【必見】VFXで都市の破壊・崩壊が描かれた映画 リスト(ネタバレあり)

【必見】VFXで都市の破壊・崩壊が描かれた映画

現実ではありえないような、あるいは現実にはあってほしくない現象や状況を疑似体験することも映画を見る楽しみの一つです。

コンピューターの高性能化やCG技術の向上に伴って、映画における都市破壊・崩壊の表現もどんどん高度(複雑かつリアル)になってきました。

ここでは、VFXで大規模な都市破壊・崩壊が表現された映画を紹介します。一部大規模ではないけれども表現的に印象的なもの、また、CGによるVFXだけでなく、模型の爆破を撮影した素材の合成などによるものを含みます。

必見と書きましたが、映画そのものやVFXがすばらしいものだけでなく、様々な側面、特徴において見るべきものがあると思うものをピックアップしています。

『インデペンデンス・デイ』(1996年)

■特徴
模型を爆破して撮影した素材を合成して制作した、CG/VFX発達前の迫力ある都市破壊映像の一つの頂点。

インデペンデンス・デイ Prime Video

■ストーリー(あらすじ)
世界各地の大都市上空に巨大な円盤型の宇宙船が現れ攻撃を始め、迎え撃つアメリカ軍が宇宙船のバリアーに苦戦する中、ケーブルテレビの技術者と一人の軍人が、宇宙船の母船をコンピュータウイルスに感染させるため、回収されていた小型UFOを使って母船に入り込む。

■映画の印象やVFXについて
エンターテイメント性に優れたSFアクション映画だと思います。公開当時見た時は、ニューヨークの上空に飛来したUFOの巨大さや、煙と火炎をまといながら現れてくる表現が印象的でした。

CGが今ほど発達する前の映画で、実際に模型を爆破して撮影した素材を合成したり、小型のUFOは模型で作りモーションコントロールカメラで撮影し、CGの背景と合成しています。また、エイリアンは模型と被り物が使われています。

モーションコントロールカメラとは、コンピューターでカメラの動きを制御して同じ動きを何度でも繰り返すことのできるカメラあるいはそのシステムのことです。『インデペンデンス・デイ』では、模型のUFOを撮影したカメラの動きのデータをCGソフトに送り、できた背景CG映像と模型の映像を合成したとのことです。

一方、大きな爆発に関してはすべて本物を撮影し後で合成したようです。

巨大宇宙船の攻撃で都市が破壊され爆発の炎が走るシーンは、幅が2.5メートル長さ6メートルの、街の24分の1の模型を作って垂直(実際には街がやや下側になるように10度の傾きをつけて)立て、上にカメラ、下に火薬をセットし爆発させて撮影したとのことです。

爆発するホワイトハウスは石膏で精巧に作られた12分の1の巨大な模型が使われています。1秒間に300コマという通常の約12倍のスピードで撮影を行い、ワシントンの風景と合成したそうです。
(参照:メイキング映像より)

『クローバーフィールド/HAKAISHA』(2008年)

■特徴
終始ホームビデオの一人称視点で撮られた怪獣(巨大生物)のニューヨーク襲撃。ブレた映像に違和感なく合成された破壊されるニューヨーク。

クローバーフィールド/HAKAISHA Prime Video

■ストーリー(あらすじ)
怪獣がニューヨークに出現して暴れまわり、昇進して日本へ行く前のサプライズパーティー中だった男とその知人たちが逃げ回る。

■映画の印象やVFXについて
パニックの中カメラを持ち続け撮影し続けているのはそもそも不自然なのですが、そこをツッコむのは野暮かもしれません。

物語上も、ホームビデオのカメラで撮影している人物が終始空気を読まず、自分の好奇心でカメラをまわし続け、人のプライバシーに踏み込み、他の人に言いふらし、逃げている最中も空気を読まない発言をしており、カメラの前の人のリアクションも含めてよく言えばある意味リアルですが、これは何らかのストーリーを楽しむ映画ではなく、あくまで、そのカメラを通して撮影された(という設定の)映像を体験する映画だと思います。

