ミュージックフィルム(Music Film)
ここではニューヨークフィルムアカデミーの撮影プロジェクト、ミュージックフィルム(Music Film)について紹介します。
前回のコンティニュイティフィルム(Continuity Film)に続くミュージックフィルム(Music Film)撮影プロジェクトは、ミュージックビデオを作るというよりも音楽と合わせたショートムービーを作るという意味合いだったと思います。これ以前の撮影プロジェクトは映像のみの練習プロジェクトで音は扱わず、このミュージックフィルムプロジェクトで初めて映像と音声を合わせます。
▶︎コンティニュイティフィルム(Continuity Film)についてはこちらの投稿をご覧ください。
課題通りセリフなしのBGM付きショートムービーを制作する学生の他、ミュージックビデオ風の映像を制作する学生など様々だったと記憶しています。私はダンス映像にしました。
留学前に日本で個人的にダンス映像を制作したことがあり、その時は女性ダンサーだったので、いずれ男性、しかもできれば黒人ダンサーでまたダンス映像を作りたいと考えていたため、このプロジェクトでそれをやるのは準備期間もなくもろもろ時期尚早だとも思いましたが、やることにしました。
インストラクター(先生)からは、ダンス映像でもストーリーは表現するように言われたと記憶しています。
撮影は引き続き同じチームで、2日間それぞれ午前と午後に分け、チームメンバーがそれぞれ順番に半日使って監督し、他のメンバーはクルーとなります。役者、ロケーションは自分で確保します。引き続き、NYFAアクターに依頼し、自分のアパートで撮影する学生がほとんどです。
私は何人かにダンサー探しを相談し、幸運にもNYFAのアクティングの黒人学生にダンスをやっている人がいると聞き、学内のパーティの時に交渉して出てもらえることになりました。撮影場所は学内にダンススタジオがあると聞き見せてもらいましたが、アクティングの授業で使うダンススタジオのため撮影用の使用の前例がなく許可をもらう責任の所在がややあいまいですぐに許可が取れず、同時進行で探していた学外のダンススタジオを借りて撮影することにしました。
音楽は日本の知り合いの音楽家に依頼しました。
道具類はARRIFLEX 16mmフィルムカメラ、三脚、ACキット、照明器具で、モノクロです。
ドリー(カメラを乗せる車輪付きの台車)も使いたかったのですが、その段階までの撮影プロジェクトでは扱っておらず、自分のアパートにあったキャスター付き小型テーブルで代用することにしました。
スタビライザー(手持ちカメラの揺れを軽減する道具)もあると理想的でしたが経験もなくあれこれ手配する時間もなく、三脚と手持ちと上記のキャスター付き小型テーブルを利用して撮影しました。
撮影時にインストラクター(先生)はつきません。複数グループが同時に別の場所で撮影するため、一人のインストラクターが見てまわることができないためだと思います。
複数カットを撮影、後日720×480でデジタイズし、音楽に合わせて編集後、授業で講評します。
色々力不足でしたが、ひとまず完成はしました。
しかし大きな問題がありました。
撮影当日スタジオに行くと、スタジオを下見した時にはなかったスタジオ名のプレートがカメラから見て真正面の壁に設置されており、簡単には外せないようでした。時間も限られていたためそのまま撮影し、編集後授業で講評も受けましたが、そのままだとスタジオの宣伝のための映像のようになってしまいます。
そこで後日自分でVFX処理をしてプレートを消すことにしましたが、これが恐ろしく面倒な作業になりました。
撮影時はグリーンスクリーンなど置いておらず、手前の人物はダンスをするためプレートにかぶりつつ動き回ります。プレートを消すためには人物部分を切り抜く必要があり、フレームごとにマスクを描きますが、ダンス映像のため映像の最初から最後までほとんどのショットにプレートが映っています。
ニューヨークフィルムアカデミーに通学している期間は、授業や宿題や撮影プロジェクト以外のことをする時間はほぼなかったため、卒業後のOPTの期間にこの作業をしました。