Googleは対話型検索エンジン、ChatGPTはプラットフォーム型に特化する?

AI
AIアシスタントの将来への妄想と予想

ChatGPTをはじめとする文章生成言語モデルは、パソコン、インターネット、検索エンジン、スマホなどに次ぐ、社会に新たな変化をもたらすツールになっていきそうです。ChatGPTを脅威と受け止めたGoogleは慌てて競合サービスである対話型AI「Bard」を発表、アメリカとイギリスで一般公開し、今後より多くの国と言語に拡大していくようです。

ChatGPTやその周辺の状況をくまなく理解しているわけではなく認識が間違っている部分もあるかもしれませんが、GoogleやChatGPTの今後を妄想してみたいと思います。

検索エンジンの優れている点と欠点
 
検索エンジンは一種の発明だった

インターネット以前は、何かを調べたい場合、①人に聞く、②書籍・辞書・辞典などを調べる、が主なすべての選択肢で、必要な書籍・辞書・辞典が手元になければ買いに行くか誰かに借りるか図書館に行く必要がありました。

インターネット検索によって手軽に広範囲のソースを調べることができるようになったのは一種の発明だといっていいと思います。

しかし、必ずしも完璧ではないのは周知の通りです。

ネット上の情報は玉石混交

何かについて調べるために検索した時、出てきた記事がどの程度信頼できるのかわからない場合があります。書籍や辞書・辞典であれば、専門家の監修、編集者のリサーチや精査、出版社の信頼性などによって内容の正確性は担保されますが、ネット上の情報は玉石混交です。

辞書となっていても項目だけあって説明がない場合もあります。

検索エンジンは検索意図に答える可能性の高い記事を上位表示しているにすぎない

自分が知りたいトピックがニッチなトピックの場合、ネット上にほとんどあるいは全く情報がなく、どんなに検索しても答えにたどり着かない場合もあります。また、知りたいことが、単純なキーワードの組み合わせや単純な文章では表現できない、つまり検索では済まない場合もあります。

ChatGPTが変えるAIアシスタント

ChatGPTをはじめとするAIアシスタントは、検索エンジンの欠点のいくつかを解決し、単なる検索を超えたリサーチアシスタント能力と文章生成能力によって大きな可能性があると感じます。

対話型で、より複雑な内容にも回答できるため、単なる検索を超え、文章をまとめたり特定のテーマで文章やコードを書いたり、何かを検討する時にも使えることが爆発的にユーザーが増えた理由だと思います。

これまでのキーワード検索では、上位表示されたものを中心に閲覧して自分で正解を導く必要があることに比べ、ChatGPTは文章でまとめてくれるのも便利な点です。

一方、ChatGPTはインターネット上の情報を学習しており不正確な情報を出力してしまうこともあるようですので、今後はより正確で使いやすいAIアシスタントになっていくことを期待したいところです。

サードパーティープラグインのサポートを通じてプラットフォーム化をしていくとのことで、大きな可能性を感じます。

情報元
OpenAI、プラグイン追加でChatGPTを一夜にしてプラットフォーム化ーーExpediaプラグインで即席の旅行予約アシスタントに
https://thebridge.jp/2023/03/openai-turns-chatgpt-into-a-platform-overnight-with-addition-of-plugins

その上で、以下のようなことができるようになっていくことを予想あるいは妄想しています。すでに存在する機能やサービスが含まれるかもしれません。

プラグイン対応型多目的AIとしてのプラットフォーム化

プラグインの方向性は大きく3つ

・方向性1、インプットに関するもの 情報、データベース インプット方法
・方向性2、アウトプットに関するもの グラフ化、画像化などの機能
・エラーチェック

情報やデータベースなど、それぞれが目的化したプラグインと、提携企業がユーザーにサービスを提供する上で自社のデータベースにアクアセスしながらユーザーごとの表示をするようなプラグインが考えられます。一つのプラグインの中にそれぞれの方向性が組み合わさっているものもあると思います。

インプット:情報やデータベース

ChatGPTがインターネット上のニュースサイトや企業・個人のウエブサイトやブログなどを中心に学習してきたのであれば、著作権の問題もさることながら、ソースとなっている情報は必ずしも正確とは限りません。それが現在ChatGPTの正確性が不安定なことにつながっているのかもしれません。

