コミック【推しの子】のあらすじの紹介、感想・考察の2回目です。
▶︎コミック①-④巻のあらすじ、印象的なセリフ、ストーリー全体の感想・考察①はこちらをご覧ください。
各回の「ストーリー全体の感想・考察」は、必ずしもその回で紹介するあらすじとはリンクせず、文字通り「ストーリー全体の感想・考察」をテーマごとに分けて書いたものです。全体のネタバレを含みます。
・感想概観(① – 前回)
・基本情報 主要登場人物(① – 前回)
・多ジャンル横断で多要素・多層的(多レイヤー)(① – 前回)
・多ジャンル(① – 前回)
・多要素(① – 前回)
・多層的(多レイヤー)(① – 前回)
・推しの子 ダブルミーニング+α(① – 前回)
・見の表現 黒目の中の星(② – 今回)
・復讐劇(② – 今回)
・三角関係(四角関係)(② – 今回)
・さりな、ゴロー、アイ、アクア、ルビーの年齢と年齢差について(② – 今回)
・原作者と脚本家の対立と協業(② – 今回)
・コミックの表紙の変化(② – 今回)
・アニメ(② – 今回)
・原作コミックとアニメ版の違い(② – 今回)
投稿後、内容の修正・更新や構成の変更をする場合があります。
各巻のあらすじの後に印象的なセリフも紹介します。
印象的なセリフは、主に2つの種類があります。一つは「人や社会に対しての捉え方として興味深いもの」。もう一つは「このストーリーにおいて重要な意味を持つもの」です。何らかの補足のあるものもピックアップしてあります。
新生『B小町』のファーストライブから4ヶ月経ち、配信も順調で何度か小さいライブも開き、「一端の芸能人」を名乗れることを喜ぶルビー。口では役者にならないと言いつつ順調に仕事を増やしている兄の考えがよくわからない。
アイの墓参りもする。いつか母親(アイ)の立てなかったドームのステージに立つまでアイドルを続けると誓う。
舞台劇『東京ブレイド』のスタッフ顔合わせに集まるアクアやかな。『今日あま』でロクに演技ができていなかった役者メルトもいて、前よりマシになってると思うから、と言う。
イベント会社代表雷田、劇団ララライ代表の金田一と役者達、脚本家のGOAなどがそれぞれ挨拶する。ララライのエース黒川あかねもいる。主演、姫川大輝、看板役者らしく(?)いい加減な態度。
アクアに対し、仕事で会えるのが嬉しい、今度は私がアクアくんの助けになるよ、と言うあかね。アクア「そうか助かる。なんかあったら相談する」その様子をじとーっと見ているかな。アクアとあかねは役柄上でも許嫁。
しかしアクアにとって演技は、今は金田一、ひいてはアイの真実に近づく為の手段。
かな、姫川から遠慮しなくていいと言われ嬉しそうにする。
姫川とコミュニケーションをとるかなに比較し、アクアは人と馴染まず、あかねは親近感を抱く。しかしかなを見ているアクアにモヤモヤし、このままじゃかなに負けると言われ、ふくれる。
あかねの演じる鞘姫(さやひめ)は原作でも出番が少なくキャラ分析の素材が少ない上に舞台の脚本で記号的なキャラになってしまっていて悩むあかね。
『今日は甘口で』作者の吉祥寺が、かつてのアシスタントで今は『東京ブレイド』の作者鮫島アビ子に誘われ飲み会。アニメ化、ドラマ化の経験のある吉祥寺に、稽古の見学についてきてもらうよう頼む。
アクアに促され、脚本家と演出家に自分の演じるキャラクターについて聞くあかね。説明を受けるが今ひとつ腑に落ちない。
アビ子と付添の吉祥寺がくる。アビ子、演技のうまさに感動するが脚本を全部直してほしいと言う。何度も直してくださいと言って、実際に動いてる所を見ればこの脚本で良いのが分かると言われたが、良くないと言う。
吉祥寺のモノローグで、原作者と脚本家が揉めがちな構造を解説。
アビ子「もう私に全部脚本書かせてください」「絶対やります。じゃなきゃこの劇の許諾取り下げます」「(脚本家は)もう関わらなくて良いです」暗くなる脚本家。
稽古は休止となる。
ステージアラウンド(回転式舞台)を知らないアクアを誘い、あかね、一緒に見に行く。想像の50倍面白かった、めっちゃ良かったというアクア。そこへ雷田現れる。その舞台も彼が担当し、出ていくお客の顔を見に来たと言う。脚本のことを話す。アクア「どうにか出来るのは雷田さんだけですよ」
アクア、より良い舞台にするため吉祥寺を巻き込む。役者たちで吉祥寺宅に行き、アビ子の説得を頼むが、アビ子の気持ちも分かる吉祥寺は、力になれないと言う。アクア、用意していた封筒をアビ子に渡してもらうよう頼む。
アビ子の所に行く吉祥寺。締め切りオーバーし、汚れたままの部屋で作業をするアビ子は、アシスタントもクビにしたと言う。毎日2時間は寝ていると言うが、やることがたまっている。吉祥寺は手伝いつつやり方について口論する。翌朝、なんとかバイク便に渡す。
アビ子、吉祥寺から受け取ったチケットを手に、劇を見に来る。帰りに彼女をスタッフが見つけ、雷田がもてなしつつ本音で話す。雷田「今回の脚本は彼のものです。GOAくんの仕事を信じて見てくれませんか・・・?」アビ子、了解するが条件として、クラウド上でリアルタイムで共有しながら脚本家と一緒に修正することになる。
共同修正に盛り上がってしまい、アビ子も気にいるが、役者の演技に全振りの脚本ができ上がる。実力がある役者たちは問題ないと認識して稽古が始まる。
アクア、演出家から「もっと本気で」「もっと感情を引き出せ」と言われる。かなが、ここぞとばかりに分析、アクアから、どうやって泣き演技をしてるのか聞かれ、手法の一つとして、「アクアくん、もしお母さんが死んじゃったらどうする?」と話しかける。今回は喜びに包まれる演技なので、嬉しかったことを思い出しながら演技すれば良い、と言われ、みんなに関わってきたことを思い出し微笑むが、ゴローの幻影が現れ、楽しんでるんじゃねえよ。お前にそんな権利は、、と言われ、母親の殺された場面を思い出し、発作を起こして倒れる。
印象的なセリフ
