コミック【推しの子】のあらすじの紹介、感想・考察の3回目です。
▶︎コミック①-④巻のあらすじ、印象的なセリフ、ストーリー全体の感想・考察①はこちらをご覧ください。
▶︎コミック⑤-⑧巻のあらすじ、印象的なセリフ、ストーリー全体の感想・考察②はこちらをご覧ください。
各回の「ストーリー全体の感想・考察」は、必ずしもその回で紹介するあらすじとはリンクせず、文字通り「ストーリー全体の感想・考察」をテーマごとに分けて書いたものです。全体のネタバレを含みます。
・感想概観(①)
・基本情報 主要登場人物(①)
・多ジャンル横断で多要素・多層的(多レイヤー)(①)
・多ジャンル(①)
・多要素(①)
・多層的(多レイヤー)(①)
・推しの子 ダブルミーニング+α(①)
・見の表現 黒目の中の星(② – 前回)
・復讐劇(② – 前回)
・三角関係(四角関係)(② – 前回)
・さりな、ゴロー、アイ、アクア、ルビーの年齢と年齢差について(② – 前回)
・原作者と脚本家の対立と協業(② – 前回)
・コミックの表紙の変化(② – 前回)
・アニメ(② – 前回)
・原作コミックとアニメ版の違い(② – 前回)
・アクアが手を差し伸べたこと、助けたこと(③ – 今回)
・伏線と回収(③ – 今回)
・シリアスとコミカルのバランス(③ – 今回)
・「ヘタな演技」の表現方法(③ – 今回)
・モノローグによるコミュニケーション(③ – 今回)
・時間軸の操作(③ – 今回)
・ストーリーに違和感もある(③ – 今回)
・なぜカミキヒカルはアイのファンの青年をそそのかしてアイを脅すよう仕向けたのか(③ – 今回)
・アクアがリークする前、アクアとルビーがアイの子供だと知っていた人物はいるか?(③ – 今回)
・アクアとルビーの父親は誰か知っていた人物はいるか?(③ – 今回)
投稿後、内容の修正・更新や構成の変更をする場合があります。
各巻のあらすじの後に印象的なセリフも紹介します。
印象的なセリフは、主に2つの種類があります。一つは「人や社会に対しての捉え方として興味深いもの」。もう一つは「このストーリーにおいて重要な意味を持つもの」です。何らかの補足のあるものもピックアップしてあります。
ここからはまだアニメ化されていない部分です。(2026年放送予定)内容を知らない状態で第3期を見たい人は読まないことをお勧めします。
いつもと違うミステリアスでダークな雰囲気を纏ったルビーの表現と、映像ディレクターや作曲家の仕事によってMVは完成度の高いものとなり、2000万再生をマークした。
MEMちょはその機を逃さず、『B小町』チャンネルの登録者数を増やすための様々な施策をし、登録者数36万人になった。
あかねは実力派女優として着実に表舞台にのし上がっている。
アクアはネットテレビのバラエティ番組レギュラーの座を得た。
Youtubeの収録をする新生『B小町』メンバー(ルビーは両目に黒い星がある。)忙しくなったが、かなもルビーも少し雰囲気が変わったと感じるMEMちょ。
かな、アクアから、あかねとキチンと付き合う事にしたと伝えられ、泣く。あかねは幸せいっぱい。
『B小町』2ndワンマン、結成1年で千人キャパが即売、地下アイドルからドームへ行くことについて話すファン。同時にかなやルビーの印象の変化を心配する。
アクアに避けられていると感じ、悲しくて泣くかな。
MEMちょ、アクアと話す。アクアが医大受験のための勉強をしていると聞いて驚くMEMちょ。かなとのことをもっと上手くやるようにアクアに言うが、アクアは、スキャンダルを極端に恐れて距離を取っているとのだと知る。
学校で、ルビー、フリル、みなみが、アクアの出ている番組について話す。
フリル「アクアさん良いわー」みなみ「フリルはすっかりお兄さん推しやなぁ」フリル「アクアがこのまま売れていけばいずれどこかで共演することになるだろうけど」「ルビーもみなみも順調に売れてきてるし、私達が共演するのもそう遠い話じゃない」ルビーの目は両目に黒い星がある。
ルビー(16歳と言っている)、兄の番組にリポーターとして出る。ルビーの持ち込み企画。しかしそれは、失踪中の壱護にアドバイスをもらっていた。
壱護に会いに来るルビー。「ママの一番近くに居た貴方が一番真相に近いんだから。ママを殺した男を見つけ出すまで絶対に逃がしたりしないから」「私の父親が誰なのか教えて」壱護「何度も言うけれど俺はそんな事知らねぇ。知ってたらとっくにぶっ殺しに行ってるっつの」
売れたらアイと関わりがあった人を紹介すると言われ、どうやったら売れるか教えて、と言うルビー。番組でお前自身のキャラクターを示せ、と言う壱護。バカで失礼で図太い所を全面に出し、全力で道化を演じろ、と言われる。
ルビー、番組で話を盛ったバカエピソードを語り、笑いを取る。
壱護のアドバイス通りAD吉住にも優しくするルビー。
D(ディレクター)に怒鳴り散らかされるAD。
吉住のモノローグ「ADの仕事はたった一つ。やれと言われた事は全部やる事」
コスプレ企画(コスプレイヤーの取材)、D、『東京ブレイド』のコスプレをさせようと考えている。版権は大丈夫ですか?と言うADに対し、アニメ部署の方には俺から言っておく。と答える。D「ふつーのコスプレイヤーじゃ話にならねぇからな?略 コスプレイヤーなんて承認欲求強い奴等だらけだろ。宣伝にもなるんだしツイッターでDM送ればそん位すぐ集まる!」
甘く見ているDの予想に反し出演者集まらない。AD、ルビーに相談。
レンタルスタジオから出てくるあかね。(目的は不明。演技の稽古?)外は雨。アクアが傘を持って迎えに来る。あかねモノローグ。アクアがかなに惹かれていたことやそれでも自分と付き合う事にしたこと、アクアが良い彼氏をしていることを好意的にうけとめている。