そのため、ネット上の情報だけでなく、専門家の監修した辞書・辞典・書籍・論文・データ・データベースなどもソースとし、より正確性・信頼性の高い検索・リサーチ・文章生成ができることが求められます。

それらは最初サードパーティから有償のプラグインとして提供され、使用される頻度の高いものはデフォルトの機能になるものも出てくるのではないかと思います。画像ソフトや3Dソフトのプラグインと同様です。

インプット:ユーザー自身の情報

もう一つは、ユーザーが自分に関するデータを必要に応じて詳しく入力し、検索を超えて、自分の志向や状況にあった何らかの答えを得たい場合に使うことができると良いと思います。

経歴、思想、考え方、性格、興味、趣味、好み、スキルなど、企業の入社時に行われる性格適性検査のようなものを自分のデータベースとして入力しておき、例えば自分にあった専攻、学校、職業、会社を見つける場合に利用します。

ただしこれは個人情報が流出しないようにセキュリティが保たれる場合に限ります。

インプット:ユーザー自身のあらゆるパソコン操作履歴

パソコンやソフトウェア、ネットワークに関するトラブルがあった時、原因の特定や対処が困難な場合が少なくありません。

トラブルには何らかのきっかけや原因があると思いますので、自分のあらゆるパソコン操作履歴を記録しておき、トラブルが起きた時、瞬時にその原因の特定と対処方法を表示し、解決までアシストする仕組みが望まれます。

パソコン自体にメインのシステムとは独立したシステムが内蔵されて常にメインのシステムやそこでの操作を記録・監視できるのが理想で、そうでなければ有効性は限定的になると思いますが、現状の「1台1システム」を基本とするパソコン上でも、AIアシスタントがパソコンのトラブル復旧をアシストする仕組みは作れるのではないかと思います。 

いずれにしてもこれも、セキュリティが保たれる場合に限ります。

インプット:ウエブサイトの内容

著作権に絡むので実現はしないかもしれませんが、ウエブサイトの内容をまるまる読み込ませられると面白いと思います。自分のサイトのページをWordPressから出力することならできるのかもしれません。

インプット:音声による入力

インプットする内容ではなくインプットの手段としては音声による入力がサポートされると可能性が広がります。もしかしたらすでにそういった機能・方法はいろいろあるのかもしれませんが。

アウトプット:グラフ化、画像化など

現在は入力したテキスト(文章)に対してテキストやコードを返すのが基本だと思いますが、これがもっとグラフ化、画像化、音楽化、映像化などの機能が追加できることが望まれます。もっとも、音楽化、映像化までいくともはや別のアプリやサービスが行う内容かもしれません。

アウトプット:インターフェイスとしてキャラクター形アシスタント

ユーザーがパソコンやスマホ上でChatGPTを使う場合のインターフェイスとしてキャラクター形アシスタントも出てくるでしょうし、ECサイトの販売アシスタントAIキャラクターも広まっていくと思います。当然音声出力も可能になっていくと思います。

コミュニケーション主体ですが、コミュニケーション型キャラクタープロジェクション装置「Gatebox」が、ChatGPTと連携した実験動画をアップしています。
Gatebox × ChatGPT連携実験1 – いっしょに運動
https://youtu.be/wV3Z39Xz7U4

2023 06 29追記
AI接客装置「Gatestand」とChatGPTを連携した接客用AIキャラクター派遣サービス「AIバイト」を開発し、コンテンツビジネス総合展「コンテンツ東京2023」(2023年6月28日(水)~30日(金) 10:00~17:00)にて「Gatestand」が展示されています。
コンテンツ東京2023ウエブサイトの、Gatebox株式会社のページ
https://www.content-tokyo.jp/ja-jp/search/2023-s/directory/directory-details.org-02128d5d-1c5f-40c5-bfea-400909ab10ba.html#/

エラーチェック

これには、AIアシスタントが参照した情報や出力する内容に対するエラーチェックと、パソコントラブルに対応したエラーチェックがあります。AIアシスタント自身に対するエラーチェックは難しいかもしれませんが、複数の言語モデルを内包させて比較したり、インターネット上の情報を、プラグインによって提供される専門家の監修した情報と比較して実現させます。

パソコントラブルに対応したエラーチェックは、自分のあらゆるパソコン操作履歴を記録しておき、トラブルが起きた時、瞬時にその原因の特定と対処方法を表示します。

Googleは?

