OPTからH-1B取得につなげたい場合の注意点

OPTからH-1B取得につなげたい場合の注意点

LA周辺では大小様々な映像プロジェクトがありOPTを利用して仕事をする機会はありますが、H-1Bなどのビザのスポンサーになってくれる映画・映像関連の会社を見つけ就職するのは容易ではありません。

ここではLA周辺の映画・映像関連の雇用の状況と、OPTから就労ビザ取得に繋げたい場合の注意点についてお話しします。

仕事の探し方については、こちらの投稿をごらんください。

 

アメリカ、特にLA周辺で映画・映像関連の会社に就職することが困難な理由
 


●LA周辺の雇用が縮小
ハリウッドの映画業界はカナダなどの国外や他州にアウトソースを進め、LA周辺の雇用は縮小方向にあります。

●合法的に働けるステータスを持つ人から雇われる
ビザのスポンサーになって外国人を雇うことは、雇用主(会社)にとって手間とコストがかかるため、既に合法的に働けるステータスを持つ人から雇われます。応募に際して合法的に働けるステータスを持っていることが条件になっている場合もあります。

●選考結果の連絡がなかなか来ない、または来ない
アメリカでは募集に応募して不採用の場合たいてい連絡は来ず、前向きな連絡でも数ヶ月や1年以上後になる場合があります。

●H-1Bは認可されてから実際に働き始められるまで間があく
採用が内定したら就労ビザの申請をする必要がありますが、H-1Bは4月1日にビザの申請が開始され5月以降に結果が出た後、働けるのは10月からなので、間があいてしまいます。

 

アメリカ人であってもLA周辺で映画・映像関連の就職は難しくなっているようです。LAで知り合ったCGクリエーター(アメリカ人)は、本人はLAのCG会社で働いていますが、その人の友人のCGクリエーター(アメリカ人)はLA周辺で就職先が見つけられずバンクーバーの会社に就職したとのことです。

 

就活には時間がかかります。不採用の場合まず連絡は来ません。運よく前向きな連絡があっても数ヶ月後とか1年後になる場合もあります。私も、応募から1年以上経ってすでに日本に帰国した後にメール連絡をもらった経験があります。募集する会社は急募の場合を除きとりあえずずっと募集を告知しておき、応募者の情報をストックし、良さそうな人がいた場合必要な時にその人へ連絡するのではないかと思います。そのため、場合によっては数十社に応募をする必要があるかもしれません。

各会社のウエブサイトからオンラインで応募できるのは便利ですが、カバーレターというアメリカの就職活動で一般的な自己紹介文も用意する必要があり、応募先に合わせた内容にするのがいいと思いますが、応募が数十社になるとオンラインの応募であっても時間がかかります。

 

H-1Bサポートは求職者にとっても雇う側にとってもハードルが高いと思います。晴れてビザをサポートしてくれる会社が見つかった場合、たいていの場合移民弁護士を雇い、ビザ申請の準備をします。申請に関わる費用のうち雇用主負担と決められているものがあるほか、弁護士料なども原則雇用主負担とされているようです。

H-1Bビザ申請は4月1日に開始され、応募多数の場合抽選があります。抽選で残ると審査があり5月以降に結果が出たあと、認可された場合も実際に働けるのは10月からです。認可された時点でアメリカに住んでいる場合、10月まで無職でいるか、日本に一時帰国してアルバイトでもしておくかの判断に迫られます。

このように、雇う側にとっては、申請に関する手続きや移民弁護士を雇う手間とコストがかかり、申請できるタイミングは1年に1回(4月1日開始)だけで、コストをかけたあげく申請しても審査どころか抽選で落ちる可能性もあり、抽選に残ってもその後審査があり、晴れて認可されても10月まで働けないためそのポジションをあけておく必要があり、H-1Bサポートは非常にハードルが高いことが想像できます。

 

H-1Bビザ申請時の特例

しかし実はビザ申請の際に特例があり、申請時のアメリカ滞在ステータスが延長されます。これをCap-Gap Extensionといいます

これはOPTから就労ビザ取得に繋げたい場合かなり重要なポイントだと思いますが、学校のOPTに関する説明会でも説明がなく、実際にOPTを始めてだいぶたつまで知らなかったのですが、H-1Bビザ申請時点でOPT中ならOPTが延長され(自動的に延長されるが、学校側に連絡しOPT延長の手続きが必要)、その後H-1Bが認可されればそのまま10月のH-1Bでの仕事開始まで(9月30日まで)延長されたOPTで働くことができます。採用する側にも働く側にもメリットがあり、就活でアピールできるポイントになるかもしれません。