ルビーは、モデルのクラスメートみなみに話を待ちかける。ADは、コスプレイヤー兼VTuberをしている引きこもりの妹吉住美実にも頼む。
苦労して集めたが、ディレクターがきちんと確認をしなかったせいで、直前にコスプレのテーマが変わる。AD「レイヤーの子達には『東ブレ』のコスでお願いしてるんですよ!?」D「違うやつやってもらえば良いだろ!」都合のいい指示をしてくるD。
取材当日。みなみやルビー、ADの妹、メイヤ自己紹介や、直前にコス変更があったことを話す。
本番、勝手なD。メイヤに、エロいねーと言う。終了後、ルビー、みなみ、ミミ、自主的にコスプレ広場に行って写真を撮られたりする。
少年誌でコスプレをしているメイヤが、番組の取材での扱いのひどさ(直前にテーマが変わる。セクハラ質問された)に関し、SNSでつぶやく。ADが謝罪の電話をするが、「レイヤーの子に今後こんな被害が出ない様に注意喚起させて頂きました」「ツイートを削除するつもりはありません」と言われ電話を切られる。
コスプレ回の放送は一旦見送りになる。ADとD衝突。D「次からはああいう面倒な女に取材申し込みすんな。内部の情報漏らすとかプロ意識の欠片もねぇ」
AD「こんなやり方もう通用しないんですよ。今の時代はコンプライアンス遵守なんです。必要なんですリスペクトが」D「何の為にネット局でこの企画をやってる?略 地上波に出来ねえギリギリを攻める為だろうが。表現の規制やコンプライアンスでテレビはどんどんつまらなくなってきている。規制の中でおもしれえもん作れる奴は良いよ。でもそんな天才はここには居ねぇ。セクハラだのコンプラだの言われるのなんて承知の上でやってる。俺だって妻やガキを食わせにゃいけねえんだ」
自分はどうなるんだろうと思うAD
そんなADにルビー、企画持ち込む。(ルビーはずっと目の中に黒い星)
印象的なセリフ
何度も言うけれど俺はそんな事(ルビーの父親が誰か)知らねぇ。知ってたらとっくにぶっ殺しに行ってるっつの(P77壱護)
解説:しかし彼は何年も何もしてこなかったように見えます。いや、したかもしれませんが、結局何も真相はわからなかった、ということでしょうか。
表現の規制やコンプライアンスでテレビはどんどんつまらなくなってきている。略 セクハラだのコンプラだの言われるのなんて承知の上でやってる。俺だって妻やガキを食わせにゃいけねえんだ(P178-180漆原ディレクター)
解説:「表現の規制やコンプライアンスでテレビはどんどんつまらなくなってきている」というのは、そういう面もあるだろうとは思います。テレビがつまらなくなったと言われる昨今ですが、コンプライアンスの遵守以上に、何か気に入らないことがあると叩く社会の気運がテレビをつまらなくさせている部分もありそうです。
アクアやルビーの出ている『深掘れ☆ワンチャン』今回は特別編スペシャル。
時間は遡る。ルビーの持ち込んだ企画をD(ディレクター)とAD(アシスタントディレクター)で形を変えた。鏑木プロデューサー、「面白いじゃない。やろう」
ルビーのリポート。今回の取材対象は『当番組』
コスプレイベント取材に対する不満をツイートしたメイヤをゲストで呼び、意見を聴き、事の流れを取材した内容を発表。
有馬かなも代理リポーターとして登場。『東京ブレイド』の原作者アビ子に取材。アビ子、許諾の必要不必要の現状を詳しく説明。自作の鞘姫のコスプレをした漆原Dが登場し、メイヤに、謝罪と、今後はリスペクトを持った体制に変えていくと伝える。
二人で帰るアクアとルビー。お兄ちゃんの真似させて貰った(炎上を利用して自分を売り込んだ)と言うルビー。「ちょうど燃やしそうな人が居たから紹介しただけ。メイヤさんは今回みたいな事以前も何度かやってるの。リーク癖って言うのかな」それで良いの?と言うアクアに、ママだって嘘吐きだったじゃん。子供が居る事隠してアイドルやってたじゃん。無理なんだよ。綺麗にまっすぐこの世界で売れるなんて。見てて。すぐ売れてみせるから。
アクアモノローグ「その言葉通り、その後ルビーは急激に仕事を獲得していく事になる。その歪さによって至る所で亀裂を作りながら」
星野ルビーを紹介する芸能記事。そのインタビューでの発言「『B小町』は必ずドームに立ちます」
その記事をスマホで読んで「なんだか凄い事になっちゃったねぇルビー」と言うMEMちょ。『B小町』のチャンネル登録者数はルビーの活躍で100万人目前となり、Youtuberとして売れていたMEMちょのチャンネルの登録者数を抜いた。
Youtubeの撮影は、番組の収録で遅くなるルビーを待つ。かな「待つしかないわよ。あの子が出ない企画、コメ欄荒れるんだから」
ルビーのスケジュール調整にてんてこ舞いなミヤコ社長。
アクアモノローグ「制作会社ADだった吉住シュンはルビーのマネージャーとして転職した」「今のルビーには人の就職を左右出来るほどの力がある」
釣りをする元事務所社長の壱護の元に現れるアクア。ルビーが休日の度に行先も言わず消えるからこっそり後を付けた。と言う。「アイが死んだ後全部ミヤコさんに押し付けて消えたアンタを許す気は無い」ルビーへの入れ知恵は「アイと立つはずだったドームの夢に未練があるんじゃないのか?」と言うアクアに、ミヤコに対して申し訳ない気持ちもあるからやっている事で、未練じゃない、と言う壱護。俺にはやる事がある。ブッ殺すんだよ。アイをあんな目に遭わせた奴を。お前にとってアイは母親だったかもしれねぇけどな、俺にとっては娘みたいなもんだったんだよ。と言う。
