パラレルワールドを扱った映画・ドラマ(ネタバレあり)

パラレルワールドを扱った映画・ドラマ(ネタバレあり)

誰しも、もしあの時違う選択をしていたら今頃どうなっていただろう、ということを考えたことがあるのではないかと思います。

あるいは、いま自分がいる世界とは違う世界に思いを馳せたこともあるかもしれません。

ここではパラレルワールドを扱った映画をまとめました。

ここで言う「パラレルワールドを扱った」は様々な意味合いを含みます。別の可能性世界に行くために(現実を変えるために)タイムトラベルをして過去に干渉するもの、パラレルワールドに迷い込むもの、仮想世界がパラレルワールド化するもの、映画の構造自体がパラレルワールドになっているもの、などです。

パラレルワールドとは

観察者がいる世界から、過去のある時点で分岐して併存するとされる世界。平行世界。平行宇宙。(小学館 デジタル大辞泉より)

選択をするから分岐するのか、そもそもいくつもの(無限の?)選択肢・可能性の中から毎瞬毎瞬選択をしているということなのか、パラレルワールド・平行世界という概念は興味深いですね。

『バタフライエフェクト』(The Butterfly Effect)2004

あらすじ
重大な出来事の記憶が欠落してしまう少年が青年になり、過去にさかのぼって失われた記憶を体験し、それを変えることができることに気づき、悪い結果をもたらした事件が起こらないように関与するが、別の悪い結果になってしまい、何度も過去に戻る。

タイプ
別の可能性世界に行くために(現実を変えるために)タイムトラベルをして過去に干渉するもの

バタフライエフェクトとは

ある小さな力が長期的にみて、大きな系に大規模な影響を及ぼすこと;例えば、ある所でのチョウのはばたきが他の場所であらしを起こすという考え方(リーダーズ英和辞典 butterfly effectより)

ドラマチックな展開で、面白いストーリーだと思いますが、これを低く評価している批評もあります。そもそもここで描かれているのはバタフライエフェクトとは違う、という点と、悪い結果となったエピソードがどれもバイオレントで悪趣味であることが理由のようです。

『サイレントヒル』(Silent Hill)2006

あらすじ
夢遊病で「サイレントヒル」という謎のことばを発する養女を持つ母が、サイレントヒルという街が実在することを知り夫の反対を無視して娘と共にそこへ行くが、事故で気を失っている間にいなくなった娘を探すうち、カルトの犠牲になった少女の呪いが作り上げた不気味でグロテスクなパラレルワールドに迷い込む。

タイプ
現実と同時に存在する呪われたパラレルワールド

明確にパラレルワールドとは説明されていませんが、サイレントヒルの街で娘を探す母親は不気味でグロテスクな呪われた世界に迷い込み、その夫も全く同じ場所で妻と娘を探しますがお互いに見えず、違う空間に存在してしまっている表現となっています。

▶︎『サイレントヒル』についてはこちらの投稿もご覧ください。

『ミッション8ミニッツ』(Source Code)2011

あらすじ
シカゴ行きの電車で自分ではない誰かとして目覚めた軍人の男が、電車の爆発と同時に今度は暗いカプセルで目覚め、その後、軍の特殊任務で爆弾テロの犯人を探しあてるために、爆破で亡くなった乗客の脳の機能と8分間の記憶を一体化したプログラムに自分の意識が送り込まれていると知る。失敗する度に何度も同じ電車内に意識が送り込まれる中、自分もすでに戦争の負傷で植物状態となっていることを知り動揺するが、ひどいことを言って別れたままになっている父親への気持ちを抱えつつ犯人に迫っていく。

タイプ
記憶を元にプログラムされた仮想世界がパラレルワールド化する

物語の中で、このプログラムの考案者であり作戦の責任者である博士は、「これはタイムトラベルではない」「平行世界(英語のセリフでは「パラレルリアリティ」)へのアクセスを可能にする」と言っています。つまり、爆破で亡くなった乗客の脳の機能と8分間の記憶を一体化したプログラムによって一種の仮想世界を作り、そこに意識を送り込むと、過去に起きたことの追体験だけでなく自分の意思で行動を選択してあたかもその世界で生きているように感じることができるプログラムということのようです。

博士の認識では、このプログラムが機能するには植物状態の主人公が生き続ける必要があるとされていましたが、主人公自身の体験によって、元の肉体の死後もこの世界は存在し、元の世界に影響を及ぼすパラレルワールドであることが示唆されます。

何度も失敗しつつ最後に無事犯人を割り出し電車の爆破を阻止したあと、主人公はまたそのパラレルワールドに意識を送ってもらい、もともと電車に乗っていた男として連れの女性と幸せに暮らすエンディングとなっています。