USCIS(米国市民権・移民業務局)のCap-Gap Extensionについて書かれたページ
Extension of Post Completion Optional Practical Training (OPT) and F-1 Status for Eligible Students under the H-1B Cap-Gap Regulations

Foreign Students/Cap-Gap Extension

注意:これらのルールは変更される場合もありますので、ご自身で最新の情報を調べることをお勧めします。

 

OPTから就労ビザ取得に繋げたい場合の注意点

逆に、ビザ申請の時点でOPTが終了している場合、仮にH-1Bビザをサポートしてくれる会社が見つかってビザを申請して認可されても10月まで働けず、そのことが仕事応募時にも不利な要素になり得ます。そのため、OPTから就労ビザ取得に繋げたいと考えている場合、留学の計画の時点でこれを考慮して留学開始時期を決める必要があります

例えばニューヨーク フィルム アカデミーには9月開始のコースと1月開始のコースがあり、私は1月開始コースだったのですが、1月開始の2年間のコースの終了は翌翌年の1月24日でした。OPT申請時にOPTスタート日を指定できますが、OPTスタートは卒業後60日以内と決められています。つまり、最も遅くて3月25日となり、終了は翌年の3月24日となります。OPT終了後60日以内に帰国する必要があり、逆に言うとOPT終了後60日間はアメリカに滞在でき、これをgrace periodといいますが、OPT期間中にインターンシップをしたり就活をして仮にH-1Bビザをサポートしてくれる会社が見つかっても、上記のように1月開始の留学をして3月24日にOPTが終了する場合、4月1日に開始されるH-1Bビザ申請時はOPT終了後のため上記のCap-Gap Extensionの特例によってgrace periodが延長されることになり、仮にビザが認可されても、延長されたgrace periodによって引き続き滞在はできますが10月まで働けません

かといって1月下旬の卒業後同じ年の4月1日開始のH-1Bビザ申請までに、ビザをサポートしてくれる会社を見つけるのは極めて困難だと思います。4月までに採用内定を貰えばいいのではなく、4月1日開始のビザ申請のために書類を準備する期間も必要です。

 

そのため、留学開始時期も考慮する必要があります。学校が9月開始8月卒業の場合、例えばOPTを10月に開始し、インターンシップからビザサポートにつなげるにせよ就活するにせよ、4月1日開始のH-1Bビザ申請までの半年程度でビザをサポートしてくれる会社を探し、見つかれば書類を準備して申請し、仮に認可された場合10月にH-1Bで仕事を開始できるまでOPTでそのままその会社で働くことができ、流れとして現実的です。卒業後すぐ9月にOPTを開始する場合、終了は8月末になり、10月のH-1Bでの仕事開始まで間があいてしまいますが、ビザ申請時に延長手続きをすれば、OPTが延長されていることになります。

 

H-1Bビザで就労するにあたり年齢が高い場合の注意点

H-1Bビザは、最初の認可期間が3年で延長が可能ですが最長6年で、その後またH-1Bビザを申請する場合、1年間はアメリカ国外に出なければいけないようです。グリーンカード取得などができる場合以外は、日本に帰国することになります。当サイトは40代からのアメリカ留学をタイトルとしていますが、仮に40歳で2年間留学し1年間OPTをし、6年間就労した後日本に帰国する場合、帰国時の年齢は49歳です。45歳で同じプロセスの後帰国する場合、帰国時の年齢は54歳です。若い人以上に帰国後のプランが重要になってくるだろうと思います。

 

Oビザ

Oビザの場合はH-1Bと違い、いつでも申請できて、認可されれば働き始められますが、これはかなり実績が必要になります。実際にはOビザで就職する例もある他、フリーランスと変わらない働き方をしている人もいますが、どのくらいの実績が必要かは弁護士によっても考え方が違うようなので、いずれにしてもはやめに一度弁護士と話し、あとはまわりのOビザで働いている人に相談するといいと思います。