リライティングってのは、地獄の創作だよ。(P92脚本家GOA)
ゴロー(殺された転生前の自分)の幻影によって立ちくらみを起こしたアクア。あかね、給湯室で休むアクアの所へ行き、家の人に連絡して迎えに来てもらおうとするが、アクア、やめろ、妹には知られたくない、と言う。代わりに監督の所(実家)へ行く。
監督、あかねに、アクアが昔酷い事件に巻き込まれて、昔の事を思い出すとたまにこうなると説明。PTSD。様子見ててやってくれと言われそばにいるあかね。アクア、「アイ」と寝言。洞察力のあるあかね、アクアとルビーがアイの隠し子だと想像する。
アクアが目覚めると、あかね泣いている。「どうして泣いてるんだ?」あかね、「ちょっとね、怖い想像しちゃった」と言い、アクアを抱きしめる。「私は何があってもアクアくんの味方だよ」
監督の実家で、アクア、あかね、監督、監督の母、あかねが作った料理を食べる。
あかね、ベランダでアクアにどうして演劇をやっているのか聞く。あかねは楽しいからやっている、と言う。
アクア「もし、俺の目的が人を殺す事だったらどうする?芸能界の上に目的の人間がいて・・・そいつを殺す為に上に行きたい、そう言ったらどうする?」
あかね「一緒に殺してあげる」
あかね、君にもカレシの責務を求めるよ。姫川・有馬コンビに勝ちたいが私一人じゃどうしようもない、と言い、監督に相談したところ、アクアが苦手とする感情演技が必要で、叩き直してやる、と言われる。
場面かわり、舞台の稽古場に友人みなみを伴って兄の様子を見に来るルビー。アクアならもう帰ったよ、と言われる。そういや最近は黒川(あかね)と一緒に帰って、と聞いて、ちょっと電話して聞いてみよ!と言うと、野暮はあかん、とみなみに言われる。
みなみ、役者(鴨志田)にナンパされLINE交換させられそうになるが、ナルトが嘘の招集を知らせ、ほっとするみなみ。
ナルト「俺達はプロなんだから一応・・・」鴨志田「プロて、ロクに演技も出来ねー奴が俺にプロ語るとか笑う」ナルト「分かってんだよ・・・そんなの・・・」
一方、ライン交換したルビー、かなとMEMちょに怒られる。
稽古場。あかねとバチバチなかな、子役の時のあかねのインタビューの載った本を取り出す。そこには「有馬かなにあこがれて」というタイトルの記事が載っており、からかわれる。
かな、あかねとは演技の向き合い方が違い圧を感じ、アクアを巡っても「ほんとーにムカつく」
アクアから、どっちの方が優勢なんです?と聞かれた姫川、黒川(あかね)は異質な演技するし天才と言われるだけあるが、有馬の方が演技というものに執着が強い、と説明。そう言っているとき、稽古半分でかながあかねの喉元に刀を突きつける。
かなとあかね双方モノローグ、絶対に負けない。
『東京ブレイド』公演初日。吉祥寺とアビ子が来ている。アビ子、緊張している。脚本家が声をかけてくる。役者たちは皆実力があるので良い舞台になると信じてる、と言うが、吉祥寺、かつて自分の原作のドラマで散々だった役者が今回参加しているので不安。MEMちょなども来ている。ルビーとミヤコも来ている。
アクアを鍛え直した監督、アクアの心的外傷を慮りつつも、なんとかするだろう、と思う。
かなとあかね。ライバルとして一緒に演るのをお互いに楽しみにしていた。
アクアは楽屋で一人でアイのことを思い出しながら、その激情を演技に利用しようとする。
『東京ブレイド』開幕。極東に集った21本の盟刀が最強と認めた者には国家を手にする程の力がもたらされる世界で、新宿を拠点とする集団と渋谷を拠点とする集団が「最強」を巡って戦う話。
鴨志田の芝居は上手い。客席では彼やその他の役者を紹介した鏑木プロデューサーが雷田から感謝されるが、ナルトはどうして押したのかと聞く雷田。しかしナルトががむしゃらに努力することを知っている鏑木。そばの席にいる吉祥寺を指し、 キャスティングが失敗だったかどうかの判断は、きっと彼女が下してくれる、と言う。
そのナルトの回想。中学に入学して自分はモテることが分かった。テキトーにやっていても物事がうまくいき、スカウトされ、テキトーな気持ちで芸能人になったことを回想。
舞台を見ている吉祥寺のモノローグ「なんで・・・人が魂削って作った作品に、下手な人を使うんだろう」
そんな気持ちを感じているナルト、自分がヘタなのは分かっている、とモノローグ。
回想。かな、ナルトがレッスンの講師に役者はまず体力と言われ、毎日走ってると聞いて、少し関心した様子。
しかし舞台の客はヘタだと思っている。
ナルトがアクアに相談した回想。アクア「良いんじゃねえの、ヘタだと思われても」「完全に下手だとナメてた役者が、いきなりめちゃくちゃ凄い事始めたら激アツだろ」と一点突破をするアドバイス。
舞台。刀を振り投げ回転させ構えるアクションが原作どおりでアビ子も喜ぶ。吉祥寺も驚いている。
ナルトの回想。稽古。周りの役者達のレベルの高さを実感する。役柄と自分の共通点(強いと思っていた自分が本当は弱い事に気付き情けなくてみっともなくて悔しい)に気づき、感情を乗せた演技をする。泣く吉祥寺。鏑木「ほら、僕の目に間違いは無かった」
ナルトを褒める役者達。ナルト、アクアにお前の言葉の意味がやっと分かった。楽しいと言う。
一方、かなの演技の「受け」の上手さに感心する鴨志田。
あかねの説得力のある演技に興奮するアビ子。
子供の頃、かなにあこがれて演技を始めたあかねは、自分が受けに行ったオーディションで、はじめからかなが選ばれることになっていることを知り、また、そういった現実に傷つきひねくれてしまっていたかなに敵意を向けられ、その後心理学も勉強してきたことを回想する。
あかねモノローグ「私もちょっとだけ出来るようになったんだよ?周りを食べちゃう様な演技」と、ちょっとどころではない気迫でかなに向かう。
印象的なセリフ
もし、俺の目的が人を殺す事だったらどうする?芸能界の上に目的の人間がいて・・・そいつを殺す為に上に行きたい、そう言ったらどうする?
