このリアルな渋谷がCG合成? Netflix実写ドラマ『今際の国のアリス』のVFXについて(ややネタバレあり)

オープンセットとCGで作られた渋谷スクランブル交差点など
Netflix実写ドラマ『今際の国のアリス』のVFXについて

Netflixの日本ドラマ『今際の国のアリス』(いまわのくにのアリス)をアメリカ人の知人から教わり、見てみました。渋谷のスクランブル交差点周辺をセットとCGで表現しており、かなりのクオリティとなっています。

オープンセットでの撮影やCG/VFXについて調べてみました。

『今際の国のアリス』(Alice in Borderland)

Netflixの『今際の国のアリス』は、「週刊少年サンデーS」(小学館)から「週刊少年サンデー」(小学館)に移籍しつつ2010年から2016年に連載された麻生羽呂さんのコミックの2013年のアニメ版に続く映像化で、俳優の山崎賢人(やまざきけんと)さんと女優の土屋太鳳(つちやたお)さんがダブル主演となっています。(Wikipediaより)

ストーリー
ニートでやる気がなく家族からも疎まれている若い男が数少ない友人たちと渋谷にいる時、突然周囲から自分たち以外の人が消え、失敗すると死ぬゲームに他の参加者といっしょに参加させられ、それぞれのゲームを生き残っていく中で生きることの意味に向き合う。

『今際の国のアリス』のオープンセット

渋谷のスクランブル交差点のシーンは、栃木県足利市にある「足利スクランブルシティスタジオ」という渋谷のスクランブル交差点周辺を再現したオープンセットで撮影されたとのことです。オープンセットとは屋外に作られる映画やドラマ用のセットのことです。

メイキング映像を見ると、河川敷を利用して、交差点と交差点周辺の歩道、信号機や街灯、歩道上のガードレールや看板、地下への入り口やJR渋谷駅の改札がセットで作られており、その周囲をグリーンスクリーンが囲んでいます。かなり大掛かりなセットです。歩道や道路には汚しも入れてあり、散らかるゴミも小道具で表現しています。

メイキング映像
https://youtu.be/Xit-ScWgtOs

足利スクランブルシティスタジオウエブサイト
https://ashikaga-scramble.com/
映画「サイレント・トーキョー」や乃木坂46のMV「Wilderness world」の撮影でも使われたようです。

『今際の国のアリス』の撮影で使われたカメラ

撮影は、Arri Alexa LF及びArri Alexa Mini LFとZEISS Supreme Primeレンズが使われ、4.5Kで撮影、映画のマスターフォーマットは4Kとなっているようです。

出典:IMDbの『Alice in Borderland』(今際の国のアリス)の技術仕様のページ
https://www.imdb.com/title/tt10795658/technical?ref_=tt_dt_spec

『今際の国のアリス』のCG/VFX

メイキング映像にはいくつかのシーンのVFXについて解説されています。

渋谷スクランブル交差点のシーン
スクランブル交差点周辺のビルなどはCG合成で作られているとのことです。極めてリアルに作られています。CGソフトはAutodesk Mayaが使われたようです。

オープンセットの周囲にグリーンスクリーンはあるのですが、セットが大きいためCGに差し替える背景部分の一部にしかグリーンスクリーンがなく、そのグリーンスクリーンにも日光が当たっている部分と影になっている部分があってグリーンスクリーンとしては全く理想的でなく、しかもカメラが動いているためかなり難易度の高い合成ですが、綺麗に合成され極めて自然に見えます。

トンネル内のシーン
トンネル内で獣に襲われるシーンは、事前に簡易的なCGによるアニマティクスが作られたようです。アニマティクスとは、制作の初期段階でシーンの検討のために作られる簡易的な映像のことで、単純に言うと動く絵コンテです。ビデオコンテ(Vコン)や、特に近年の映画業界ではプリビズ(プリビジュアライゼーション)とも言われます。

トンネル内で大量の水が迫るシーンはCGで作られているようです。グリーンスクリーンで撮影された走る人物が合成されています。

『今際の国のアリス』のCG/VFX制作会社

CGは日本のCG制作会社、株式会社デジタルフロンティアが手がけています。土井淳(どいあつし)さんがVFXスーパーバイザーとなっています。

デジタルフロンティアは、以下のほか多くのCG/VFXを手掛けています。

・フルCGアニメ映画『アップルシード』(2004)のCGムービー
・実写映画『デスノート』(2006)のVFX
・フルCGアニメ映画『EX MACHINA』(2007)のCGムービー
・フルCGアニメ映画『biohazard DEGENERATION』(2008)のCGムービー
・実写映画『GANTZ』(2011)のVFX
・フルCGアニメ映画『biohazard DAMNATION』(2012)のCGムービー
・フルCGアニメ『GANTZ:O』(2016)のCGムービー
・実写映画『いぬやしき』(2018)のVFX
・ゲーム『龍が如く』シリーズのモーションキャプチャーやイベントシーン制作

デジタルフロンティアウエブサイト
https://www.dfx.co.jp

監督

監督の佐藤信介(さとうしんすけ)さんは『いぬのえいが』(複数監督によるオムニバス映画)『砂時計』『GANTZ』『いぬやしき』などの実写映画のほか、CGアニメ映画『ホッタラケの島 ~遥と魔法の鏡~』を手掛けた監督です。

企画・制作プロダクション

株式会社ロボットが企画・制作プロダクションです。ロボットは、『踊る大捜査線』シリーズ、『三丁目の夕日』シリーズ、『永遠の0』、『ライアー×ライアー』などの映画のほかCMなどを手掛けている会社です。

株式会社ロボットウエブサイト
https://www.robot.co.jp

『今際の国のアリス』の海外での反響

Netflixの『今際の国のアリス』は英語タイトルが『Alice in Borderland』となっています。

英語圏の有名な映画批評サイトRotten Tomatoesでは、Tomatometer(映画批評家の評価)が83%、Audience Score(観客の評価)が94%となっており、かなりいい評価です。

Rotten Tomatoesの『Alice in Borderland』のページ
https://www.rottentomatoes.com/tv/alice_in_borderland