Googleは対話型検索エンジンの方向性に進むようです。

情報元
グーグル、検索エンジンに対話型AI搭載へ
https://news.yahoo.co.jp/articles/ebe68f27879b28c7a62cddb8b9b07a4e5e6c8ac7

検索エンジンとしての方向性は、著作権の問題もあるためGoogleがこれまでの延長線で進めるのが自然だと思います。つまり、あくまで検索キーワードから検索意図を推測し、答えられそうなサイトのリストを表示するだけです。そうすることによって他者の著作物を侵害せずに有益な情報を提供できることになります。

ネット上の情報の一定の割合は、Google Adsenseやアフィリエイトで稼ぐことがインセンティブ(モチベーション)になってSEO対策の一環として記事の正確性や有用性がせっせと上げられている側面があり、検索する人がそれらのサイトやブログを見ずにChatGPTなどを使うようになると、元のサイトの広告は見られず、Adsenseやアフィリエイトでの収入は減り、記事を書くモチベーションは下がり、結果としてネット上に有用な記事が増えなくなっていく可能性があります。

また、サイトやブログの記事を書く時に安易な方法でChatGPTなどを利用する人が増えると、記事の劣化した再生産が繰り返される可能性があります。

Googleはどこまで行っても広告によって収益を上げるビシネスモデルだと思いますので、有用な記事を書くモチベーションを削ぐようなことは避けたいでしょうし、AIを用いて検索への回答能力をより高めていくと考えられます。

ChatGPTはウエブブラウジングプラグインを提供して最新のウエブページの情報を読み取れるようにする予定のようですが、著作権侵害を避ける必要と、学習する情報の正確性をあげていくため、監修された情報をプラグインで追加していく方向も進めざるを得ないように感じます。

テクノロジーによって可能性が広がったり物事が便利になっても、人々が幸せになるとは限らない

テクノロジーはこれまでたくさんのことを便利にし、作業を大幅に効率化してきました。

・自転車やオートバイ、自動車やバスや電車によって、徒歩では不可能なスピードで目的地につけるようになりました。飛行機を使えば徒歩では行けない場所にも行けるようになりました。

・電話によって、わざわざ相手の場所に行ったり手紙を届けなくても、離れた場所にいる人とリアルタイムで話すことができるようになりました。

・洗濯機や掃除機や調理家電によって、家事の負担が減り、かかる時間が短縮されました。

・コピー機によって、驚くほど簡単に短時間で書類の複製が作れるようになりました。

・パソコンによって、より複雑で広範囲の作業ができるようになりました。

・プリンターやスキャナーによって、パソコンのデータを紙で出力したり逆に書類などをパソコンに取り込めるようになりました。

・携帯電話によって、電話機の設置されている場所に縛られずに、また、相手がどこにいようと携帯電話を持っていれば、すぐに連絡できるようになりました。

・インターネットによって、情報の収集や伝達が大幅に効率化しました。

・電子メールによって、郵送にかかる時間を経ずに相手にメッセージや書類までも送れるようになりました。

・スマホによって、パソコン並みの機能を持ち運んで使えるようになりました。

・スマホと地図アプリによって、事前にルートを確認しなくても目的地へたどり着けるようになりました。

・チャットアプリによって、複数人参加でのリアルタイムの情報伝達ができるようになりました。

 

物事は便利になって大幅に効率化し、少ない労力で仕事や家事が終わるようになった結果、人々の仕事や生活には大幅なゆとりが生まれ幸せになっているはずですが、実際はそうはなっていないように見えます。

テクノロジーによってもたらされる便利さはそれがない状況との比較でしかなく、幸せになっていないのは結局、そのテクノロジーを使うことが当たり前になるからです。まわりの人が使えないテクノロジーを自分だけが使えるのであれば圧倒的な競争力が生まれますが、みんなが使えば優位性はなくなります。それどころか、そのスピードアップした状況がデフォルトになり、精神的なストレスは増える一方かもしれません。

ChatGPTなどから発展するAIアシスタントによって、物事を効率化したり今までできなかったことができるようになっていくと思いますが、それが当たり前のツールになるときには優位性はなくなっていきます。

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