キャリアブレイクの勧め

キャリアブレイクの勧め

ここでは私の経験も交えながらキャリアブレイクについてお話しします。

仕事が自分の方向性と違う、つまらない、つらい、会社に行きたくない

希望して就いた仕事であれ、やむなく就いた仕事であれ、現在の仕事、特に会社務めの仕事が楽しくて満足しているという人はどれだけいるでしょうか。

毎日同じ時間に起き、混んだ電車やバスに乗り、ますます仕事の効率が求められる中、ソリの合わない人とも一緒に仕事をし、クライアントや上司からの過度な要求にも応え、遅い時間まで働き、疲れ果てたりストレスに押し潰されそうになっている人も多いのではないでしょうか。

相手に何らかの価値を提供してその対価(お金)を受け取り、別の相手から物やサービスなどの価値を受け取る時には対価(お金)を渡すことで個人個人の生活や社会がまわっており、それがすなわち仕事ですが、特に日本では生活の大部分が仕事ありきになってしまいがちです。

仕事が大変でもその仕事が好きなら幸せですが、現在の仕事や会社に不満を感じていたり、自分のやりたい仕事ではないとか自分に合わないと感じていたり、合っているかどうかよりもとにかく会社に行きたくないと感じていたりしても、自分を振り返る間もなくただ辛い毎日を繰り返してしまいます。

村社会の中での同調圧力とその中で生きる生活の知恵

村社会気質が強く残る日本では、自分がどう思うかよりも周りがどう思うかを意識し、周囲の人、学校、会社、世間といった自分を取り巻くものに合わせるかわりに安心と安全を提供してもらうことで良くも悪くも物事が回っていたと思います。

それは結果的に社会システムとしてもあらわれ、日本の就業形態は「就職」ではなく「就社」であるとも言われるように、終身雇用制での会社のあり方もその最たるものです。

日本特有の制度といわれる新卒一括採用によって卒業前の学生を大人数採用し、何年もかけて教育し、歳をとるまで雇うことを保証する代わりに、年功序列型の給与体系及び人事体系の中で会社への忠誠を尽くさせるシステムです。

若い応募者にとっては入社時の経験やスキルはさほど求められず、会社の方針に従ってさえいれば生涯雇い続けられ給料も上がっていき人生設計を立てやすいというメリットがある反面、若いうちは給料が安めで、本人の希望よりも会社の都合で部署や仕事内容が決められがちというデメリットもある仕組みでした。

大小にかかわらず身近なコミュニティにおいて、「世間一般では」とか「みんなにどう思われるか」を意識して行動するのは村社会で生きる上での生活の知恵でもあったと思います。「右へならえ」とか「長いものには巻かれろ」「敷かれたレール」というややネガティブなキーワードでも表現されるものですが、仕事でも同様で、周りと同じように就職し、社内でも周りに合わせ、安心と安全を提供してもらい、結果的に多くの人が「中流」と感じる生活ができていたと思います。

セイフティネットの崩壊

しかし社会が変化する中で「世間一般」も変化し、これまで安泰だった大企業の経営さえつまずき始め、企業は正社員を減らし、契約や派遣という雇用形態を人件費を抑え解雇もしやすくするために利用し、終身雇用制度は崩壊し、一方、政府は借金を増やし続け、年金制度は徐々に破綻へと向かっています

徐々に安心も安全も提供されなくなり、セイフティネットがないと嘆く人が増えてきている中、しかし同調圧力だけが残るという厳しい状況になっているように思います。むしろ、それぞれが自分の考えや都合を述べているだけであってもそれを同調圧力と思い込む気質が残っていると言えるかもしれません。

キャリアブレイクの勧め

そんな中、転職は一般的になり、若い人がビジネスを始めることも増えているように見えます。

転職ということを考える場合、転職をする側も転職者を採用する企業側も、すでに経験があることを活かすという発想になりがちで、同業他社へ転職することが多いと思います。しかし現代は社会の変化が大きく、世の中の主流や需要は刻々と変化し、自分の興味や仕事に対する考え方も変わるかもしれません。自分の進むべき方向性を試行錯誤して方向転換をしていく必要もあると思います。

そのため、「仕事は好きだし会社務めは合っているけれどたまたまその会社が合わない」という場合は別ですが、現在の仕事がつまらないと感じていたり、自分の関心に応じて何かにチャレンジしたい場合、今の会社で仕事を続けるか転職するかの二択ではなく、新しいことに取り組んだり充電をする期間を設けてキャリアブレイクをするのもいいのではないかと思います

