当サイトのテーマからかなり外れますが、前の投稿からのつながりで、災害対策について書こうと思います。
大地震がいつ来てもおかしくないと言われる現在、大地震で建物が崩れ、崖は崩れ、沿岸部は津波に襲われ、火災が広がり、電気、ガス、水道が止まり、電話もつながらず、お店に品物がなくなりずっと補充されず、なかなか救援も来ない状況でどう生き残るのか考え、準備しておく必要があります。
まずは、自分の住んでいる地域の防災上の危険度をマップで確認しておくことをおすすめします。また、見ておくべき書籍や映画も後述します。
土砂崩れや洪水などによる被害のニュースを見るたびに、なぜそんないかにも土砂崩れや洪水が起きそうな場所で対策ができていないのか?それ以前になぜそんな場所に住み続けているのか?と思います。
環境対策については個人には限界があり公有地であれば市区町村などの役割になると思いますが、仮に被害のリスクが認識できているとしても予算がないとか様々なしがらみで、対策をしようと思っても進められないなどの事情はあるのだとは思います。
しかし、そこに住むかどうかは個人の判断です。土砂崩れが起きるかもしれない、洪水が起きるかもしれない場所というのはかなり明らかだと思われる一方、崖のないところに住めば土砂崩れが起きることはまずなく、河川がないところに住めば洪水が起きることはまずないと思いますが、被害のニュースはなくなりません。
個人にも、引っ越したくても引っ越し費用がないとか、家を売りたくても二束三文にしかならず引っ越せないという事情はあるのだと思いますが、単に思い出深い場所だからとか、リスクに無自覚にそういった場所に住む人も多いようです。
災害に弱い場所で人口が増えているようです。
PRESIDENT Onlineの以下の記事では、2010年から2020年までの間に都市計画区域では浸水想定がないエリアの人口は71.9万人減少しているにもかかわらず、浸水ハザードがあるエリアでは合計で28.9万人増加しているという、データをもとにした分析結果を紹介し、その原因を考察しています。
浸水リスクが高いエリアの人口増加が顕著な自治体と具体的な数字も紹介しています。興味深い記事です。
浸水リスクが高いエリアの人口が増加している。何が起きているのか。明治大学政治経済学部教授の野澤千絵さんによると「2010年から2020年までの間に都市計画区域(都市計画法に基づいて都市計画を定める区域)では、浸水想定がないエリアの人口は減少しているにもかかわらず、浸水ハザードがあるエリアでは増加していることが明らかになった」という――。
なぜ”災害に弱い場所”に家を買う人が増えているのか…人口増加が顕著な「浸水リスクが高いエリア」
https://president.jp/articles/-/88893?page=1
防災マップを見れば土砂崩れや浸水、火災のリスクがわかります。自分の住んでいる場所や、これから引っ越しを検討している場所のリスクを確認しておくことをおすすめします。
ハザードマップポータルサイト(日本全土)
https://disaportal.gsi.go.jp/
「重ねるハザードマップ」で、洪水・土砂災害・高潮・津波のリスク情報、道路防災情報、地形分類の色分けを地図に重ねて表示できます。ブラウザ上で日本全体から各地域までマウス操作で見ることができるためわかりやすいです。
東京都不燃化ポータルサイト(東京都)
https://www.funenka.metro.tokyo.lg.jp/maps/non-flammable-area-rate/
サイト上のタイトルからは何の地図なのか分かりずらいですが、要は「東京都防災・危険度マップ」です。木造住宅密集地域や地域危険度が色分けされています。ダウンロードしてAcrobat Readerで開くと、「火災危険度」や「建物倒壊危険度」などの各レイヤーの表示・非表示を選択することができます。
既に住んでいる場所がリスクのある場所の場合、対策をしておくかリスクの少ない場所に引っ越す必要があります。
富士山の周辺に住んでいる人で大地震の際に富士山が噴火するかもしれないことを考慮する場合はかなり思い切った引っ越しになるかもしれません。会社勤めをしているなどで長距離の引っ越しが難しい場合は、引っ越しの困難と災害時の困難、もしかしたら自分の命を天秤にかけることになります。
山梨県ウエブサイトの「富士山ハザードマップ」
https://www.pref.yamanashi.jp/kazan/hazardmap.html
想定火口範囲、溶岩流、火砕流などのほか降灰の可能性を示すマップも掲載されています。
降灰は東京都、神奈川県、千葉県などもその範囲に含まれることがわかります。
私自身は災害リスクが少ないとされているエリアに住んでいるものの、十分な対策ができているかと言われればそうでもありませんが、いくつかのことをしています。
●家具の固定
地震の揺れが大きければ気休めにしかならないかもしれませんが、家具のつっかえ棒をしています。
●各部屋に、懐中電灯、ヘルメットと靴、ホイッスルを常備
ヘルメットを常備している人は多いかもしれませんが、意外に忘れがちなのは靴です。大地震の場合は部屋の中も建物の瓦礫やガラスの破片だらけになる可能性があり、逃げようにも動けないという話を聞きます。地震は昼来るとは限りません。夜間の大地震で停電した場合は、懐中電灯と靴は必須です。また、ほこりを吸い込んで声が出せなくなる可能性がありますので、瓦礫に埋もれてしまった場合に助けを求める存在アピールのためホイッスルも必要です。
