私は子供の頃スヌーピーのキャラクターやコミックが好きで、当時刊行されていた雑誌を購読していたほか時々単行本コミックも買い、ささやかながら様々なスヌーピーグッズを集めたりしていました。
スヌーピーのコミックは正式には「ピーナッツ」というタイトルですが、日本版の雑誌のタイトルは「SNOOPY」で、単行本コミックにはそれぞれ「もーれつルーシー」「しっかりしてよC・ブラウン」「ちゃっかりスヌーピー」などのタイトルがつけられていました。
雑誌も単行本コミックも表紙はカラーで、雑誌の巻頭部分のコミックは2色刷りで本編はモノクロ、単行本コミックの本編はモノクロでした。
雑誌も単行本コミックも、絵のコマの中のフキダシには翻訳された日本語が書かれ、欄外に元の英語が記載されていました。ただし雑誌の方は時期によってフキダシの中に元の英語が書かれ、ページ下部に日本語訳の書かれた同じコマの小型版が載っていたこともあります。
雑誌は翻訳された日本語で読んでいたためそれが英語学習に役にたったわけではありませんが、セサミストリートと共に、アメリカの文化や子供達の生活の様子を知るきっかけになったのは間違いありません。
スヌーピーのコミック「ピーナッツ」の世界には様々な魅力があります。
高いデザイン性
「ピーナッツ」は長期間に渡り連載されたため時と共に絵柄の変化がありますが、特に後半の絵柄はデザイン性が高く、スヌーピーやウッドストックを始めとする登場人物たちがイラストキャラクターとして人気があり、様々なグッズが作られているのもうなずけます。
キャラクターたちはニ頭身で、やや強弱をつけた比較的太めの黒い線で描かれ、カラーの場合はその線を活かしながらカラフルな色でベタ塗りされているのがこのデザイン性の高さにつながっています。
スヌーピーは白いため色のベタ塗りはされていませんが、耳と鼻が黒く塗りつぶされていてメリハリがあり、カラーの場合は首輪が赤で塗られアクセントになっています。
また、彼はたいてい犬小屋の屋根の上でものを考えたり寝たりタイプライターで執筆活動をしたり登場人物たちと交流したりしますが、カラーの場合はその屋根は赤く塗られ、スヌーピーの白といいバランスになっています。
スヌーピーの親友の鳥のウッドストックは黄色で、スヌーピーと一緒にいる絵では、特に犬小屋の屋根が見えるとカラフルな印象となります。
チャーリー・ブラウンやルーシーなど、人間の登場人物たちの顔や肌は肌色で、服はやはりカラフルな場合が多いです。
それぞれの絵の彩色(指定)を作者のシュルツ氏がおこなっていたのか、編集者がおこなっているのかわかりませんが、いずれにしても、見て楽しく読んで面白い魅力を作り出していると思います。
思考し行動する犬
スヌーピーはチャーリー・ブラウンに飼われているビーグル犬ですが、人間のように思考し行動することがこのコミックを特徴的で面白くしています。独立した人格を持ち飼い主に媚びることのない様子は、一人ひとりが独立していることを良しとするアメリカらしさを感じます。スヌーピーが考えていることはフキダシで表されます。
歴史や文学に詳しく、スポーツも嗜み、時に撃墜王になりきり、唯一無二のキャラクター性を生み出していると思います。
犬の親友が鳥
ウッドストックはスヌーピーの親友の鳥です。まっすぐに飛ぶことができず逆さまになったりしながら不安定に飛ぶのが特徴です。「ヌケサク鳥」とも呼ばれています。
良き相棒として、時にスヌーピーの秘書を務め、時に一緒にスポーツをします。
個性豊かな登場人物たち
他の登場人物たちもユニークです。ささやかなプライドを持つけれどもたいていうまくいかないチャーリー・ブラウン、その彼を手玉に取り、お手製の精神分析(カウンセリング)ブースで彼の悩み相談にのるけれどもいつもそっけない意見をぶつけるルーシー、ルーシーの弟で、赤ん坊ではないのにいつも毛布をかかえ、指をしゃぶっているライナスなど、みんな個性豊かです。
一般的というほどではありませんが、幼児的なふるまい・くせとして依存する何かのものや様子を「ライナスの毛布」と表現することもあります。
片想い
登場人物たちの何人かは恋をしていますが、みんな片想いなのもリアルな面白さにつながっています。
チャーリー・ブラウンは、赤毛の女の子に思いを寄せていますが、話しかける勇気がありません。
自己主張の強い女の子ルーシーは、ベートーベンを崇拝していつもおもちゃのピアノに向かっているシュローダーに片思いをしていますが、冷たくあしらわれます。ちなみに、シュローダーは、私が読んでいた頃のコミックでは、シュレーダーと記述されていました。
チャーリー・ブラウンの妹サリーはルーシーの弟ライナスに片思いしています。
運動神経抜群で男勝りの女の子ペパーミント・パティは、チャーリー・ブラウンに片思いしていますが、彼は全く気づいていません。
アメリカの学校の様子が描かれる
最近の日本の学校事情はわかりませんが、なぜか日本の学校では二人が机を並べて授業を受けます(少なくとも以前はそうだったと記憶しています)。一方アメリカでは、学校や教室によって違いはあると思いますが、個人個人がテーブルのついた机をそれぞれ独立して使う場合が多く、それはスヌーピーのコミックでも見られます。
スヌーピーのコミックを読んでいた当時は、将来自分が留学で実際にそういう机を使うことになるとは想像していませんでした。
語学学校の机
映画学校の机
大人の姿が描かれないのもこのコミックの特徴で、学校のシーンでも先生の姿が出てきません。先生とのやり取りは基本的に生徒側のリアクション、質問や返答で表現され、子供達目線で描かれる世界観に役立っています。
生徒たちが先生と比較的積極的にやりとりする様子が、アメリカ的だと感じます。
アメリカでポピュラーなイベントが描かれる
私はハロウィンやイースターのことを知ったのもスヌーピーのコミックからでした。最近ではハロウィンの時期に渋谷に大勢の人が集まる様子が報道されますが、私が子供の頃はハロウィンは異国の文化に感じられました。今でも日本人にとってイースターはあまり馴染みがなくやや異国の文化に感じられるのではないかと思いますが、当時はハロウィンもそんな印象でした。
アメリカに行くとハロウィンやイースターはやはりそれなりに大きなイベントで、私にとってはスヌーピーで見た世界が現実化したような印象でした。
ハロウィンにはハロウィングッズや衣装が売られ、ハロウィングッズ専門のお店もでき、語学学校でもパーティが開かれます。
イースターも、街でイベントが開かれます。
▶︎サンフランシスコのハロウィンについてはこちらの投稿をご覧ください。
▶︎サンフランシスコのイースターについてはこちらの投稿をご覧ください。サンフランシスコでのイースターは、うさぎをモチーフにした衣装や着ぐるみがイースターらしさを出しているほかは何のお祭りかわからないような印象でした。