「キャリアブレイク」はもともと、女性が出産して子供を育てるために仕事を離れることをキャリアの「ブランク」と考えられていたのを肯定的に捉え直すために使われ出した言葉のようですが、性別にかかわらず、新しいことを勉強したり、留学などで世界を見たりするために「キャリア」を「ブレイク」(休憩・中断)することを表すのにも使われます

学生の場合も同様

学生も同じことがいえます。高校、大学は基本的に自分で志望して入学したはずですが、授業の内容に興味が持てない場合もあるかもしれません。それでもとりあえず真面目に学んでみて身についたり見えてくるものもあると思いますが、学校の授業がつまらないとか学校に行くことに違和感を感じるのであれば、休学や中退をして自分のやりたいことに取り組んだり世界を見てみるのもいいと思います。特にこれからは、仕事でも日常でもますます世界中の人とのコミュニケーションが増えてくるはずですので、若い人全員留学すべきとさえ思います。

私の場合

私は25歳の時に、それまで3年弱務めたグラフィックデザイン会社を辞め、同業他社に転職をしても自分のイメージするビジュアル制作の仕事にはつながっていかないと考え、フリーランスになりました。当初はエアブラシで絵を描いたり立体作品を作ってあちこちに売り込みをして様々な仕事をしましたが、仕事には波があり自分の作品も作っていたので日雇いの仕事も入れながらフリーランス兼フリーターで5年活動しました。

フリーランスの期間に世間にパソコンが普及し始め、私もパソコンでのビジュアル作りやCG制作に取り組み始め、作った作品を持ってあちこちに売り込みをしました。その後縁あってテレビ局の子会社のデザイン会社に入り、CG制作と管理業務合わせて16年務めた後、もっとコンテンツそのものを作りたいと考えその最たる映画制作の勉強のため46才の時に退社し、語学留学と映画留学をした後フリーランスとして仕事をした期間を含め5年間アメリカに滞在しました。

日本に帰国後は映像制作の仕事をしつつ、次に向けて準備をしています。

私の留学前の経歴についてはこちらの投稿もご覧ください。

私はずっと自分の進むべき方向性を試行錯誤しつつ方向転換をして、結果的に会社務めとフリーを交互にやってきました。25才のときも46才の時も、ある程度の方向転換やその模索・勉強をするために、まとまった時間が必要でした。

会社員であれフリーランスであれ、最初からやりたいことが明確でそこに向かって努力して成果を出せる人は素晴らしいです。あるいは会社に勤めながら副業で成果を出せる人は副業の売上で生活できるようになったら、そのまま移行することもできます。

しかし私のようにそうではない場合、キャリアブレイクが有効だと思います。

キャリアブレイクの準備

キャリアブレイクをして勉強をするにしても、自分でビジネスを始めるにしても、自分の取り組みたいことに取り組むあいだ無収入でも生活できるように、お金をためておく必要があります。1年分とか2年分とか、あるいはもっとか、自分の必要に応じて準備するといいと思います。そのために通常は節約が有効です。

留学資金の作り方についてはこちらの投稿をご覧ください。

余談 新しい生き方(社会システム)の必要性

現代は、長い年月の様々な経緯の末、多くの人が会社で仕事をして、その対価として価値の交換手段としてのお金をもらい、それを自分の必要なものと交換することで人々は生活しています。しかしそもそも、人が生きていくその方法を改めて考えてみると、もしかしたら他により良い方法があるのかもしれません。

それは資本主義か社会主義かといった議論の延長にあるのか、また違った考え方なのかはわかりません。いずれにしてもすぐには変わらないと思いますが、多くの人が現在の仕組みで困難を感じているのであれば、いずれ変わっていく、あるいは変えていくべきだと思います。

例えば現状のシステムの延長線上で、ベーシックインカムの導入というアイディアを見聞きします。国民全員一律に、最低限の生活に必要なお金を国が支給するというものです。基本的な生活が保証されることでより豊かな価値の創出と交換が行われるようになるのか、それとも人々が働かなくなってしまって財源が確保できなくなるのか、全く未知数ですが、いずれにしても人が生きていく社会の仕組み自体のデザインはこれから必要になってくると感じます