京。

つまりウイルスが撒かれてから兆候が現れるまで2週間かかったことがわかります。

ウイルスの影響が出るまでの具体的な期間を助手がわかっていたのか不明ですが、空港のチェックインの時にスタッフが行き先を確認する時に、一週間で世界のあちこち(ジェームズが科学者達と確認したウイルス発生都市と一致)に行くことが明かされていますので、1週間あれば自分がウイルスで倒れる前に計画している場所にウイルスを撒けるとわかっていたのではないかと思います。

自分も死ぬつもりでしたが、空港で容器を開けても直ぐに死ぬわけではないため、計画の遂行はできると思っていたのだと考えられます。

カサンドラ・コンプレックス

前述のとおり、ライリーは自分の講演で、「未来の災害を予言する性癖を、我々は”カサンドラ異常心理”と呼びます」「カサンドラは予言の女神で、神の怒りに触れ誰も彼女を信じなくなりました」と話しています。(それぞれ字幕より)

字幕では「カサンドラ異常心理」となっていますが、脚本及び映画中のセリフは”Cassandra Complex”です。

「カサンドラ異常心理」で検索すると、「カサンドラ異常心理」ではなく「カサンドラ症候群」についての説明が検索結果として表示されますが、「カサンドラ症候群」は正式な病名ではなく言葉がやや独り歩きして使われ方に揺らぎがあるようで、いずれにしてもこのストーリー中での意味とは異なるように見えます。

ウィキペディアの「カサンドラ症候群」では、以下のように説明されています。

カサンドラ症候群(カサンドラしょうこうぐん、英: Cassandra affective disorder)、カサンドラ情動剥奪障害(カサンドラじょうどうはくだつしょうがい、英: Cassandra affective deprivation disorder)」とは、アスペルガー症候群を持つ配偶者、あるいはパートナーと情緒的な相互関係が築けないために配偶者やパートナーに生じる、身体的・精神的症状を表す言葉である。

 

ウィキペディアの「カサンドラ(比喩)」では、以下のように説明されています。

カサンドラの比喩(Cassandra metaphor; 「カサンドラ症候群」、「カサンドラ・コンプレックス」、「カサンドラのジレンマ」などの形で使われる)は、ある人が正当な不安や警告を発しても、それが他人に信じてもらえない現象を指すメタファー

 

ウィキペディアの「カサンドラ症候群」の「カサンドラ」の名称についての項では、以下のように説明されています。

カサンドラというのは、ギリシア神話に登場するトロイの王女の名前である。太陽神アポロンに愛されたカサンドラは、アポロンから予知能力を授かる。しかし、その能力でアポロンに捨てられる未来を予知したカサンドラは、アポロンの愛を拒絶したので、怒ったアポロンに「カサンドラの予言を誰も信じない」という呪いをかけられた。カサンドラは真実を知って伝えても、人々から決して信じてもらえなかった。

 
“Cassandra Complex”の字幕を「カサンドラ・コンプレックス」でも「カサンドラ症候群」でもなく「カサンドラ異常心理」としたのは、「カサンドラ・コンプレックス」ではどういうものかわからず、「カサンドラ症候群」ではこのストーリー中での意味とは異なる上に解釈のされ方に揺らぎがあるため、フィクションのストーリー用にわかりやすく、しかもライリーの立場では「異常」だと認識していることを表すために、「カサンドラ異常心理」としたのかもしれません。

ラストのジョーンズ博士に間する解釈

ストーリーの終盤、逃げ切った助手が飛行機内に入り、その席の隣に2035年の女性科学者ジョーンズがいて言葉を交わします。

女: イヤね。暴力事件ばかりで。空港でも銃撃戦。この地球で次に絶滅するのはきっと人類よ。
助手: その通りです。正しい予言です。
女: ジョーンズです。
握手する。
女: 救済保険業よ。(セリフでは”I’m in insurance”)

 

2035年と姿が同じで、2035年の彼女の約40年前の姿ではありませんので、タイムトラベルしてきていると推測できます。

ジェームズの説明からわかるように、ジェームズが突き止めて奪ったウイルスを「科学者が”現在”に持ち帰る」ことになっていました

主人公が1996年から2035年の科学者達宛に留守電を残したあとすぐホセが送られてきたことから分かるように、行き先の時間がわかれば(失敗することはあるにせよ)タイムトラベルですぐに人を送ることもできることがわかります。

しかしジョーンズがなぜこのタイミング、この場所(機内)にいるのかが不明です。このときの彼女のセリフ”I’m in insurance”の意味と共に、様々に議論、解釈されているようです。