(P32、33アクア)
一緒に殺してあげる
(P34あかね)
引き続き『東京ブレイド』の舞台。あかねモノローグ、かなに対し「私は私が一番目立つ様に戦う。だから、一緒にぶつかってきてよ」かな、一瞬勝負に乗ろうとするが、子役の自分を思い出し、前に出たあかねを立てるように一歩引く。
舞台袖のアクア「有馬は、私を見ろって顔してる時が一番輝いてるのに」それを聞いてふくれるあかね。
私が勝ちたいのはそういうかなちゃんじゃない、というあかねに、だったら前に引きずり出すぞ、俺達で。というアクア。
姫川、かなに、さっきのシーン乗るべきだったんじゃないのかと言い、アドリブを入れると言う。
舞台上では、情報量の塊のような姫川の感情演技に対し、アクアは同じ土俵で戦わず感情を押し殺した演技をする。
かな、姫川からアドリブを全振りされアクアの所に突き飛ばされるが、アクアがアドリブをして台本に合流し、かなに視線が集まるようにする。アクアモノローグ「演りたい演技やれよ有馬かな」
かなの回想。昔芸能人になりたかった母親の夢を託されたかなの人気が出て母親も楽しそうだったが、人気に陰りが見えてからの母親は「めんどくさい」人になっていった。かなは気に食わない事も飲み込んで他人に合わせる演技をして生き延びてきた。
かな、自分を出し、その姿は輝く。かなモノローグ「もっと私を見て」あかね、ドキドキする。
アクアモノローグ「有馬、あかね、お前達は楽しそうで良い演技をするな。眩しい」
あかねモノローグ「そうだよ、そういうかなちゃんが見たかったの。そういうかなちゃんに勝ちたかった」
舞台は進む(あかねの役が切られるシーン)
時間を少し遡る。パニック障害についての本を見ながらアクアに説明するあかね。対策方法はパニックになるトリガーを理解する事、と説明する。アクアモノローグ「俺のトリガー・・・」
監督、アクアに、演技を楽しむ事への罪悪感、アイ(母親)への罪悪感がパニック障害の原因となっていることを指摘する。「薄々はわかってた。お前ら兄妹のアイへの異常な執着、一番最初に会ったのもアイの居る現場だった。一度気付けば色々合点がいく」
アクア「一秒でも早く、アイの無念を晴らす事だけが俺の生きる意味だ」
お前にとって演技は苦しく辛いものであれ、という監督の言葉どおり、黒い星の宿る目で演技に望むアクア。「俺にとって演じることは復讐だ」
回想。幼い頃、子役として出た映画を映画館で母親のアイと見て(ルビーは寝てる)アイに「本当に凄いよ!アクアならきっと誰よりも凄い役者になれる!」と褒められたアクア。
死んだ前世の自分が暗い影としてアクアの精神を蝕む。影「有馬かなに光を見たか?黒川あかねと出会って理解者を得たと思ったか。演技は楽しいか?」
回想から戻る。切られた鞘姫を巡るシーンと、母親を殺された自分の感情を乗せた演技をするアクア。
『東京ブレイド』の舞台は大きな拍手の中幕を下ろす。
リアリティショーの共演者達に褒められるあかね。しかし、本当の天才は、姫川やかなで、もっと上手くなりたいと言って泣く。一方、そのかなは、あかねの演技を才能だと言い、公演中に見返してやる、と言う。
劇場を出る観客達を見ている雷田。どうやら良い舞台だったみたいだ。
次の物語の舞台はすでに幕を開きかけていた。DNA検査用の封筒と関係者それぞれに由来するもの(タバコの吸い殻、髪の毛など)を入れた透明袋があることを示しつつ目の中に黒い星を抱くアクア。
第六章プライベート
飲み会に行く『東京ブレイド』の役者と金田一。アクアが行くと言うので、かな「やっぱ私も行く」
アイにつながる話を聞き出すため金田一の隣に行くアクア。ワークショップが失敗だったと言う金田一に詳しく話を聞こうとするが詮索するなと言われ、姫川もオッサンの失敗は気になると言って、別の店に行く。
金田一、姫川とアクアに、お前達の芝居は似ている。欠けてる人間の演技だ、と言う。金田一、酔い潰れる。
アクア、姫川にDNA鑑定書を見せる。「俺と姫川さん、父親が同じなんですよ。教えてくれませんか?貴方の父親の事」
潰れた金田一を連れ、姫川の家に行く。
姫川「星野の母親って誰?」アクア「それは言えない」姫川「なるほどタレントか」
姫川の両親共々、姫川が5歳くらいの時心中した。姫川「残念だけどもう故人だ」
アクアモノローグ「アイの仇はもういない。じゃあどうするんだ?俺は・・・復讐は・・・」
場面変わり、MEMちょ、ユーチューブの登録者がもうすぐ2万人と報告するが、ルビーとかなから登録者100万人は遠いなぁーと言われ、もっと私を褒めてぇ!?と言い、2万人がどれだけ凄いか力説する。
しかし今月の収益から事務所の取り分や動画編集者のギャラを払ってメンバーで分けたらもうお小遣い程度。そのためMEMちょ、ルームツアー動画を提案。私生活の切り売り始めたら終わりと言うかな、ルームツアー動画を撮ると部屋の私物が全て経費になるとMEMちょに言われ、「すぐにやろ?」
いいマンションに住み高い物を持っているかな。
ルビー、MEMちょに、ルームツアー撮るなら協力するよ?と言われるが乗り気でない。ルビーの部屋にはアイのポスターが貼ってある。モノローグ「私がママの子供だって秘密は墓まで持っていくつもりだ」
引き続きルビーのモノローグ「ユニット名を『B小町』にした理由は二つある。一つはママが叶えるはずだった願いを引き継ぐという気持ち。もう一つは・・・」ルビー独り言「先生が『B小町』という名前を見逃すはずないもんね」
場面変わり、MEMちょ、YouTubeテコ入れプランその1としてPVを撮ろうと言う。地方でデザイン会社をやっている人が友達価格で撮ってくれる。帰りに観光もできて一石二鳥。撮影場所は宮崎。