アイを殺した男はもうこの世に居ない。上原清十郎、もう故人だ、と言うアクアに、上原が死んだのはアイの引っ越しの前で、時系列的にありえない、と言う壱護。「母親が夫とは別の男と子供を作った可能性は?上原夫妻の心中事件は、それを知って激怒した夫側が仕掛けたなんてシナリオもあるんじゃねぇのか?そもそも犯人が父親だと言う確証は?事務所に住所を漏らした奴がいる可能性だってあるだろう。終わってねぇだろ、何一つ」アクア、「終わった筈なんだ!やっと!!」と言う。
雨の中、ベンチに座ってうなだれるアクア。少年アクアとゴローの幻影が現れる。少年アクアの幻影「良かったね。また始められるよ」ゴローの幻影「アイを見殺しにした僕がのうのうと生きていて良い筈がない。これは罰だ。報いなんだよ」
幻影の語りかける言葉に発作的にうるさい!と、何かを荒々しくふり払うと、傘をさしてくれたかなだった。かな、驚き、泣きながら「そこまで私嫌われる様な事した・・・?」かな、走り去る。うなだれるアクア。
あかねと電話するアクア。日本映画賞の受賞式の夜会わない?と言うあかね。アクア、ちょっと今は人と会う気分じゃない、と言う、本棚が倒され、荒れている様子。
アクアの現状について考察するあかね。モノローグ「最近のアクアくんは明るかった」「幼少期の傷はいつまでも残る。まるで呪いの様に」「願わずにはいられない。このまま何も気付かずに、ずっと平穏な毎日を過ごせれば、きっとアクアくんは・・・」
新人俳優賞を受賞した会場で、一瞬アクアかと間違う人物とすれ違うあかね。
金田一、事務所社長、あかね、中華料理屋で食事。社長、『今ガチ』に出てからこの子は表に出る時の顔つきが変わったんですよ。なんていうか目力?、と言う。
時々こういう目をした奴は出ると言い、うちにも昔いた、という金田一。映像を見せてもらうあかね。アクアに似ている。アクアと姫川とその人物の関係性から、その人物カミキヒカルがアクアの父であり姫川の父であると推測する。
あかねモノローグ「カミキヒカル、彼はアイの妊娠当時15歳の中学生だった」
絶対にアクアくんと接触させちゃ駄目だ。自分だけでどうにかしようとするあかね。モノローグ「アクアくんの人生を狂わせた真犯人、絶対に逃さない」
あかね、独自に聞き取りしてまわる。ベッドで寝転ぶあかねに、アクアから電話。
あかね「私は今幸せだから」アクア「俺はお前と出会ってからずっと救われていた」「俺はどうしたら良い?決めてくれあかね」あかね「自分の事は自分で決めないと。アクアくんが決めた事なら私はいくらでも力を貸すよ」
横断歩道であかねの背後に黒フードの男が近づき、あかね、階段から落ちるが、アクアが支える。黒フードの男は慌てて駆け寄り謝る。
アクア、あかねにGPSをつけていた。あかね、これは駄目だよ、これはやって良い事じゃない、と言う。アクアは『今ガチ』が終わってしばらくした頃から付けていた。アクア「あかねは何か情報を摑むかもしれない。もし犯人に接触した時足取りが追えるように」あかね「一言あれば・・・いくらでも協力したのに!」アクア、自分だけで全部片づけようとしていただろ、と言う。あかね、とぼけるが、アクア、あかねが持っていて落とした花束から包丁を蹴り出す。
アクア「これで何しようとしてたんだよ」「もう関わるな。二度とお前のプライバシーを侵すような真似はしない。俺も二度とお前に関わらない。危ない真似はやめろ」あかね「付いて来てって言ってくれてたら、地獄だって一緒に行くのに」アクア「そんな所にあかねを連れて行く気なんて毛頭ない。俺は一人で行く」あかね「アクアくんは道を間違えた」アクア「分かってる」あかね(泣)「そっか。私は君を救えなかったんだ…エゴでもなんでも良い。救ってあげたかったな…」
アクア「カミキヒカル。復讐を果たすべき相手。もう戻れない。この道を進むしかない」
場面変わり、アクアの部屋。復讐の方法を考えるアクア。
AD(現ルビーマネージャー)、妹が顔出し配信していた頃の失言している動画が掘り起こされネット炎上し、しばらく活動停止もやむなし。
『B小町』入っちゃえば?というルビーだが、自分とキャラが被り、ただでさえ自分は『B小町』で一番人気がないと感じるかなは、一人休憩中、やだなぁ、と独り言を言う。ここしばらく役者としての仕事は取れていない。それどころかアイドルとしての仕事があるのはルビーとセットの時。「私って何の為にアイドルを・・・」「何がアイツ(アクア)の推しの子になるよ・・・ばかみたい私・・・。こんなに嫌われてるのに」
かな、知り合いの役者(女)に誘われ会員制のスナック?に行く。今年の映画賞も獲った映画監督、島政則も来た。かなモノローグ、この人に気に入られれば何か演技の仕事が貰えるかも。LINE交換しませんかと言われ、さっそくご飯に誘われる。
インスタのパスワードを事務所に教えないといけないことに文句を言うルビー。よその事務所で星野ルビーという名前も本名なのに使えない。
かな「アイドルは芸能界で最も人権がないのよ」
かな、島監督と食事。島、日本の映画業界の不満について話す。「これじゃ役者は育たない」彼との会話に居心地の良さを感じるかな。島「有馬さんみたいに実力のある役者が評価される時代を作りたい。次回作はそういう人の実力を活かせる作品にしたいと思っている」閉店の時間になり、話に食いついたかなは、うちすぐそこだから来る?と言われ、シマスタジオの表札のついたマンションに島と入る。その様子を車から見ている人物がいる。手元にはカメラ。
巻末書き下ろしあり。本編と関係ない。あるカメラマン目線のアイ。
印象的なセリフ
アイドルは芸能界で最も人権がないのよ(P175かな)
俺にはやる事がある。略 ブッ殺すんだよ。アイをあんな目に遭わせた奴を。(P81-82壱護)
