新型コロナウイルスは留学に大きな影響を与えています。現在留学中の人や留学予定だった人及び学校や留学関連業界へ、直近の影響だけでなく長期的な影響がありそうです。
新型コロナウイルスによって旅行関連分野、教育分野とも大きな影響をうけており、それらと関連のある留学も大きく影響を受ける分野だと思います。
ここでは新型コロナウイルスの留学への影響の現状と、いくつかの方法について留学の代替方法になるかどうか考えてみます。
文部科学省ウエブサイト 留学中の学生に向けた情報のページ
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1405561_00001.htm
2020年6月5日更新の情報によると、外務省が発出している感染症危険情報レベルがレベル3[渡航は止めてください。(渡航中止勧告)]の国として、留学先としてもポピュラーな、アメリカ、カナダ、イギリス、フィリピン、オーストラリア、ニュージーランドなどが含まれています。
外務省ウエブサイト 新型コロナウイルス(日本からの渡航者・日本人に対する各国・地域の入国制限措置及び入国後の行動制限)
https://www.anzen.mofa.go.jp/covid19/pdfhistory_world.html
2020年6月11日更新の情報によると、オーストラリア、カナダ、ニュージーランド、フィリピン、などのほか多くの国が外国人に対して入国制限措置をとっており、イギリス、アメリカなどのほか多くの国が外国人に対して、入国後14日間の自己隔離などの行動制限措置をとっています。
YouTube動画などを見ると、留学を中断して帰国し自宅やホテルで待機をしている又はした人、日本の検疫に不安があるため留学先に残っている人、留学先の国が入国制限をかけているため一度日本に帰るといつ戻れるかわからないため留学先に残っている人、自分が帰国した場合家族への感染リスクがあるため帰国しないでいた人、留学を続けているが留学先の授業がオンラインになっている人など、様々なようです。
これからの留学は少なくともしばらくはかなり厳しく、色々制約があると思います。そもそも渡航できなければ留学は不可能ですし、先々渡航が可能になっても、留学先の学校が休校していたら留学できませんし、語学学校や講義主体の学校がオンライン授業に移行してそのままであれば、わざわざ留学する必要あるのかと考えると思います。
映画留学など、教室での授業と実際の映画撮影がある内容だと、映画業界そのものの撮影が止まっている状況ですので、これまで通りの勉強は難しいと思います。
実際に外国で生活しながら世界中から集まった学生達と一緒に勉強してこその留学です。すでに留学を経験した人は幸運ですが、今後また通常の留学ができるようになることを願いつつ、代替方法も模索することになりそうです。
渡航しての留学ができない、現実的でないとなれば日本国内での学習となりますが、語学など講義主体の場合を例に、いくつかの方法について留学の代替方法になるかどうか考えてみます。
世界的に強制的にリモートワークをせざるを得ない状況になり、ZoomなどのWeb会議システムが一躍脚光を浴びています。これは一番留学の代替方法になりそうな方法です。実際、欧米やオーストラリア、ニュージーランドなどの多くの教育機関でオンラインコースの運用が始まっているようです。
●例えば語学学校として有名なKAPLAN(カプラン)は、「ハイブリッド留学」として、Zoomを利用したオンライン上のバーチャル留学をまず開始し秋以降に海外留学に移行するオプションを用意しています。
KAPLANの「ハイブリッド留学」のページ(日本語)
https://www.kaplaninternational.com/study/jp/best-of-both-english-courses/
●私がリアル語学留学をしたSt Giles(セントジャイルス)は休校中の措置として「St Giles Live」というZoomを利用したオンラインコースを提供しています。
→その後イギリスとカナダでは再開校したようです。
St Gilesの一時休校・開校のお知らせページ
https://www.stgiles-international.com/about/covid-19-updates
St Gilesの「St Giles Live」のページ
https://www.stgiles-international.com/st-giles-live
St Gilesはヘッドオフィスがイギリスにあるためだと思いますが、金額の単位がポンド(£)になっています。
●同じく私がリアル留学をしたNew York Film Academy(ニューヨークフィルムアカデミー)は、夏セメスターをZoomを利用したオンラインコースで開始し、安全が回復した後にキャンパスに戻るとしています。
New York Film Academyの新型コロナウイルス対応に関するページ