それを聞いたルビー、前世の自分が生まれ育って死んだ場所のためはっとする。
MEMちょ、『B小町』テコ入れプランその2!!オリジナル楽曲を作ろう。社長、大御所作曲家ヒムラに発注して先月末が締め切りだがまだあがってきてない、と言う。
アクアは一瞬、その作曲家にも接触しようと考えるが、もうその必要はないと気付く。
もうちょっと時間がかかるかもという社長に、ルビー、やだ。催促しよ?とごねる。社長、ヒムラに電話するが、その本人は10年前は第一線で活躍したアーティストだが45歳を迎えて書きたいものがなくなっていた。
潮時かと考える彼の元へルビーからの動画メッセージが届く。「ヒムラさんの曲歌えるの私凄く嬉しいです!」
やる気を出すヒムラ。
印象的なセリフ
有馬、あかね、お前達は楽しそうで良い演技をするな。眩しい。
(P61アクアモノローグ)
解説:復讐のため心の底では闇に生きているアクアにとって、好きなことに邁進しているかなやあかねが眩しく見えるということだと思いますが、精神年齢はすでにかなり高く闇に生きているゴローとしてはなおさら、好きなことに邁進している若者が眩しく見える、というニュアンスも感じられます。
一秒でも早く、アイの無念を晴らす事だけが俺の生きる意味だ。
(P72アクア)
俺にとって演じることは復讐だ。
(P78アクア)
有馬かなに光を見たか?黒川あかねと出会って理解者を得たと思ったか。演技は楽しいか?
(P82ゴローの幻影)
解説:復讐に生きるアクアにとって、かなとあかねの存在がどういう意味を持っているか、ゴローの幻影を通して説明されています。
私がママの子供だって秘密は墓まで持っていくつもりだ
(P166ルビー)
舞台『東京ブレイド』は千秋楽を迎えやることがないアクア、『B小町』の宮崎へのMV撮影に一緒に行くことにする。有馬かな、喜ぶ。
一緒にキャリーケースを買いに行こうとするかなだが、これからあかねと約束があるとアクアに言われ、明日行くことにするが、暗くなる。「いつ、ちゃんと別れるんだろ」
あかねとデートするアクア。父親を捜すという目的を失った今、あかねを手元に置いておく必要も無くなった。あかねみたいな若くて未来の有る子をいつまでも縛るのは良くない、と考える。
良いなー宮崎旅行、というあかねをアクア誘う。そろそろあかねとはじっくり話をしなきゃいけないと思っていた、というアクアに、あかね、別れ話をするなら今からしようと言う。
外で話す。あかね、何かに利用できそうだから側にいた事を知っているが、アクアがあかねを助けた事に打算は無かったと知っている、と言う。「私はアクアくんの力になりたいよ」「言ってたよね。ある人を殺すために芸能界に入ったって」
アクア、母親を死に追いやった父親を探した結果異母兄弟が見つかり、父親はアクアの母親とは不倫で、その後、妻と無理心中したらしい、やっと開放された、と説明する。
あかね、目を見開いている。「いやごめんね。結構ヘビーな話だったから・・・ちょっと体調が。ごめんね私帰る」
あかねモノローグ「アクアくんは心のどこかで終わりにしたいと思ってたんだ。だから、こんな簡単な抜け穴に気付かない。でも気付いてしまえばまた復讐の為だけに生きるように・・・どうしよう」
場面変わり、ルビーが墓参りしている。そばの木にカラスがいる。ルビーとすれ違った男「星野ルビー。美人に育ったね。流石君と僕の子だ」
服選びに時間がかかり、少し遅れるかな。アクア「外寒かったろ。ホットラテ頼んどいた」
アクアは支払いをスマートに済ます。キャリーケースを買い食事をすることになるが、予約しないと厳しい店を予約してある。かな「やってることが金持ってるアラサーの業界人のそれよ!?」元アラサー医師(ゴロー)のアクア。
場面変わり、ヒムラの曲ができた。
MEMちょ、MVを頼んでいる知人の映像ディレクターアネモネに電話。アネモネ「それもまとめてウチで撮っちゃう?」
出発の日空港。アクアに誘われたあかねも現れ、かなはショックを受ける。
高千穂に着くとアネモネが迎え、宮崎県高千穂は、芸能の神様が祀られてる事でも有名だと説明。アクア、アメノウズメノミコトを知っている。参拝いこ!と言うかなだが、今回はMVの撮影が2本あるため、連れて行かれるかな達。
宮崎にはアクアとルビーが生まれた病院があり、前世の自分が死んだ場所でもある。前世の自分に関連する場所を見に行くアクアに、あかね、ついていく。
自分の勤めていた病院を訪ねるが、人員の入れ替えもあり、アクアが親しかった同僚などは居なかった。あかねには「知り合いがここに勤めててさ」と説明する。
自分が死んだ場所にも行くが見つからず、無理に捜さなかった。
ゴローの家にも行く。「知り合い」に母親がいなかったことも話す。アクア、前世の回想、さりなが死ぬ間際、両親が顔を出さないことに腹を立てる。さりなにアイのキーホルダーをもらった。ゴロー「ずっと大事にする」さりな「せんせ、だぁいすき・・・」
カラスと共に謎の少女登場。まだ木の上(下半身が隠れているため、地面にいるか枝の上かわからない)にいて、物事を俯瞰するような独り言を言う。少女「神様はきっと優しいよね。真の意味で母を得られなかった2人と魂の無い子を産んだ母親を導いてあげた。もしかしたらそれ以上の意味があるのかもだけど」
場面変わりMVの撮影スタジオ。アネモネ、かなに「カメラを大好きな人だと思って振り返って」かな、ちょっと思いを巡らせ、良い顔で振り返る。アネモネに、かなちゃん好きな人居るんだ、とからかわれる。
MVの撮影スタジオに戻ったアクアとあかね。
あかね、この間のような(かなとの)デートはもう駄目だと助言する。
