一眼レフカメラで撮影された映画「タイニー・ファニチャー」(Tiny Furniture)

一眼レフカメラで撮影された映画「タイニー・ファニチャー」(Tiny Furniture)
ここでは映画「タイニー・ファニチャー」(Tiny Furniture)について紹介します。
 

タイニー・ファニチャー(Tiny Furniture)(2010)
監督:レナ・ダナム
ジャンル:ドラマ

「タイニー・ファニチャー」オフィシャルサイト
https://www.tinyfurniture-jp.com/
→その後なくなったようです。

タイニー・ファニチャー(字幕版)Prime Video

 
 

ストーリー

大学卒業後、彼氏と別れニューヨークの実家に戻った冴えない女が、売れっ子写真家の母親や詩の賞をとった妹に囲まれる中で、自分の居場所を探すが上手くいかず、家族と衝突する。

撮影

この映画は撮影に一眼レフカメラCanon 7Dが使われていますが、映像のクオリティとして全く問題ないと思います。暗いシーンや暗い部分のディテールが不明瞭なのはカメラの性能によるものか、逆にカメラの性能に依存してあまり照明器具を使わなかったのか、演出意図なのかわかりませんが、全般的には一眼レフカメラで撮影されたと聞かなければわからないと思います

CANONのEOS 7Dのページ
https://global.canon/ja/c-museum/product/dslr802.html


Canon デジタル一眼レフカメラ EOS 7D ボディ EOS7D

Amazonリンク
レンズは別に必要です。

別の記事「スマホや一眼レフカメラで映画が作れるか?」で書きましたが、「映画が作れるか」という問いに対しては個人的には映像が撮れればカメラは何でもいいのではないかと思います。この映画は一眼レフカメラで映画が作れる例だと思います。

しかし、素人が撮った映画でないのは明らかです。

カメラのフレーミングがいいです。絵の構図を決める時のようにフレーミングを決めているのが見て取れます。

コップなど画面のはじにあるものを、きちんと画面内に納めるのか切るのか考えてフレーミングしているように見えます。

壁の収納棚や街灯の並ぶ通りのパース感を見せるフレーミングで奥行きを表現しています。

壁を正面に見てその左右にあるドアから一つの部屋の中の様子が見え、仲の良くない姉妹のやりとりがそれぞれのドアから見えるのが面白いです。

レストランの面接のシーンで、店主と主人公を一緒には映さず別々のショットで交互に見せています。しかも、画面の中で、二人とも人物の後ろにスペースをとって前を狭くするフレーミングにしています。最後は一緒に写っているショットがあるので、役者のスケジュールが合わないための撮影アイディアではなく、近くにいるのに隔たりがある様子を表現したのかもしれません。

デザイン

オープニングで、布団カバー、収納棚など、映画中に出てくるインテリアに関連する様々な素材を背景にしてスタッフの名前を出し、実家に帰る主人公の様子がカットインされます。センスを感じます。

キャスティング

役者は、何者でもない登場人物たちそのものといった印象で役柄に合っていると思いますが、演技力でそうしているというより、素のようにも見えます。唯一母親だけがまっとうな人物で、このストーリーの芯となっていると感じました。

冴えない女(主人公)が特に努力をするでもなく、周りの友人も薬をやったりする人物ばかりで、母から自分(母)のベッドで寝るなと言われたのに母の留守中に男を母のベッドで寝させたり、家に来た友人に、母のワインを無断で飲ませた挙句、それを指摘した母に逆ギレし、妹とケンカし、ルームシェアする予定だった友人の電話に出ず、給料が安くて始めたばかりの仕事をやめてルームシェアをドタキャンしたりする話で、共感する人もいるかもしれませんが、個人的には主人公及び主要登場人物たちに魅力を感じなかったです。

しかし、見た後でわかったのですが、この主演の人はこの映画の監督・脚本家でもあり、母親役は写真家である実の母親、妹役は実の妹、その他友人も起用されて演じており、家のロケーションも実際の彼らの家を使っているとのことで、私の感じた通り、まさに素のリアルさが出ているのだと思います。リアルさは出ていますが、監督・脚本・主演の本人は、そこで描かれている主人公と違って「何もしない人」ではなかったということですね。

タイトル

「タイニー・ファニチャー」(小さな家具)というタイトルは何を表しているのかと考えました。母親は写真を主体とする売れっ子芸術家で、ミニチュア家具を素材に使っています。しかしタイトルの意味としては、主人公が、物理的には実家の自分の部屋を妹に占拠されており、母と妹が寝ているベッドに自分は入れず、精神的には実家に収まらないことを意味しているのではないかと思います。ベッドに関するエピソードが多いです。

出典・リファレンス
https://www.tinyfurniture-jp.com/

https://www.imdb.com/title/tt1570989/technical?ref_=tt_dt_spec

https://i-d.vice.com/jp/article/wjkb8x/lena-dunham-tiny-furniture-interview