https://www.nyfa.edu/about/message-about-coronavirus.php
私自身はリアルな留学しか経験がありませんのでオンラインコースの実際の様子はわかりませんが、ネイティブの先生が自分の国の自宅や学校のオフィスから授業をし、様々な国の学生が自宅から参加すれば、リアル留学と近い授業内容にできると思います。渡航せずに入学して日本から授業をオンラインで受けることができるのであれば、リアル留学には必要な渡航費などの金銭的な負担もないです。
代替性(留学の代わりになると思われる部分):
例えばリアル語学留学でのクラスでは、学生は机を囲んで椅子に座ったり簡易的な机のついた椅子を使い、レベルごとのテキストに沿って先生が文法などを説明したり、テキスト付属の教員用CDに収録された様々なトピックを聞いて、テキストに書かれた質問に答え、先生のガイドで答え合わせをしたり、先生に質問したりします。
これをWeb会議システムで行うには、先生はホワイトボードを利用して説明したり、教員用CDに収録された様々なトピックを聞く部分はWeb会議システムの画面共有で行い、聞いたあとは全員の顔が画面に映った状態で授業をすれば、代替可能と思います。語学以外の講義主体の学校の場合も同様です。
非代替性(留学の代わりにはならない部分):
リアル留学のクラスでは隣の人と会話の練習をすることもありますが、Web会議システムで複数人のアクセスをしている状態で時々特定の相手と話すことができる仕組みを持つものがあるのかどうか不明です。機能的には可能だとしても、リアルなクラスではたまたま隣どおしになった人と話すことになるのですが、オンラインでは相手を選ぶ必要があり、クラス全員があぶれることなくペアを作るためには、その日のWeb会議システムへのログイン順に機械的にペアを作るなどの工夫が必要かもしれません。
リアルな留学では休憩中にコーヒーを飲んだりおしゃべりしたり、一緒にお昼に行ったり授業後に遊びに行ったりする場合もあると思いますが、オンラインの場合は雑談はできるかも知れませんが、一緒にお昼に行くとか遊びに行くなどの学外の交流は難しそうです。
海外留学で語学が上達するかどうかは、授業だけでなく学外の日常でどれくらい学習中の言語を使うかが大きく影響し、それができるのがリアルな留学をするメリットのひとつですが、Web会議システムでの授業ではそれができないですね。
英語に力を入れている大学で、留学に匹敵すると思われる内容を提供しているところもありますが、新型コロナウイルス感染拡大防止のために、通常の授業はできていないようです。
秋田県にある国際教養大学は、授業は全て英語で、教員の半数が外国人、学生の4人に1人が留学生(正規留学生及び交換留学生)、1年次は大学敷地内の学生寮生活が義務で日本の学生と世界各国からの留学生達が生活、1年間の海外留学が義務という内容で、カリキュラムに組まれた1年間の海外留学の時期以外も実質留学をしているような環境です。
国際教養大学ウエブサイト
https://web.aiu.ac.jp/
英語に力を入れている以外にも、同大学学生は365日24時間利用できる図書館も特長的な一方、買い物や市街地へ行くのに不便があったり長い時間友人達と暮らす息苦しさを感じる学生もいるようですが、通常であれば、本気で英語学習をしたい学生には適した環境ではないかと思います。
しかし、新型コロナウイルスへ感染拡大防止のため2020年春学期の入寮は見送り、授業は全て自宅からのオンライン授業にし、2020年秋の留学は派遣・受け入れとも中止とのことです。
その他の方法は、語学習得のためにはそれぞれ一定の効果はあるでしょうが、それでも留学の代替方法にはならないように思います。
日本国内である以上留学ではないのですが、しばしば国内留学という表現を見ます。英語学習(他の言語もあるかどうかは不明です)のために一泊二日や一週間の合宿をするものです。日常から離れて一定期間英語を学ぶ環境に身を置くのは留学と似ていてメリットはあると思います。
しかし日本の環境で参加者も日本人がほとんどだと思いますので、あまり留学の代わりにはならないと思います。
学生も講師も公共交通機関を利用して合宿施設に集まり、近い距離で話すと思いますので、感染拡大抑制のためには今まで通りの授業は困難だと思います。
日本国内の語学学校も日本の環境で学生も日本人ですので、留学の代わりにはならないと思います。
学生も講師も公共交通機関を利用して学校に集まり、近い距離で話すと思いますので、感染拡大抑制のためには今まで通りの授業は困難だと思います。
オンライン授業にするところはあるようですが、国際的な学生構成にしないと通常の語学学校の授業と変わらず、留学の代わりにはならないと思います。
これも日本での語学の方法としてはメリットがあると思いますが、留学の代わりにはならないと思います。
その後の状況についてはこちらの投稿をご覧ください。
新型コロナウイルスによるロサンゼルス映画産業への影響についてはこちらの投稿をご覧ください。