アクアのモノローグ「有馬はアイドル。男の影がチラつけば大抵ロクな事にならない。週刊誌に撮られたり身内からリーク流されたり、最悪の場合、アイのように・・・」
22時を過ぎたので未成年のあかねとルビーは宿に戻る。未成年ではないMEMちょは自虐する。
宿に戻る途中、ルビー、カラスに宿のキーを奪われ追いかける。
ルビー、あかねに役者に興味はないのか聞かれちょっとある。と答える。しかし、まずはアイドルをやりきり、「せんせ」に再会出来ることを夢見る。
ルビー「あかねちゃんは年の差っていくつまでイケる人・・・?」あかね「ルビーちゃん年の離れた好きな人が居るんだ?」ルビー「うん」あかね「ちょっと位の年の差なんて関係ないよ!」ルビー「そうだよね!?ちょっと位関係ないよね」
回想。さりな「せんせ好き!結婚して!」ゴロー「残念だったな。16歳になったら真面目に考えてやるよ」
回想から戻る。ルビー「せんせ、私16歳になったよ。もう一度会いたいよ・・・」
カラスを追って祠の裏の空間に入り、白骨化した白衣の死体を発見してしまう。死体のネームプレートに、さりながゴローにあげたキーホルダーがあった。
聴取を受けるルビーとあかね。遺体の所持品から被害者指名アマミヤゴロウとわかる。立入禁止になった現場をアクアも眺める
アクア、あかねに大変な目に遭わせたと謝る。殺した人が悪いと言うあかねに対し、あかねならあの死体を見つけてくれるんじゃないかと期待していた。あかねのことを俺はずっと利用していた、と言う。あかね、アクアの罪悪感ごと寄り添いたいって思っていたけれど、アクアは私が居ない方が良いんだよね?と言い泣く。アクア、復讐はもう終わった。死体も見つけた。だから今度は俺があかねを守りたい、と言ってあかねにキスする。
場面変わり、キーホルダーを眺めるルビーの所へ謎の少女現れる。あたし、お姉ちゃんが知りたい事を知ってるよ?
撮影スタジオでルビーは上の空。
バンで移動し、川で撮影。アネモネモノローグ、何かしてる有馬かなは「可愛い」。一方ルビーは表情が死んでいる。
少女との会話の回想。少女「有名なアイドルがここで極秘出産して・・・死んじゃったお医者さんてその子の担当医だったんだって。お医者さんは長らく失踪してたんだけど、その音信不通になった日ってのがアイドルが子供を産んだ日だったんだ」その日に病院の周りに2人の不審な男がいたことも話す。
回想から戻る。撮影中のルビー、大事な人を2人も奪って今でものうのうと生きている。許せない。どんな手を使っても見つけ出して絶対に殺してやる、とモノローグ。振り返る目には黒い星と涙。アネモネ、ドキッとする。
撮影終了。
1本目は来月にはあがるが、2本目はちょっと時間貰って良い?と聞くアネモネ。MEMちょに理由を聞かれ、商業クリエイターだってただのアーティストに戻りたい時はあるのよ、と答える。
温泉に浸かりぽけ〜とするあかね。「はー。この旅行は・・・色々ありすぎたなぁ・・・。奇妙で不可解で・・・だけどなにか1本の線で繋がっていそうな・・・」かなも入ってくる。あかねがこんど映画の主演をやることを羨ましがる。いつまでも恋リア気分で良いのかしら、と言うかなに、もう恋リアじゃないもん。と答えるあかね。気持ちがざわつくかな。
布団で寝ているルビーとあかね。
ルビー「お兄ちゃんはどうして役者になったのかな?」あかね「会いたい人が芸能界に居るって私は思ってる」かなり事情を知っているあかねは適当に濁すが、ルビーは兄の意図を察する。
アクア、あかね、かな、MEMちょ、ミヤコ社長、荒立神社に参拝する。それぞれ活動に関する願いごとをする中、ルビー、早くアクアがママとせんせを殺した奴を見つけ出せますように、と願う。両目に黒い星。
アクアのモノローグ。今回のMVは大きな注目を浴び、新生『B小町』の知名度が大幅に上昇。半年が過ぎ、アクアとルビーが2年生、あかねと有馬が3年生に進級。それぞれの活動が大きく動き出す年の話。(次は第七章 中堅編)
印象的なセリフ
アクアくんは心のどこかで終わりにしたいと思ってたんだ。だから、こんな簡単な抜け穴に気付かない。でも気付いてしまえばまた復讐の為だけに生きるように・・・どうしよう
(P35あかねモノローグ)
解説:コミックと異なりアニメ版(エピソード22)ではあかねの頭に浮かんだイメージを映像として表現しています。つまり、例え異母兄弟がいたことが明らかになったとしても、父親だと思っている人物が必ずしも父親とは限らないことにあかねは気づいた、ということです。
そこまで想像できるのはあかねの洞察力ですが、普通はそこまで想像しないのではないかと思います。私はコミックを読んだ時、「簡単な抜け穴」がしばらくわかりませんでした。
映像では、共通の父親だと思っていた人物以外によって自分の母親からアクアとルビーが生まれたという表現をしていますが、アクアと姫川がDNA検査で同じ父親だと結果が出ているので、姫川の父親も姫川が父親だと思っている人物ではないことになる、ということまでは表現していません。
外寒かったろ。ホットラテ頼んどいた。
(P45アクア)
解説:キャリーケースを2人で買いに行くため喫茶店で待ち合わせ、服選びに手間取り遅れてきたかなにアクアが言うセリフです。なぜアクアはかながもうすぐ来るとわかっていたのでしょうか。
(10巻のネタバレ)10巻では、アクアが恋愛リアリティショーの後、あかねにGPSをつけていたことが発覚します。ここでかなは全く不思議に思っていませんが、かなにもGPSタグをつけているかもしれません。
やってることが金持ってるアラサーの業界人のそれよ!?