特筆すべきは、ホームビデオでパニックの中撮影されたという設定で作られているため全編に渡って手持ちカメラで多くの場合手ブレしているのですが、崩れるビルや巨大生物などの背景や、中盤出てくる小型のクリーチャーもそのブレた映像に違和感なく合成されています。

通常、映画における都市の崩壊の表現は、空撮や遠景に崩れたビルが見えるショットが多いのですが、この映画では、実際に巨大生物が現れたニューヨークにいて体験したかのような映像として描かれています。

『2012』(2009年)

■特徴
CGによって精緻に表現された、誇張された極端な都市崩壊と山を飲み込む巨大津波。

2012 Prime Video

■ストーリー(あらすじ)
太陽で史上最大のフレアが発生した影響で地球内部が加熱され地殻が崩壊しはじめ、地質学者の男が調査し先進国で秘密裏に準備が進められる中、いよいよ巨大地震で各地の都市が崩壊し始め、売れない作家の男が元妻や子ども達や元妻の恋人と一緒に逃げ、一部の人々だけが乗れる極秘の脱出用大型船の存在を知り、密航しようとする。

■映画の印象やVFXについて
映画ばえする誇張された極端な都市崩壊シーンが印象的です。大地にヒビが入って崩れ、あるいは持ち上がり、家やビルが崩れ、ビルの駐車場から車が降ってきます。フリーウェイが崩れ、タンクローリーが落ちてきて爆発します。

崩壊する高層ビル群の中を車で逃げ、亀裂の迫る滑走路を助走して小型飛行機で脱出し、崩れるビルやフリーウェイの間をくぐって飛行するシーンは迫力があります。

上空から見る、割れた地殻ごと斜めに海に沈むロサンゼルスは印象的で、映画のメインビジュアルにもなっています。

山々を超えるような巨大な津波も表現されています。

『世界侵略:ロサンゼルス決戦』(2011年)

■特徴
エイリアンとの近接戦。VFXも使われている一方、大道具でかなりの量のがれきを表現。

世界侵略:ロサンゼルス決戦 Prime Video

■ストーリー(あらすじ)
エイリアンが地球に攻撃を始め、かつての戦争で部下を失ったことへの思いを抱えつつ希望退役間近だった2等軍曹が、アメリカ西海岸で攻撃能力を残すロサンゼルスの海兵隊の市民避難作戦に加わるが、市街地でのエイリアンとの激しい戦いに発展しリーダーシップを発揮していく。

■映画の印象やVFXについて
ロサンゼルスが舞台のSF戦争映画です。ストーリーの大半は近接戦が描かれています。俯瞰などの広いフレーミングよりもミディアムショットやクローズアップが多めでロサンゼルスの広い範囲が崩壊した様子はあまり出てきません。

ブレるカメラワークと合わせて臨場感・緊迫感を出すためと、あまり広い範囲を写さないことで、崩れたビルのがれきなどのコストのかかるプロダクションデザインやVFXを最小限にするためではないかと思います。

前半の地上戦はサンタモニカが舞台となっています。煙で視界の悪い中での接近戦です。

何度か移動して、エイリアンの司令センターと思われる場所に降り立ち、がれきの中の地上戦をします。

『スター・トレック イントゥ・ダークネス』(2013年)

■特徴
組織運営で起こりうる問題を盛り込んだストーリー、ベネディクト・カンバーバッチの存在感、高度なVFXやプロダクションデザイン。

スター・トレック イントゥ・ダークネス Prime Video

■ストーリー(あらすじ)
周囲からの助言を聞かず自分の意見で物事を進めトラブルも多い若い宇宙船キャプテンが、宇宙艦隊の一員でありながら艦隊に対してテロを起こし自らを敵の星へ転送した中佐を抹殺するため向かい逮捕するが、持っていった極秘の魚雷の秘密をその中佐から知らされる。