よく練られたストーリーと的確な演技で全く飽きさせないです。毎回8分間の間に犯人を探さなければいけないという緊張感がスリリングです。主人公の意識が入ってしまったあとパラレルワールドでのその男の自我はどうなったのかなど疑問点はありますが、面白い映画です。

ちなみに、現実を変えるためにタイムトラベルをして過去に干渉するタイプのストーリーのゲームを元にしたアニメなどのメディアミックス作品として有名な『STEINS;GATE』(シュタインズ・ゲート)(2009〜)では、主人公が主要ヒロイン牧瀬 紅莉栖(まきせくりす)をクリスティーナとも呼びますが、『ミッション8ミニッツ』(2011)の主要登場人物の女性の名前もクリスティーナです。

『ブラック・ミラー バンダースナッチ』(Black Mirror: Bandersnatch)2018

あらすじ
幼い頃に半ば自分のせいで母親を無くしメンタルヘルスの問題を抱える青年が、分岐型ゲーム開発のチャンスを得て自宅で作業を進めるが、自分が誰かにコントロールされているように感じ始める。

タイプ
映画の観客が選択肢を選んでいく分岐型パラレルストーリー

『バンダースナッチ』には大きな特徴があり、要所要所で観客が選択肢を選ぶ形式のインタラクティブ映画となっています。選択する内容によって映画の長さは変化すると思いますが、比較的長く1時間30分と記載されています。これを実現したのはかなり画期的ではないかと思います。一部のビデオゲームほどのストーリーの作り込みや深みはなく、実験的な作品といえるかもしれませんが、分岐は多岐にわたり、内容も十分に楽しめるものになっています。

分岐ポイントに戻って別の選択肢を選ぶこともでき、結果として、観客がパラレルワールドを体験することができます。

『バンダースナッチ』の選択肢の選び方
要所要所で画面下に黒帯が現れ、選択肢がテロップで示されます。パソコンで視聴する場合でもスマホで視聴する場合でも出ます。通常の選択肢は2つです。例えば、オファーを受ける、断る、といった選択肢です。見ている人(観客)はその選択肢が表示されているうちにどちらかをクリック又はタップする必要があります。選択肢が表示されている間は映像をストップできず、選択するための残り時間を示すバーが短くなっていきます。

選択しないと自動的に一つが選ばれます。

すぐに決めなければいけないこのしくみは登場人物になったかのような気持ちになります。

▶︎『バンダースナッチ』についてはこちらの投稿もご覧ください。

『あなたに出会っていなければ』(If I Hadn’t Met You)ドラマ 2018

あらすじ
自分勝手で、事故で妻と子供達を亡くした男が、大学の宇宙物理学部長だった初老の女性博士が作り上げたという時空を超える旅の入り口を使った実験に志願し自分の思い描く別の現実へ旅をするが、良いことも悪いことも起き、それらを体験する中で自分や物事の因果関係に向き合う。

タイプ
別の可能性世界としてのパラレルワールドへ行く

ストーリー中、初老の女性博士は、「これは過去を変えるタイムマシンじゃない」「あなたは別の世界に行ってるの」と説明しますが、同じ時間軸のパラレルワールドへ行くのではなく、時間をさかのぼります。主人公は悪い出来事が起こらないようにその世界へ干渉することもありますので、タイムトラベルとしての側面があると思います。

博士の部屋のシーンで、時計の針のチクチクという音が聞こえるのが印象的です。

個人的に非常に気になったのが、そういう演出だとは思いますが、特に最初の2話くらいまで、妻と子供を亡くす前も後も、主人公の男が自己中心的で感情移入できませんでした。1話54分、2話57分ありますので、自分勝手な主人公を映画一本分の時間見ることになります。

この間、主人公は自分の仕事の都合で子供の送りを妻におしつけようとし、しかも、送るけれど私の車は調子が悪いからあなたの車をかしてと言われても、君の車を使えといい、冒頭夫婦げんかが続きます。

結果、妻が子どもたちを送るために調子の悪い車を使ったために、事故を起こし、死んでしまいます。

妻と子供を亡くした男を心配した兄弟が、自分の家に滞在するように誘いますが、断ります。

最初の時空を超える旅から戻ったあと、博士に、中で話しましょうと言われても立ち去ります。

しかし結局妻や子供に会いたいと思い夜中に博士のところへ行き、降りているシャッターをドンドンとたたき、その前に陣取っているホームレスにお金を渡してどかせます。

博士がようやくシャッターを開けると、第一声「なぜ開けなかった?」といいます。

別の世界(時間もさかのぼっている)へもう一度行き、いぶかしがる妻に、君を愛してる、一人では生きていけない、といい、一方的にキスします。

これを、そういうキャラクターとして受け入れられる観客であれば問題ないと思いますが、個人的には特に冒頭は全く楽しめませんでした。