(P53かな)
解説:アクアが支払いをし、予約しないと厳しい店も予約してあり、店のチョイスも導線も完璧なアクアが女の子の扱いに手慣れ過ぎていると感じたかなのセリフです。
アクアは元(転生前)アラサー医師であると同時に、ストーリー内ではあまり言及されていませんが、転生後のアクアとしては不倫した父親の血を継いでおり、彼が女性の扱いがうまく、かなとあかねに好かれていることにつながっています。
あれから15年
(P81アクアモノローグ)
15年位前に
(P84アクア)
解説:5巻P120で、アクアは16歳と言っています。8巻P127でルビー(アクアと双子)は私16歳になったよと言っています。なぜ「あれから15年」なのか不明です。1巻では赤ん坊として転生後に名前をつけられたと説明されているため、ゴロー死亡後、1歳のアクアに転生したわけでもないと思います。実際には16年(以上)たっているが、ざっくりと「15年」と表現したのかもしれません。
神様はきっと優しいよね。真の意味で母を得られなかった2人と魂の無い子を産んだ母親を導いてあげた。もしかしたらそれ以上の意味があるのかもだけど。
(P95謎の少女)
解説:8巻にして、ゴローに母親がいなかった設定を足し(予め決めてあったのかもしれませんが)母親に愛されなかったさりなとの共通点、そして2人が双子として転生し、しかしその母親も殺された、という悲劇の構造を作り、それを謎の少女に説明させています。
このマンガにおいては、特に女性キャラクターや幼児は黒目部分が比較的大きく描かれています。また、その大きさを利用して主要登場人物の黒目の中に星を描き、マンガならではの表現としています。
アイの黒目の中に星があるのは、アイドルらしさが表現されています。5つのとがりを持つ星ではなく6つのとがりを持った星です。名前の星野アイは「星の目」と捉えることもできます。
しかし、アイドルらしさの演出にとどまらず、アクアは右目に星があり、ルビーは左目に星があり、アイの双子それぞれ別々に黒目の星が遺伝的に受け継がれている表現となっているのがマンガ的で面白いです。
自殺未遂をしたあかねかはアクアに助けられ、自分を世間から守る必要上キャラクターを演じるためとアクアの好みの女性を演じるためにアイをリサーチ、分析し、アイそっくりな雰囲気となったあかねの黒目の中には星が表現され、アイドルっぽさ、アイっぽさを表現しています。(3巻P150〜)
逆に、復讐に目覚めた少年アクアの黒目には黒い星が描かれ、(1巻P213)、以降、折に触れて黒い星が表現されています。
また、ルビーが前世で好きだった先生(ゴロー医師)及び今世の母親の殺害に関与した犯人への復讐心が表れた時からは両目に黒い星が描かれ、一種の内面的闇落ちが表現されています。(8巻P168〜)
アクアがゴローの生まれ変わりとわかったあと、それまで闇落ちして両目黒だったルビーの左目の黒目の星が白い星に変わった(13巻P51)のに対してアクアは黒星のままです。
直接的に黒目の星のことを言っている訳ではありませんが、劇中劇で「嘘つきの目、人を騙すのが得意な目」(14巻P182)と言われたカミキヒカルの両黒目には黒い星が描かれています。
「嘘つき」はこのストーリーにおいて重要なキーワードの一つですが、黒目の星は、単純に、光・陽(白い星)、闇・陰(黒い星)を表現しているように思います。
このストーリーは表層では、コミカルな表現も使われつつ、アイドル、芸能、恋愛もガッツリ描かれるため忘れがちですが、復讐劇という大枠があります。
1巻(幼年期・プロローグ)の最後にアクアはモノローグで「俺は俺の復讐劇をはじめる」と言っており、「復讐劇」の部分に「ものがたり」とルビが振られています。この物語りが「復讐劇」であるとわかります。
16巻(最終巻)では、周りの人に深い悲しみを残し復讐は達成されます。
全編を通した三角関係が描かれます
有馬かな
天才子役だった頃に撮影でアクアと出会い、その後芸能科のある高校で、先輩として再会します。
自意識の高さから子供ではなくなるにつれ仕事がなくなり、自分の上手い演技を見てほしいという気持ちと裏腹に根深い自己肯定感の低さを抱えながらも努力を続け、周りに合わせることで芸の世界で生き延びてきました。
アクアとまた撮影で一緒になり、自分の見せ場を作ってくれたアクアに恋をします。
ルビーがアイドルグループをするにあたり、アクアに懇願されて加入します。しかしアクアが恋愛リアリティショーであかねと付き合いはじめ、しかしあくまで仕事上の付き合いだと言われ、その後も翻弄され続けます。
あかねとは芝居のライバルであると同時に恋のライバルとして描かれ、このストーリーの大きな要素の一つになっています。
黒川あかね
真面目で優秀な役者であるものの恋愛リアリティショーという場では自分をうまく表現できず、マネージャーが社長に激しく叱責される様子も見てしまいます。
焦りから無理に積極的な行いをしようとして、振った手の爪で共演のモデルの顔を傷つけてしまいます。SNSで炎上し、追い詰められたあかねはついに自殺をしようと歩道橋の手すりに立ちますが、つけてきていたアクアに助けられ未遂で終わります。
その後番組に復帰したあかねは、番組の最後、アクアと付き合う結果となります。ビジネス上の付き合いだとアクアに言われるものの、少なくとも体裁上は恋人付き合いを続け、持ち前の人間洞察力でアクアや彼の母親の真実を察するに至り、その後アクアに振られたあとも、役者として、人間として深い関係は続きます。
かなとあかねは、それぞれ演技への向き合い方の異なる優秀な役者として、そしてアクアをめぐる恋敵として、二重のライバル関係が描かれます。実は子役時代にも因縁があったことも描かれます。
ルビー
同じレイヤーの四角関係ではないものの、さりなからゴローへの恋心が、転生を経てルビーとアクアの関係に引き継がれます。シスコンでもあるアクアがルビーを守る様子も描かれます。
ルビーは、アクアの前世である産婦人科医ゴローが研修医だった頃に担当しその後亡くなった入院患者さりなの生まれ変わりです。ゴローはさりながアイを推していたことで影響を受け同じくアイが推しとなっています。家族から見放されていた彼女に親身に接して、アイドルを目指す彼女を応援し、さりなはゴローに恋心を抱いたまま若くして亡くなってしまいます。ゴローはさりなの親が会いに来ないことに怒りを感じ親身に接する中さりなが亡くなり、特別な思いを持っていました。