■映画の印象やVFXについて
全編に渡って高度なVFX満載で、映画のVFXやプロダクションデザインとして最高レベルの一つではないかと思います。

芝居もいいです。特にベネディクト・カンバーバッチの存在感は群を抜いています。映画制作では避けるべきとされるセリフによる説明のシーンでさえ、場面に説得力があります。

大型戦闘宇宙船が未来のサンフランシスコの街に墜落して、ビルをなぎ倒していくシーンがあります。大部分を1つのCGシーンとして作っているようで、かなり重いシーンではないかと思います。

『マン・オブ・スティール』(2013年)

■特徴
スーパーマン誕生の壮大なストーリーを支える、骨太な芝居、スピード感のあるアクション、惑星クリプトン文明の有機的な建造物や宇宙船や衣装のデザイン、高度で大規模なVFX、そしてハンス・ジマーの音楽。

マン・オブ・スティール Prime Video

■ストーリー(あらすじ)
滅亡する寸前の惑星から地球に送られた子供がアメリカの夫婦に育てられ、葛藤の中自分の超能力を隠して大人になるが、氷の中に埋まっていた母星の宇宙船の存在を知り潜り込み記録されていた父の意識から出生と託された役割を聞く。一方、地球を改造し自分達の文明を復興させようと母星からやってきた将軍と戦う。

■映画の印象やVFXについて
全編に渡って高度なVFX満載で、この映画もVFXやプロダクションデザインが最高レベルの一つではないかと思います。破壊のシーンも高度な表現がされています。

惑星クリプトンが爆発しつつ崩壊していくシーンや、惑星そのものが爆発するシーンもあります。

アメリカの田舎町での異常なスピード感の近接戦で周りのものが破壊されます。

地球に宇宙船が飛来し、作中で「メトロポリス」と表現される都市は実際はシカゴがロケーションとなっているようですが、そのメトロポリスで重力兵器によってビルが崩れ車が持ち上がったり地面に叩きつけられたりし街が粉々にされていくいくシーン、宇宙船が墜落してビルが崩れるシーン、ビルを破壊しながらスーパーマンと将軍が戦うシーンは迫力があります。

『GODZILLA ゴジラ』(2014年)

■特徴
太古の怪獣(巨大生物)どおしがハワイやサンフランシスコの街で戦う。

GODZILLA ゴジラ Prime Video

■ストーリー(あらすじ)
原子力発電所の事故で妻を無くし、その事故の陰謀論にとりつかれた父に反発してきた息子が青年になり軍に入るが、父の言っていた事が正しかったことを知り、太古の怪獣(巨大生物)が生き返りそれを止めようとする別の怪獣も現れ街が破壊される中、被害を抑えるための軍の活動に加わる。

■映画の印象やVFXについて
怪獣が移動し、世界の様々な場所を破壊する様子が表現されます。

破壊されたラスベガスのビル、巨大生物の一つムートーを攻撃し、ゴジラも現れハワイの街が破壊され、その後サンフランシスコでもゴジラとムートーが戦い街が破壊されます。

『カリフォルニア・ダウン』(2015年)

■特徴
ビルの中やボートの中の人の視点で体験する巨大地震で崩れるビルや巨大津波。ここまできたかと感じる都市崩壊や津波のVFX。

カリフォルニア・ダウン Prime Video

■ストーリー(あらすじ)
ロサンゼルス消防局の腕利きレスキュー隊員の男が、カリフォルニア州を巨大地震が襲い崩れつつある高層ビルに閉じ込められた離婚協議中の妻や、別の離れた場所で危機的状況にある娘を助けに向かうが、様々な困難が立ちはだかる。