タイムトラベルのストーリーとしては、かなり綿密に物事の理由や経緯を描いている本作において、この点はあまりはっきり描いていないものの一つだと感じます。

制作当時、どのシーンで終わらせるかについて監督とプロデューサーで意見が異なったが、インタビューによってそのことについての発言内容がやや食い違う

コメンタリーやインタビューによると、どのシーンで終わらせるかについて監督とプロデューサーで意見が異なったとのことですが、インタビューによって発言内容がやや食い違っているように見えます。

コメンタリーでは、プロデューサーのチャールズ・ロヴェンとテリー・ギリアムは以下のように話しています。カッコ内は私の補足です。

チャールズ・ロヴェン:
ワシントンの試写の結果で、あることを決めようと思ってた。映画の結末だ。機内に彼(助手)がいるシーンにするかどうか。女性科学者を登場させるべきかどうか。

テリー・ギリアム:
最も意見が分かれた問題だ。ミック・オーズリー(映像編集)と私とマデリーンは同意見だった。少年とライリーの目が合うシーンが最後だ。あのシーンが一番気持ちが盛り上がる。だが脚本では科学者と彼(助手)の機内のシーンの後、さらに駐車場のシーンがある。

私の気持ちは決まっていた。少年とライリーが見つめ合うシーンで終わりたい。ところが頑固なことで有名な君(プロデューサー)は譲らない。”脚本通りにしよう”と言い続けた。それで機内のシーンを撮った。

 

2021年のインタビューでは、テリー・ギリアムは以下のように話しています。

テリー・ギリアム:
映画の終わりは、私の考えでは、駐車場で父親と車に乗る少年ではありませんでした。全ての撮影が終わり、それを見たとき、飛行機の中でウイルスを放すデイビッド・モース(助手)と、未来から来た科学者たちが出会うシーンで映画を終えることに満足していました。私にはそれで十分でした。

しかし、プロデューサーは「いや、少年で終わらせなきゃだめだ」と言いました。私はそれをやりたくないと言いましたが、彼はしつこく主張しました。

出典
https://www.yahoo.com/entertainment/director-screenwriters-12-monkeys-look-160000307.html

 

コメンタリーの録音された年は明らかではありませんが、DVDやブルーレイが発売される前であるのは確かです。時間の経過と共に記憶が曖昧になっているようです。

ただし、このコメンタリーとインタビューの両方が成立するようにまとめて解釈するなら、以下のような流れかもしれません。

脚本では、
少年とライリーの目が合うシーン→機内でジョーンズ博士と助手が会うシーン→駐車場での少年のシーン
となっていた。

テリー・ギリアムは少年とライリーの目が合うシーンで終わりたかったが、プロデューサーから「脚本通りにしよう」と言われ、機内のシーンと駐車場のシーンを撮った。

機内のシーンで終わることに満足していたが、プロデューサーから「駐車場のシーンで終わらせなければだめだ」と言われ、結果的にそうした。

 

以下のブルーレイにコメンタリーが収録されています。

ジョーンズ博士のセリフに対する仮説

“I’m in insurance”のセリフは脚本にあります。

字幕では、「救済保険業よ」と訳されています。「私は保険に入っています」ではなく「私は保険業界にいます」という意味になるようです。

このセリフに関する、オーディオコメンタリー中でのテリー・ギリアムの発言によると、このセリフは脚本にあったがプロデューサーからは削除するよう求められ、しかし含みをもたせるために残したようです。

明確な意味や背景ストーリーとの整合性は考えられておらず、観客として色々と仮説を立てることはできますが答えがあるわけではないというのが正確なようです。

テリー・ギリアムは「伝染病の流行は人類にとって災難だが長い目で見れば40年後に世界は再生される」と発言していますので、この女性科学者は、助手との接触で感染していないのかという疑問はあるものの、何らかの行動のあとウイルスを自分の時代に持ち帰り、治療法は確立されたということだと思います。

ジェームズがウイルス奪取に失敗した場合の「保険」として来ているという解釈もあるようですが、このセリフは単純に、「この地球で次に絶滅するのはきっと人類だが、私はこのウイルスをあなたから奪って未来で治療法を探す」という意味を「保険」と表現しているのかもしれません。

▶︎映画の英語スクリプト(脚本)を閲覧できるウエブサイトについてはこちらの投稿をご覧ください。

ジョーンズ博士がなぜこのタイミング、この場所(機内)にいるのかについての仮説

ラストのジョーンズ博士については様々な解釈があるようです。映画の終わり方に関する情報やジョーンズ博士のセリフに関する解釈を踏まえつつ、いくつかの解釈をあげておきます。


仮説1
もともとこのタイミングで彼女がウイルスを回収するために来る予定になっていた。

 

しかしジェームズがいつウイルスを奪えるかはわからないため、この仮説は難しそうです。

ただ、ジェームズが撃たれる様子を少年時代のジェームズが目撃することがループしておりこのストーリーが規定の流れをトレースしているだけなのであれば、時間軸は1本なのかもしれません。