二人はアイの双子の赤ん坊として転生し、2人とも前世の記憶を持っていることは早い段階でわかりますが、前世の事はお互いに詮索せず関係性は知らずに十数年が過ぎます。
ルビーはアイドルグループのMV撮影で、前世で入院していた病院のある場所に偶然訪れることになり、そこで、カラスに宿のキーを奪われて追いかけ、あかねと共に偶然ゴローの死体を発見してしまいます。自分の大事にするものがいつも離れていくことに絶望して半ば闇落ちします。
その後アクアがかなのスキャンダルをもみ消すために自分たちがアイの子供であることを公表し、ルビーは拒絶します。
しかしその後、ふとしたきっかけで、アクアが前世で好きだったゴローの生まれ変わりだとわかり、感動の「再会」をし、絶交から一転してベタベタの関係になります。ルビーは、前世で先生が「結婚を16歳になったら考えてやる」と言ったことを覚えており、私もう16歳になったよ?とモノローグで語ります。
生まれ変わりであることは周囲の人には明かしていないため、四角関係ではありませんが、アクアを巡って、かな、あかね、ルビー(さりな)の3人がいる関係となっています。
これらの内容が時にドラマチックに、時にコミカルに描かれますが、アクアにとっては、父親への復讐と、さりなの生まれ変わりである妹を守ることが最重要で、ビシネス恋愛関係になるあかねも心の中では惹かれているかなもそのために利用している部分があり、最後はルビーを守るために父親を巻き込んで死亡します。
三角関係(四角関係)の恋愛ストーリーの結末としては、結局誰の恋も成就しておらず、公平ではあるものの誰も幸せになっていない悲しい結末です。
3人ともなまじこれまでアクア(さりなの場合はゴローも)との関連とドラマが深いため、彼女たちはこの先の人生で別の恋愛をするのでしょうか?
さりなは4歳の頃に重い病気が見つかり、10年生きられる可能性は1割にも満たない、と語られています(13巻P6)。「1人の少女の話」として謎の少女(芸名ツクヨミ)が回想している内容ですが、明らかにさりなのことを言っています。
さりなとアイは同い年です。(1巻P12のさりなの発言)
さりなが死亡した年齢は12歳です。(1巻P14)
アイが妊娠したのは15歳です。(13巻P185)
アイが妊娠20週あたりでゴローの病院に来たのが16歳です。(1巻P7)
そのため、さりなが死亡してからアイが出産する時(=ルビーとして転生する時=ゴローが殺害される時)まで4年間のブランクがあることがわかります。
母(アイ)は現役アイドルだが16歳にして二児の母(1巻p72)と言う記述もあります。
アクアは元アラサー医師と表現されています。(8巻P53)これは殺害された頃の年齢だと思われます。
さりなが死亡した時まだゴローは研修医なので、アラサーではないです。24〜26歳くらいです。研修医は最年少で24歳でなるようです。
仮にさりな死亡時にゴローが24歳だとすれば、彼の死亡(転生)時には28歳となり、仮にさりな死亡時に26歳だとすれば、彼の死亡(転生)時には30歳となり、計算が合います。
前述のとおり、アクアとルビーがアイの双子の子供として転生した時、アイは16歳です。ルビーは、前世の自分であるさりなが12歳で死んだことは自分のことなのでもちろん知っており、その時同い年のアイも12歳とわかっています。アイの子供として生まれ変わった時にアイは16歳のため、自分(さりな)の死亡から生まれ変わりまで4年の間があったことはわかっているだろうと思います。
青年医師だったゴローは前世の記憶を持ったまま赤ん坊として転生していますので、単純な足し算はできないとは思いますが、成長したアクアとして復讐を開始した時が16歳ですので、仮に、転生した時に28歳だった場合は現在の精神年齢は44歳、転生した時に30歳だった場合は現在の精神年齢は46歳ということになるのかもしれません。
ルビーは、好きだった「せんせー」と再開できることを夢見ながら、年の差について話しています。(8巻P122)
ルビー「あかねちゃんは年の差っていくつまでイケる人・・・?」
略
あかね「ルビーちゃん年の離れた好きな人が居るんだ?」
ルビー「うん」
略
あかね「ちょっと位の年の差なんて関係ないよ!」
ルビー「そうだよね!?ちょっと位関係ないよね」
この時はまだせんせーの死亡を知らないです。
前世で自分が12歳で死んだ時せんせーは24〜26歳で当時は12〜14歳差程度でしたが、自分の死亡後生まれ変わるまで4年のブランクがあるため、現在は自分が16歳に対し、せんせーは44〜46歳くらいだと想像しているはずです。
ただルビーも、単純な足し算はできないとは思いますが、前世のさりなが死亡した時は12歳で転生後16年たっているので現在の精神年齢は28歳ということになるのかもしれません。
マンガのストーリーとしてはエモい?ですが、特に「足された精神年齢」でなく「自分が16歳に対し、せんせーは44〜46歳くらい」とリアルに捉えると年齢差がありすぎ違和感が出るためか、ストーリー中では具体的な年齢には触れられていません。
5巻では、コミックの原作者と舞台劇の脚本家の対立と協業が描かれています。
原作がある作品のアニメ化や実写化で問題になりやすいテーマです。
一般に原作ファンは、原作に色と動きと音をつけて上位変換されたものを期待しますが、マンガとアニメや実写はメディアの性質が異なり、また、アニメやドラマは決まった時間と話数に収める必要があるために、自ずと何らかの変更が必要になるだろうと思います。
マンガは読者が自分のペースで読むことができますが、アニメや実写は、完成されたものを見るために視聴者はペースの調節が基本的にはできません。
また、原作に忠実に色と動きと音をつければそれでアニメ化されたと言えるわけではなく、原作に忠実に役者の芝居と音をつければそれで実写化されたと言えるわけではないだろうと思います。
