タンジェリン(Tangerine)(2015)
監督:ショーン・ベイカー
ジャンル:ドラマ
https://www.facebook.com/tangerinefilmjp/
→その後なくなったようです。
低予算のインディペンデント映画です。脚本はありますが、練られたストーリーを見せるというよりも、社会の片隅で生きるマイノリティ達の刹那的で落ち着きのないクリスマスイブの1日を様々なエピソードを盛り込みながらリアルに追っています。社会からはみ出して半ば自分勝手に生きていく中での友人との親交と、傷つきもする様子が描かれています。それを、勢いで見せている印象です。
自分の服役中に彼氏が浮気したことを友人から知らされたオカマの娼婦が、街中探し回ってその女を捕まえ引っ張り回した挙句彼氏のところへ行き、一方、彼らと親交を持つ移民のタクシー運転手が、オカマの娼婦を買っていることを妻や義母に知られ、修羅場となる。
メインキャストの2人は監督がリサーチの最中に知り合い、実生活でもトランスジェンダーの親友同士である彼らの経験を基に脚本を書き上げたそうです。メディアに取り上げられることのない、ロサンゼルスの一面が描かれています。実際のトランスジェンダー本人達の経験が元になっているだけあって、芝居なのかドキュメンタリーなのかわからないくらい自然でリアルです。
3台のiPhone 5Sで撮影されており、背景をぼかしてしっとり表現するような表現はあまり見られません。内容に合っていると思います。スタビライザー(カメラを取り付け、撮影時のブレを抑える道具-下記参照)を使っていますが勢いでゲリラ的に撮影している印象でかなりカメラのぶれもあります。しかしそれはさほど気にならず、役者の芝居が自然で面白く引き込まれます。
●3台のiPhone 5S
●アナモフィックアダプター
moondog labsウエブサイト
https://moondoglabs.com/
●FiLMic Proアプリ
●24FPS(1秒間に24コマ)で撮影
iPhone 5s本来の機能では24FPSの撮影ができませんが、FiLMic Proアプリによって24FPSで撮影したようです。
●使われたスタビライザー
Steadicam Smoothee
http://www.steadicam.jp/lineup/steadicamsmoothee
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iPhoneとは別にブームマイクとラベリアマイクを使って録音したとのことです。ブームマイクは棒の先にマイクをつけ、カメラに映らないように役者の口に近い場所にマイクをホールドして録音するものです。ラベリアマイクは服の胸の位置などに装着するマイクで大抵ワイヤレスで使われると思います。それぞれ映画撮影では一般的で、音声をなるべくクリアに収録する上で重要です。
著作権フリーの音楽やサウンドクラウドで見つけた楽曲の作者に使用料を交渉して使ったようです。ジャンルが統一されていない印象ですが、あえてそうしているとのことです。一方、最後のコインランドリーのシーンは音楽を使わずに環境音だけでそのままスタッフロールへと繋がりますが、効果的だと思います。
●Final Cut Pro7で編集
カラーコレクションを行って、粗い粒子も加えているとのことです。
https://youtu.be/XoCHyjQnMGU
https://www.youtube.com/watch?v=TW1QfVgoChE
https://youtu.be/TW1QfVgoChE
https://www.youtube.com/watch?v=sjXWdu7Buaw
https://pdnonline.com/gear/techniques/video-filmmaking/sundance-favorite-tangerine-is-a-feature-film-shot-on-iphones/
iPhoneで撮影された映画のリストはこちらの記事をご覧ください。