バーチャルYoutuberは、アニメキャラクター/声優、歌手、生身のYoutuber、生身のアイドル、芸人、映画の役者、ラジオパーソナリティなどのエンターテイメント・芸能領域をはじめ、ホステスと共通する部分もありつつ、それらのどれとも異なっています。
必然的に、人気が伸びるバーチャルYoutuberの特徴は、それらの領域で人気が伸びるタレントの特徴と共通する部分がありつつも、バーチャルYoutuberならではの要因・要素の組み合わせによって成り立っている面もあるように思います。
ここでは、人気が伸びるバーチャルYoutuberの特徴を私なりに考察したいと思います。
バーチャルYoutuberの魅力は基本的にはアニメ風のかわいい見た目(キャラクターデザイン)と中の人のキャラクター(性格や声や喋り方など)の組み合わせでできていると思いますが、その一つであるキャラクターデザインは極めて重要です。
そして、バーチャルYoutuberのキャラクターデザインは、必ずしもキレイな・かわいい見た目だけが正解ではないと感じます。
生身の人間の場合にも通じるのですが、アニメやバーチャルYouTuberの表情を含むキャラクターデザインは、単にキレイ・かわいいだけよりも、イヤミにならない範囲で時にイタズラっぽく「ニヤリ」としたり、自慢ぽく「エヘン」という表現をしたり、ジト目や「うへへへ」といったニュアンスなど感情の幅があると魅力が増します。
マンガやアニメでのデフォルメされた表情に慣れた我々は、生身の人間ならやりすぎと思われるような表現でも普通に受け入れて楽しんできており、アニメキャラクター風のバーチャルYoutuberにおいても、デフォルメされた表情を含むマンガ的な表現を当たり前に期待して受け入れますので、そこが表現されるのはある種必須だろうと思われます。
バーチャルYoutuberは時折、新衣装お披露目やキャラクターデザインのバージョンアップでデザインが更新されることがありますが、その際に、可愛くなった反面それまであった魅力がなくなったと感じる場合があります。中の人のキャラクターが立っていれば相乗効果になりうるのですが、ともすると、キレイだけれど味がない、かわいいけれど魅力が足りないキャラクターになってしまう例もあるように思います。
また、中の人のキャラクターとのかけ合わせによって視聴者が面白いと感じたり何らかの魅力を感じるのであれば、一般的な意味でかわいいキャラクターでなくても成立する場合もあります。
中の人のキャラクターも重要です。しかもバーチャルYoutuberの場合は可能性が広いと感じます。
一般的には、中の人の性格や話が面白くコミュニケーション能力が高い場合、バーチャルYoutuberとしても活きてくると思いますが、必ずしもそれだけが正解ではないと感じます。
例えばコミュ症の人が生身のアイドルとして人気を得るのは難しいかもしれませんが、バーチャルYoutuberの場合は性格や後述の声、喋り方などに何らかの特徴・魅力があれば、アニメ調などのキャラクターのアバターをまとうことでバーチャルYoutuberとして成立する場合もあると思います。
歌が上手いとか絵が上手いというのが売りになっているバーチャルYouTuberもいますが、バーチャルYouTuberは完璧である必要はなく、いわゆるポンコツであることも芸風になるのはリアルな芸人の芸風にもつながります。
声も極めて重要です。説得力や魅力のある声という点ではアニメの声優やラジオパーソナリティにも通じます。
海外のアニメファンには、英語などによる吹き替えよりも、日本語のオリジナルの音声で字幕で見ることを好む人が多いようです。オリジナルの声優の声の表現に魅力を感じているためです。
また、バーチャルYoutuberが視聴者のことを「リスナー」という場合が多いことを見ても、ラジオパーソナリティと類似した部分があると思います。
一方、そういったプロフェッショナルな専門性がなくても、生身であれば単にアニメ声であったり変わった声と認識される声であっても、後述のようにキャラクターデザインとのマッチングによって、活きてくる場合もあります。
バーチャルYouTuberによって、キャラクター(デザイン)と声のマッチング、一体感の度合いは様々ですが、この度合いが高いとキャラクター性が増します。
バーチャルYoutuberはそれぞれ、何をやっていくか、何を売りにするかを試行錯誤していると思われ、そこにそれぞれの特徴、独自性が生まれていると思います。
芸人の「持ちネタ」にも通じると思いますが、人のマネをしたからと言って同じように成功するとは限らず、その人のキャラクターや声や見た目などの組み合わせによってうまくいくネタは決まってくると思います。