アニメではありませんが、動画制作において、依頼者が準備してきた原稿と画像をそのまま使って動画にすると、極めて見づらくわかりづらい動画になる場合が有ります(経験あり)。一旦は依頼者の言うように作っても、結局、余分な部分を削除したり文字情報を簡略化したり、見やすいように動きもつけてアレンジすることになります。
原作に忠実にすることを望む原作者もいれば、アニメや実写作品としてアレンジされることを望む原作者もいます。
それらの理解を前提とした上で、原作者と脚本家の間のトラブルに関しては、「どういう契約(口約束含め)になっているのか」そして「それが守られるかどうか」につきると個人的には考えています。原作者と脚本家の間のトラブルと書きましたが、実際には許諾側とアニメや実写の制作側の間の方針と契約の問題です。
実際にはメディアによる演出方法の違いや制約の中で、どこまでOKでどこまでダメかを契約として明文化することは難しく、このマンガで表現されているようにスケジュールが迫る中での伝言ゲームで、コミュニケーションがうまくいかないことは起こりやすいと想像できます。
実際に現実的かどうかはさておき、このストーリーで解決策として描かれたように、原作者と脚本家がオンラインなどで打ち合わせしながら脚本に落とし込んでいく方法も、選択肢としてあっていいのかもしれないと感じました。
前述(前回の投稿)のとおり、私がこのマンガを人気があると知っていてずっと読まなかったのは、目の中に星があるキャラクターデザインとピンク色を基調とするコミックの表紙を見て、よくあるアイドルストーリーだと思って期待していなかったためです。
しかし実際にはコミックの表紙は巻によって変化しています。
書店でこのコミックの表紙を見て買おうかどうしようか考えている人など、内容を知らない人の客観的な目線では、各巻の表紙は以下のようになります。カッコ内は説明用です。
1巻:白バックでピンク色基調の絵柄 目の中に星のあるアイドルらしき若い女性(アイ)が両手でポーズをとり、舌を出している
2巻:白バックでピンク色基調の絵柄 目の中に星のあるアイドルらしき若い女性(ルビー)が片手でポーズをとっている
3巻:白バックで赤〜オレンジ色と黒基調の絵柄 目の中に星のある役者らしき若い男性(アクア)が片手を頬に当てちょっと困ったような表情をしている
4巻:白バックでピンク色基調の絵柄 アイドルらしき童顔の若い女性(かな)が指を口元に置いている
5巻ではそれまでとうってかわってコミックの表紙が黒バックになります。
5巻:黒バックでややくすんだピンク〜紫基調の絵柄 役者らしき若い女性(あかね)が両手を頭に乗せ、左目から涙を流している。
解説:3巻であかねがSNSで炎上し自殺未遂をするエピソードが描かれていますので、3巻の表紙を現状の5巻のような表紙にするという考え方もあったと思いますが、表紙は1巻から順当にアイ→ルビー→アクア→かな、の順で出し、その次にあかねを出したのだと思います。5巻は原作者と脚本家の対立という物づくりの裏側が描かれているという意味では、華やかな印象ではない現状の表紙は合っているとも言えます。
6巻:黒バックでややくすんだピンク〜紫基調の絵柄 二人の女性(吉祥寺頼子と鮫島アビ子)がそれぞれ手にペンを持っている。
解説:6巻もアビ子原作の舞台劇を描く中で、アクアのPTSD、ライバル関係、ヘタだった役者の起死回生などが描かれており、この二人を出したのだと思います。
7巻:黒と白ほぼ半々(白多め)のバックでピンクを基調とした絵柄 若い女性(アイ)が幼い男女の子供(幼児時代のアクアとルビー)を抱えている。
解説;6巻までで主要登場人物を出し、7巻ではまたアイに戻っています。アイと幼児時代のアクアとルビーの組み合わせは初めてです。回想で、アクアが子役で出た映画を母親(アイ)と見に行ったアクア(ルビーは寝ている)が、母親に演技をほめられるシーンもありますので、多少内容とつながっているとも言えます。
8巻:黒と白ほぼ半々(黒多め)のバックでピンクや黄色を基調とした絵柄 アイドルらしき若い女性(MEMちょ)が舌を出し、その下で指をVの字にしている。
解説:MEMちょも主要登場人物ですが、あかねの次に出すのではなく、このタイミングとなっています。8巻はカミキヒカルや謎の少女が登場したり、MVの撮影でルビーとあかねが「せんせー」(ゴロー)の死体を発見したりして、いよいよ本題の復讐劇へと入っていく巻で、あまりMEMちょに関するエピソードはありません。
TVアニメ「【推しの子】」の放送期間は、次のとおりです。
第1期:2023年4月12日(水)~6月28日(水)1話〜11話
新生『B小町』がジャパンアイドルフェスに出て、舞台劇『東京ブレイド』の企画が始動するところ(コミック4巻)まで。
第2期:2024年7月3日(水)~10月6日(日)12話〜24話
新生『B小町』のMV撮影で訪れた宮崎で、ルビーが心の拠り所にしてきたゴローの死体をあかねと共に発見してしまい、復讐心が芽生え、MVは注目を浴びるところ(コミック8巻)まで。
第3期:2026年放送開始
参考:ウィキペディア
アニメ「推しの子」は、原作コミックの4巻までが1期、8巻までが2期でアニメ化されています。アニメ2期の続きは、マンガの9巻から読むことができます。
アニメ版は原作コミックにかなり忠実に描いていますが、メディアの特性が異なるので、当然ですか全く同じではありません。全般的にコミックより丁寧に描いている印象です。
動きと音がつけられるのがアニメのメディアとしての特性の1つですが、心象の表現を顔にズームインして効果音を付けて強調したり。イメージアニメを使って説明したりしています。また、ある程度説明的なセリフを、間をとったりセリフの喋り方によって分かりやすくしていると感じます。
宮崎で撮影したMVの内容は、コミックでは9巻で断片的なイメージが示されている他はほぼ描かれていません。アニメでは24話でMV1本分挿入されています。
『東京ブレイド』の劇(劇中劇)はマンガよりも丁寧に時間をさいて描き、舞台の観客目線の描き方や、アニメならではの、かなり力の入った描写とダイナミックなカメラワークが使われています。
その他、エピソードの順番の変更もしているようです。