全ての映画学校で同様かどうかはわかりませんが、アメリカの映画学校での映画制作、特に1年目最後や2年目最後などの主要なプロジェクトは実際の小規模映画制作と同じ手順で進めるため、様々な事務・契約手続きも必要となります。
ロケーションオーナー又はロケーション管理会社とロケーションリリース(Location Release Agreement)の書類を交し、撮影するエリアを管理している撮影許可管理事務所に申請し、役者とアクターリリース(Actor Release)の書類を交し、SAGというユニオンに所属している役者に参加してもらう場合は所定の事務処理もし、クラスメートか外部からかにかかわらずクルーとも簡単な雇用覚書(Crew Deal Memo)を交し、ロケーションや機材の保険にも入ります。
撮影許可申請は撮影する場所によって管理事務所が異なります。
●ロサンゼルス地区:Film LA
●ウエストハリウッド地区:West Hollywood Film Office
●バーバンク地区:Burbank Police Department
・Film LA
Film LAに限らず撮影許可申請に当たって学生の場合は申請料が学生料金となりますが、私の経験上、Film LAで学生として申請した場合、撮影許可が降りるのは撮影日直前です。おそらくは、同じロケーションでプロフェッショナルなプロジェクトからの申請があった場合はそちらが優先されるのではないかと思います。
私の撮影でも、直前になって2ヶ所のロケーションで撮影許可が降りず撮影1〜2日前の夕方に急遽別のロケーションを探したことがあります。無理やり2ヶ所分の撮影をできなくもない代わりのロケーションは一応確保できたものの、当初のイメージとは程遠く、そのうち1ヶ所で撮影した映像は授業でインストラクターの評価が低く、結局使いませんでした。
・West Hollywood Film Office
West Hollywood Film Officeの手続きは早いですが、撮影許可をとるために撮影ロケーション周辺の住人に対し撮影通知(Filming Notification)の書類を手渡すか門などに張り紙をし、少なくとも数人からはサインをもらう必要があります。
Filming Notificationの書式は事前に自分で用意し、あらかじめWest Hollywood Film Officeにチェックをしてもらう必要があります。手間がかかる上に心理的ハードルも高いですが、このような書類が必要になることも、実際にそこにサインをしてもらえることも、アメリカ的だと感じます。