バーチャルYouTuberや通常のYouTuber全般にも言えることですが、投稿頻度が高い方が視聴者の目に止まりやすく、再生されやすく、登録者数に結びつきやすい傾向があります。
企業所属であれ個人勢であれ、単独で活動しているバーチャルYoutuberは、配信内容や話題がマンネリになりやすく、人気が広がりづらいように思います。
バーチャルYouTuberの動画を見ると、多くの人に知られて人気が伸びるためには、やはり、グループは強いと感じます。同期内はもちろん、新人が出てきた場合に他のメンバーが話題にしたりすることで認知されやすく、他のメンバーのファンがこちらも見てファンになるということは多いと思います。
例えばホロライブのバーチャルYouTuberは〇〇期生として5人を基本とするグループが複数デビューしており、グループ内や他の期生とのコラボレーションをすることで配信内容や話題に事欠かず、相乗効果があると思います。
実際、ホロライブのバーチャルYouTuberのチャンネル登録者数は100万人を超えているタレントが多数います。
切り抜き動画を見ると、単に内輪で起きたことを話しているだけの動画もあります。もとの長い動画の中で話題に出たことの一部を切り抜いているわけですが、芸人であれば何かボケやツッコミを期待するところですが、バーチャルYoutuberにおいてはたわいない内容がコンテンツになるというのは多少の驚きですが、ちょっとした休憩時間にそんな動画を見ている自分がいます。
グループではない場合、コラボレーションを頻繁に行うと、グループ同様の広がりが生まれると思います。
以上のように、人気が伸びるバーチャルYoutuberには特徴・理由があると思いますが、特定の正解はないように思います。
私には、卒業してしまった桐生ココ(2019/12/28初配信)の人気の伸びは予測できませんでした。2020年にはYouTubeのライブ配信時の投げ銭機能であるスーパーチャットの世界ランク1位にもなり、1億円超えというある種異常事態とも言える人気でした。
おそらく、ホロライブEN(2020 09/12〜2020 09/13にデビュー配信)が参加する前にバイリンガルとしての特徴を活かしていたこと、奔放な立ち回り、朝のニュースを模した朝ココライブで、ホロライブ内での出来事をニュースのように扱う面白さ、ホロライブの社長さえイジる破天荒さなどが、世界の視聴者に面白いと感じられたのだろうと思います。
しかし、特定の正解に基づいて計画されたものではなく、本人(中の人)が自分のキャラクターを通して試行錯誤をした結果なのだろうと思います。
がうる・ぐらの人気の理由は桐生ココとは異なりますが、やはりがうる・ぐらのキャラクター(デザイン)と、中の人のキャラクター(性格や声や喋り方など)と、動画の内容の組み合わせによって魅力が生まれていると感じます。
▶︎バーチャルYouTuber がうる・ぐら(Gawr Gura)の人気の理由の考察
ちなみにスーパーチャットランキング上位は2022年2月20日現在以下のようになっています。
1、Rushia Ch. 潤羽るしあ ¥377,770,461
2、Coco Ch. 桐生ココ ¥339,788,323
3、Pekora Ch. 兎田ぺこら ¥245,467,918
4、Marine Ch. 宝鐘マリン ¥206,002,689
5、Aqua Ch. 湊あくあ ¥188,719,731
その他、トップ10のうち8人がホロライブのタレントというのがすごいですね。
Youtube Most SuperChated Ranking – PLAYBOARD
https://playboard.co/en/youtube-ranking/most-superchated-all-channels-in-worldwide-total
▶︎バーチャルYouTuberに見るエンターテイメント/芸能/メディアのインターネットベース化とグローバル化の加速
▶︎バーチャルYoutuber(VTuber)が広まった理由の考察
▶︎キズナアイの魅力とバーチャルYoutuber文化に果たした役割の考察
▶︎バーチャルYoutuber宝鐘マリンのオリジナル曲”Unison”の楽曲や歌詞の考察
nizima LIVEは、アバターと自分の顔をカメラで同期して、表情をLive2Dモデルに反映できるLive2D公式アプリ。
合計10体の高品質なLive2Dモデルをサンプルモデルとして実装し、オリジナルアバターを持っていなくても、すぐにVTuberとして活動できます。
コラボ機能を使えば、アプリを持っている人同士で高解像度でコラボ配信も行えます。
無料版は(カメラ接続40分、コラボ機能5分※再起動すればリセット)の制限以外はすべて有料版と同じ機能を使用可能です。
有償版であれば商用利用も可能です。