●食料・水の備蓄
停電になればコンビニやスーパーはレジが止まり販売できないと思いますし、仮に販売できたとしてもお客が殺到し、早々に商品はなるなるだろうと思います。一度なくなったら、配送も止まっていますので、何日間も何もない状態になります。
食料と水の備蓄は必須です。しかし災害時には、電気、ガス、水が止まることを覚悟しておく必要があります。
そのため、ソーラーパネルと大容量高出力のポータブル電源と小型電気コンロなどを持っているのでない限り、備蓄食料は、長持ちしてそのまま食べられるものが望ましいです。私の備蓄食料の中で一番それに近いのが、パックされたむき栗です。それを時々食べつつ買い足しています。
●簡易トイレ
災害時に幸運にもトイレが無事でも、水が止まり使えなくなります。
●マスク・防塵マスク
新型コロナウイルス蔓延の際、長期間マスクが入手困難になりました。素人考えではマスクなどすぐに生産できそうに思いますが、大きな需要があると全く供給が追いつかなくなる、ということを我々は経験しました。万が一富士山が噴火すれば火山灰対策は必須になります。
●ポータブル電源
私自身はまだ導入できていないものです。お金に余裕があれば、ポータブル電源とソーラーパネルを購入しておくと何かと便利かもしれません。こういったものは市区町村が避難所に常備しておくべきものだと思いますが、そんな準備のいい自治体がどれだけあるか疑問です。自分で簡易的な電気調理器具も買っておけば、スマホに充電したり、お湯を沸かしたり、簡単な調理ができます。
ただ、ポータブル電源を今買っても実際に必要な時に故障せず動くのかはそれぞれの耐久性によるだろうと思います。壊れたあとの廃棄方法も確認しておく必要があります。
首都直下地震、南海トラフ巨大地震、富士山噴火の連動型災害が起きる「最悪の」場合を想定し(日本で過去に実際に起きたことがある-後述)、水道・電気・ガスが止まり、電話が繋がらなくなり、物資がなくなり、救援も来ない状況でどのようにサバイブするか、「自分なりの想定」をしておくことを勧めています。
本書によれば、1703年の真冬、現在の関東地方で最大震度7に相当する「元禄地震」が発生し、10メートル超の津波も襲い、死者1万人を超えたと伝えられ、4年後の1707年、同じく最大震度7に達したと見られる「宝永地震」(南海トラフ地震)が発生し、最大15メートルの津波が襲い、現在の大阪を中心に死者2万人以上と伝えられ、「宝永地震」の翌日には富士山麓で地震が発生、49日後には富士山の噴火が始まったとのことです。
本書は過去の教訓と最新の災害想定を紹介し、各々が自分の状況に合わせて災害対策をしておくことを促しています。
能登半島地震を豊富な写真と詳細な図解で振り返り、個人レベルというよりも社会レベルでの「次の巨大地震への備え」のさまざまな取り組みを紹介したムックです。
以下の章だてになっています。
第1章:フォトルポ
能登半島地震の特徴的な被害のダイジェストを写真で紹介しています。
第2章:住宅・建築編
地面にめり込む形で転倒した7階建ての鉄筋コンクリート造のビルや、輪島朝市の大火、能登半島を回り込んで到達した津波などについて写真と図解で解説しています。震度6強に耐えた免震病院についても紹介しています。
第3章:土木編
道路、橋、トンネルなどの被害をそれぞれ写真と図解で解説しています。
第4章:工場・製造業編
断水によって全面的な生産再開が阻まれる工場の状況の紹介などのほか、南海トラフ地震の想定震度と、該当エリアにある半導体関連工場の場所を地図で示し対策の必要性を訴えています。
第5章:情報通信編
通信インフラの被害と復旧について紹介しています。
第6章:次の巨大地震に備える
何百キロも離れた場所で起きた地震によって立っていられないほどの揺れが起きる「長周期地震動被害」の懸念から国から超高層建築物の改修の補助が行われているもののタワーマンションで改修が進んでいない現状や、免震・制振への取り組みなどが紹介されています。
第7章:東日本大震災10年にみる課題
震災復興の様子とさまざまな困難について紹介しています。
災害、火災を扱った映画を見て擬似体験しておくといいかもしれません。災害時の困難な状況がよく描かれている映画をいくつかピックアップしました。
『日本沈没』(1973)
日本沈没の予兆から大災害発生とその対応を描く、渾身の特撮による映像表現と物理学者や潜水艇乗り、総理などを取り巻くSFドラマ
▶︎『日本沈没』を含む、日本のおすすめSF映画についてはこちらの投稿をご覧ください。
『タワーリング・インフェルノ』(1974)
高層ビルの火災で多くの人が高層に取り残され、竣工パーティーに来ていた設計士がなんとか人々を避難させようと奮闘するドラマ
▶︎『タワーリング・インフェルノ』を含むサンフランシスコが舞台の映画・ドラマについてはこちらの投稿をご覧ください。
その他参考
▶VFXで都市の破壊・崩壊が描かれた映画についてはこちらの投稿をご覧ください。
改善・改革・イノベーションより人件費削減を進めてきたことが現在の日本の多くの人々の貧困につながっていますが、同様に、経費削減をして本来行うべきことをしていない(手抜きが行われている)建物やインフラは数多いと勝手に想像しています。その上それが老朽化した状態、治安も悪化している状態で大地震を迎えることになるのだろうと思っています。
▶アメリカの建築現場に見る建築物の脆弱性と日本との違いについてはこちらの記事をご覧ください。