解説:前巻でもルビーに同じようなことを言っていましたが、思い出したかのように言われる「ブッ殺すんだよ」というセリフ。その割には彼はこれまで15年ほど、釣りをしている以外何かしていた様子はない(描かれてない)です。
島と一緒に島のマンションに入るかな。仕事場だというがベッドがあり、奥さんに内緒で女を連れ込む部屋と認識する。
島「俺は俺を本気にしてくれる人と仕事がしたい」「君の代表作と言える位に君にとって最高の役を用意してみせる」島に押し倒されそうになるが、アクアのことを意識し、ごめんなさい出来ません。私好きな人が居るんです、と泣くかな。
アクアの不満をぶちまけるかな。そんな彼女を面白いと言う島。朝帰りするかなを撮影するカメラ。
楽屋のルビーのモノローグ、この業界に飛び込んでまず思った事は、「意外とカレシ居る子多いんだなぁ」だった。アイドルの恋愛事情の変化を思い巡らすルビー。ルビーモノローグ「アイドルの熱愛報道というのは大抵身内のリークなのだから」
事務所のかなとMEMちょ。
思いつめたようなかなを心配するMEMちょ。アクアに訴える。このままじゃかなちゃん『B小町』辞めるかも!最近のかなちゃんはいつも思いつめた顔してて。
アクア「有馬の事で俺に頼るな。前にも話しただろ。半端な真似はしない。無責任な事はしない」MEMちょ「でもかなちゃんはきっとアクたんの為にアイドルをやってる。君が誘ったからこの道を信じたんだよ。君が望んだからアイドルになった。君が彼女をこの世界に引き入れたんだよ。少しで良いから向き合ってあげてよ・・・。
芸能週刊誌からミヤコに、かなの記事を出すので取材をしたい旨、島との写真つきでメール。
街を歩いているかなにもその記者と思われる記者がインタビューしようと話しかけてくる。逃げるかな。
スキャンダルの出たアイドルの末路を思うかな。公園?のすみで泣き、助けてアクア、と口走る。しかし開き直って一人強がるかな。それを影から見ていうアクア。
アクア「ほら、この程度で有馬は折れたりしない」
ミヤコやかなを含む『B小町』メンバー、事務所でこれからどうするか打ち合わせ。
あんな写真撮られてプロ失格で・・・というかなに、記者に撮られる事をプロ失格とは思ってないというミヤコ。島監督に記者のマークがついていたと分析。
ここでいきなりミヤコの、「週刊誌に撮られないコツ」一覧見開き。
泣くかなを励ますMEMちょ。
君が誘ったからこの道を信じたんだよ、と言ったMEMちょの言葉を思い出すアクア、ルビーに、痛みを伴うとしても有馬を救う手段があるならお前は有馬を救いたいと思うか?ルビー「当然でしょ?仲間なんだから。ルビーの片目が白星。
アクア、記者板野に接触し、有馬の記事より世間が食いつくネタがあると持ちかける。
朝、テレビをつければスキャンダルが流れていてネットを見れば罵詈雑言の嵐を想像するかな。テレビをつけて驚く。
14年前に殺害されたアイに当時4歳の双子の子供がおり、それを知り激昂したファンによって殺害されたとする週刊誌の記事を報道するニュース。アクアとルビーがアイの子供であることも。それを街頭モニターで見るルビー。
バーター記事の説明。
ニュースを見るあかね。アクアくんはもう止まらないんだね。
家でアクアに掴みかかるルビー。有馬にとって、そして俺たちにとって必要なことだったというアクアに、私はもうアクアの事を家族だなんて思わないから。
アクア「必要な事なんだよ。俺が居なくなった後もお前がこの世界でやっていく為には」
かなの記事は出なかった。アクアが私を守ってくれたと認識。
アクアとルビーは、注目度を上げ、テレビにひっぱりだこ。
かな、アクアに「アイって、アンタ達の母親だったのね。そういえば、私達が初めて会った時もアイが共演者だったわね・・・」ずっと引き摺ってたのね・・・
かな、アンタだって私の事嫌いなんでしょ?だから私の事拒絶するんでしょ?アクア、違う逆だと言って説明する。かな、ティッシュの箱でアクアをはたく。かな「言いなさいよそういうのは!口で!!何の為に付いてんのそれ!!私がどんだけ悩んだと思ってるの!」
アンタの事なんて異性として意識した事ないし、これからも絶対ない。思いあがるのも大概にしなさいよね。私は遠くない内にアイドル辞める、どうしたって役者をやりたい、と言う。私の事推すなら今の内よ。言うでしょ?アイドルは推せる内に推せって。アクア「金言だな」
大事な友達だと思ってるんだし・・・略 間違っても彼女が居る男に変な目向けたりしないから、と言うかなに、あかねとは別れたけどな、と言うアクア。
かな「ん?は?」余計な事言った〜〜と後悔するかな。
一緒に楽しく下校?するアクアとかな。周囲に気づかれ、ズラかる。
2人が仲良くなったことをMEMちょは喜ぶが、あかねの事を思うと複雑な心境。
アクア「俺はもう自分が幸せになろうなんて甘い考えを持っていない」アクアモノローグ「利用出来るものは全て利用する。それがたとえ有馬だろうと」
壱護の所に行くアクア、秘密をあばいたことに怒鳴られるが、アイを死に追いやった真犯人の名前を知っている、力を貸してほしい。あの男を追い詰める為に、と言う。
五反田、アイの写真が載った書類を見つつ、「約束を果たす時が来たのかもな」
企画書 15年の嘘(仮|
第九章 映画編(巻の途中で章が変わる)
鏑木プロデューサー、女優片寄(かたよせ)ゆらのマネージャーを訪れ、彼女の来春のスケジュールを預けてもらう話をする。
会員制のバーで飲んだくれるゆら。カミキヒカルと飲んでいる。ゆら「やっぱ飲むならミキさんだわ!」2人で店を出る。もっと演技が上手くなってもっと売れて大人のジジョーに巻き込まれない役者になりたい、と言うゆら。
来週山登りに行ってくるというゆら。山は何か起きても見つけてもらえない事もありますのでくれぐれも足下にお気を付けて、と言うカミキヒカル。
