何をもって英語を習得したというかは人によって違うかもしれませんが、私の経験上、高い年齢、40代で語学学習を始めても外国語を身につけることができます。少なくとも日常会話くらいはできるようになります。
私の場合の状況や英語への取り組みについて書こうと思います。
私は46才の時点でTOEFLのスコアが120点満点中たったの21点、しかもリーディング(READING)・リスニング(LISTENING)・スピーキング(SPEAKING)・ライティング(WRITING)の4科目のうちリーディングとリスニングがまさかの0点から語学留学をして勉強を始め、その後、様々な国の人達と英語でコミュニケーションして自分のショートフィルム(短編映画)を作れる程度にはなりました。
ニューヨークフィルムアカデミーの2年間のコースの1年目の締めくくりで制作したショートフィルム(短編映画)です。
私がアメリカに5年いたと言うと、「じゃあ、英語ペラペラでしょう」と言われることがあります。
日本人が「英語ペラペラ」という時は、かなり高い水準をイメージしているのではないかと思います。「ペラペラ」という表現は直接的には話す能力を表していると思いますが、ネイティブに近い発音で英語で難なく会話でき、映画やニュース、本や記事などの英語も理解できる、というイメージです。良くも悪くも日本人の完璧主義さを感じる言葉です。
私は英語でコミュニケーションして自分のショートフィルムを作れはしますが、正直なところ今でも「英語ペラペラ」ではありません。今より上達するためにはもっと勉強と訓練をする必要がありますが、逆に言えば、勉強と訓練をすればもっと上達するだろうという感覚はあります。
「高い年齢、40代で語学学習を始めても外国語を身につけることができる」と書きましたが、以下、子供の頃からの英語への取り組みの様子を含む、私の留学前後の英語勉強の様子、英語力の推移、英語学習について感じた内容を紹介しようと思います。
高い年齢の場合を念頭において書いていますが、年齢にかかわらず参考にしていただければと思います。
子供の頃はテレビでセサミストリートを見ていました。セサミストリートはアメリカの子供用番組で、それぞれ特徴のあるパペットのキャラクター達がシチュエーション・コメディ風のやりとりをするコーナー、歌うコーナー、歌のアニメで数字やアルファベットに親しむコーナーなどがあります。
英語の番組で字幕はついていなかったと思いますが、覚えていません。子供番組といってもゆっくり喋るわけではなく普通のスピードです。
この番組視聴を通してかなりネイティブの英語を聞いたと思いますが、それだけでリスニング力がつくことはなかったようです。前述のとおり留学前のTOEFLのリスニングは0点でしたし、留学中も今もリスニングは弱いと自覚しています。
一方、子供の頃にネイティブの発音を聞き慣れたことは非常に良かったのではないかと思います。外国語を話す時に、音を真似することは重要だからです。
今はYouTubeチャンネルがあり、いつでも見ることができます。便利な時代になったものです。
セサミストリート(英語版)YouTubeチャンネル
https://www.youtube.com/user/SesameStreet
私は中学や高校での英語の勉強には普通に取り組みました。
中学や高校で習う英語はごく基本的かつ実際の生活でも使う可能性が極めて高いものです。かなり丸め込みがおこなわれているため英語を適切に使うにはもっといろいろ覚えることもありますが、限られた授業時間の中で、英語を使う上で必要な基礎はうまくまとまっていると思います。
ただし、留学も経験した今思うのは中学や高校での英語の学習で圧倒的に足りていないのは会話の訓練です。言語は、知識と訓練の両輪のバランスがあって初めて使えるようになると思いますが、義務教育の限られた時間の中で訓練まで十分に行うのは限界があると思います。
大学は美大でしたが、多くの学生が英語の授業をサボる中、私は毎回キチンと出ていました。しかし英語の会話を行うことはなかったと記憶しており、たいして役にはたっていないかもしれません。
社会人になったあとは、テキストを買ってNHKのラジオ講座を聞いたりサボったりを長年も続けました。それなりに勉強してきたつもりでいましたが、旅行で何度かアメリカに行った時はカタコトでしか話せませんでした。
一番継続して取り組んだのは留学前です。
留学前に受けたTOEFLのスコアは、リーディング(READING)0点、リスニング(LISTENING)0点、スピーキング(SPEAKING)13点・ライティング(WRITING)8点、合計120点満点中たったの21点でした。
TOEFL2科目が0点だったのは、事前にTOEFL対策を何もせずに経験として初めて受験したためもあるかもしれませんが、義務教育から時間がたっており、ラジオの英語講座を聞いたりサボったりする程度では英語力はついていなかったということだと思います。
TOEFL4科目中2科目が0点の状態で46才で語学留学を開始しました。
英語の語学留学は英語を学ぶための海外滞在ですので英語ができないのがあたりまえで、すぐには上達しませんが、徐々に上達していきます。
●語学留学の利点と欠点
語学習得には、「勉強(知識)」だけでなく、繰り返し英語を使う「訓練」が必要です。