そうであるなら、2035年の科学者達はジェームズをタイムトラベルさせた段階ですでに、彼が撃たれることも真犯人が飛行機に乗ることも歴史上の事実として知っており、その事実に合わせてジョーンズ博士がタイムトラベルしてきたと解釈できます。

しかしこの解釈は映画内での科学者達の描かれ方と異なり、ストーリーの前提が成り立たなくなります。


仮説2
科学者達はジェームズから「12モンキーズはウイルスとは無関係で、自分は戻らない」と連絡を受けたが、細菌がばら撒かれたのはフィラデルフィアで12月13日前後とわかっており、ゴインズの父親が細菌学者ということもジェームズの報告によって分かっているため、ジェームズからのこの連絡をきっかけにホセと共にタイムトラベルしてきた。

 

しかし、ジェームズからの電話では、真犯人やその動向はわかりませんので、そのタイミングで飛行機内に来る理由はないと思います。


仮説3
ジェームズが殺されてしまったことや犯人が飛行機に乗ろうとしていることをホセが報告し、サンプルを奪うためにタイムトラベルしてきた。

 

これは一番現実的な理由で、ジェームズがウイルス奪取に失敗した場合の「保険」として来ているというセリフに対する仮説にも合いますが、この機内のシーンは空港でウイルスがまかれたあとのため、タイムトラベル先のタイミングとしてふさわしくありません。

科学者達はウイルス拡散を止めようとしているわけではなくウイルスを入手しようとしています。そのため、すでに空港で助手によって一部を撒かれたあとであっても、構わないのかもしれません。

しかし助手が荷物検査でウイルスの容器を開けさせられた時にウイルスは拡散しており、助手自身にも付着しているはずです。仮に機内でサンプルを盗みタイムトラベルして2035年に戻っても、ジョーンズ自身がウイルスに感染してしまっていることになります。

あるいは、ウイルスのサンプルを入手できさえすれば、自分の元の時代2035年に戻り、ワクチンや治療法が確立された未来へタイムトラベルして治せると見込んでいたのでしょうか。

逆に、次のような意見もあります。


仮説4
ウイルスが間違いなく巻かれることを監督するために来た。

 

実は2035年の科学者達は、人類を救うためではなく、何らかの利益のために純粋ウイルスを探して持ち帰ろうとしていた、という仮説です。

しかし、ウイルスが撒かれることで利益を得る業界もあるかもしれませんが、保険業はそうではないように思われます。テリー・ギリアムの発言とも矛盾します。


仮説5
助手とジョーンズが「会って話す」ためのストーリー上の都合

 
ジョーンズが機内で助手に会うストーリーにしたのは、多かれ少なかれこれは理由に入っているのではないかと思います。

度々聞こえる声の正体

ジェームズは時々、ジェームズのことをボブと呼ぶ、そばにいる誰かとも幻聴とも取れる声を聞きます。

この点もはっきり描いていないものの一つです。監督とプロデューサーのコメンタリーでも言及がありませんでした。

2035年の地下の収容所(牢屋)の隣の部屋から聞こえてきたり、タイムトラベル中に、浮浪者の老人として実際に現れたり、空港でもトイレの個室から聞こえてきました。個室の扉を開けると、声の印象が異なり無関係と思われる男が出てきます。

脚本では、キャラクター名/セリフの話者を以下のように表記しています。日本語訳は私の補足です。


隣の独房の声:RASPY VOICE (o.s.)
 ガラガラ声(画面外)
浮浪者:LOUIE
 ルーイ

LOUIEについては「speaking in a voice eerily like the RASPY VOICE from the next cell in the future.」と表現されていますので、浮浪者の声は隣の独房から聞こえた声のようだと指定されていることになります。

この浮浪者の説明では、追尾装置が付けられ盗聴している、と言っています。

ジェームズより前にタイムトラベルをした人物という推測もありますし、何度も同じ人生を繰り返し経験してきたジェームズの記憶が、もはや夢を超えて幻聴となって聞こえているのかもしれません。

テリー・ギリアムの世界観

独特の世界観を持つテリー・ギリアムですが、この映画でも、良質なSF映画の中に独自の世界観をうまく融合しています。

ウイルスに汚染された地上に出るための防護スーツは、全身タイツの上に宇宙服のような物を着て、その上にビニールのレインコートのような物を着ます。

装備や機械はローテクで、地上に出るためのエレベーターは炭鉱のエレベーターのような印象です。

科学者達に尋問される場所も、ボール状に組んだ複数のモニターそれぞれにジェームズ自身と各科学者の顔が映され、このサイバー・キッチュな感じもテリー・ギリアム映画らしいと感じます。

広角寄りのレンズで人の顔をアップで映すカメラワークも、この世界観に合っていると思います。