ゆらが山で転落している。そばにカミキヒカルがいる。彼が突き落としたと想像できる。(方法は描かれていない)カミキヒカル「ああ、価値ある君の命を奪ってしまった僕の命に重みを感じる」カミキヒカルの両目に黒星。
五反田監督の回想。ロケ先で弁当を食べる監督のところへアイが来る。監督のひざの上には少年アクアが寝ている。
明確に描かれてはいないが、監督の映画「それが始まり」にアイも出演していると推察できる。また、アクアにとって監督が父親がわりだったと想像できる。
アイ、今度『B小町』のドキュメント映画を撮ろうという話があり、それカントクが撮ってよ〜、と言う。忙しいから駄目だと断るが、結局ちまちま撮っていた。上映のスケジュールも決まり、あとはドームライブの撮影を残すのみだった。しかしアイが殺されてすべてがポシャった。
撮影の回想。監督「お前が変に取り繕ったり、いつもの調子で嘘で塗り固めた姿しか見せないってんなら、いつでも撮影は取り止めにするからな」アイ、使えない映像になってもいいなら私も嘘を吐かない、本物の私を撮ってください、と言う。その目は両目に黒星。
アイの殺傷事件をベースにした映画の企画「15年の嘘」をアクアと五反田監督が鏑木プロデューサーに持ち込む。一旦は断る鏑木だが、これを語ったのはアイ本人で、脚本は監督とアイの息子であるアクアが書いたと聞き、僕が担当しよう、これは僕にしかプロデュース出来ない、と言う。
想定キャストは、
星野アイ、黒川あかね
旧「B小町」メンバー、星野ルビーとMEMちょと有馬かな。
苺プロ社長、メルト
マネージャー、不知火フリル
劇団ララライ看板役者、姫川大輝
犯人役、アクア
アイの墓前のアクア、アイ、やっと始まるよ、君の本当の願いを僕が叶えてみせる。
印象的なセリフ
ほら、この程度で有馬は折れたりしない。(P60アクア)
解説:島監督との関係を記者がインタビューしようと話しかけてきたため逃げたかなは、携帯電話と鞄を落として事務所から連絡が取れなくなります。かなは公園?のすみで泣き、開き直りますが、その様子をアクアが見ています。
8巻でも、アクアとかなはキャリーケースを2人で買いに行くため喫茶店で待ち合わせ、服選びに手間取り遅れてきたかなに、アクアが「外寒かったろ。ホットラテ頼んどいた」と言うシーンがあります。
10巻では、アクアが恋愛リアリティショーの後、あかねにGPSをつけていたことが発覚します。
ここでも、半ば行方不明のかながいる場所にアクアがいるということは、やはりかなにもGPSをつけていると思います。
ああ、価値ある君の命を奪ってしまった僕の命に重みを感じる(P172カミキヒカル)
解説:片寄(かたよせ)ゆらが山で転落し、そばにいるカミキヒカルのセリフです。彼のサイコパス性がやっとここで描かれています。転落の様子は描かれていませんが、後に明確になっていくように、彼自身は手をかけずに他の人を利用して誰かを殺すカミキヒカルの性質を考えると、ここでもそうしたのかもしれません。
アイの真実に迫る五反田監督の映画「15年の嘘」の企画持ち込み。フリーのプロデューサー鏑木の助力を得て、配給会社へのプレゼンや出資者集めをする。
有馬かな、学校を卒業。『B小町』も卒業して役者に専念する予定。
アイ役の想定キャストは黒川あかねだったが、P(プロデューサー)は不知火フリルを起用しようとしている。片寄ゆらは急に音信不通になった。(前巻で山で転落し、カミキヒカルが関与していると思われる)
ネコに話かけているルビーの所(事務所前)に五反田監督が来る。久しぶり。最後に会ったのは15歳の誕生日にアイのビデオレターを渡した時。
監督はルビーにもDVDを直接渡したならあとの内容と食い違う。
ルビー「ちょっと事務所に顔合わせたくない人が居て・・・」監督「それってアクアか?」ルビー「ママの秘密をあんな風に暴いて・・・許せるわけないでしょ」ルビーはアクアからDVDの話を聞いてないらしい。監督モノローグ「全部まとめておっかぶるつもりか。このシスコンが」
監督モノローグと回想。今回の映画が動き出した契機になったのは2枚のDVDだった。アイから、アクアとルビーが15歳になったら渡してほしいと言われ預かったもの。
監督モノローグ「俺はもっと考えるべきだった。なぜ15歳のアクアとルビーに宛てたのか。なぜ俺に預けたのか。なぜDVDを2枚に分けたのか。なぜアイは亡くなる直前に俺にこのDVDを託したのか」その答えに気付いた時、この企画を始める決意を固めた。
アクアと話す五反田監督。「Pは(アイ役に)不知火フリルを起用したいとのことだ」しかし監督はルビーを押したい。
ルビーに演技をさせてみる監督とP
P「作品の質とか意義とかはね、2番目なの!そろそろ分かろうよ!」「1番大事なのは何か!借りた金を返す事!この作品で採算を取る事が大事なのね!?」不知火フリルの過去の収益データから彼女の起用を譲れないP。
当のフリルの所には、キャスティングで揉めてるみたいだね、と連絡してくる人もいる。
フリル、学校で帰りにルビーを誘う。主演を誰にするか揉めている件を話す。オーディションにすればいいのにと言うルビーに、日本の芸能界でそれは無理、と言うフリル、ルビーに、独自の個人間オーディションを持ちかける。既に黒川あかねにも了承をもらっているらしい。
こういう公民館って使用料が意味分からん位安いんだよね。2時間で200円。
あかね現れる。あかねに個人間オーディションの裏を聞かれ、裏あるよちょっとはね、と答えるフリル。審査は自分達でする。
フリルがテーマを決めて即興劇をする事を提案する。テーマは『嘘付き』
まずフリルがオオカミ少年を演じる。
次はルビー。ルビーにとって嘘とはどういうもの?と問われ、自問するルビー