■映画の印象やVFXについて
大地震による、サンフランシスコの都市の崩壊やサンフランシスコを襲う巨大津波が描かれています。

前半には崩れるフーバーダムから逃げるシーンのほか、ロサンゼルスにあるハリウッドサインが倒れる様子やビルが崩れる様子も描かれています。

この映画の崩れるビルなどの表現は誇張されていると思いますが、ビルの中にいる視点で表現されたビルの崩壊は臨場感があります。主人公は、ほとんどガレキとなり崩れていくビルの屋上からヘリコプターで間一髪で妻を助け出します。このシーンの役者の周辺のガレキはCGではなく大道具で表現されているのではないかと思います。

後半には巨大津波とそれによって流された巨大貨物船がゴールデンゲートブリッジをなぎたおし、その後も津波は港のフェリーをなぎたおし、地震で崩れたサンフランシスコの街に多量の水が流れ込みます。

CG/VFXによる都市崩壊の表現はここまで来たかと感じた映画です。

『アトラクション-制圧-』(2017年)

■特徴
ロシア製作。メカニカルなUFOが団地をなぎ倒しながら落下する様子やエイリアンとのスピード感あるバトルを描いた高度なCG映像。

アトラクション-制圧- Prime Video

■ストーリー(あらすじ)
ロシアの団地にUFOが落下し、女子学生が異星人の男と恋に落ちる。

■映画の印象やVFXについて
土星のような形状のメカニカルなUFOがロシアの団地をなぎ倒しながら落下します。都市の崩壊という規模ではありませんが、UFOが団地のビルを崩しながら横に移動しつつ落下していくシーンは圧巻です。すべてCGで細部まで作り込まれており、その後地上でエイリアンと戦うシーンも人間以外ほぼCGで表現されており圧倒的です。

『上海要塞』(2019年)

■特徴
中国が大真面目に作った、エイリアンの地球侵攻大作SF+ラブストーリー。

■ストーリー(あらすじ)
中国が宇宙から持ち帰った新エネルギー源を狙ってUFOが飛来し攻撃をし、地球に最後に残った上海の要塞を基点に若いパイロット達が戦う。戦いの中、青年パイロットが上官の女性に恋心を抱く。

■映画の印象やVFXについて
ハリウッドのエイリアン地球侵攻系の映画ではアメリカ軍が中心になって迎え撃つことが多いですが、中国製作のこの映画では中国が中心となっています。

SFアクションのストーリーと同時に恋愛や人間関係も描かれますが、西洋のというかハリウッドの映画とはやはり印象が異なります。ハリウッドの映画では夫婦、家族、親子などの関係性が描かれることが多いですが、この映画で描かれる恋愛は、日本の学園もののストーリーにもその傾向が見られるようなナイーブな恋愛感情が描かれています。

その他全般的にナイーブで感傷的な雰囲気で演出されています。ドラマが展開されている間は敵が襲ってこないタイプの映画です。

世界各地が陥落して上海が最後の要塞となり、上海キャノンという巨大な大砲に最後の望みが託されていたはずですが、その最終兵器による攻撃に失敗し上海の街が崩壊する中、感傷的な演出で「この都市の犠牲が人類生存のチャンスにつながることを願う」と司令官の独白が入ります。

VFX、特にSF調のモニターグラフィックスは非常に丁寧に作られていますが、プロダクションデザイン(セットデザインなど)はどことなく共産圏のデザインというか無骨さを感じるデザインで、その組み合わせが中国を感じます。

良くも悪くも映像がクリーンで、照明のためだと思いますが、屋内のシーンはドラマっぽいというか、作られた空間に見えます。

都市破壊の表現は、上のほとんどの映画に比べると控えめです。

地面に亀裂が入る表現のほか、攻撃を受けて崩れたり煙を上げている都市の様子が描かれますが、遠景でゆっくりカメラが移動するだけのショットもあります。

最終兵器による攻撃に失敗し、敵の攻撃が続き、上海の街が崩壊する様子が描かれます。