日本でタイトルが変更された(原題と邦題が違う)映画考察(ネタバレあり)

日本では変更された映画タイトル(原題と邦題が違う)を考察

海外の映画が日本で公開されるとき、しばしばタイトルが変えられます。

日本では日常的に英単語をカタカナで表現して使うことも多いため、例えば英語のタイトルが馴染みのある表現であれば基本的にはそのままカタカナで表現すればいいと思いますが、日本であまり馴染みのない英語の場合や、馴染みがあるかどうかに関わらず、よりわかりやすくするためとかマーケティング上の都合で、日本語に訳したり表現を変えているのだと思います。

映画の原題の良し悪しもあると思いますが、その変更・アレンジが適切だと感じる邦題もある反面、必ずしもいいタイトルとは思えないものも見られます。私見ですが、それぞれいくつか書こうと思います。

わかりやすく、ふさわしいと思われるタイトル変更
 
『アナと雪の女王』(原題:Frozen)

ストーリー
女王への戴冠式の日に物を凍らせる魔法を発動させてしまい雪深い山奥に閉じこもった姉を追った妹が、追い返される時に雪の魔力で凍りついてしまうが、姉の真実の愛によって元に戻り、国を覆っていた氷も溶ける。

原題のFrozen(フローズン)は「凍結された」「極寒の」という意味です。日本でもフローズンヨーグルトなどの表現は使われますので何か冷凍されたもの、凍える状態というのは理解できると思いますが、そこからこの映画の内容を想像するのは困難ですので、この邦題はわかりやすいと思います。

『カールじいさんの空飛ぶ家』(原題:Up)

ストーリー
冒険家に憧れる少年だった男が、亡くなった妻との夢であった伝説の滝に行くために、家にたくさんの風船を取り付けて旅に出る。

原題のUp(アップ)は「上へ」「昇って」という意味です。おじいさんの家が飛ぶことや前向きな人生を表していると思いますが、映画のタイトルが『アップ』や『上へ』ではこの映画の内容を想像するのは困難ですので、この邦題はわかりやすいと思います。

『レミーのおいしいレストラン』(原題:Ratatouille)

ストーリー
フランス料理のシェフになることを夢見るネズミが、パリのレストランで見習いシェフと一緒に二人三脚でパリ一番のシェフを目指す。

原題のRatatouille(ラタトゥイユ)はフランス南部の野菜煮込み料理で、主人公のレミーがネズミ(Rat)であることとかけているようですが、これも映画の内容を想像するのは困難ですので、この邦題は映画の内容を想像できてわかりやすいと思います。

英語のカタカナ表記だが変更されたもの 無難な邦題と思われるもの
 
『メッセージ』(原題:Arrival)

ストーリー
言語学者の女性が軍の招聘で、地球に飛来したUFOのエイリアンとのコミュニケーションを試みる。

原題のArrival(アライバル)は「到着」「出現」という意味です。空港で「到着」を表す表現として馴染みがある以外は日本ではあまり使われない言葉だと思いますが、『到着』と和訳してタイトルにしてしまうと映画のイメージが変化してしまうため、他のカタカナ言葉を探して『メッセージ』にしたのではないかと思います。

メッセージに関する内容ではあるので、無難な邦題かもしれません。

『オデッセイ』(原題:The Martian)原作の邦題:『火星の人』

ストーリー
火星に一人取り残された宇宙飛行士が生き残るために奮闘する。

原題のThe Martian(マーティアン)は「火星人」「火星の人」という意味です。日本では『マーティアン』というタイトルだと伝わらないでしょうし、原作の邦題「火星の人」はいい邦題だと思いますが、主人公の長いサバイバルの苦労を表現するために『オデッセイ』にしたのではないかと思います。

「オデッセイ」は長期の放浪、長い冒険の旅の意味があります。こちらの単語も日本ではあまり馴染みがないと思いますが、映画のタイトルの一部として見聞きすることはあり、無難な邦題かもしれません。

『グランド・イリュージョン』(原題:Now You See Me)

ストーリー
カリスママジシャンなどの4人が伝説の魔術結社からカードを受け取り集められ、そこで投影された図面に基づいてイリュージョニストグループとして大金を盗み出すマジックショーを行なっていく中で、FBI捜査官達を何度も欺きながら一連のマジックの黒幕にたどり着く。

ストーリー(ネタバレ版)
伝説の魔術結社メンバーの男が、自分は姿を見せず4人のマジシャンをスカウトしてマジックショーをさせる中で、マジシャンだった自分の父を死に追いやった人物や組織に復讐をする。

原題のNow You See Meは、マジシャンが言う決まり文句の”Now You See ○○”「今あなたは○○が見えますね?」、”now you don’t.”「さあ、見えなくなった」という表現と、ストーリー中で黒幕が最後に現れる状況を表す”Now You See Me”「今あなたは私が見えます」が掛かっているようです。”now you don’t.”という表現は映画中で4人が集められたアパートに落ちていた紙にも書かれています。

“Now You See Me”は面白いタイトルだと思いますが邦題としてはわかりづらく、一方、日本でも大掛かりな仕掛けを用いたマジックを「イリュージョン」と呼ぶのは一般化していると思いますので、『グランド・イリュージョン』はこの映画の邦題として無難だと思います。「壮大なイリュージョン」という意味です。

『インサイド・ヘッド』(原題:Inside Out)

ストーリー
「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」の感情をそれぞれ擬人化したキャラクター達が、田舎から都会へ引っ越し孤独や怒りの気持ちでいっぱいになった少女を幸せにするために奮闘する。

ストーリー(ネタバレ版)
「ヨロコビ」「カナシミ」「イカリ」「ムカムカ」「ビビリ」の感情を擬人化したキャラクター達のリーダー格である「ヨロコビ」が、少女を喜びだけで満たそうと奮闘するがうまくいかず、大切な記憶には「カナシミ」など他の感情も表裏一体だと理解する。

原題のInside Outは「裏返し」という意味ですが、主人公の心の中の出来事を扱っているため、原題に近く日本人に馴染みのある表現で『インサイド・ヘッド』としたのではないかと思います。

“Inside Head”と表現すると物理的な「頭の中」をイメージしますが、冒頭のナレーションに”Inside your head”という表現があり、映像としても頭部を感情のキャラクター達がいる場所として表現していますので、邦題としては無難なのかもしれません。

必ずしもいいタイトルと思えないもの
 
『ゼロ・グラビティ』(原題:Gravity)

ストーリー
スペースシャトルで船外作業中に事故に遭い宇宙空間へ放り出された女性技師が、生き残るために様々な困難を克服していく。

ストーリー(ネタバレ版)
スペースシャトルで船外作業中に事故に遭い無重力の宇宙空間へ放り出された女性技師が、様々な困難を克服して地球に戻り、地球の重力を噛みしめる。

原題のGravity(グラビティ)は「重力」という意味です。「グラビティ」という単語は日本の日常では使われず意味がわからない人もいると思うのですが、訳さずにカタカナ表記にしています。タイトルを『重力』とすると何か物理学的になってしまいイメージが変化してしまうためと、日本語より英語のほうがかっこよく聞こえるからかもしれません。

しかしあえて英語のカタカナ表記にしているのに、ゼロを加え『ゼロ・グラビティ』(無重力)とすることで、タイトルの意味を変えてしまっています。無重力下での緊迫したシーンもあるものの、映画の内容としてはタイトルは『グラビティ』であるべきだと思いますが、『ゼロ・グラビティ』のほうがわかりやすくキャッチーに聞こえるからそうしたのでしょうか。