ルビーモノローグ「私はいつだって演じている。『星野ルビーという役』を。略 私はいつだって演じていた。『天童寺さりなという役』を」
ルビー、母親が死に、せんせーまで死んでいることに対するどす黒い感情を表現したあと、なーんちゃって、うそうそ、そんな事思ってない、と言う。
アイを演じるあかね。
あかね「一番の嘘つきはフリルちゃんだよねー。フリルちゃん最初からこの役ルビーにやらせたかったんでしょ?」「多分だけどね このオーディションって星野アイ役を決める為のものなんだよ」
あかねは、この映画が『星野アイを題材にした映画』だと思う。「アクアくんが考えそうな事だから。今の彼は見境が無い」
アイの半生を描き、アイを殺した人を断罪する映画だが、アイ役がどういう演技をするかに懸かっていると思うフリル。アイの意思を演技に込められるのはどっちだろって話。あかねは自分だと言う。ルビーは、ママの気持ちを分かるのは私以外いない、と言う。復讐するのは私じゃなきゃ駄目でしょ!私がやるべきだ。
気まずいあかね。
オーディションは深夜まで続きルビーの通過で合意。
(あかねが)帰る途中、アクアがいる。
「アクアくんの企みは、私が止める」
アクア「あっそう。やれるもんならやってみろ。黒川あかね」
『B小町』を卒業するかなのツイート。
アクアとかな、他愛のない話。
かな「人気者が全てを持っていくって話よ」
かなのツイートについて。かな「アンタがアイドルになってくれって言ってきてから2年よ2年」アクア「悪かったな、無理に誘って」かな「ううん。今になっては感謝してるの」「楽しかったのよ『B小町』の活動は。同じ位はしんどかったけどね!!」
かな、アイの事が大嫌いな旧『B小町』メンバーの役のオファーが来たことを話す。「役とはいえ、あんたのお母さんの事めちゃくちゃ悪く言うけど良い?」アクア「有馬にだったら構わない。有馬は俺にとって特別だからだ」照れ隠しで飲み物を買いに出るかな。アクア独り言「ちょっと調子の良い事言った位であんなに慌ててほんと扱いやすい」
キャスティングやクランクインまでの予定を考える鏑木プロデューサー。ルビーがアイ役に決まった。フリルとあかねは、スケジュール的にメインじゃなければOKと返事をしたらしい。鏑木「取り急ぎは星野ルビーだな。彼女には立派な客寄せパンダになって貰わないと」
海を眺めるアクアに、例の謎の少女が声をかける。周りにはカラス。少女「何を考えてるのかな?」アクア「消えろ疫病神。お前の言葉は何一つ聞きたくない」
少女「だって君はどこかで思ってたでしょ?星野アイは自分達と同じ様に生まれ変わってどこかで幸せに暮らしてるって」「
星野アイの物語はあの時あの場所(殺害された時と場所)で完全に確実に終わったの」「君ももう少し考えるべきかもね。君がその身に魂を運ばれた意味を」アクア「言われるまでもない。僕の使命はたった一つだ」
五反田監督の脚本最終稿が提出され、プロジェクトが進んでいく。映画『15年の嘘』制作始動。
脚本を読んだかなのモノローグ「なんとまぁ、随分なお話だこと・・・」稽古をするルビー。引っ張りだこで休めていないルビーを気遣うかな。
鏑木プロデューサーに紹介される広告代理店の中年女性天童寺。
鏑木と五反田監督と、天童寺ほか数人でカレー店。アクアから監督に電話。今日〆の確認事項やってなくない?監督、プロはいかなる時も酒に飲まれたりしないもんなんだよ、と言うが、次のページでは酔っ払った監督をアクアが迎えに来る。アクアに天童寺が話しかけてくる。名前が天童寺だと知り、さりなの母親を思い出す。アクア「貴方は天童寺まりなさんですか?」天童寺「あ・・・はい。私自己紹介してましたっけ?」
アクア「ご家族とか心配しませんか?」天童寺「ずーっとこういう感じでやってきてるから誰も心配なんてしないわよー」家族の写真を見せられるが、そこにもちろんさりなはいない。
稽古。ルビー、(アイの)母親への感情を表現するシーンで、母親から愛されていないと認めるシーンが理解できない。ルビー「心の奥底では絶対親は子供を愛するものなんだから」
『B小町』、茨城で合同ライブ、移動、23時帰宅、ルビー、翌日もツメツメのスケジュール。苺プロの社長ミヤコの所に鏑木プロデューサーが来て、実力が足りていないので仕事量を調節して芝居のレッスンをすることを求める。
CMの仕事をするかなと監督。見学しているルビー。どうしたらそんな風に出来るのか聞くと、自分自身を理解する事、と答えるかな。
ベッドの上で、前世で入院中の自分(さりな)を思い出す。母親が見舞いに来るがすぐに帰り、自分から聞いて母親から愛していると言われ、その言葉が嘘なはず無いでしょう?と信じたいさりな。
忙しいルビー。島の監督するCMの撮影をするかな。それを見学するルビー。役作りにはまず自分自身を理解する事とかなに言われ、前世の事を考える。
印象的なセリフ
俺はもっと考えるべきだった。なぜ15歳のアクアとルビーに宛てたのか。なぜ俺に預けたのか。なぜDVDを2枚に分けたのか。なぜアイは亡くなる直前に俺にこのDVDを託したのか。その答えに気付いた時、この企画を始める決意を固めた。(P39五反田監督モノローグ)
解説:DVDの内容・アイの思いは、この後の巻で断片的に語られていきます。
だって君はどこかで思ってたでしょ?星野アイは自分達と同じ様に生まれ変わってどこかで幸せに暮らしてるって」「星野アイの物語はあの時あの場所(殺害された時と場所)で完全に確実に終わったの」「君ももう少し考えるべきかもね。君がその身に魂を運ばれた意味を」(P139-142謎の少女)
言われるまでもない。僕の使命はたった一つだ(P143アクア)
アクアは復讐をするために芸能界に関わり役者としての活動もする中で、様々な問題に手を差し伸べています。