語学留学は、英語留学であれば英語の学習が生活の中心になり、毎日英語で会話せざるを得ない環境に置かれるため語学学習に適していますが、留学することには利点と欠点があり、英語の習得に対して必ずしも留学だけが最適解ではないと思います。私は語学学校で英語を勉強しながら、留学が必ずしも適しているとは言えない点として、以下のことを感じました。
英語の文法を英語で勉強するのは効率が悪い
日本語で説明を受けながら英語の授業を受けても100パーセント理解し覚えられるわけではないのに、留学では今まさに勉強中の言語で説明を受けることになります。授業で使われる言語が数十パーセントしか理解できなければさらに理解度が下がることになります。
ボキャブラリーを増やすのに必ずしも留学が必要ではない
一度聞いただけで覚えられるなら別ですが、通常は自習も必要になると思います。多くの単語を知っている学生に勉強方法を聞くと留学中ではなく自国で高校生の頃覚えたそうです。
留学前に、中学高校で勉強した英語の文法や単語、慣用句などを復習してから留学すれば、手間がはぶけて、その分の留学費用をおさえられると思います。
▶︎語学留学の利点と欠点についてはこちらの投稿もご覧ください。
●普段の生活・自習
留学中は学校以外の生活でも英語を使うことになり、最初はブロークンでいいのでどんどん喋っているうちに上達します。留学の利点の一つです。語学の上達は会話で喋った量と相関すると思います。
一方、知らない単語や表現は喋ろうとしても喋れませんので、私は土日も適度に気分転換しながら自習をしました。
▶︎その他、語学留学中の私の英語勉強方法についてはこちらの投稿もごらんください。
●体調とのバランス
長時間かつ長期間の語学の学習は思いのほか疲れ、体調にも影響します。特に最初は学校で英語を勉強する上に日常でも英語を使うのが精神的、体調的に負担になるようであれば、無理して話さなくても生活はできると思います。日本のスーパーやコンビニのレジでもたいしてしゃべらないように、買い物など最低限のことは、さほど英語を話さなくてもできてしまいます。英語力の不足が日常生活のハードルになることは少ないと思います。
▶︎留学での体調不良の原因と対処についてはこちらの投稿もご覧ください。
●高い年齢で留学する場合の心構え
高い年齢で留学する場合、様々な年齢の人達と混ざって年下の先生からでも教われるフラットな気質や、好奇心を持って一生懸命勉強する素直さは必要だと思います。日本人は年齢などによるヒエラルキーを意識する気質が残っていると思いますので、上記のようなフラットな気質や素直さがないと苦労するかもしれません。もっともそれは若い人でも同様です。
その後のTOEFLスコア
語学留学中もTOEFLテストを受けました。スコアの推移はこちらの投稿をごらんください。
私は映画学校に入学できるまで語学学校での勉強に予定の1年間より長くかかり、しかも必要なTOEFLのスコアに少し足りておらず、交渉して面接してもらってNew York Film Academyに入学しました。
▶︎交渉して面接してもらった様子はこちらの投稿をご覧ください。
映画学校に入ってからも英語で苦労しました。語学学校では英語を勉強しますが、大学や大学院など通常の学校では英語で勉強します。前提となる語学力が違います。私は先生の言っていることの6割から7割程度しか理解できず、あとは文脈から推測し、いつまでに何をする、という情報だけは最低限おさえておけるように、あやふやな場合はクラスメートに確認して明らかにするようにしていました。
▶︎映画学校で英語に苦労した様子はこちらの投稿もご覧ください。
そうして苦労して英語の暮らしを続けていくと、徐々に上達していきます。
様々な国から来た人達と英語でコミュニケーションしながらショートフィルムを作れるくらいにはなりました。というより、様々な国から来た人達と英語でコミュニケーションしながら何度も何度も授業をうけたり撮影を経験したことで、上達したのだろうと思います。
卒業後はOPTを利用して撮影の手伝いやVFXの仕事をしました。対面やメールで打ち合わせをして進行していけるようにはなっていましたが、ランゲージエクスチェンジのミートアップに週1回参加しました。
これは、日本の文化に関心があったり日本語力をキープしたいアメリカ人と、英語力をキープしたい日本人が集まって、雑談をしたりする集まりです。ロサンゼルスエリアにはいくつかのグループがあり、私が参加していたグループはバーバンクのスターバックスで集まっていました。
私は普段の生活で英語についての質問をメモしておいて、ミートアップでアメリカ人に聞いたりしました。
このミートアップにはランゲージエクスチェンジだけでなく、様々なカテゴリーのグループがあり、様々な地域で行われています。日本でも行われています。
ミートアップウエブサイト
https://www.meetup.com/
日本に帰国後は英会話カフェに行ったり、オンライン英会話をやったりしましたが、その後新型コロナウイルスの蔓延に伴って、ランゲージエクスチェンジのミートアップはオンライン開催をするグループも出てきました。
▶︎留学から帰国後に英語力(主に会話力)をキープする方法についてはこちらの投稿をご覧ください。