・イケメンモデルを売り出す目的のマンガ原作ドラマ『今日は甘口で』で力を発揮できずにいたかなに見せ場を作った
・恋愛リアリティショーでの立ち回りの失敗から炎上し自殺をしようとしたあかねを救い、情報の出し方によって炎上を鎮静化し、番組の人気を上げた
・MEMちょにアイドルの機会を与えた
・『東京ブレイド』で原作者と脚本家の理解を後押しした
・下手な役者であったナルトに『東京ブレイド』で助言をし、起死回生を手助けした
・『東京ブレイド』で、それまで自分を抑えてきたかなに見せ場を作った
・かなのスキャンダル記事を引っ込めるバーターで、自分達がアイの子供であることを発表(自らリーク)した
・妹(=さりな)の安全と夢の実現のため、父親と共に死亡した
1巻、ゴロー(雨宮吾郎)が研修医だった頃の回想
病室の入院患者さりながゴローに、「私の推しはアイ一択でしょ!」「生まれ変わったらこの顔が良い…」「もし芸能人の子供に生まれていたらって考えた事はない?容姿やコネクションを生まれた時から持ち合わせていたらって」と言います。その後アイの子供として生まれ変わり(転生し)アイそっくりの美人になります。
ゴローは、回想の中でさりなに「退院したらアイドルにでもなればいい。そしたら俺が推してやるよ」と言っています。また、「彼女が夢見た道を歩く・・・その姿を見届けたいだけなんだよ」と同僚に話しています。その後転生してさりなの生まれ変わりである妹のルビーがアイドルを目指すのを最初は「ルビーをアイドルにはさせない。アイと同じ轍を踏ませない」(2巻P22)として阻止しようとしますが、その後彼女がさりなの生まれ変わりだと認識するにつれ、応援することにつながります。ルビーには復讐に手を染めることなくアイドルになってほしいと願い、復讐は自分だけで行います。
9巻、フリルが、アクアがこのまま売れていけばいずれどこかで共演することになるだろうけど、と言います。その後アイについての映画で共演します。
このストーリーは、シリアスなレイヤーを持ちつつも、表層のレイヤーではコミカルな表現も多用されています。
アクアが父親探しをするサスペンスもあり、芸能関係者に接触していきDNA鑑定に使うためにその人に由来するものを収集する様子も描かれますが、ほとんどは具体的には描かれず、父親探しはストーリー中の登場人物たちからだけでなく読者からもほとんど見えない裏で行っており、表面上は「コミカルな表現も多用したアイドル・芸能・恋愛ドラマ」が進むバランスとなっています。
ストーリーの大枠の重要度を考えればアンバランスなバランスの取り方だとも言えますが、結果的にコミカルで楽しいドラマが前面に感じられ、これは正解かもしれません。
実際、特に後半では、話が重苦しくなっている時はギャグを入れてバランスを取ろうとすることが見られます。
マンガで演劇を描くとき、「上手い演技」や「ヘタな演技」を表現するのは簡単ではないと思います。それでも「上手い演技」は効果線を使ったり画面構成を工夫して表現するのでしょうが、「ヘタな演技」、もっと言うと「本人は自身を持っていてやる気もあるけれども演技がヘタ」というのは、単にやる気なさそうに描くわけにもいかず、難しいと思います。
本作では、セリフをカタカナで書いて自然でない様子を表現し、あとは周囲の人の感想、リアクションによって表現しています。(例:2巻P82、P119)
「上手い演技」というか「心を打つ演技」はやはり、その演技そのものの表現に加えて観客のリアクションによって表現しています。下手だと思っていた役者が凄い演技をした時には、自分のマンガを原作とするドラマにその下手な役者が起用されていて不満に思っていた吉祥寺が泣くシーンがあります。
モノローグとは、心の中で思っていることを文字や声で表現したものです。通常は相手と関係なく自分で考えていることが表現されます。しかしこのマンガにおいては、声としては発していないそのモノローグに反応する形で、相手もモノローグを返すことがあります。
例
アイ、モノローグ「ルビーの動き方・・・なんか倒れる準備してるみたい」
ルビー、モノローグ(前世を思い出しながら)「だっていつも倒れてばかりで受け身取らないと怪我するから」(1巻P155、156)
例
『東京ブレイド』舞台中に多数。
言ってしまえば演出上の嘘なのですが、以心伝心しているような効果があると思います。
映画などでも行われる手法です。回想だけでなく、以前起きたエピソードを挿入する場合があります。
例7巻
私が今まで読んだマンガの中でも特に面白かったマンガの一つと言っていいと思いますが、ストーリーの前提に違和感・疑問がなくもないです。
アクアは、転生前の自分を殺した人物と母親を殺したストーカーが同一人物で、明かされていない自分達の父親がその男への情報提供者だと考え、その後成長した時、父親に復讐をするため見つけ出そうとしています。見つけ出して俺の手で殺すとまで言っています。
母親が殺され息を引き取った時アクアはその場におり、犯人の顔も見ています(1巻)。年齢こそ幼かったですが転生前の産婦人科医の青年の記憶と知性をそのままもっており、犯人が自殺したこともニュースで知っています。
父親に復讐する根拠は、自分達の父親が犯人への情報提供者だという推測、思い込みのみです。
犯人が自殺してしまったために、自分の怒りの矛先を明らかになっていない父親に向けている、という面があるかもしれませんが、それにしては、自分に好意を持つ女性たちを利用して裏で(ストーリー上もほとんど描かれない)演劇関係者に接触し、それぞれの人由来のものを収集しDNA鑑定をするなど、狂気じみた追跡をしています。
その根拠の描き方の弱さを補うためか、後の巻でしばしば、アクアの根深い復讐心が描かれます。
アクア「一秒でも早く、アイの無念を晴らす事だけが俺の生きる意味だ」7巻P72
壱護前社長も同様で、「ブッ殺すんだよ、アイをあんな目に遭わせた奴を」(10巻P82)と発言しています。
しかし奇しくも、同じ流れで壱護は次のようにも言っています。「そもそも犯人が父親だと言う確証は? 事務所に住所を漏らした奴がいる可能性だってあるだろう。終わってねぇだろ、何一つ」
ストーリー上の「根拠」の描き方の弱さをストーリー中のキャラクターが持つ根拠の弱さに転換して描いていると言えるかもしれません。
アイに依存し、妊娠したことも明かされ、結婚も話題に出したが断られたから。
「まさか殺すなんて想像だにしてなかったんだよ。少し位怖い目を見て僕の絶望を理解して欲しかっただけ。命を投げ打てる程愛してた彼女に愛せないと言われた時の僕の絶望を」(16巻P31カミキ)
苺プロダクション元社長の壱護
→もちろん知っていた。
1巻でアイと産婦人科に同行し、仕事場に子供たちを連れて行っていいか聞くアイに、「駄目に決まってんだろ!!」と言っています。
社長夫人ミヤコ(当時はマネージャー)(イチゴ失踪後社長)
→もちろん知っていた。
五反田監督
→最初は知らない
1巻で、アイの撮影についてきた幼少期のアクアとルビーを見て、
監督「この子供は?」
社長夫人(当時マネージャー)「あっこの子達は私の子で」
→7巻、舞台のエピソード、アクアのパニック障害に関するエピソードで監督はアクアに、罪悪感が原因と指摘。
監督「罪悪感、違うか?略 演技を楽しむ事への罪悪感、ひいてはアイ・・・お前の母親への罪悪感」略
アクア「知ってたのか・・・」
監督「まあな。略 お前ら兄妹のアイへの異常な執着、一番最初に会ったのもアイの居る現場だった。一度気付けば色々合点がいく」
解説:五反田監督は舞台劇のエピソードあたりで気づいたようにも見えますが、アイが生きている時(アクア達が幼少の頃)に既にアクア達がアイの子供だと知っていたように見える描写もあります。
→11巻で、五反田監督、『15年の嘘(仮)』企画書の付随資料上のアイの写真に向かって「よう星野アイ、お前のガキ共は逞しく生きてるぞ」(P151)
11巻最後、アイと五反田監督のエピソードで、監督の膝の上で寝る幼児アクアを見て、アイ、監督に、
アイ「アクアが人に懐くの珍しくて。もしかして自分の父親だとって(原文ママ)思ってるのかも」(p174)
有馬かな
→最初は知らない
1巻、幼少期、アクアが映画に出た撮影現場で有馬かなに会う。
有馬かな、アクアに「あなたコネの子でしょ!略 監督のごり押しってママも言ってた」
解説:アクアとアイは撮影日が違い、当時子供だったかなは、アクアを「コネの子」としか認識しておらず、当然アイとの関係など知りません。
→11巻、アクアがかなをスキャンダルから守るために、バータ記事のためのネタとして自分たちがアイの子供だとリークし、そこでかなも知る。
かな、アクアに「アイってアンタ達の母親だったのね。そういえば、私達が初めて会った時もアイが共演者だったわね・・・(P117)
黒川あかね
→最初は知らないが、アクアと関わる中で役者としての洞察力でどんどん真実に近づいていく。
3巻
あかね、アクアへの恩返しと自分を守る手段としてのキャラ付けとして、アイのキャラクターに近づこうとし、異常なリサーチと分析をする。リアリティショーに復帰し、洞察力と演技力でアイそっくりな雰囲気を演じる。
アクア、あかねに、「アイの演技・・・いや役作りか。まるで夢を、本物を見てるみたいだった」
あかね、アイには実は隠し子が居ることも設定している。
あかね「どういう生き方をして来てどういう男が好きか・・・まで、多分だいたい分かると思うケド?」(P183)
6巻
アクアは稽古中に心的パニックを起こして倒れ、あかねと監督の家に行き、様子見ててやってくれと言われそばにいるあかね。アクア、「アイ」と寝言。
洞察力のあるあかね、アクアとルビーがアイの隠し子だと察する。アクアが目覚めると、あかね泣いている。
アクア「どうして泣いてるんだ?」
あかね「ちょっとね、怖い想像しちゃった」
あかね、アクアを抱きしめる。「私は何があってもアクアくんの味方だよ」
解説:あかねはアクアに私が考えた設定の話、と言っていますが、ほぼ真実を察して理解していると言っていいと思います。
8巻
アクアはあかねに、母親を死に追いやった男を、父親を探していたが、異母兄弟が見つかり、父親は無理心中でもうこの世にいない、と話す。
解説:ここではアクアはアイのことは話していませんが、あかねの中ではどんどん真実が組み立てられていっています。あかねはアクアの認識の穴にも気づきます。
10巻
あかねはモノローグでアイのことを考えている。
「アイさんの事を思い出すとアクアくんはパニックになる」
苺プロダクション元社長の壱護
→知らない
1巻
壱護「社長の俺にどうして相談しなかった。相手の男は誰なんだ・・・」
アイ「それは・・・ えへへ内緒!」
9巻P77
ルビー「私の父親が誰なのか教えて」
壱護「何度も言うけれど俺はそんな事知らねぇ。知ってたらとっくにぶっ殺しに行ってるっつの」
社長夫人ミヤコ(当時はマネージャー)(イチゴ失踪後社長)
→知らない
ミヤコ「一応私社長夫人じゃないの・・・?略 そんで父親不明の片親とか闇すぎんだろー!!」(1巻P79)
五反田監督
→最初は知らない
(アイのいる旧『B小町』のドキュメンタリー撮影中に明かされたなら別)
おそらくはアクアとルビーが15歳になった時にアイから預かったDVDを渡し、そのタイミングで知ったか、アイの真実に迫る映画『15年の嘘』脚本開発中に理解したのかもしれません。